セラミックは、高い耐熱性、硬度、耐食性、電気絶縁性を持つ無機非金属材料です。
これらの特性から、電子部品、切削工具、断熱材、生体材料など様々な分野で使用されています。しかし、熱伝導性についてはアルミニウムや他の材料とどのような違いがあるのでしょうか。
このような背景もあり、この記事では、セラミックの熱伝導率とその単位、温度依存性、アルミニウムや他の材料との比較について詳しく解説します。セラミックの熱伝導特性を理解し、適材適所で活用していきましょう!
セラミックの熱伝導率と単位【W/(m·K)やkcal/(m·h·℃)など】
まずは、代表的なセラミックの熱伝導率の値と一般的な単位を確認しましょう。
熱伝導率とは、物質の熱伝導性能を表す物性値で、単位面積あたり、単位時間あたり、温度勾配1 K/mで伝わる熱量を表します。熱伝導率が高いほど、熱を速く伝えることができます(^^)/
主要なセラミックの熱伝導率(常温常圧付近)は以下の通りです。
セラミックの種類 | 熱伝導率 (W/(m·K)) | 熱伝導率 (kcal/(m·h·℃)) |
---|---|---|
アルミナ (Al₂O₃) | 20 – 30 | 17.2 – 25.8 |
窒化アルミニウム (AlN) | 140 – 180 | 120.4 – 154.8 |
窒化ケイ素 (Si₃N₄) | 15 – 30 | 12.9 – 25.8 |
炭化ケイ素 (SiC) | 120 – 170 | 103.2 – 146.2 |
ジルコニア (ZrO₂) | 2 – 3 | 1.7 – 2.6 |
マグネシア (MgO) | 38 – 42 | 32.7 – 36.1 |
石英ガラス (SiO₂) | 1.3 – 1.5 | 1.1 – 1.3 |
窒化ホウ素 (BN) | 20 – 600 | 17.2 – 516 |
ここで、1 W = 0.86 kcal/hであることを利用して、各単位の値を相互に変換できます。
セラミックの熱伝導率は、種類によって非常に幅広い値を示します。
一部のセラミック(AlN、SiC、BN)は金属に匹敵する高い熱伝導率を持つ一方、石英ガラスやジルコニアなどは優れた断熱性を持ちます。
セラミックの熱伝導率の温度依存性
セラミックの熱伝導率は温度によって大きく変化します。以下は、温度がセラミックの熱伝導率に与える影響についての特徴です:
セラミックの種類 | 温度依存性の特徴 |
---|---|
結晶性セラミック(アルミナ、AlN、SiC等) | 温度上昇に伴い熱伝導率は減少する傾向 |
ガラス質セラミック(石英ガラス等) | 温度上昇に伴い熱伝導率は増加する傾向 |
多孔質セラミック | 高温では輻射熱伝達が増加し、見かけの熱伝導率が上昇 |
ジルコニア | 特に高温域での熱伝導率の変化が小さい |
アルミナ (Al₂O₃) の温度による熱伝導率変化:
温度 (K) | 温度 (℃) | 熱伝導率 (W/(m·K)) |
---|---|---|
300 | 26.85 | 30 |
500 | 226.85 | 20 |
1000 | 726.85 | 10 |
1500 | 1226.85 | 7 |
簡単に整理しますと、
1. 多くの結晶性セラミックでは、温度上昇に伴い熱伝導率は減少する傾向があります。
2. 非結晶質(ガラス質)セラミックでは、温度上昇に伴い熱伝導率が増加することがあります。
3. 多孔質セラミックでは、高温になると輻射熱伝達の寄与が大きくなり、見かけの熱伝導率が上昇します。
4. セラミックの純度、微細構造、結晶粒径によっても温度依存性は変化します。
セラミックの熱伝導率は、その結晶構造や組成に大きく依存することがわかります(^^)/
アルミニウムや他の材料との比較
セラミックの熱伝導率をアルミニウムや他の代表的な材料と比較してみましょう:
材料 | 熱伝導率 (W/(m·K)) |
---|---|
窒化アルミニウム (AlN) | 140 – 180 |
炭化ケイ素 (SiC) | 120 – 170 |
アルミナ (Al₂O₃) | 20 – 30 |
ジルコニア (ZrO₂) | 2 – 3 |
アルミニウム | 237 |
銅 | 398 |
ステンレス鋼(304) | 16.2 |
プラスチック(平均) | 0.15 – 0.50 |
整理しますと以下の通りです!
1. 高熱伝導セラミック(AlN、SiC)の熱伝導率は、アルミニウムの約1/2~3/4程度です。
2. アルミナなどの一般的なエンジニアリングセラミックの熱伝導率は、アルミニウムの約1/8~1/12程度です。
3. ジルコニアや石英ガラスなどの低熱伝導セラミックは、ステンレス鋼よりも低い熱伝導率を持ちます。
4. 窒化ホウ素(BN)の六方晶系(h-BN)は方向によって熱伝導率が大きく異なる異方性を持ちます。
5. セラミックの熱伝導率は、プラスチックよりも一般的に高く、金属よりも低い傾向がありますが、例外も多く存在します。
6. 材料の種類によって、熱伝導率は大きく異なります。
7. セラミックは、その熱伝導特性に加えて、優れた耐熱性、耐食性、電気絶縁性などの特性も兼ね備えているため、特殊環境下での用途に適しています。
8. 熱伝導性と他の特性(硬度、絶縁性、耐熱性など)のバランスを考慮して、適切な材料を選択する必要があります。
まとめ セラミックの熱伝導率の特徴は?アルミニウムや他の材料との比較も!
本記事では、セラミックの熱伝導率とその単位、アルミニウムとの比較、温度依存性、そして他の材料との比較について詳しく解説しました。
セラミックの熱伝導特性を理解し、適材適所で活用していきましょう!