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【パソコン】データ消去(完全削除:初期化:ソフト:無料)のやり方

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パソコンを使っていると、データを完全に消去したい場面が訪れることがあります。

古いパソコンを売却したり譲渡したりする際、会社のパソコンを廃棄する際、個人情報が詰まったストレージを処分する際など、単にファイルを削除するだけでは不十分で、データが復元されるリスクがあります

通常の削除操作やゴミ箱から削除しただけでは、実はデータ本体は残っています。Windowsの削除機能は、ファイルの「目次」を消しているだけで、実際のデータは復元ソフトを使えば簡単に取り戻せてしまいます。

クレジットカード情報、銀行口座の明細、取引先とのメール、家族の写真など、悪用されれば重大な被害につながるデータばかりです。企業の機密情報が流出すれば、損害賠償や信用失墜といった深刻な事態を招きます。

Windowsには標準でデータ消去機能が搭載されており、無料のソフトウェアも数多く存在します。

物理的にストレージを破壊する方法もあれば、専用ソフトで何度も上書きしてデータを復元不可能にする方法もあります。それぞれの方法には特徴があり、状況や処分方法によって最適な手段が異なります。

本記事では、Windowsの初期化機能を使った基本的な消去方法から、専用ソフトを使った完全削除、物理破壊まで、様々なデータ消去の方法を詳しく解説します。

大切な情報を守るために、適切な消去方法を選択していきましょう。

ポイントは

・通常の削除やゴミ箱からの削除では復元ソフトでデータが取り出せる

・Windowsの初期化機能で「ドライブのクリーニング」を選べば安全性が高まる

・専用ソフトで複数回上書きすれば復元はほぼ不可能になる

・SSDとHDDでは消去方法が異なり特性に応じた対応が必要

・物理破壊が最も確実だが専門業者への依頼も選択肢

です。

それでは詳しく見ていきましょう。

通常の削除とデータが残る仕組み

それではまず、なぜ通常の削除ではデータが残ってしまうのか、その仕組みを確認していきます。

ファイル削除で実際に起きていること

Windowsでファイルを削除しても、実際にはファイルの内容自体は消えておらず、ファイルシステムの管理情報だけが削除されています

これは本でいえば、目次のページだけを破り取った状態で、本文のページはそのまま残っているようなものです。

ファイルシステムには、どのファイルがどこに保存されているかを記録した「管理テーブル」があります。

ファイルを削除すると、この管理テーブルから該当する項目が削除され、そのデータが保存されていた領域が「使用可能」とマークされます。しかし、データそのものは物理的なストレージ上に残り続け、新しいデータで上書きされるまで存在し続けます。

通常削除とデータ復元の関係

通常削除後

管理情報:削除済み
データ本体:残存

→ 復元可能

上書き後

管理情報:新ファイル
データ本体:上書き済み

→ 復元困難

復元ソフトは、この「管理テーブルから削除されたが実際のデータは残っている」状態のファイルを探し出して復活させます。

RecuvaやEaseUS Data Recovery Wizardのような無料ソフトでも、削除直後なら高い確率でファイルを復元できます。削除してから時間が経過し、その領域に新しいデータが書き込まれていない限り、データは残り続けるのです。

ゴミ箱から削除した場合も同様です。ゴミ箱に入れた時点では、ファイルは単に特別なフォルダに移動しただけで、何も消去されていません。

ゴミ箱を空にしても、前述の通り管理情報が削除されるだけで、データ本体は残ります。つまり、ゴミ箱から削除したファイルも復元可能な状態にあるということです。

復元ソフトでどこまで回復できるのか

市販やフリーの復元ソフトは、削除されたファイルの痕跡をストレージから探し出し、元の形に復元する機能を持っています

その精度は予想以上に高く、削除後すぐであれば、ほぼ完全な状態でファイルが戻ってきます。

復元ソフトの動作原理は、ストレージ全体をスキャンして「管理テーブルから削除されているが、データの断片が残っている領域」を探すことです。

ファイルの先頭部分には、そのファイルの種類を示す「シグネチャ」という特徴的なバイト列があります。例えばJPEG画像なら「FFD8」、PDF文書なら「25504446」といった固有のパターンです。復元ソフトはこれらのシグネチャを手がかりにファイルを特定します。

削除からの経過時間 ストレージの使用状況 復元成功率 復元される状態
削除直後 ほとんど使用していない 90%以上 ほぼ完全に復元
数日後 軽度の使用 50~80% 一部破損の可能性
数週間後 通常使用 20~50% 断片的に復元
数ヶ月後 頻繁に使用 10%以下 復元困難

特に注意が必要なのは、削除後にパソコンをほとんど使用していない場合です。

例えば、パソコンを売却する直前に個人データを削除しただけでは、購入者が復元ソフトを使えば、削除したはずのファイルがほぼすべて復活してしまう可能性があります。メールの内容、閲覧したウェブサイトの履歴、保存していたパスワード、クレジットカード情報など、すべてが丸見えになるリスクがあります。

USBメモリや外付けHDDでも同様の問題があります。「フォーマット」を実行しても、通常のクイックフォーマットでは管理情報を初期化するだけで、データ本体は残ります。

完全フォーマットを選択すれば、全領域にゼロが書き込まれるため安全性は高まりますが、それでも専門的な復元技術を使えば、部分的にデータを取り出せる可能性はゼロではありません。

データ復元ソフトは、本来は誤って削除してしまったファイルを救出するための便利なツールです。

しかし、その強力な機能は、意図せず情報漏洩の原因にもなり得ます。

特に企業で使用していたパソコンには、顧客情報、財務データ、契約書、社内メールなど、外部に漏れてはならない情報が大量に保存されています。

これらを適切に消去せずに処分すると、情報漏洩として法的責任を問われる可能性もあります。

個人でも、オンラインバンキングのログイン情報、マイナンバー関連の書類、家族の写真など、悪用されれば深刻な被害につながるデータがあります。

パソコンを手放す際は、必ず適切なデータ消去を行うことが重要です。

Windowsの初期化機能を使った消去方法

続いては、Windows標準の機能を使ってデータを消去する方法を確認していきます。

Windows 11/10の「このPCを初期状態に戻す」機能

Windows 11および10には、「このPCを初期状態に戻す」という機能があり、パソコンを工場出荷時の状態に戻せます

この機能を使えば、インストールしたソフトウェアや個人ファイルがすべて削除され、Windowsが再インストールされます。

初期化機能にアクセスするには、「設定」→「システム」→「回復」を開き、「このPCをリセットする」をクリックします。

Windows 11では「システム」→「回復」→「このPCをリセット」という項目になっています。リセットボタンをクリックすると、「個人用ファイルを保持する」か「すべて削除する」かを選択する画面が表示されます。パソコンを手放す場合は必ず「すべて削除する」を選択します。

Windows初期化の基本手順

1️⃣

設定→システム
→回復を開く

2️⃣

「このPCをリセット」
→「すべて削除する」

3️⃣

「ドライブの
クリーニング」を選択

次に重要な選択が表示されます。「ファイルの削除のみを行う」か「ドライブのクリーニングも実行する」かの選択です。

「ファイルの削除のみ」を選ぶと、前述の通り管理情報が削除されるだけで、データの復元が可能な状態で残ります。パソコンを手放す場合は必ず「ドライブのクリーニングも実行する」を選択してください。

ドライブのクリーニングを選択すると、削除されるファイルの領域にランダムなデータが上書きされます。

この上書き処理により、元のデータを復元することが極めて困難になります。ただし、上書き回数は1回のみであり、高度な技術を持つ専門業者なら、わずかな痕跡から部分的にデータを復元できる可能性はゼロではありません。

初期化オプション 処理内容 所要時間 セキュリティレベル
ファイルの削除のみ 管理情報を削除 30分~1時間 低(復元可能)
ドライブのクリーニング 1回上書き 数時間~半日 中~高(個人使用なら十分)
専用ソフトでの多重上書き 3~7回上書き 半日~1日以上 非常に高(軍事レベル)

初期化にかかる時間は、ストレージの容量と選択したオプションによって大きく異なります。

「ファイルの削除のみ」なら30分から1時間程度で完了しますが、「ドライブのクリーニング」を選ぶと、500GBのHDDで3~5時間、1TBなら6~10時間かかることもあります。SSDの場合はHDDより高速ですが、それでも数時間は見ておく必要があります。

BitLockerで暗号化してから初期化する方法

さらに安全性を高めたい場合は、初期化の前にBitLockerでドライブ全体を暗号化しておく方法があります。

暗号化されたデータは、暗号化キーがなければ解読できないため、仮に物理的なデータが残っていても内容を読み取ることはできません。

BitLockerはWindows 11 ProおよびWindows 10 Proに標準搭載されている暗号化機能です。

Home エディションには搭載されていませんが、Device Encryptionという簡易版が一部のデバイスで利用できます。BitLockerを有効にするには、「コントロールパネル」→「システムとセキュリティ」→「BitLockerドライブ暗号化」を開き、システムドライブの「BitLockerを有効にする」をクリックします。

暗号化には時間がかかりますが、完了後に初期化を実行すれば、暗号化されたデータが消去されることになります。

暗号化キーも削除されるため、データの解読は事実上不可能になります。この方法は、機密情報を扱う企業や、特に高いセキュリティが求められる場合に有効です。

BitLocker暗号化の効果

暗号化なし

データ削除後も
復元ソフトで
読み取り可能

→ リスクあり

暗号化あり

復元できても
暗号化されており
解読不可能

→ 安全

ただし、BitLockerには注意点もあります。暗号化を有効にすると、パソコンの起動時に毎回パスワードまたはPINの入力が必要になります。

また、回復キーを紛失すると、万が一の際にデータを復旧できなくなります。暗号化を有効にする際には、必ず回復キーをUSBメモリや紙にバックアップし、安全な場所に保管してください。

Windows標準の初期化機能は、手軽に使えて追加ソフトが不要というメリットがあります。

個人がパソコンを売却したり譲渡したりする際には、「ドライブのクリーニング」を選択すれば、実用上十分な安全性が得られます。

ただし、企業で使用していたパソコンや、機密情報を扱っていたパソコンの場合は、より確実な消去方法を検討する必要があります。

初期化を実行する前には、必要なデータがすべてバックアップされているか、複数回確認してください。

初期化を開始すると元に戻せないため、大切なファイルが残っていないか、外付けHDDやクラウドストレージにバックアップが完了しているか、慎重に確認しましょう。

専用ソフトを使った完全削除の方法

続いては、より確実にデータを消去できる専用ソフトウェアを使った方法を確認していきます。

無料で使えるデータ消去ソフト

データを完全に消去するための専用ソフトは、無料で提供されているものも多く、Windows標準機能より強力な消去が可能です。

これらのソフトは、米国国防総省の規格やNATOの規格に準拠した多重上書き方式を採用しており、データの復元をほぼ不可能にします。

代表的な無料ソフトとして、DBAN(Darik’s Boot and Nuke)、Eraser、CCleaner、DiskWiperなどがあります。

DBANはCD-ROMやUSBメモリから起動するタイプで、Windowsが起動しなくなったパソコンでも使用できます。起動メディアを作成し、そこからパソコンを起動すると、ストレージ全体を完全に消去できます。軍事レベルの消去方式に対応しており、データの痕跡を徹底的に消し去ります。

ソフト名 タイプ 主な特徴 おすすめの用途
DBAN 起動メディア型 OS不要、ドライブ全体消去 起動しないPC、完全廃棄前
Eraser Windows用 ファイル単位で消去可能 特定ファイルのみ消去したい
CCleaner Windows用 空き領域の上書き、レジストリ削除 日常的なプライバシー保護
DiskWiper Windows用 シンプルな操作、軽量 初心者向け、手軽に使いたい

Eraserは、Windows上で動作するソフトで、特定のファイルやフォルダだけを完全削除できます。

エクスプローラーでファイルを右クリックし、「Erase」を選択するだけで、そのファイルを多重上書きして完全に削除できます。消去方式は、1回上書きから35回上書きまで、複数の規格から選択できます。ドライブ全体ではなく、特定の機密ファイルだけを確実に消去したい場合に便利です。

CCleanerは、パソコンの最適化ツールとして広く使われているソフトですが、データ消去機能も備えています。

「ツール」→「ドライブワイパー」から、空き領域の上書き、ドライブ全体の消去などが実行できます。ブラウザの閲覧履歴や一時ファイルの完全削除も可能で、日常的なプライバシー保護にも役立ちます。

消去方式と上書き回数の選び方

データ消去ソフトには、様々な消去方式があり、上書き回数によってセキュリティレベルと所要時間が変わります

一般的に、上書き回数が多いほど確実ですが、その分時間がかかります。用途に応じて適切な方式を選択することが重要です。

最もシンプルな方式は、全領域にゼロまたはランダムデータを1回書き込む方法です。

これでも一般的な復元ソフトではデータを取り戻せなくなり、個人使用のパソコンを売却する程度なら十分な安全性があります。所要時間も比較的短く、500GBのHDDで2~3時間程度です。

DoD 5220.22-M方式は、米国国防総省が定めた規格で、3回の上書きを行います。1回目は固定パターン、2回目はその補数、3回目はランダムデータを書き込みます。

この方式なら、高度な技術を持つ業者でもデータ復元は極めて困難になります。企業のパソコンや、重要な個人情報を扱っていたパソコンには、この方式が推奨されます。所要時間は1回上書きの約3倍です。

主な消去方式の比較

消去方式 上書き回数 セキュリティ 所要時間(500GB)
ゼロ書き込み 1回 2~3時間
ランダム書き込み 1回 2~3時間
DoD 5220.22-M 3回 6~9時間
Gutmann方式 35回 最高 70~100時間

Gutmann方式は、35回もの上書きを行う最も厳格な方式です。古いHDD技術で可能だった磁気的痕跡の解析を完全に防ぐために開発されました。

ただし、現代のHDDでは3回程度の上書きで十分であり、35回は過剰とも言われています。所要時間も非常に長く、実用性は低いため、極秘情報を扱う政府機関などを除き、一般的には推奨されません。

個人使用なら1~3回の上書き、企業使用なら3~7回の上書きが現実的な選択です。

SSDの場合は、HDDとは異なる技術的特性があるため、後述する専用の消去方法を使用する必要があります。従来のHDD向け消去ソフトでは、SSDの全領域を確実に上書きできない可能性があります。

SSD特有の消去方法とTRIMコマンド

SSDは、HDDとは異なる仕組みで動作するため、従来の上書き消去が有効に機能しない場合があります

SSDには「ウェアレベリング」という寿命を延ばす機能があり、同じ場所に繰り返し書き込むのを避けるため、物理的な保存場所が自動的に変更されます。

ウェアレベリングにより、上書き消去を実行しても、実際には別の領域に新しいデータが書き込まれ、元のデータが物理的に残ってしまう可能性があります。

また、SSDには予備領域があり、通常のソフトウェアからはアクセスできない領域に、削除されたデータの断片が残ることもあります。

SSDを確実に消去するには、「Secure Erase」というATA規格のコマンドを使用します。

Secure Eraseは、SSDのファームウェアレベルで全セルを初期化するコマンドで、ウェアレベリングや予備領域も含めて完全に消去できます。SSDメーカーが提供する専用ツール(Samsung Magician、Crucial Storage Executiveなど)や、Parted MagicというLinuxベースのツールで実行できます。

ストレージ種類 推奨消去方法 理由
HDD 多重上書き消去 磁気記録なので上書きが有効
SSD Secure Erase ウェアレベリング対策、全セル初期化
USBメモリ Secure EraseまたはTRIM対応ツール SSDと同じフラッシュメモリ技術
SDカード 専用フォーマッター使用 適切な消去方式でカード寿命も考慮

もう一つのSSD向け機能として、TRIMコマンドがあります。TRIMは、削除されたデータの物理的な場所をSSDに通知し、その領域を実際に消去する機能です。

WindowsではTRIMが自動的に有効になっており、ファイルを削除すると定期的にTRIMが実行されます。ただし、TRIMだけではすぐに完全消去されるわけではないため、処分前にはSecure Eraseを実行することをおすすめします。

SSDの普及により、データ消去の考え方も変化しています。

従来のHDD向け多重上書き方式は、SSDでは効果が限定的であり、場合によってはSSDの寿命を縮める原因にもなります。

SSDを処分する際は、必ずSecure Eraseを使用するか、メーカー提供のツールで完全消去を実行してください。

また、暗号化機能を有効にしてからSecure Eraseを実行すれば、さらに安全性が高まります。

仮に物理的なデータの痕跡が残っていても、暗号化されているため解読できません。

BitLockerやSSD内蔵の暗号化機能を活用することで、廃棄時の情報漏洩リスクを最小限に抑えられます。

物理破壊とその他の確実な消去方法

続いては、ソフトウェアによる消去以外の、物理的にストレージを破壊する方法を確認していきます。

HDDの物理破壊方法

最も確実なデータ消去方法は、ストレージを物理的に破壊してしまうことです。

ソフトウェアによる消去には常に「本当に完全に消えたのか」という不安が残りますが、物理破壊ならデータの読み取り自体が不可能になります。

HDDの物理破壊で最も効果的なのは、プラッター(データが記録されている円盤)を破壊することです。

HDDのケースを開けてプラッターを取り出し、ハンマーで叩き割る、電動ドリルで穴を開ける、強力な磁石で消磁するなどの方法があります。プラッターは非常に硬いガラスまたはアルミ製で、強い力で叩けば粉々に割れます。

ただし、HDDを分解する際には注意が必要です。内部は密閉されており、埃が入らないように設計されています。

分解すると微細な金属片やガラス片が飛び散る可能性があるため、保護メガネと手袋を着用し、新聞紙などを敷いた上で作業しましょう。また、プラッターには鋭利な破片が生じるため、怪我をしないよう慎重に扱ってください。

物理破壊の主な方法

🔨

プラッターを
ハンマーで破壊

🔩

ドリルで
複数の穴を開ける

🧲

強力磁石で
消磁する

専用の破壊工具も販売されています。HDD破壊機は、プラッターに大きな穴を開けたり、強力な圧力で変形させたりする装置です。

企業向けには数万円から数十万円の製品があり、一度に複数のHDDを処理できるものもあります。個人で購入するには高価ですが、自治体や廃棄物処理業者が所有している場合もあります。

消磁装置は、強力な磁場でHDD内のデータを消去する機器です。磁気記録を完全に乱すことで、データを読み取れなくします。

ただし、消磁後のHDDは二度と使用できなくなるため、完全廃棄を前提とした方法です。また、SSDには磁気記録ではないため、消磁は効果がありません。

SSDの物理破壊とチップの破砕

SSDの物理破壊は、HDDよりも徹底的に行う必要があります

SSDにはプラッターのような可動部品がなく、データはフラッシュメモリチップに記録されています。基板上の複数のチップを確実に破壊しなければ、データが復元される可能性があります。

SSDを破壊する場合は、ケースを開けて基板を取り出し、フラッシュメモリチップ(黒い四角いチップ)を物理的に破壊します。

ハンマーで叩き割る、ペンチで砕く、電動ドリルで穴を開けるなどの方法があります。複数のチップがあるため、すべてのチップを確実に破壊することが重要です。1つでも無傷のチップが残っていれば、そこからデータの一部が復元される可能性があります。

より確実な方法として、専門業者に依頼する選択肢もあります。データ消去サービスを提供する業者は、専用の機器でストレージを完全に破壊し、破壊証明書を発行してくれます。

料金は1台あたり数千円から1万円程度で、企業で大量のパソコンを廃棄する場合や、特に重要なデータを扱っていた場合には検討する価値があります。

破壊方法 メリット デメリット おすすめの状況
自分で物理破壊 無料、確実、すぐできる 危険、作業が大変、ゴミ処理が面倒 1~2台の個人処分
専門業者に依頼 安全、証明書発行、適切に廃棄 費用がかかる、業者選びが必要 企業での廃棄、大量処分
メーカー回収サービス 無料の場合あり、環境配慮 消去方法が不明確な場合あり メーカーを信頼できる場合

穴あけパンチ式の簡易破壊ツール

最近では、家庭でも使える小型のHDD破壊工具が販売されています

穴あけパンチのような形状で、レバーを押し下げるとHDDやSSDに貫通穴を開ける仕組みです。価格は数千円から1万円程度で、力の弱い方でも比較的簡単に使用できます。

これらの工具は、プラッターやフラッシュメモリチップを貫通するように設計されており、データの読み取りを不可能にします。

ただし、製品によって破壊力が異なるため、購入前にレビューや仕様を確認することをおすすめします。特にSSDの場合、複数箇所に穴を開けないと、一部のチップが無傷で残る可能性があります。

物理破壊は最も確実なデータ消去方法ですが、ストレージを再利用できなくなります。

パソコンを売却する場合には使えず、完全廃棄を前提とした方法です。

また、破壊したストレージは通常のゴミとして出せない自治体もあります。

小型家電リサイクル法に基づき、適切に処理する必要があるため、自治体の回収ボックスや家電量販店の回収サービスを利用しましょう。

企業の場合は、産業廃棄物として適切に処理する義務があります。

破壊したストレージを放置したり、不適切に廃棄したりすると、環境汚染や法令違反につながる可能性があるため注意が必要です。

信頼できる産業廃棄物処理業者に委託し、マニフェスト(産業廃棄物管理票)で適切に管理しましょう。

まとめ パソコンでデータ消去(完全削除:初期化:ソフト:無料)するやり方

パソコンのデータ消去方法をまとめると

・通常の削除では不十分:ファイル削除やゴミ箱からの削除は管理情報を消すだけで、データ本体は復元ソフトで取り出せる状態で残る、売却や譲渡の前には必ず適切な消去が必要

・Windows標準機能での消去:「このPCをリセット」で「すべて削除」を選び「ドライブのクリーニング」を実行すれば個人使用には十分、BitLockerで暗号化してから初期化すればさらに安全

・専用ソフトでの完全削除:DBAN、Eraser、CCleanerなどの無料ソフトで多重上書き消去が可能、DoD 5220.22-M方式(3回上書き)なら企業使用にも対応、SSDにはSecure Eraseコマンドが必須でウェアレベリングに対応

・物理破壊が最も確実:HDDはプラッターを破壊、SSDは全フラッシュメモリチップを破砕、専門業者への依頼も選択肢として有効

これらの方法にはそれぞれ特徴があり、処分方法や情報の重要度に応じた選択が重要です。

個人のパソコンを売却するならWindows標準の消去機能、企業や機密情報なら専用ソフトでの多重上書き、完全廃棄なら物理破壊が適しています。

ただし、どの方法を選ぶにしても注意が必要です。

消去作業を始める前に必ず重要なデータをバックアップし、消去後は元に戻せないことを理解した上で実行することで、後悔のないデータ処分が実現できます。

適切なデータ消去方法を選んで、個人情報や機密情報を確実に保護していきましょう!