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138億光年とは何キロ?宇宙の大きさと距離計算(観測可能な宇宙:ビッグバン:膨張:horizon など)

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「宇宙の年齢は138億年」「宇宙の果ては138億光年先」という表現を耳にすることがありますが、これは正確にはどういう意味なのでしょうか。

また、138億光年という距離は実際に何キロメートルなのか、そして観測可能な宇宙の大きさはこれと同じなのかどうかという疑問を持つ方も多いでしょう。

138億光年は約1.305×10²³km(約1305垓km)であり、これは宇宙年齢138億年に対応する光の到達距離ですが、宇宙膨張の影響で観測可能な宇宙の実際の半径は約465億光年となります

本記事では、138億光年という距離の計算方法・宇宙の大きさ・観測可能な宇宙・ビッグバン・宇宙膨張・地平線(horizon)といったキーワードを中心にわかりやすく解説していきます。

138億光年のキロメートル換算と宇宙年齢の関係

それではまず、138億光年という数値のキロメートル換算と、宇宙年齢との関係について解説していきます。

138億光年をキロメートルに換算するには、1光年のキロメートル値に138億を掛けます。

138億光年のキロメートル換算として、138億光年=1.38×10¹⁰光年、1光年≒9.461×10¹²kmですから、138億光年=1.38×10¹⁰×9.461×10¹²=1.3056×10²³kmとなります。これは約1305垓km(1.305×10²³km)です。比較として、地球〜太陽距離(約1.5×10⁸km)の約8.7×10¹⁴倍、天の川銀河の直径(約9.46×10¹⁷km)の約1.38×10⁵倍(13万8000倍)に相当します。

138億光年という数値は、宇宙の年齢138億年に対応した「光が宇宙誕生から現在までに進んだ距離」として語られることが多いです。

しかし実際には宇宙は膨張しているため、ビッグバン直後に発せられた光の「現在の距離」は138億光年ではなく、約465億光年(観測可能な宇宙の現在の半径)となるという重要な点があります。

ビッグバンと宇宙年齢138億年の根拠

「宇宙の年齢が138億年」という数値の根拠と測定方法を確認しておきましょう。

宇宙年齢の測定には主に2つの方法が使われます。

ひとつ目は宇宙マイクロ波背景放射(CMB:Cosmic Microwave Background)の解析です。

CMBはビッグバンから約38万年後に宇宙が透明になった際に放出された光の化石であり、現在は電波として全天に均一に観測されます。

ESAのプランク衛星(2009〜2013年観測)によるCMBの精密測定から、宇宙年齢は138.2億年(誤差±0.3億年)と求められています。

ふたつ目はハッブル定数(宇宙の膨張率)の測定を使った方法ですが、こちらは現在「ハッブル張力」と呼ばれる測定方法間の不一致(67〜73 km/s/Mpc)が問題となっており、宇宙年齢の推定にも若干の誤差が生じています。

「宇宙の年齢138億年」という数値は複数の独立した測定方法が一致した結果であり、現代宇宙論の基盤となっている重要な定数です。

宇宙膨張と「現在の距離」の考え方

宇宙膨張を考慮すると、138億光年という数値の解釈が複雑になります。

宇宙は膨張しているため、過去に放出された光が現在地球に届くまでの間に、光の出発点も遠ざかり続けています。

ビッグバン直後に宇宙のある場所から出発した光が138億年かけて地球に届いたとき、その出発点は宇宙膨張によって現在はもっと遠い位置にあります。

これが「138億光年先から光が来たが、その光源の現在の距離は465億光年」という一見矛盾した状況を生む理由です。

「共動距離(Comoving Distance)」という概念では宇宙膨張を考慮した現在の距離を表し、「光の移動距離(光行距離)」では光が実際に移動した距離を表すという違いがあります。

宇宙の距離を語る際に「現在の距離」と「光が進んだ距離」のどちらを指すかによって数値が大きく異なるため、文脈の確認が重要です。

観測可能な宇宙のサイズと138億光年との違い

続いては、観測可能な宇宙の実際のサイズと138億光年という数値の違いについて確認していきます。

「宇宙の果ては138億光年先」という表現は厳密には不正確であり、正確な理解のために観測可能な宇宙の概念を把握することが重要です。

観測可能な宇宙(Observable Universe)の定義

観測可能な宇宙とは、原理的に私たちが観測できる宇宙の範囲のことです。

宇宙誕生(ビッグバン)以来の時間(138億年)に光速を掛けると138億光年になりますが、これは宇宙膨張を無視した単純な計算です。

実際には宇宙誕生直後から現在まで宇宙は膨張し続けており、現在観測可能な宇宙の半径は約465億光年(直径約930億光年)と推定されています。

現在の「宇宙の地平線(Cosmological Horizon)」は、宇宙誕生時に出発した光が138億年かけて届く場所であり、そこから先の情報は原理的に地球には届かないという境界線を意味します。

観測可能な宇宙には約2兆個の銀河が存在すると推定されており(ハッブル宇宙望遠鏡による深宇宙観測を基にした推計)、その空間の体積は約4.1×10⁸⁰ m³という巨大な値です。

「宇宙の果て」という表現は科学的には「観測可能な宇宙の地平線」を指し、その現在の距離は138億光年ではなく約465億光年というのが正確な理解です。

宇宙の膨張速度と地平線

宇宙の膨張速度と地平線(Horizon)の概念について詳しく確認しましょう。

ハッブルの法則によれば、宇宙の膨張速度は距離に比例し、十分に遠い銀河では後退速度が光速を超えます。

現在の宇宙では、約140億光年以上離れた銀河は光速以上の速度で遠ざかっているとされています。

これは相対性理論に矛盾しているように見えますが、宇宙膨張は空間自体が伸びる現象であり、物体が空間内を光速で移動するというわけではないため、相対性理論の「光速を超えられない」という原則には反しません。

光速を超える速度で遠ざかっている領域からの光は、永遠に地球に届くことができず、これが「宇宙の地平線(Event Horizon)」を形成します。

将来宇宙がさらに膨張すると、現在観測できている銀河も徐々に地平線の外に出て観測できなくなり、遠い将来の宇宙では天の川銀河と局部銀河群しか観測できない「孤立した宇宙」になると予測されています。

ダークエネルギーと宇宙の加速膨張

観測可能な宇宙のサイズと将来の膨張を理解する上で、ダークエネルギーの存在が重要です。

1998年、Ia型超新星の観測から宇宙の膨張が加速していることが発見され、この発見はノーベル物理学賞(2011年)を受賞しました。

宇宙の加速膨張の原因として提唱されているのが、宇宙全体のエネルギーの約68%を占めるとされる「ダークエネルギー(暗黒エネルギー)」です。

ダークエネルギーの正体は現時点では不明であり、宇宙定数(アインシュタインが導入した真空のエネルギー)としての解釈が有力ですが、実験的に確認されているわけではありません。

ダークエネルギーの影響により宇宙は加速的に膨張し続けており、138億年後の未来の観測可能な宇宙は現在より大幅に縮小していると予測されます。

138億光年という数値は現在の宇宙の一瞬のスナップショットであり、宇宙膨張・ダークエネルギー・宇宙年齢という相互に関連した概念の中に位置していることを理解することが大切です。

138億光年という距離の宇宙論的意味

続いては、138億光年という距離が宇宙論においてどのような意味を持つかについて確認していきます。

宇宙の大規模構造と138億光年のスケール

138億光年という距離は、宇宙の大規模構造の全体像を理解するために重要なスケールです。

宇宙の大規模構造とは、銀河・銀河団・超銀河団がフィラメント状に連なり、その間に巨大な空洞(ボイド)が広がる「泡構造(Cosmic Web)」のことです。

この大規模構造は数億光年スケールで繰り返すパターンを持っており、138億光年(観測可能な宇宙の半径の約30%)というスケールでは、この構造が何十回も繰り返して観測されます。

現在知られている最大の構造は「ヘラクレス・コロナ・ボレアリス長城(HC&CrB Great Wall)」と呼ばれるフィラメント構造で、推定長さ約100億光年(10ギガ光年)という宇宙最大規模の構造とされています。

ただし、この規模の構造は宇宙論的な均一性・等方性の原理(宇宙原理)に反する可能性があるとして、天文学者の間で議論が続いています。

138億光年のスケールで見た宇宙は、銀河の泡構造が織りなす宇宙最大の「宇宙網(Cosmic Web)」として記述される壮大な光景を呈しています。

宇宙マイクロ波背景放射(CMB)と138億光年

138億光年という数値と最も密接に関連する観測的証拠が、宇宙マイクロ波背景放射(CMB)です。

CMBはビッグバンから約38万年後、宇宙が冷却して電子と陽子が結合し「宇宙が透明になった」瞬間に放出された光です。

この光は現在約2.725K(ケルビン)という極低温の電波(マイクロ波)として全天から一様に観測されます。

CMBが放出された時点の距離(共動距離)は約460億光年であり、現在私たちが観測しているCMBはほぼ「観測可能な宇宙の地平線」から来ていることになります。

CMBの微小な温度ゆらぎ(約10万分の1程度)は、ビッグバン直後の密度ゆらぎを反映しており、現在の銀河・大規模構造の種となった原始的な不均一さを記録しています。

CMBは約138億年前(宇宙誕生から38万年後)の宇宙の「記念写真」であり、138億光年という宇宙年齢の数値を宇宙論的に支持する最も重要な観測証拠のひとつです。

宇宙の全体サイズと観測可能な宇宙の違い

観測可能な宇宙(約930億光年直径)は宇宙全体を意味するわけではありません。

宇宙全体のサイズは観測原理上わからないため、「宇宙は無限大か有限か」という問いはまだ決着していません。

インフレーション理論(宇宙誕生直後の急激な膨張)によれば、宇宙全体の大きさは観測可能な宇宙の少なくとも10²³倍以上である可能性が指摘されています。

宇宙の幾何学的形状が「平坦」である場合(現在の観測から最も支持されている可能性)、宇宙は無限に広がっている可能性があります。

一方で宇宙が「正の曲率」を持つ場合は有限ですが閉じており、十分に遠くへ進むと元の場所に戻ってくるトーラス状または球面状の宇宙になるという理論もあります。

138億光年・465億光年という観測可能な宇宙の数値は、宇宙全体の大きさを表すものではなく、人類が現在観測できる宇宙の範囲を示す限界値として理解することが正確です。

138億光年の距離計算と具体的な数値比較

続いては、138億光年という距離を他のスケールと比較することで、その巨大さをさらに実感していきます。

138億光年の各種単位換算一覧

138億光年という距離を様々な単位に換算して比較してみましょう。

単位 138億光年の換算値
光年(ly) 1.38×10¹⁰光年(138億光年)
キロメートル(km) 約1.306×10²³km
メートル(m) 約1.306×10²⁶m
天文単位(AU) 約8.72×10¹⁴ AU
パーセク(pc) 約4.23×10⁹ pc(約42億パーセク=4.23ギガパーセク)
天の川銀河直径との比率 約138万倍(天の川銀河直径:約10万光年)
地球〜太陽距離との比率 約8.72×10¹⁴倍

138億光年は天の川銀河の直径(約10万光年)の138万倍というスケールであり、宇宙全体の構造の規模感が伝わります。

138億光年という宇宙年齢スケールの距離は、銀河・銀河団・超銀河団というあらゆる構造を包含する宇宙最大のスケールを代表する数値です。

138億光年先の天体観測の現実

現在の天文観測で138億光年に近い距離の天体は実際に観測されているのでしょうか。

ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)は2022年以降、宇宙誕生から数億年以内の非常に遠方の銀河を多数発見しています。

2024年現在、確認されている最も遠い銀河のひとつは赤方偏移z>10を持つ銀河であり、その光は宇宙誕生から4〜5億年後に出発したものです。

これらの天体の「光行距離」は約130〜133億光年ですが、宇宙膨張を考慮した「現在の共動距離」は約300〜330億光年になります。

CMBの放射(宇宙誕生から38万年後)の光行距離は約138億光年であり、これが実質的に「観測可能な最も遠い距離」に対応します。

JWSTの観測により、従来の理論では説明が難しい大質量・高輝度の初期銀河が多数発見されており、宇宙の初期進化の理解が見直されつつある最前線の研究が進んでいます。

138億光年と宇宙論の将来研究

138億光年という数値は現在の宇宙論の基礎ですが、今後の研究でどのような進展が期待されているのでしょうか。

将来の宇宙論的観測として、次世代の宇宙望遠鏡である「ナンシー・グレース・ローマン宇宙望遠鏡」や「ルービン天文台」による大規模銀河サーベイが宇宙年齢・膨張率・ダークエネルギーの精密測定に貢献することが期待されています。

重力波天文学(LIGOやVIRGOによる重力波観測)を利用した独立した宇宙膨張率の測定も進んでおり、現在問題となっているハッブル張力の解決につながる可能性があります。

宇宙年齢がより精密に確定されれば、138億光年という数値も更新される可能性があります。

138億光年という数値は「現時点での最良の推定値」であり、観測技術の進歩とともにその精度が高められていくのが科学の本質といえます。

138億光年の要点まとめとして、キロメートル換算は約1.306×10²³km(約1305垓km)です。これは宇宙年齢138億年に光速を掛けた「光行距離」に相当しますが、宇宙膨張により現在の観測可能な宇宙の半径は約465億光年(直径約930億光年)です。宇宙の大きさは観測可能な範囲(465億光年半径)が限界ではなく、宇宙全体はインフレーション理論によれば観測可能な宇宙の10²³倍以上という可能性があります。CMBの観測が138億年の宇宙年齢の最も重要な根拠です。

まとめ

本記事では、138億光年という距離が何キロメートルか・宇宙の大きさと距離計算について、観測可能な宇宙・ビッグバン・膨張・地平線(horizon)というキーワードと合わせて解説してきました。

138億光年は約1.306×10²³km(約1305垓km)であり、これは宇宙年齢138億年に対応する光行距離です。

宇宙膨張を考慮した「現在の観測可能な宇宙」の半径は約465億光年(直径約930億光年)であり、138億光年より約3.4倍大きいという重要な違いがあります。

ダークエネルギーによる加速膨張により宇宙は現在も広がり続けており、将来的には観測可能な宇宙の範囲が縮小する可能性もあります。

CMBの精密測定・JWSTによる初期銀河観測・重力波天文学など、様々な観測手法が宇宙年齢と宇宙の大きさの理解を深めつつあります。

ぜひ本記事の内容を参考に、宇宙の規模と歴史への理解をさらに深めていただければ幸いです。