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ブリキは錆びる?鉄より硬い?磁石は?【材質など】

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ブリキは缶詰や菓子缶に使われる身近な金属素材ですが、その性質について疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。「ブリキは錆びるのか」「鉄より硬いのか」「磁石はつくのか」など、日常生活でふと気になる疑問がいくつもあります。

ブリキは鉄にスズをめっきした素材ですが、この構造がどのような性質を生み出すのか、正確に理解している人は意外と少ないかもしれません。特に、錆びやすさや硬さ、磁性などの物理的性質は、ブリキ製品を適切に扱う上で知っておきたい重要なポイントです。

本記事では、ブリキの材質や基本構造から、錆びるメカニズム、硬さや磁性などの物理的性質まで、詳しく解説します。ブリキについての疑問をすっきり解決できる内容となっていますので、ぜひ最後までお読みください。

ブリキの材質と基本構造

それではまず、ブリキの材質と基本構造について解説していきます。

ブリキは何でできているのか

ブリキは、鉄の板にスズ(錫)をめっきした複合材料

です。単一の金属ではなく、複数の金属を組み合わせた素材であることが重要なポイントです。

ブリキの基本構成は以下の通りです。

ブリキの構成・芯材:鉄(Fe)
・表面被覆:スズ(Sn)
・構造:鉄板の両面にスズめっきを施した3層構造

鉄は強度があり安価ですが、錆びやすいという欠点があります。一方、スズは錆びにくく無害ですが、柔らかく高価です。ブリキは、鉄の強度とスズの耐食性を組み合わせることで、両方の長所を活かした素材となっています。

ブリキという名称は、オランダ語の「blik」が語源で、江戸時代に日本に伝わりました。英語では「tin plate(ティンプレート)」と呼ばれ、スズ(tin)でめっきされた板(plate)という意味です。

スズめっきの役割と特徴

ブリキの表面を覆うスズめっきには、いくつかの重要な役割があります。

役割 詳細 効果
防錆保護 スズが鉄を覆い、空気や水から遮断 酸化を防ぎ、錆を抑制
無毒性 スズは人体に無害 食品容器として安全に使用可能
はんだ付け性 スズははんだの主成分 缶詰の密封加工が容易
美観 銀白色の光沢 見た目が美しく、印刷適性も良い

スズめっきの厚さは非常に薄く、通常0.0001〜0.001mm程度です。髪の毛の太さ(約0.05〜0.1mm)と比べても、その数十分の一から数百分の一という薄さです。

この薄いスズの層が、鉄を錆から守る重要なバリアとして機能しています。しかし、めっき層が薄いために、傷がついて鉄が露出すると、急速に錆が進行するという弱点もあります。

スズは融点が232℃と比較的低く、柔らかい金属です。そのため、ブリキ全体としては鉄の硬さを保ちながら、表面に柔軟性と加工性を与えています。

ブリキの製造工程

現代のブリキは、主に電気めっき法によって製造されます。

ブリキの製造工程1. 鉄板の準備
薄い鋼板(厚さ0.15〜0.5mm程度)をロール状に巻いたコイルを用意します。

2. 脱脂・洗浄
表面の油分や汚れを除去し、めっきの密着性を高めます。

3. 酸洗い
希硫酸などで表面の酸化膜を除去します。

4. 電気めっき
スズを溶かした電解液中に鉄板を通し、電気を流すことでスズを析出させます。両面に均一にめっきが施されます。

5. 溶融処理
めっき後に加熱し、スズと鉄を密着させ、表面を平滑にします。

6. 冷却・仕上げ
冷却後、表面処理や防錆油の塗布を行い、製品として出荷します。

電気めっき法では、電流の強さや時間を調整することで、めっきの厚さを正確にコントロールできます。用途に応じて、薄めっき(0.0001mm程度)から厚めっき(0.001mm以上)まで、様々な仕様のブリキが製造されています。

昔は溶融めっき法(溶かしたスズに鉄板を浸す方法)も使われていましたが、現在では電気めっき法がほぼ100%を占めています。

ブリキは錆びるのか

続いては、ブリキは錆びるのかについて確認していきます。

ブリキが錆びにくい理由

ブリキは、適切に扱えば錆びにくい素材です。その理由は、スズめっき層による保護機能にあります。

ブリキが錆びにくいメカニズムスズめっき層が鉄の表面を完全に覆うことで、鉄が空気中の酸素や水分と直接接触することを防ぎます。このバリア効果により、鉄の酸化(錆)が抑制されます。

スズ自体も酸化しますが、鉄に比べると非常に遅く、また酸化被膜(酸化スズ)は緻密で安定しているため、さらなる酸化の進行を抑える働きがあります。

ブリキが錆びにくい条件1. めっき層が完全な状態を保っている
傷や欠陥がなく、スズ層が鉄を完全に覆っている状態

2. 室内など穏やかな環境で使用
温度変化が少なく、湿度が適度に管理された環境

3. 酸性やアルカリ性の物質に触れない
中性に近い環境での使用

4. 定期的な手入れ
水分を拭き取るなど、適切な管理

缶詰の缶が長期間保存できるのは、このスズめっきの優れた防錆効果によるもの

です。適切に密封された缶詰は、数年から十数年もの間、中身を腐敗から守ることができます。

ただし、ブリキが「完全に錆びない」わけではありません。条件によっては錆びることがあるため、注意が必要です。

ブリキが錆びる条件とメカニズム

ブリキは錆びにくい素材ですが、特定の条件下では錆びることがあります。

ブリキが錆びる主な原因1. めっき層の損傷
傷がついてスズ層が破れ、鉄が露出する

2. めっき層の欠陥
製造時の不良や薄すぎるめっきにより、部分的に鉄が露出している

3. 電気化学的腐食
スズと鉄の電位差により、傷ついた部分で鉄が優先的に錆びる

4. 長期間の使用
経年劣化により、めっき層が摩耗または剥離する

特に注意が必要なのは、傷がついた場合の錆の進行です。

ブリキの傷と錆のメカニズムスズは鉄よりもイオン化傾向が小さい金属です。そのため、めっき層に傷がついて鉄が露出すると、電気化学的な反応により、鉄が優先的に錆びてしまいます。

この現象を「孔食(こうしょく)」と呼び、小さな傷から集中的に錆が進行するため、見た目以上に深刻な腐食が起こることがあります。

状態 錆びやすさ 理由
めっき層が完全 非常に低い スズが鉄を保護
小さな傷がある 高い 孔食が発生しやすい
広範囲に傷がある 非常に高い 露出した鉄が急速に酸化
めっきが剥離 極めて高い 鉄がむき出しの状態

また、酸性の強い食品(レモン汁、酢など)や、塩分の多い環境では、スズめっき層自体が腐食され、鉄が露出しやすくなります。

ブリキの錆を防ぐ方法

ブリキ製品を長持ちさせるには、適切な取り扱いと手入れが重要です。

ブリキの錆を防ぐ方法1. 傷をつけない
硬いブラシやスポンジの固い面でこすらない。柔らかい布やスポンジで優しく洗う。

2. 水分を残さない
洗った後は、すぐに水気を拭き取り、完全に乾燥させる。

3. 湿気の多い場所を避ける
風通しの良い場所で保管し、湿気がこもらないようにする。

4. 酸性・アルカリ性の物質を避ける
強い酸性やアルカリ性の洗剤は使用せず、中性洗剤を使う。

5. 定期的な点検
錆の初期段階で発見できるよう、定期的にチェックする。

6. 保護コーティング
必要に応じて、食品用のコーティング剤やワックスで保護する。

もし錆が発生してしまった場合は、早めに対処することが重要です。軽い錆であれば、重曹や酢を使って落とすことができます。ただし、深く進行した錆は除去が難しく、穴が開いてしまうこともあります。

缶詰などの食品用ブリキ容器は、一度開封したら早めに使い切る

ことが推奨されます。開封後は内側も外側も空気に触れるため、錆のリスクが高まります。

また、ブリキのおもちゃやアンティーク品を保存する場合は、湿度管理が特に重要です。湿度40〜60%程度の環境で保管すると、錆の発生を最小限に抑えられます。

ブリキは鉄より硬いのか

続いては、ブリキは鉄より硬いのかを確認していきます。

ブリキと鉄の硬さの比較

結論から言うと、ブリキは鉄より硬くありません。ブリキの硬さは、主に芯材である鉄の硬さで決まります。

硬さを測る指標にはいくつかの種類がありますが、ビッカース硬さ(HV)やブリネル硬さ(HB)などが一般的です。

各金属の硬さの比較(ビッカース硬さ HV)・軟鋼(一般的な鉄):約120〜150 HV
・ブリキ(鉄+スズめっき):約120〜150 HV
・スズ(純金属):約5〜10 HV
・ステンレス鋼:約150〜200 HV
・工具鋼:約500〜800 HV

ブリキの硬さは、芯材の鉄とほぼ同じです。これは、表面のスズめっき層が非常に薄く、全体の硬さに与える影響がほとんどないためです。

むしろ、スズは非常に柔らかい金属(鉛と同程度)なので、スズ層自体は簡単に傷がつきます。しかし、めっき層が薄いため、全体としての硬さは鉄に依存します。

スズめっきが硬さに与える影響

スズめっき層は、ブリキ全体の硬さにはほとんど影響しませんが、表面特性には一定の影響を与えます。

特性 鉄(めっきなし) ブリキ(スズめっき)
表面硬度 高い 表面のみ柔らかい
傷のつきやすさ つきにくい 表面は傷つきやすい
全体の強度 高い ほぼ同じ
曲げ加工性 やや硬い 表面の柔軟性でやや良好
ブリキの表面は、スズの柔らかさにより傷がつきやすい特性があります。そのため、硬いもので引っかいたり、強くこすったりすると、簡単にめっき層に傷がついてしまいます。この傷から錆が発生するため、取り扱いには注意が必要です。

一方で、スズ層の柔軟性は加工性を向上させる面もあります。缶詰の製造工程で複雑な形状にプレス加工する際、表面のスズ層が潤滑剤のような役割を果たし、金型との摩擦を減らして加工しやすくしています。

ブリキの強度と加工性

硬さと強度は異なる概念です。ブリキは硬さでは鉄とほぼ同等ですが、強度や加工性の面では独自の特性があります。

ブリキの機械的特性1. 引張強度
芯材の鉄に依存し、一般的に300〜500 MPa程度。缶詰用の薄いブリキでも十分な強度を持ちます。

2. 延性(伸び)
鉄板の性質により、ある程度の変形に耐えられます。深絞り加工(カップ状に成形)も可能です。

3. 曲げ加工性
スズめっきにより、表面の滑りが良く、曲げ加工時の割れが起きにくくなります。

4. プレス加工性
薄板の場合、複雑な形状への成形が容易で、大量生産に適しています。

ブリキが缶詰や菓子缶に広く使われるのは、硬さよりも加工性と防錆性のバランスが優れている

ためです。

例えば、缶詰の缶は厚さわずか0.2〜0.3mm程度の薄いブリキで作られていますが、内部の圧力や外部からの衝撃に耐える十分な強度を持っています。これは、円筒形という構造的に強い形状と、鉄の持つ強度の組み合わせによるものです。

また、ブリキは冷間加工(常温での加工)が可能で、加熱処理の必要がないため、製造コストを抑えられるという利点もあります。

ブリキに磁石はつくのか

続いては、ブリキに磁石はつくのかを確認していきます。

ブリキの磁性について

ブリキには磁石がつきます。

これは、ブリキの芯材が鉄(強磁性体)であるためです。

磁性とは、物質が磁石に引き寄せられたり、磁場の中で磁化されたりする性質のことです。物質の磁性は、主に以下の3種類に分類されます。

物質の磁性の分類1. 強磁性体
磁石に強く引き寄せられ、自身も磁石になることができる
例:鉄、ニッケル、コバルトなど

2. 常磁性体
磁石に弱く引き寄せられるが、自身は磁石にならない
例:アルミニウム、プラチナなど

3. 反磁性体
磁石にごくわずかに反発される
例:銅、金、銀、スズなど

ブリキの構成を見てみると、芯材の鉄は強磁性体、表面のスズは反磁性体です。しかし、スズめっき層は非常に薄いため、ブリキ全体としては鉄の磁性が支配的になります。

磁石がつく理由とメカニズム

ブリキに磁石がつくメカニズムは、鉄の持つ強磁性によるものです。

鉄が強磁性を示す理由鉄の原子は、不対電子によって小さな磁石のような性質(磁気モーメント)を持っています。通常はランダムな方向を向いていますが、外部磁場(磁石)が近づくと、これらの磁気モーメントが同じ方向に揃います。

この現象により、鉄全体が磁化され、磁石に強く引き寄せられます。また、外部磁場がなくなった後も、ある程度磁化が残る性質(残留磁気)があります。

実際にブリキに磁石を近づけると、しっかりと吸着します。缶詰の空き缶や菓子缶などのブリキ製品は、磁石で簡単に持ち上げることができます。

素材 磁石の吸着 理由
ブリキ ◎ 強く吸着 芯材が鉄(強磁性体)
アルミ缶 × 吸着しない アルミニウム(常磁性体)
ステンレス(一部) △ やや吸着 種類により磁性が異なる
トタン ◎ 強く吸着 芯材が鉄(強磁性体)

磁石がつくかどうかは、ブリキとアルミ缶を見分ける簡単な方法

でもあります。見た目が似ていても、磁石を近づければすぐに判別できます。

スズめっきと磁性の関係

スズめっき層は、ブリキの磁性にほとんど影響を与えません。

スズは反磁性体であり、磁場に対してごくわずかに反発する性質を持っています。しかし、その効果は非常に弱く、さらにめっき層が薄いため、鉄の強磁性を打ち消すことはできません。

めっき層の厚さと磁性への影響・スズめっき層:0.0001〜0.001mm(非常に薄い)
・鉄板:0.2〜0.5mm(めっき層の200〜5000倍の厚さ)

磁気は物質の内部まで浸透するため、薄いスズ層を通過して鉄に到達し、鉄を磁化します。そのため、ブリキ全体として強磁性を示します。

実験的に、厚さの異なるスズめっきを施したブリキで磁石の吸着力を比較しても、ほとんど差は見られません。これは、磁性が主に芯材の鉄によって決まることを示しています。

ブリキの磁性は、リサイクルにも活用されています。廃棄物処理施設では、磁力選別機を使ってブリキ缶(鉄系)とアルミ缶を自動的に分別しています。磁石に吸着するブリキは鉄として、吸着しないアルミは別のラインでリサイクルされます。

また、ブリキ製品に磁石を貼り付けて収納に活用することもできます。例えば、ブリキ缶をマグネット式の壁掛けホルダーに収納したり、冷蔵庫に貼り付けたりすることが可能です。

ブリキのその他の性質

続いては、ブリキのその他の性質を確認していきます。

ブリキの重さ(比重)

ブリキの重さは、主に芯材である鉄の密度で決まります。

ブリキの密度(比重)・ブリキ全体:約7.85 g/cm³
・鉄:7.87 g/cm³
・スズ:7.31 g/cm³

ブリキの密度は、ほぼ鉄と同じです。これは、スズめっき層が非常に薄く、全体の重量にほとんど影響しないためです。

比重とは、水の密度(1 g/cm³)を基準として、物質の密度を相対的に表した値です。ブリキの比重は約7.85で、水の約7.85倍の重さがあることを意味します。

材料 比重 相対的な重さ
アルミニウム 2.70 軽い
ブリキ(鉄) 7.85 重い
ステンレス 7.93 重い
8.96 非常に重い

ブリキはアルミニウムの約3倍の重さがあります。そのため、同じサイズの缶でも、ブリキ缶はアルミ缶より重く感じます。

例えば、350mlの飲料缶の場合、アルミ缶の重量は約15g程度ですが、同じサイズのブリキ缶は約40〜50g程度になります。この重量差が、アルミ缶が飲料缶の主流となった理由の一つです。

ただし、ブリキは薄くても強度があるため、厚さを薄くすることで軽量化が可能です。実際、食品缶用のブリキは年々薄肉化が進んでおり、資源の節約とコスト削減が図られています。

ブリキの熱伝導性と電気伝導性

ブリキは、鉄の特性により、熱や電気を伝える性質を持っています。

ブリキの熱伝導率・ブリキ(鉄):約80 W/(m·K)
・アルミニウム:約237 W/(m·K)
・銅:約398 W/(m·K)
・ステンレス:約16 W/(m·K)

ブリキ(鉄)の熱伝導率は、銅やアルミニウムに比べると低めですが、それでも熱をある程度伝えます。

ブリキは熱伝導性がそこそこあるため、調理器具としても使用可能

です。実際、昔はブリキ製のやかんや鍋なども使われていました。ただし、アルミや銅に比べると熱の伝わりが遅いため、現代では調理器具としてはあまり使われていません。

電気伝導性については、鉄は比較的良好な導体です。

ブリキの電気伝導率・ブリキ(鉄):約1.0×10⁷ S/m
・銅:約5.8×10⁷ S/m
・アルミニウム:約3.8×10⁷ S/m

ブリキは電気を通しますが、銅やアルミニウムほどではありません。

ブリキが電気を通す性質は、電気めっき製造工程で利用されています。鉄板を電解液に浸して電流を流すことで、スズを析出させることができるのは、鉄が電気を通すためです。

また、ブリキ缶に電気が通ることは、注意すべき点でもあります。濡れた手でブリキ製品に触れ、同時に電気機器に触れると、感電のリスクがあります。通常の使用では問題ありませんが、電気工作などで使用する際は絶縁に注意が必要です。

ブリキの耐食性と耐薬品性

ブリキの耐食性は、スズめっき層によって向上していますが、完璧ではありません。

ブリキの耐食性強い環境:
・常温、低湿度の室内環境
・中性に近いpHの環境
・直射日光を避けた場所

弱い環境:
・高湿度、結露が発生する場所
・海岸地域など塩分の多い環境
・酸性またはアルカリ性の環境
・めっき層に傷がある場合

ブリキは酸に対して比較的弱い

性質があります。強い酸性の液体(レモン汁、酢、炭酸飲料など)を長期間入れておくと、スズめっきが溶け出し、最終的には鉄が露出して錆びることがあります。

薬品・物質 耐性 注意点
水(中性) ◎ 良好 長期間でも問題なし
弱酸性食品 ○ やや良好 短期間なら問題なし
強酸性物質 △ やや弱い 長期接触は避ける
アルカリ性物質 △ やや弱い スズが腐食される
塩分(食塩水) ○ 比較的良好 傷がなければ問題なし

缶詰の内側には、多くの場合、さらに保護層(ラッカーコーティングなど)が施されています。これは、食品の酸や塩分からブリキを守り、同時に食品への金属イオンの溶出を防ぐためです。

アルカリ性の洗剤も、スズを腐食させる可能性があります。ブリキ製品を洗う際は、中性洗剤を使用し、洗った後はすぐに水分を拭き取ることが大切です。

まとめ|鉄より硬い?磁石は?材質など

本記事では、ブリキの材質や構造から、錆びやすさ、硬さ、磁性などの様々な性質について詳しく解説しました。

ブリキは鉄にスズをめっきした複合材料で、スズの防錆性と鉄の強度を組み合わせた素材です。適切に扱えば錆びにくいですが、めっき層に傷がつくと孔食により急速に錆びる特性があります。硬さは芯材の鉄とほぼ同等で、スズめっき層の影響はほとんどありません。また、芯材が鉄であるため、磁石はしっかりと吸着します。

ブリキの重さはアルミニウムの約3倍あり、熱伝導性や電気伝導性も鉄の特性を持っています。耐食性はスズめっきにより向上していますが、酸性やアルカリ性の環境では注意が必要です。

ブリキ製品を長く使うためには、傷をつけない、水分を残さない、適切な環境で保管するなどの配慮が重要です。これらの性質を理解することで、ブリキ製品をより適切に扱い、その特性を活かした使い方ができるようになります。