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カーボンの熱伝導率や単位(W/mKやkcal/mh℃使用など)は?温度依存性やダイヤモンド等他の物質との比較を解説!

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カーボン(炭素)は、様々な同素体を持ち、多様な形態と特性を示す元素です。

これらの特性から、電極材料、構造材料、電子材料など様々な分野で使用されています。

しかし、熱伝導性についてはダイヤモンドや他の物質とどのような違いがあるのでしょうか。

このような背景もあり、この記事では、カーボン材料の熱伝導率とその単位、温度依存性、ダイヤモンドや他の炭素材料との比較について詳しく解説します。

カーボンの熱伝導特性を理解し、適材適所で活用していきましょう!

カーボンの熱伝導率と単位【W/(m·K)やkcal/(m·h·℃)など】

まずは、カーボン材料の熱伝導率の値と一般的な単位を確認しましょう。

熱伝導率とは、物質の熱伝導性能を表す物性値で、単位面積あたり、単位時間あたり、温度勾配1 K/mで伝わる熱量を表します。

熱伝導率が高いほど、熱を速く伝えることができます(^^)/

代表的なカーボン材料の熱伝導率(常温常圧付近)は以下の通りです。

カーボン材料の種類 熱伝導率 (W/(m·K)) 熱伝導率 (kcal/(m·h·℃))
黒鉛(グラファイト)面内方向 100〜400 86〜344
黒鉛(グラファイト)面垂直方向 5〜10 4.3〜8.6
高配向性熱分解グラファイト(HOPG) 1500〜1800 1290〜1548
カーボンナノチューブ(軸方向) 2000〜6000 1720〜5160
グラフェン 3000〜5000 2580〜4300
アモルファスカーボン 0.5〜10 0.43〜8.6
カーボンファイバー(軸方向) 50〜1000 43〜860

ここで、1 W = 0.86 kcal/hであることを利用して、各単位の値を相互に変換できます。

カーボン材料の熱伝導率は、その結晶構造や配向性によって大きく異なります。特に黒鉛のような層状構造を持つ材料では、面内方向と面垂直方向で熱伝導率に大きな異方性が見られます。

カーボンの熱伝導率の温度依存性

カーボン材料の熱伝導率は温度によって変化します。

以下は、様々な温度での代表的なカーボン材料の熱伝導率を示した表です:

カーボンの種類 温度 (K) 温度 (℃) 熱伝導率 (W/(m·K))
高純度グラファイト(面内方向) 100 -173.15 500
300 26.85 300
600 326.85 150
1000 726.85 80
アモルファスカーボン 100 -173.15 0.1
300 26.85 1.5
600 326.85 3.0
1000 726.85 5.0

簡単に整理しますと、結晶性の高いカーボン材料(グラファイトなど)では、温度上昇に伴い熱伝導率が低下する傾向があります。これは高温になるとフォノン(格子振動)の散乱が増加し、熱伝導が阻害されるためです。一方、アモルファスカーボンのような非晶質材料では、温度上昇とともに熱伝導率が増加する傾向があります。これは高温になると電子による熱伝導の寄与が大きくなるためと考えられています。

カーボン材料の熱伝導特性は、その結晶構造によって温度依存性も大きく異なることがわかります(^^)/

ダイヤモンドや他のカーボン材料との比較

様々なカーボン材料とダイヤモンドや他の代表的な熱伝導材料の熱伝導率を比較してみましょう:

材料 熱伝導率 (W/(m·K))
ダイヤモンド 2000〜2200
グラフェン 3000〜5000
カーボンナノチューブ(軸方向) 2000〜6000
高配向性熱分解グラファイト(HOPG) 1500〜1800
カーボンファイバー(高熱伝導タイプ) 500〜1000
黒鉛(グラファイト)面内方向 100〜400
429
398
ピッチ系炭素繊維 100〜800
PAN系炭素繊維 10〜50
黒鉛(グラファイト)面垂直方向 5〜10
アモルファスカーボン 0.5〜10
グラファイトフォーム 0.3〜0.7

整理しますと以下の通りです!

カーボン材料は同じ炭素原子から構成されていても、その原子配列や結合状態によって熱伝導特性が劇的に変化することがわかります。ダイヤモンドは炭素原子がsp³混成軌道で強固な三次元ネットワークを形成しており、2000〜2200 W/(m·K)という非常に高い熱伝導率を示します。これは最も熱伝導性の高い金属である銀(429 W/(m·K))の約5倍です。

一方、二次元構造を持つグラフェンやカーボンナノチューブは理論的にはダイヤモンドを上回る熱伝導率を持つことが報告されていますが、実用的な大面積材料としての応用は現在研究段階です。高配向性熱分解グラファイト(HOPG)はダイヤモンドに次ぐ高い熱伝導率を示し、熱マネジメントアプリケーションで利用されています。

黒鉛(グラファイト)の面内方向の熱伝導率は100〜400 W/(m·K)と比較的高いですが、面垂直方向では5〜10 W/(m·K)と大きく低下します。この高い異方性は層状構造に起因しており、用途に応じた配向制御が重要です。カーボンファイバーは製造方法や原料によって熱伝導率が大きく異なり、特にピッチ系炭素繊維は高い熱伝導性を示します。

アモルファスカーボンは結晶性のない無秩序な構造を持ち、熱伝導率は0.5〜10 W/(m·K)と非常に低くなります。このように、同じ炭素原子からなる材料でも、ナノスケールでの構造制御により熱伝導率を4桁以上変化させることができるのがカーボン材料の大きな特徴です。

まとめ カーボンの熱伝導率の温度依存性は?ダイヤモンドや他のカーボン材料との比較も!

本記事では、カーボン材料の熱伝導率とその単位、温度依存性、そしてダイヤモンドや他のカーボン材料との比較について詳しく解説しました。

カーボン材料は同じ炭素原子から構成されていても、その原子配列や結合様式により熱伝導率が0.5 W/(m·K)から6000 W/(m·K)まで大きく変化することがわかりました。この多様性がカーボン材料の応用範囲を広げており、断熱材から高性能熱伝導材料まで幅広い用途に利用されています。

温度依存性についても、結晶構造によって異なる挙動を示し、材料設計において重要な要素となっています。今後も新しいカーボン材料の開発が進み、さらに優れた熱伝導特性を持つ材料が生み出されることが期待されます!