科学的な解析を行うには、各物質の化学式・分子式・分子量・示性式などを理解しておいた方がいいです。
ここでは、上記フェノールの化学的特性について詳しく解説しますので、参考にしてみてください！
フェノールの化学式（分子式）は？
フェノールの化学式（分子式）は以下の通りです。
フェノールは炭素(C)が6個、水素(H)が6個、酸素(O)が1個から構成される有機化合物です。
芳香族化合物の一種で、ベンゼン環に水酸基（-OH）が直接結合した構造を持っています。
常温・常圧では無色〜淡ピンク色の結晶で、特徴的な刺激臭を持ち、消毒剤や化学合成の重要な原料として広く使用されています。
この分子式からわかるように、フェノールはベンゼン環に水酸基が直接結合した構造をしています。
フェノールの示性式は？
フェノールの示性式は以下の通りです。
一般的には以下のような環状構造で表記されることもあります：
OH
|
HC CH
/ \
HC CH
\ /
HC===CH
この示性式は分子の構造をより具体的に表現しています。
6個の炭素原子が環状構造（ベンゼン環）を形成し、その環に直接水酸基（OH）が結合しています。
フェノールの構造的特徴として、ベンゼン環の芳香族性と水酸基の存在が挙げられます。
この構造はフェノールに特有の化学反応性をもたらし、ベンゼン環と水酸基が互いに影響し合うことで、通常のアルコールとは異なる性質を示します。
水酸基の水素は弱酸性を示し、ベンゼン環は水酸基の影響で電子密度が高くなり、求電子置換反応が起こりやすくなります。
また、水酸基の極性により、水に部分的に溶解し、有機溶媒にもよく溶ける性質があります。
フェノールの分子量は？計算過程も解説
フェノールの分子量を計算していきましょう。
分子量は各原子の原子量に、分子内に含まれる原子の数を掛けて合計することで求められます。
計算過程は以下の通りです。
1. 炭素(C)の原子量：12.01 g/mol × 6個 = 72.06 g/mol
2. 水素(H)の原子量：1.008 g/mol × 6個 = 6.048 g/mol
3. 酸素(O)の原子量：16.00 g/mol × 1個 = 16.00 g/mol
これらを合計すると：
72.06 + 6.048 + 16.00 = 94.108 g/mol
通常は小数点以下2桁までの精度で表現されることが多いため、フェノールの分子量は約94.11 g/molとなります。
この分子量の値は、フェノールの物理的・化学的性質を理解する上で重要な基本情報であり、化学反応の計算や物質の取り扱いなどにおいて活用されます。
まとめ フェノールの分子式・分子量・示性式は？
ここでは、フェノールの基本的な化学特性について確認しました。
・分子式：C₆H₅OH または C₆H₆O
・示性式：C₆H₅OH
・分子量：94.11 g/mol
これらの情報は、フェノールを扱う様々な場面で重要となります。
消毒剤・殺菌剤、フェノール樹脂（ベークライト）の原料、ビスフェノールA（ポリカーボネートの原料）の合成、医薬品・染料・農薬の合成原料、また化学の学習においても基本的な知識として役立つでしょう。
フェノールは石炭タールから分離されるほか、クメン法などによって工業的に合成され、多くの重要な化学製品の出発原料として広く利用されています。
