タングステンは、その高い密度と優れた耐熱性で知られる金属元素です。
自然界ではほとんど化合物の形でのみ存在し、純粋な金属として単離するのは容易ではありません。
しかし、その特異な物性から、航空宇宙、軍事、製造業など多くの産業で重要な役割を果たしています。
では、タングステンの密度や比重は実際にどれくらいなのでしょうか?また、金や鉛といった他の高密度金属と比較するとどうなのでしょうか?
このような背景もあり、この記事では、タングステンの比重と密度、その単位、そして鉛や金、鉄などの他の金属材料との比較について詳しく解説します。
タングステンの物性を理解し、適材適所で活用していきましょう!
タングステンの密度と比重【g/cm3やkg/m3など】
まずは、タングステンの密度の値と一般的な単位を確認しましょう。
密度とは、物質の単位体積あたりの質量を表す物性値です。比重は、物質の密度を水の密度(通常は4℃の水)で割った無次元の値です。
タングステンの密度は室温で約19.3グラム/立方センチメートル(g/cm³)です。これは自然界で最も密度の高い元素の一つとなっています。
タングステンの密度と比重を様々な単位で表すと以下のようになります:
単位 | タングステンの密度・比重 |
---|---|
g/cm³(グラム/立方センチメートル) | 19.3 |
kg/m³(キログラム/立方メートル) | 19,300 |
lb/in³(ポンド/立方インチ) | 0.699 |
比重(無次元) | 19.3 |
タングステンは周期表では記号「W」で表され、原子番号は74です。その密度は19.254 g/cm³で、ウランや金の密度に匹敵し、鉛よりもはるかに高い(約1.7倍)値を示します。
この高密度は、タングステン原子の原子量が大きく(183.84原子質量単位)、原子が密に詰まった結晶構造を持つことに起因しています。
タングステンと他の金属材料との密度・比重の比較
タングステンの密度を鉛、金、鉄など他の代表的な金属材料と比較してみましょう。
材料 | 密度 (g/cm³) | 比重(無次元) |
---|---|---|
オスミウム | 22.59 | 22.59 |
イリジウム | 22.56 | 22.56 |
白金 | 21.45 | 21.45 |
金 | 19.32 | 19.32 |
タングステン | 19.3 | 19.3 |
鉛 | 11.35 | 11.35 |
銀 | 10.49 | 10.49 |
鉄 | 7.87 | 7.87 |
アルミニウム | 2.70 | 2.70 |
整理しますと以下の通りです!
タングステンの密度は、他の金属と比較すると著しく高く、例えば鉛(11.35 g/cm³)の約1.7倍、鉄(7.87 g/cm³)の約2.5倍の密度を持っています。
タングステンと金は密度が非常に近く、タングステンの密度は約19.3 g/cm³、金の密度は約19.32 g/cm³です。密度の差はわずか0.02 g/cm³しかありません。
タングステンと金の密度はほぼ同じで、金めっきしたタングステンバーは、穴を開けない限り、純金のバーと見分けがつかないほどです。
しかし、タングステンは最も密度の高い金属ではありません。最も密度の高い金属はオスミウム(22.59 g/cm³)とイリジウム(22.56 g/cm³)です。
まとめ タングステンの密度や比重は?鉛や金や鉄との比較も!
本記事では、タングステンの比重と密度、そしてそれらを鉛や金、鉄などの他の金属材料と比較して詳しく解説しました。
タングステンは19.3 g/cm³という非常に高い密度を持ち、自然界で最も密度の高い金属の一つとなっています。これは鉛の約1.7倍、鉄の約2.5倍の密度です。また、金(19.32 g/cm³)とほぼ同じ密度を持っていることも特筆すべき点です。
この高密度に加え、極めて高い融点や耐久性を持つタングステンは、高温応用、放射線遮蔽、バランスウェイト、切削工具など、多岐にわたる産業分野で重要な役割を果たしています。
また、鉛と比較して環境に優しく安全なタングステンは、鉛代替材料としても注目されています。
タングステンの特異な物性を理解し、適切に活用することで、様々な技術的課題を解決していくことができるでしょう!