科学

屈折率とは?公式・波長・求め方!ガラスや空気やアクリル・レンズなどの一覧や単位も

当サイトでは記事内に広告を含みます
いつも記事を読んでいただきありがとうございます!!! これからもお役に立てる各情報を発信していきますので、今後ともよろしくお願いします(^^)/

物理や光学を学ぶ上で重要な概念の一つが屈折率です。レンズ、プリズム、光ファイバーなど、光に関する現象を理解するためには、屈折率の知識が欠かせません。

しかし、屈折率とは何を表しているのか、どんな公式で計算するのか、波長とどう関係するのか、わかりにくいと感じる方も多いのではないでしょうか。

実は、屈折率は物質中を光がどれだけ遅く進むかを表す物理量であり、材料の光学的性質を知る上で非常に重要な指標です。

ガラスやアクリルは屈折率が大きく、空気や真空は屈折率が小さいです。

この記事では、屈折率の基本的な定義から、単位や記号、公式、波長との関係、計算方法、そしてガラス、空気、アクリル、レンズ材料などの屈折率一覧まで、わかりやすく丁寧に解説していきます。

物理学や光学を学ぶ方はぜひ最後までお読みください。

屈折率とは?基本的な意味と定義

それではまず、屈折率の基本的な意味と定義について解説していきます。

屈折率の定義

屈折率(くっせつりつ、英語:refractive index)とは、真空中の光速に対する、物質中での光の速さの比を表す物理量です。

記号ではnで表されます。

屈折率は次の式で定義されます。

n = c/v

ここで、
・c:真空中の光速(約3.0 × 10⁸ m/s)
・v:物質中の光速

屈折率が大きい物質ほど、光の速度が遅くなります。

逆に屈折率が小さい物質は、光が速く進むということになります。

例えば、ガラスの屈折率は約1.5なので、ガラス中では光は真空中の1/1.5 = 2/3の速度で進みます。水の屈折率は約1.33なので、水中では光は真空中の約3/4の速度で進みます。

屈折率は、レンズの設計、光ファイバーの製造、光学機器の開発など、様々な光学技術に欠かせない物理量です。

光の屈折現象

屈折率が重要なのは、異なる物質の境界で光が曲がる「屈折」という現象に関係するためです。

屈折とは、光が異なる媒質の境界を通過するとき、進行方向が変わる現象です。

この現象はスネルの法則(屈折の法則)で説明されます。

n₁sinθ₁ = n₂sinθ₂

ここで、
・n₁:入射側の物質の屈折率
・θ₁:入射角
・n₂:屈折側の物質の屈折率
・θ₂:屈折角

この法則により、レンズが光を集めたり広げたりする仕組みが説明できます。

屈折率が大きい物質に光が入るとき、光は法線(境界面に垂直な線)に近づくように曲がります。

逆に、屈折率が小さい物質に光が入るとき、光は法線から遠ざかるように曲がります。

屈折率が表す物質の性質

屈折率は、物質の光学的な性質を表す重要な指標です。

屈折率が大きい物質

・光の速度が遅い

・光を大きく曲げる

・レンズとして強い屈折力を持つ

・例:ダイヤモンド、ガラス、水

屈折率が小さい物質

・光の速度が速い

・光をあまり曲げない

・真空に近い性質

・例:空気、ヘリウム、真空

屈折率は波長によって変わります。これを分散と呼びます。

一般的に、波長が短い(青い)光ほど屈折率が大きく、波長が長い(赤い)光ほど屈折率が小さくなります。

この性質により、プリズムが白色光を虹色に分けることができます。

屈折率と物質の性質
・屈折率が大きい:光が遅く進む(レンズに適する)
・屈折率が小さい:光が速く進む(真空に近い)
・屈折率は波長によって変化する(分散)

屈折率の単位と記号

続いては、屈折率を表す単位と記号について確認していきます。

屈折率の単位(無次元)

屈折率は、速度の比を表すため、単位のない無次元数です。

定義式n = c/vにおいて、cとvは同じ単位(m/s)なので、単位は相殺されます。

n = c/v = (m/s)/(m/s) = 無次元

屈折率は通常、1以上の値を取ります。

真空の屈折率がちょうど1で、他のすべての物質の屈折率は1より大きくなります(ただし、X線などの特殊な場合を除く)。

一般的な物質の屈折率の範囲:

・気体:1.0〜1.001程度

・液体:1.3〜1.7程度

・固体:1.4〜2.5程度(一般的な材料)

・ダイヤモンド:2.4程度(特に高い)

真空・空気の屈折率

真空と空気の屈折率は、光学計算の基準となります。

真空

・屈折率n = 1(定義)

・光が最も速く進む

・すべての屈折率の基準

真空中の光速:c = 2.998 × 10⁸ m/s ≈ 3.0 × 10⁸ m/s

空気(標準状態)

・屈折率n ≈ 1.000293

・実用上はn = 1とする

・真空とほぼ同じ

空気の屈折率は1に非常に近いため、日常的な光学計算では空気中も真空として扱うことが多いです。

ただし、精密な測定や天体観測などでは、空気の屈折率を考慮する必要があります。

絶対屈折率と相対屈折率

屈折率には、絶対屈折率と相対屈折率という2つの概念があります。

絶対屈折率

真空を基準とした屈折率

通常「屈折率」と言えばこれを指す

記号:n

n = c/v(真空中の光速/物質中の光速)

相対屈折率

ある物質から別の物質への光の進み方を表す

2つの物質間の屈折率の比

記号:n₂₁

n₂₁ = n₂/n₁(物質2の屈折率/物質1の屈折率)
例:水(n = 1.33)からガラス(n = 1.5)への相対屈折率は?

n₂₁ = 1.5/1.33 ≈ 1.13

水に対してガラスの相対屈折率は約1.13です。

記号 名称 単位
n 屈折率(絶対屈折率) 無次元
c 真空中の光速 3.0 × 10⁸ m/s
v 物質中の光速 m/s

これらの関係を理解することが、光学の基礎となります。

屈折率の求め方と公式

続いては、屈折率を実際に求める方法を見ていきます。

基本的な計算式

屈折率nの基本的な求め方は、定義式を使います。

n = c/v

真空中の光速cと物質中の光速vがわかれば、屈折率を計算できます。

計算例1:ある物質中で光の速度が2.0 × 10⁸ m/sだったとき、この物質の屈折率は?

n = c/v = (3.0 × 10⁸)/(2.0 × 10⁸)

= 1.5

この物質の屈折率は1.5です。

逆に、屈折率から物質中の光速を求めることもできます。

v = c/n
計算例2:屈折率n = 1.33の水中での光の速度は?

v = c/n = (3.0 × 10⁸)/1.33

≈ 2.26 × 10⁸ m/s

水中での光速は約2.26 × 10⁸ m/sです。

スネルの法則を使った計算

スネルの法則を使って、屈折角や屈折率を求めることができます。

n₁sinθ₁ = n₂sinθ₂
計算例3:空気(n = 1)からガラス(n = 1.5)に入射角30°で光が入るとき、屈折角は?

n₁sinθ₁ = n₂sinθ₂

1 × sin30° = 1.5 × sinθ₂

0.5 = 1.5 × sinθ₂

sinθ₂ = 0.5/1.5 = 1/3 ≈ 0.333

θ₂ = arcsin(0.333) ≈ 19.5°

屈折角は約19.5度です。光は法線に近づくように曲がります。

計算例4:水(n = 1.33)中から入射角45°で光がガラス(n = 1.5)に入るとき、屈折角は?

n₁sinθ₁ = n₂sinθ₂

1.33 × sin45° = 1.5 × sinθ₂

1.33 × 0.707 = 1.5 × sinθ₂

0.940 = 1.5 × sinθ₂

sinθ₂ = 0.940/1.5 ≈ 0.627

θ₂ = arcsin(0.627) ≈ 38.8°

屈折角は約38.8度です。

波長と屈折率の関係

屈折率は波長によって変化します。この関係を分散と呼びます。

一般的に、コーシーの式という近似式が使われます。

n(λ) = A + B/λ² + C/λ⁴

ここで、λは波長、A、B、Cは物質固有の定数

簡略化した形では、

n(λ) = A + B/λ²

この式から、波長が短いほど屈折率が大きくなることがわかります。

例:ガラスの屈折率
・赤色光(λ = 656 nm):n ≈ 1.512
・黄色光(λ = 589 nm):n ≈ 1.517
・青色光(λ = 486 nm):n ≈ 1.524

波長が短い青色光ほど屈折率が大きい。

この性質により、プリズムが白色光を虹色のスペクトルに分解できます。

計算のポイント
・n = c/v(定義式)
・n₁sinθ₁ = n₂sinθ₂(スネルの法則)
・v = c/n(物質中の光速)
・c = 3.0 × 10⁸ m/s(覚えておく)
・波長が短いほど屈折率が大きい

これらの式を使いこなせれば、様々な光学の問題を解けます

様々な物質の屈折率一覧

続いては、代表的な物質の屈折率を確認していきます。

気体の屈折率

気体の屈折率は、真空とほぼ同じで非常に小さいです。

真空

・屈折率n = 1.000000(定義)

空気(標準状態、589 nm)

・屈折率n ≈ 1.000293

・実用上はn = 1とする

二酸化炭素

・屈折率n ≈ 1.00045

ヘリウム

・屈折率n ≈ 1.000036

水素

・屈折率n ≈ 1.000132

気体の屈折率は1に非常に近く、実用上は真空と同じとして扱われます

液体の屈折率

液体の屈折率は、物質によって異なります。

水(20℃、589 nm)

・屈折率n ≈ 1.333

・最も一般的な液体

エタノール

・屈折率n ≈ 1.361

グリセリン

・屈折率n ≈ 1.473

ベンゼン

・屈折率n ≈ 1.501

二硫化炭素

・屈折率n ≈ 1.628

油類

・オリーブ油:n ≈ 1.46

・ひまし油:n ≈ 1.48

・シリコーン油:n ≈ 1.40〜1.41

固体の屈折率(ガラス・アクリル・レンズ材料など)

固体の屈折率は、材料によって幅広い範囲にわたります。

ガラス類

・石英ガラス(溶融石英):n ≈ 1.458

・ソーダガラス(普通ガラス):n ≈ 1.52

・クラウンガラス(BK7):n ≈ 1.517

・フリントガラス:n ≈ 1.6〜1.9

・重フリントガラス:n ≈ 1.7〜1.9

プラスチック類

・アクリル(PMMA):n ≈ 1.49

・ポリカーボネート(PC):n ≈ 1.586

・ポリスチレン(PS):n ≈ 1.59

・ポリエチレン(PE):n ≈ 1.51

・ポリプロピレン(PP):n ≈ 1.49

・CR-39(眼鏡レンズ材料):n ≈ 1.498

レンズ材料

・通常プラスチックレンズ:n ≈ 1.50

・中屈折率レンズ:n ≈ 1.60

・高屈折率レンズ:n ≈ 1.67

・超高屈折率レンズ:n ≈ 1.74

・屈折率が高いほどレンズを薄くできる

結晶・鉱物

・氷:n ≈ 1.31

・岩塩(NaCl):n ≈ 1.544

・石英(水晶):n ≈ 1.544

・サファイア:n ≈ 1.77

・ダイヤモンド:n ≈ 2.417

・ルチル(酸化チタン):n ≈ 2.6〜2.9

その他の材料

・紙:n ≈ 1.5

・セルロース:n ≈ 1.47

・砂糖:n ≈ 1.56

・塩:n ≈ 1.54

物質 屈折率n 用途
真空 1.000 基準
空気 ≈ 1.000 一般環境
1.333 一般液体
アクリル 1.49 プラスチックレンズ
ソーダガラス 1.52 窓ガラス
クラウンガラス 1.517 光学レンズ
ポリカーボネート 1.586 耐衝撃レンズ
フリントガラス 1.6〜1.9 高屈折率レンズ
サファイア 1.77 光学窓材
ダイヤモンド 2.417 宝石・工具

空気と真空の屈折率がほぼ等しいため、空気中での計算は真空として扱えることが多いです。

レンズの設計では、屈折率の高い材料を使うことで、より薄く軽いレンズを作ることができます

まとめ 屈折率のガラスや空気やアクリル・レンズなどの一覧は?単位も

屈折率について、基本的な定義から単位、公式、計算方法、様々な物質の屈折率まで詳しく解説してきました。

屈折率nは、真空中の光速に対する物質中での光の速さの比を表す物理量で、n = c/vという式で定義されます。

屈折率は無次元数(単位なし)です。

真空の屈折率n = 1は基準となる重要な値です。

空気の屈折率もほぼ1なので、実用上は空気中も真空として扱うことが多いです。

屈折率の求め方は、n = c/vという定義式から計算するか、スネルの法則n₁sinθ₁ = n₂sinθ₂を使います。

屈折率は波長によって変化し、一般的に波長が短いほど屈折率が大きくなります。

物質の屈折率は、空気(n ≈ 1)、水(n ≈ 1.33)、ガラス(n ≈ 1.5〜1.9)、アクリル(n ≈ 1.49)、ポリカーボネート(n ≈ 1.59)、ダイヤモンド(n ≈ 2.42)など、物質によって大きく異なります。

レンズ、プリズム、光ファイバー、眼鏡など、多くの光学機器の設計には屈折率の知識が不可欠です。

この記事で学んだ知識を使って、光学の理解を深めてください