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外腹斜筋の作用・起始停止・神経支配は?どこで読み方は?内腹斜筋との違い・下部も

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腹部の筋肉群の中でも、外腹斜筋は最も表層に位置し、体幹の動きや安定性に重要な役割を果たしています。この筋肉は日常生活における体幹の回旋動作や側屈動作はもちろん、呼吸や腹圧の調整にも深く関わっており、医療従事者やフィットネス指導者、理学療法士にとって正確な知識が必要不可欠です。

外腹斜筋は腹壁の最表層に位置するため触診しやすく、臨床現場での評価や観察が比較的容易な筋肉です。しかし、その解剖学的特徴や機能を正しく理解することで、より効果的な診断や治療、運動指導が可能になります。

この記事では、外腹斜筋の詳細な解剖学的特徴から機能面、そして内腹斜筋との違いまで、包括的に解説していきます。

外腹斜筋とはどこ?読み方は?

それではまず、外腹斜筋の位置と基本的な構造、そして読み方について解説していきます。

外腹斜筋の読み方は「がいふくしゃきん」です。英語では「External oblique muscle(エクスターナル オブリーク マッスル)」と呼ばれます。

外腹斜筋(External oblique muscle)は、腹壁を構成する平たい筋肉の中で最も表層に位置する大きな筋肉です。腹部の側面から前面にかけて広がる扇形の構造を持ち、肋骨の外面から起始して骨盤部に向かって走行しています。

この筋肉の最大の特徴は、その繊維の走行方向にあります。外腹斜筋の繊維は外上方から内下方に向かって斜めに走行し、この方向は「手をポケットに入れる方向」と表現されることがあります。この特徴的な繊維配列により、体幹の複雑な動きを可能にしています。

外腹斜筋は腹腔内臓器の保護や腹圧の維持に重要な役割を果たしており、呼吸筋としての機能も持っています。また、表層に位置するため、筋肉の発達状況を視覚的に確認しやすく、フィットネスやボディビルの分野でも注目される筋肉の一つです。

解剖学的には、外腹斜筋は単一の筋腹として構成されていますが、機能的には上部と下部で若干異なる作用を示すことが知られています。特に、肋骨部と腸骨部では起始部が異なるため、それぞれの部位で微妙に異なる動きに関与します。

外腹斜筋の作用・起始停止・神経支配は?

続いては、外腹斜筋の詳細な解剖学的特徴を確認していきます。

項目 詳細
起始(Origin) ・第5〜12肋骨の外面
・各肋骨の下縁から筋間中隔を介して起始
停止(Insertion) ・腸骨稜の外唇(前半分)
・鼠径靭帯
・恥骨結節と恥骨稜
・白線(腹直筋鞘前葉に参加)
主な作用(Actions) 1. 体幹の同側への側屈
2. 体幹の対側への回旋
3. 腹圧の上昇(排便、排尿、分娩などの補助)
4. 呼吸補助筋としての働き(特に強制呼気時)
5. 腰椎の前屈(両側同時収縮時)
神経支配(Innervation) ・肋間神経(第5〜12肋間神経)
・腸骨下腹神経(T12、L1)
・腸骨鼠径神経(L1)

外腹斜筋の特に重要な機能は、対側への回旋動作です。例えば、右側の外腹斜筋が収縮すると体幹は左側に回旋します。これは内腹斜筋の同側回旋とは対照的な動きであり、両筋肉が協調することで円滑な回旋動作が可能になります。

また、外腹斜筋は鼠径管の形成にも関与しており、特に男性では精索、女性では子宮円索が通過する重要な解剖学的構造を作り出しています。この部分は臨床的にも重要で、鼠径ヘルニアの発生部位としても知られています。

神経支配については、主に胸神経の下部から腰神経の上部にかけての神経根から分岐する神経によって支配されており、この支配パターンは体幹の協調的な動きを可能にする重要な要素となっています。

外腹斜筋と内腹斜筋の違いは

続いては、外腹斜筋と内腹斜筋の主要な違いについて確認していきます。

比較項目 外腹斜筋 内腹斜筋
解剖学的位置 腹壁の最表層 腹壁の深層(外腹斜筋の下)
筋繊維の走行方向 外上方から内下方
(「手をポケットに入れる方向」)
外下方から内上方
(外腹斜筋と交差)
回旋動作 対側への回旋
(右外腹斜筋→体幹左回旋)
同側への回旋
(右内腹斜筋→体幹右回旋)
起始 第5〜12肋骨外面 腸骨稜、鼠径靭帯、胸腰筋膜
停止 腸骨稜、鼠径靭帯、恥骨 第10〜12肋骨下縁、腹直筋鞘、恥骨
触診 表在性のため触診しやすい 深層にあるため直接触診困難
臨床的意義 表層筋として評価しやすい
視覚的変化を捉えやすい
体幹深部安定性に重要
リハビリで特に注目
鼠径管との関係 鼠径管の前壁を形成
外鼠径輪を形成
鼠径管の後壁の一部を形成
精索や子宮円索と合流

これらの違いにより、両筋肉は相補的に働いて体幹の複雑な動きを実現しています。特に回旋動作では、目的とする回旋方向に応じて、対側の外腹斜筋と同側の内腹斜筋が同時に収縮することで、効率的で力強い回旋が可能になります。

また、外腹斜筋は表層にあるため筋肉の収縮や発達状況を視覚的に確認しやすく、運動指導の際のフィードバックに活用しやすいという実用的な利点もあります。一方で、内腹斜筋は深部安定性により重要な役割を果たすため、両方の筋肉をバランスよく鍛えることが重要です。

まとめ 外腹斜筋の起始停止・神経支配はどこ?読み方は?内腹斜筋との違いも

外腹斜筋は腹壁の最表層に位置する重要な筋肉であり、読み方は「がいふくしゃきん」です。第5〜12肋骨の外面から起始し、腸骨稜、鼠径靭帯、恥骨に停止する扇形の筋肉で、肋間神経や腸骨下腹神経、腸骨鼠径神経によって支配されています。

外腹斜筋の最大の特徴は、外上方から内下方に走行する繊維配列と、対側への回旋動作を担うことです。これは同側回旋を行う内腹斜筋とは対照的であり、両筋肉が協調することで円滑な体幹の動きが実現されます。また、体幹の側屈、腹圧の調整、呼吸補助といった多様な機能も担っています。

内腹斜筋との主な違いは、解剖学的位置(表層vs深層)、繊維走行方向、回旋方向、起始停止部位、触診の容易さなどにあります。外腹斜筋は表在性のため評価や観察が容易で、運動指導やリハビリテーションにおいて視覚的なフィードバックを得やすいという利点があります。

これらの知識は、医療従事者、理学療法士、フィットネス指導者にとって、適切な評価と効果的な治療・指導プログラムの構築に不可欠です。外腹斜筋の特性を理解し、内腹斜筋との機能的な違いを把握することで、より質の高い専門的なサービスを提供することができます。日常生活からスポーツパフォーマンスまで、幅広い場面で重要な役割を果たす外腹斜筋について、継続的な学習と理解を深めていくことが重要です。