プラスチック（合成樹脂）は、軽量性、成形加工性、絶縁性、耐食性に優れた人工高分子材料です。
これらの特性から、家電製品、包装材、自動車部品など様々な分野で使用されています。しかし、熱伝導性についてはアルミニウムや他の材料とどのような違いがあるのでしょうか。
このような背景もあり、この記事では、プラスチックの熱伝導率とその単位、温度依存性、アルミニウムや他の材料との比較について詳しく解説します。プラスチックの熱伝導特性を理解し、適材適所で活用していきましょう！
プラスチックの熱伝導率と単位【W/(m·K)やkcal/(m·h·℃)など】
まずは、代表的なプラスチックの熱伝導率の値と一般的な単位を確認しましょう。熱伝導率とは、物質の熱伝導性能を表す物性値で、単位面積あたり、単位時間あたり、温度勾配1 K/mで伝わる熱量を表します。熱伝導率が高いほど、熱を速く伝えることができます(^^)/
主要なプラスチックの熱伝導率（常温常圧付近）は以下の通りです。
| プラスチックの種類 | 熱伝導率 (W/(m·K)) | 熱伝導率 (kcal/(m·h·℃)) |
|---|---|---|
| ポリエチレン (PE) | 0.33 – 0.52 | 0.28 – 0.45 |
| ポリプロピレン (PP) | 0.10 – 0.22 | 0.09 – 0.19 |
| ポリ塩化ビニル (PVC) | 0.15 – 0.21 | 0.13 – 0.18 |
| ポリスチレン (PS) | 0.10 – 0.16 | 0.09 – 0.14 |
| ABS樹脂 | 0.14 – 0.21 | 0.12 – 0.18 |
| ポリカーボネート (PC) | 0.19 – 0.22 | 0.16 – 0.19 |
| ナイロン (PA) | 0.24 – 0.33 | 0.21 – 0.28 |
| PTFE（テフロン） | 0.24 – 0.26 | 0.21 – 0.22 |
ここで、1 W = 0.86 kcal/hであることを利用して、各単位の値を相互に変換できます。
プラスチックの熱伝導率は、金属材料と比べると非常に低く、一般的に断熱材として機能します。また、プラスチックの種類、結晶化度、充填材の有無によっても熱伝導率は大きく変化します。
プラスチックの熱伝導率の温度依存性
プラスチックの熱伝導率は温度によって変化します。以下は、温度がプラスチックの熱伝導率に与える影響についての特徴です。
| プラスチックの種類 | 温度依存性の特徴 |
|---|---|
| 結晶性プラスチック（PE、PP、PAなど） | 温度上昇に伴い熱伝導率は減少する傾向 |
| 非結晶性プラスチック（PS、PC、PVCなど） | 温度上昇に伴い熱伝導率は緩やかに増加する傾向 |
| ガラス転移点近傍 | 熱伝導率が急激に変化することがある |
| 充填材入りプラスチック | 充填材の種類により温度依存性が変化 |
簡単に整理しますと、
1. 常温付近では、プラスチックの熱伝導率は0.10～0.52 W/(m·K)程度です。
2. ガラス転移温度（Tg）以下では、ほとんどのプラスチックは比較的安定した熱伝導率を示します。
3. ガラス転移温度を超えると、分子運動が活発になり熱伝導率が変化します。
4. プラスチックの結晶化度が高いほど、一般的に熱伝導率は高くなります。
プラスチックの熱伝導率は、その分子構造や配列状態に大きく依存することがわかります(^^)/
プラスチックの熱伝導性向上技術
プラスチックの低い熱伝導性を改善するために、様々な技術が開発されています。
| 技術 | 熱伝導率向上効果 |
|---|---|
| 金属粉末の添加 | 2～10倍 |
| 炭素繊維の添加 | 5～20倍 |
| ボロンナイトライドの添加 | 10～50倍 |
| グラファイトの添加 | 10～100倍 |
| カーボンナノチューブの添加 | 20～200倍 |
アルミニウムや他の材料との比較
プラスチックの熱伝導率をアルミニウムや他の代表的な材料と比較してみましょう^_^
| 材料 | 熱伝導率 (W/(m·K)) |
|---|---|
| プラスチック（平均） | 0.15 – 0.50 |
| アルミニウム | 237 |
| 銅 | 398 |
| 鉄（純鉄） | 80.2 |
| コンクリート | 1.7 |
| ガラス | 0.8 – 1.4 |
| 木材 | 0.12 – 0.21 |
| 空気（静止） | 0.026 |
整理しますと以下の通りです！
1. プラスチックの熱伝導率は、アルミニウムの約1/500～1/1500程度です。
2. アルミニウムは軽量金属の中でも特に熱伝導性が高い材料で、プラスチックとは対照的です。
3. プラスチックの熱伝導率は、ガラスの約1/5～1/10程度です。
4. プラスチックと木材は、熱伝導率が近い値を示しますが、プラスチックの種類によっては木材よりも若干高い場合があります。
5. プラスチックは静止空気の約4～20倍程度の熱伝導率を持ちます。
6. 材料の種類によって、熱伝導率は大きく異なります。
7. プラスチックは低熱伝導性を活かして断熱材として使用される一方、放熱が必要な電子機器部品などでは、熱伝導性の向上が課題となります。
8. 熱伝導性と他の特性（強度、加工性、コストなど）のバランスを考慮して、適切な材料を選択する必要があります。
まとめ プラスチックの熱伝導率の特徴は？アルミニウムや他の材料との比較も！
本記事では、プラスチックの熱伝導率とその単位、アルミニウムとの比較、温度依存性、熱伝導性向上技術、そして他の材料との比較について詳しく解説しました。
プラスチックの熱伝導特性を理解し、適材適所で活用していきましょう！
