科学

虚数解とは?グラフや判別式・持つ条件や求め方・公式を解説!【ω・特性方程式・二次関数・三次関数】

当サイトでは記事内に広告を含みます
いつも記事を読んでいただきありがとうございます!!! これからもお役に立てる各情報を発信していきますので、今後ともよろしくお願いします(^^)/

二次方程式を解く際に、判別式が負になって困った経験はありませんか?実は、判別式が負のときに現れるのが「虚数解」です。虚数解は実数の世界では表現できない特殊な解ですが、数学的には非常に重要な意味を持っています。

本記事では、虚数解とは何か、判別式との関係、グラフ上での特徴、求め方や公式について詳しく解説していきます。

さらに、二次関数だけでなく三次関数における虚数解、1の三乗根ω(オメガ)、特性方程式での応用まで、幅広く確認していきましょう。虚数解を理解することで、方程式の世界がより深く見えてくるはずです。

虚数解とは?基本概念と判別式の関係

それではまず、虚数解の基本的な概念について解説していきます。

虚数解の定義と実数解との違い

虚数解とは、虚数単位iを含む複素数で表される方程式の解のことです。

通常の実数解とは異なり、虚数解は数直線上に位置を持ちません。実数解が「数直線上の点」として視覚化できるのに対し、虚数解は複素数平面上の点として表現されます。

解の分類

実数解:a(aは実数)の形

例:x = 3、x = -2、x = 0

虚数解:a + bi(bは0でない実数)の形

例:x = 2 + 3i、x = -1 – 2i、x = 5i

実数解と虚数解の最も大きな違いは、グラフとの関係にあります。

二次方程式 ax² + bx + c = 0 を考えたとき、実数解はグラフ y = ax² + bx + c がx軸と交わる点のx座標を表します。一方、虚数解が現れる場合、グラフはx軸と一切交わりません。

つまり、虚数解は「グラフ上には現れない解」なのです。

具体例で比較

方程式1:x² – 5x + 6 = 0

解:x = 2、3(実数解)

グラフはx軸と2点で交わる

方程式2:x² + 2x + 5 = 0

解:x = -1 ± 2i(虚数解)

グラフはx軸と交わらない

虚数解は一見すると「架空の解」のように思えますが、実際には物理学や工学の分野で重要な役割を果たしています。

判別式Dと解の種類の関係

二次方程式の解の種類を決定するのが判別式Dです。

判別式は二次方程式 ax² + bx + c = 0 に対して、D = b² – 4ac という式で定義されます。

この判別式の値によって、方程式が持つ解の種類が完全に決まるのです。

判別式の値 解の種類 解の個数 具体例
D > 0 異なる2つの実数解 2個 x² – 5x + 6 = 0 → x = 2、3
D = 0 重解(1つの実数解) 1個 x² – 4x + 4 = 0 → x = 2
D 異なる2つの虚数解 2個 x² + 2x + 5 = 0 → x = -1 ± 2i

判別式の名前の由来は、まさに「解の種類を判別する」ことにあります。

判別式の計算例

例題:x² + 3x + 1 = 0 の解の種類を判別せよ

D = 3² – 4×1×1 = 9 – 4 = 5

D > 0 なので、異なる2つの実数解を持つ

例題:x² – 6x + 9 = 0 の解の種類を判別せよ

D = (-6)² – 4×1×9 = 36 – 36 = 0

D = 0 なので、重解を持つ

例題:x² + x + 1 = 0 の解の種類を判別せよ

D = 1² – 4×1×1 = 1 – 4 = -3

D

判別式を計算することで、実際に解を求める前に解の種類が分かるという便利な性質があります。

特に、虚数解を持つかどうかを判定するには、判別式が負かどうかを確認すればよいのです。

なぜ判別式が負のとき虚数解が現れるのか

判別式が負のとき虚数解が現れる理由を、解の公式から理解してみましょう。

二次方程式 ax² + bx + c = 0 の解の公式は次のように表されます。

解の公式

x = (-b ± √D) / 2a

ここで D = b² – 4ac

この公式において、判別式Dが負の値を取るとどうなるでしょうか。

D
負の数の平方根と虚数単位

√(-1) = i(虚数単位の定義)

√(-4) = √(4 × (-1)) = √4 × √(-1) = 2i

√(-9) = √(9 × (-1)) = √9 × √(-1) = 3i

√(-a) = i√a(aは正の実数)

つまり、判別式が負のとき、解の公式に虚数単位iが含まれることになり、結果として虚数解が得られるのです。

具体的な例で確認してみましょう。

計算例:x² + 2x + 2 = 0

ステップ1:判別式を計算

D = 2² – 4×1×2 = 4 – 8 = -4

ステップ2:解の公式を適用

x = (-2 ± √(-4)) / 2

= (-2 ± 2i) / 2

= -1 ± i

したがって、x = -1 + i、x = -1 – i

このように、判別式が負の場合、必然的に虚数単位iを含む解が得られます。

また、虚数解は常に共役複素数のペアとして現れることにも注目してください。a + bi が解なら、a – bi も必ず解になるのです。

二次関数のグラフと虚数解の関係

続いては、二次関数のグラフと虚数解の関係について確認していきます。

グラフがx軸と交わらないときの特徴

二次関数 y = ax² + bx + c のグラフと虚数解には、深い関係があります。

方程式 ax² + bx + c = 0 の解は、グラフ y = ax² + bx + c とx軸(y = 0)との交点のx座標に対応します。

グラフとx軸の位置関係

判別式 D > 0 → グラフは2点でx軸と交わる

判別式 D = 0 → グラフは1点でx軸に接する

判別式 D

虚数解を持つ場合(D 0(下に凸)の場合、グラフは常にx軸より上にあります。つまり、すべてのxに対して y > 0 となります。

a
具体例

関数:y = x² + 2x + 5

方程式 x² + 2x + 5 = 0 の判別式

D = 4 – 20 = -16

グラフが「浮いている」状態、つまりx軸に届いていない状況が、虚数解を持つことを視覚的に表しているのです。

実際、y = x² + 2x + 5 = (x + 1)² + 4 と平方完成すると、最小値が4であることが分かります。

虚数解を持つ条件を視覚的に理解する

二次関数が虚数解を持つ条件を、グラフの特徴から理解してみましょう。

条件 a > 0(下に凸)の場合 a
虚数解を持つ グラフの最小値 > 0 グラフの最大値
判別式の条件 D D
グラフの位置 完全にx軸より上 完全にx軸より下

問題演習でよく出題される形式として、「二次関数がx軸と共有点を持たない条件を求めよ」というものがあります。

これは「虚数解のみを持つ条件」と同義です。

例題:y = x² + 2kx + k + 2 がx軸と共有点を持たない条件を求めよ

x軸と共有点を持たない ⇔ 判別式 D

このように、虚数解を持つ条件は判別式を用いて代数的に求めることができます。

グラフの視覚的イメージと判別式の計算、両方の観点から理解することが重要です。

平方完成による虚数解の確認方法

平方完成を使うと、虚数解を持つかどうかを別の角度から確認できます。

二次関数 y = ax² + bx + c を平方完成すると、y = a(x – p)² + q という形になります。

この標準形において、aとqの符号に注目しましょう。

平方完成と虚数解の関係

a > 0 のとき:q > 0 なら虚数解を持つ

a

具体的な例で確認してみます。

例題:y = 2x² + 4x + 5 が虚数解を持つか確認

平方完成を実行

y = 2x² + 4x + 5

= 2(x² + 2x) + 5

= 2(x² + 2x + 1 – 1) + 5

= 2(x + 1)² – 2 + 5

= 2(x + 1)² + 3

a = 2 > 0、q = 3 > 0

したがって、最小値が3で常に正、虚数解を持つ

平方完成による確認方法は、判別式を計算するよりも視覚的に分かりやすい場合があります。

特に、グラフの頂点の位置とx軸との関係を直感的に理解できる点が利点です。

頂点が (-1, 3) にあり、下に凸のグラフなので、x軸には到達しないことが明確に分かります。

虚数解の求め方と公式・計算テクニック

次に、実際に虚数解を求める方法と計算のコツを見ていきましょう。

解の公式を使った虚数解の求め方

虚数解を求める最も基本的な方法は、解の公式を使うことです。

解の公式(再掲)

ax² + bx + c = 0 の解は

x = (-b ± √D) / 2a

ここで D = b² – 4ac

D
標準的な計算手順

例題:x² + 4x + 13 = 0 を解け

ステップ1:判別式を計算

D = 16 – 52 = -36

ステップ2:判別式を虚数の形に変換

√D = √(-36) = √(36 × (-1)) = 6i

ステップ3:解の公式に代入

x = (-4 ± 6i) / 2 = -2 ± 3i

答え:x = -2 + 3i、x = -2 – 3i

計算の際の注意点をいくつか挙げておきます。

まず、負の数の平方根を計算する際は、必ず正の部分と虚数単位を分離して考えましょう。√(-a) = i√a という変形が基本です。

次に、分母を簡単にする際は、実部と虚部を同時に割り算します。

やや複雑な例

例題:2x² – 3x + 5 = 0 を解け

D = 9 – 40 = -31

√D = i√31

x = (3 ± i√31) / 4

答え:x = (3 + i√31) / 4、x = (3 – i√31) / 4

解を簡単な形にまとめることが重要です。

分母の有理化は不要ですが、約分できる場合は必ず約分しましょう。

共役複素数として現れる虚数解の性質

実数係数の方程式において、虚数解は必ず共役複素数のペアとして現れます。

共役複素数の定義

複素数 z = a + bi に対して

その共役複素数は z̄ = a – bi

実部は同じで、虚部の符号が反対

この性質は非常に重要で、様々な応用があります。

性質 内容 具体例
解の対称性 α が解なら ᾱ も解 2 + 3i が解 → 2 – 3i も解
α + ᾱ = 2a(実数) (2+3i) + (2-3i) = 4
α · ᾱ = a² + b²(実数) (2+3i)(2-3i) = 13

この性質を利用すると、片方の解から他方の解を簡単に求められます。

応用例

問題:x² + px + q = 0 の1つの解が 3 + 2i のとき、p、qを求めよ

もう1つの解は 3 – 2i

解と係数の関係より

p = -(解の和) = -((3+2i) + (3-2i)) = -6

q = 解の積 = (3+2i)(3-2i) = 9 – (2i)² = 9 + 4 = 13

答え:p = -6、q = 13

共役複素数の積が実数になる性質は、解と係数の関係を使った問題でよく利用されます。

また、複素数の絶対値を計算する際にも、z · z̄ = |z|² という関係が重要です。

虚数解を含む方程式の計算演習

実践的な計算問題をいくつか解いてみましょう。

演習問題1:3x² + 6x + 5 = 0

D = 36 – 60 = -24

√D = √(-24) = 2i√6

x = (-6 ± 2i√6) / 6 = (-3 ± i√6) / 3

答え:x = (-3 + i√6) / 3、x = (-3 – i√6) / 3

演習問題2:x² – 2x + 10 = 0

D = 4 – 40 = -36

√D = 6i

x = (2 ± 6i) / 2 = 1 ± 3i

答え:x = 1 + 3i、x = 1 – 3i

演習問題3:4x² + 4x + 5 = 0

D = 16 – 80 = -64

√D = 8i

x = (-4 ± 8i) / 8 = (-1 ± 2i) / 2

答え:x = (-1 + 2i) / 2、x = (-1 – 2i) / 2

計算のコツは、まず判別式を確実に計算し、その後丁寧に式変形を進めることです。

約分のミスや符号のミスに注意しながら、最終的な答えをできるだけ簡潔な形にまとめましょう。

三次関数・ω・特性方程式における虚数解の応用

最後に、より発展的な虚数解の応用について確認していきます。

三次方程式と虚数解のパターン

三次方程式は実数係数の場合、興味深い性質を持っています。

実数係数の三次方程式は、必ず少なくとも1つの実数解を持つのです。

これは、三次関数のグラフが連続な曲線で、x → -∞ と x → +∞ で異なる符号の値を取るため、必ずどこかでx軸と交わるからです。

三次方程式の解のパターン

パターン1:実数解3個、虚数解0個

パターン2:実数解1個、虚数解2個(共役ペア)

パターン3:実数解のみで重解を含む

パターン 実数解 虚数解
1 3個 0個 (x-1)(x-2)(x-3) = 0
2 1個 2個 (x-1)(x²+x+1) = 0
3 1個(三重解) 0個 (x-1)³ = 0

三次方程式で虚数解が現れる場合、必ず共役複素数のペアとして現れます。

具体例:x³ + x² + x + 1 = 0

因数分解を試みる

x³ + x² + x + 1 = x²(x + 1) + (x + 1)

= (x² + 1)(x + 1) = 0

x + 1 = 0 より x = -1(実数解)

x² + 1 = 0 より x² = -1

x = ±i(虚数解)

答え:x = -1、i、-i

三次方程式の虚数解は、二次因数を持つ場合に現れるという特徴があります。

1の三乗根ω(オメガ)と虚数解

1の三乗根は、虚数解の美しい応用例の一つです。

方程式 x³ = 1 を考えてみましょう。明らかに x = 1 は解ですが、実はあと2つの解が存在します。

1の三乗根

x³ = 1 の3つの解

x = 1

x = ω = (-1 + i√3) / 2

x = ω² = (-1 – i√3) / 2

ωの導出を確認してみましょう。

ωの導出

x³ – 1 = 0

(x – 1)(x² + x + 1) = 0

x = 1 または x² + x + 1 = 0

x² + x + 1 = 0 を解く

D = 1 – 4 = -3

x = (-1 ± i√3) / 2

これがω、ω²です

ωは驚くべき性質を持っています。

性質 説明
基本性質 ω³ = 1 定義から
1 + ω + ω² = 0 非常に重要
共役関係 ω² = ω̄ 互いに共役複素数
周期性 ω⁴ = ω、ω⁵ = ω² 3つの値を循環

特に 1 + ω + ω² = 0 という関係式は、様々な計算で威力を発揮します。

ωを使った計算例

問題:ω¹⁰⁰ を求めよ

ω¹⁰⁰ = ω⁹⁹⁺¹ = ω⁹⁹ × ω = (ω³)³³ × ω = 1³³ × ω = ω

答え:ω

ωの累乗は3で割った余りによって決まるという性質が重要です。

特性方程式における虚数解の物理的意味

特性方程式とは、数列の漸化式や微分方程式を解く際に現れる重要な方程式です。

特性方程式に虚数解が現れる場合、それは振動や周期的な挙動を表しています。

特性方程式の例

数列の漸化式:aₙ₊₂ + aₙ = 0

特性方程式:x² + 1 = 0

解:x = ±i(虚数解)

結果:振動する数列

微分方程式での応用を見てみましょう。

単振動の微分方程式

y” + ω²y = 0

特性方程式:r² + ω² = 0

r² = -ω²

r = ±ωi

一般解:y = C₁cos(ωt) + C₂sin(ωt)

これは周期的な振動を表す

物理学では、虚数解は以下のような現象に関連します。

– ばねの振動
– 電気回路の交流
– 波動の伝播
– 量子力学の波動関数

特に、制御工学では特性方程式の解の実部と虚部が、システムの安定性と振動の周波数を決定します。

システムの安定性

特性方程式の解が r = a + bi のとき

実部 a 0:システムは不安定(振動が増大)

虚部 b:振動の角周波数

このように、虚数解は単なる数学的な概念ではなく、実際の物理現象を記述する重要なツールなのです。

特性方程式における虚数解の理解は、工学や物理学の多くの分野で必要とされます。

まとめ

虚数解は、判別式が負になる場合に現れる特殊な解です。二次方程式において判別式D