科学

有理数と無理数との違いや見分け方は?

当サイトでは記事内に広告を含みます
いつも記事を読んでいただきありがとうございます!!! これからもお役に立てる各情報を発信していきますので、今後ともよろしくお願いします(^^)/

数学において、有理数と無理数は実数を構成する2つの重要なカテゴリーです。これらの違いを正確に理解することは、数学の基礎を固める上で欠かせません。

「有理数と無理数って具体的に何が違うの?」「どうやって見分ければいいの?」「√2はなぜ無理数だと言えるの?」といった疑問を持つ方は多いでしょう。

本記事では、有理数と無理数の根本的な違いから、実践的な見分け方、判定の具体例まで、詳しく解説していきます。これらの違いをマスターして、数の性質を正確に判断できるようになりましょう。

有理数と無理数の根本的な違い

それではまず、有理数と無理数が何によって区別されるのか見ていきます。

定義による違い

有理数と無理数の最も基本的な違いは、分数で表せるかどうかです。

有理数は2つの整数の比p/q(q≠0)で表すことができる数です。一方で無理数は、どう頑張っても整数の比では表せない数になります。

有理数と無理数の定義

有理数:p/qの形で表せる(p、qは整数、q≠0)

無理数:整数の比では表せない実数

例えば1/2は有理数です。分子1と分母2がともに整数なので、定義を満たします。0.5という小数も、1/2と表せるため有理数なのです。

一方で√2は無理数です。√2≈1.41421356…という値を、どんな整数p、qを使ってもp/qとして正確に表すことはできません。

定義の違いの例

3/4:整数3÷整数4 → 有理数

0.333…:1/3と表せる → 有理数

√2:整数の比で表せない → 無理数

π:整数の比で表せない → 無理数

「有理」「無理」という言葉から、「理にかなっている」「理にかなっていない」という意味だと誤解されがちです。しかし実際には、ラテン語のratio(比)に由来しています。

有理数はrational number(比で表せる数)、無理数はirrational number(比で表せない数)という意味なのです。

つまり有理数と無理数の違いは、比率として表現できるかどうかという数学的な性質の違いであり、価値判断とは無関係です。

小数表示による違い

有理数と無理数は、小数で表したときの形にも明確な違いがあります。

有理数を小数で表すと、必ず有限小数または循環小数になります。どこかで終わるか、同じパターンが繰り返されるのです。

種類 小数表示の特徴
有理数 有限小数または循環小数 0.5、0.333…、0.142857…
無理数 循環しない無限小数 1.41421…、3.14159…

1/2=0.5は有限小数です。小数点以下が5で終わり、それ以降は0が続くと考えられます。

1/3=0.333…は循環小数です。3という数字が無限に繰り返されます。1/7=0.142857142857…も循環小数で、142857という6桁のパターンが繰り返されるのです。

一方で無理数は、循環しない無限小数になります。√2=1.41421356…は、どこまで計算しても同じパターンが繰り返されることなく、新しい数字が現れ続けます。

π=3.14159265358979…も同様です。コンピュータで数兆桁まで計算されていますが、循環する部分は見つかっていません。

小数表示の比較

1/4=0.25(有限)→ 有理数

2/3=0.666…(循環)→ 有理数

√3=1.732050…(非循環)→ 無理数

e=2.718281…(非循環)→ 無理数

この性質を利用すれば、小数表示を見ただけで有理数か無理数かを判定できます。ただし循環するかどうかを確認するには、相当な桁数を計算する必要がある場合もあるのです。

数直線上での分布の違い

有理数と無理数は、数直線上での分布の仕方にも大きな違いがあります。

どちらも稠密です。任意の2つの有理数の間には別の有理数が存在し、任意の2つの無理数の間にも別の無理数が存在します。

しかし驚くべきことに、無理数の方が圧倒的に多いのです。

数直線上の分布

有理数:可算無限個(数え上げ可能)

無理数:非可算無限個(数え上げ不可能)

有理数は可算無限個存在します。理論的には、すべての有理数に1番、2番、3番…と番号を付けることができるのです。

一方で無理数は非可算無限個存在します。どんな方法を使っても、すべての無理数に番号を付けて数え上げることはできません。

数直線をランダムに1点選んだとき、それが有理数である確率は0です。ほぼ確実に無理数なのです。

無限の大きさの比較

有理数の無限:「小さい」無限

無理数の無限:「大きい」無限

実数 = 有理数 ∪ 無理数

この違いは、19世紀の数学者カントールによって発見されました。無限にも「大きさ」があり、無理数の無限は有理数の無限よりも大きいという驚くべき事実が明らかになったのです。

実用的には、有理数は「まばら」に、無理数は「びっしり」と数直線上に分布していると考えられます。

有理数と無理数の見分け方

続いては、実際に数を見たときに有理数か無理数かを判定する方法を確認していきましょう。

分数表示で判定する方法

最も基本的な判定方法は、整数の比で表せるか確認することです。

p/qという形(p、qは整数、q≠0)で表現できれば有理数、表現できなければ無理数の可能性が高いです。

分数表示による判定例

3/5:整数÷整数 → 有理数

-2/7:整数÷整数 → 有理数

5 = 5/1:整数÷整数 → 有理数

0 = 0/1:整数÷整数 → 有理数

整数はすべて分母を1にすることで分数表示できます。したがってすべての整数は有理数です。

有限小数も分数に変換できます。0.25=25/100=1/4というように、分母を10の累乗にすれば分数表示できるのです。

小数 分数表示 判定
0.5 5/10 = 1/2 有理数
0.75 75/100 = 3/4 有理数
2.5 25/10 = 5/2 有理数
-1.2 -12/10 = -6/5 有理数

循環小数も実は分数に変換できます。例えば0.333…は1/3、0.666…は2/3です。

循環小数を分数に変換する方法があります。xを循環小数とおき、10xや100xなどと掛け算して、引き算で循環部分を消去する手法です。

循環小数の分数化(例:0.333…)

x = 0.333…

10x = 3.333…

10x – x = 3

9x = 3

x = 3/9 = 1/3

一方で√2、π、eなどは、どう頑張っても整数の比では表せません。これらは無理数と判定されます。

分数表示で判定する際の注意点は、「表せない」ことを証明するのは難しいということです。有理数であることは分数を示せば証明できますが、無理数であることは別の方法で証明する必要があるのです。

小数表示で判定する方法

小数で与えられている場合の判定方法を見てみましょう。

有限小数または循環小数なら有理数、循環しない無限小数なら無理数です。

小数表示による判定基準

  • 有限小数(途中で終わる)→ 有理数
  • 循環小数(パターン繰り返し)→ 有理数
  • 非循環無限小数(繰り返しなし)→ 無理数
小数 タイプ 判定
0.5 有限小数 有理数
0.333… 循環小数(3繰り返し) 有理数
0.142857… 循環小数(6桁繰り返し) 有理数
1.41421… 非循環無限小数 無理数

循環小数かどうかを判定するには、十分な桁数を確認する必要があります。1/7のように、循環周期が長い場合もあるからです。

実際には、電卓やコンピュータで計算した小数が途中で終わっていても、それは計算の限界であって、本当に有限小数とは限りません。

判定の注意点

電卓の表示:1.414213562

→ これだけでは有限か循環か非循環か判断できない

√2であることが分かっていれば → 無理数

確実に判定するには、その数がどのように定義されているかを知る必要があります。√2、π、eなどは定義から無理数であることが分かっているのです。

一方で有理数の場合は、分数形や循環パターンを見つけることで確認できます。

特殊なケースとして、0.999…(9が無限に続く)は1に等しく、したがって有理数です。これは循環小数の一種と考えられます。

平方根で判定する方法

平方根の形で表されている数の判定方法も重要です。

平方数の平方根は有理数、そうでない場合は無理数という規則があります。

平方根の判定

平方数:1、4、9、16、25、36、49…

√1=1(有理数)

√4=2(有理数)

√9=3(有理数)

√2(無理数、2は平方数でない)

√3(無理数、3は平方数でない)

√5(無理数、5は平方数でない)

平方数とは、ある整数を2乗した数です。1=1²、4=2²、9=3²、16=4²、25=5²などが平方数になります。

平方数の平方根は整数になるため、明らかに有理数です。一方で平方数でない正の整数の平方根は、すべて無理数であることが証明されています。

平方数か 平方根 判定
1 ○(1²) √1=1 有理数
2 × √2≈1.414… 無理数
4 ○(2²) √4=2 有理数
5 × √5≈2.236… 無理数

分数の平方根についても規則があります。分子と分母がともに平方数なら、その平方根は有理数です。

√(4/9)=2/3は有理数です。4=2²、9=3²なので、√4/√9=2/3となるからです。

一方で√(2/3)は無理数です。分子の2が平方数でないため、有理数にはなりません。

分数の平方根の判定

√(4/9)=2/3(有理数、分子分母とも平方数)

√(16/25)=4/5(有理数、分子分母とも平方数)

√(2/3)(無理数、分子が平方数でない)

√(3/4)(無理数、分子が平方数でない)

この規則を使えば、平方根の形の数を瞬時に判定できます。中身が平方数かどうかを確認すればよいのです。

ただし√16=4のように、結果が整数になる場合は、平方根の記号を外して整数として扱います。

有理数と無理数の判定の具体例

それでは、様々な数について実際に判定してみましょう。

基本的な数の判定

まず基本的な数から判定していきます。

整数の判定

5 = 5/1 → 有理数

-3 = -3/1 → 有理数

0 = 0/1 → 有理数

100 = 100/1 → 有理数

すべての整数は有理数です。分母を1にすれば、必ず整数の比で表せるからです。

分数の判定

1/2(有理数、定義そのもの)

3/4(有理数、定義そのもの)

-5/7(有理数、定義そのもの)

22/7(有理数、πの近似値だが有理数)

分数はすべて有理数です。これは定義から明らかでしょう。

注意すべきは22/7です。これはπの近似値としてよく使われますが、22/7自体は有理数なのです。πそのものではなく、πに近い有理数になります。

説明 判定
7 整数 有理数
2/5 分数 有理数
0.6 有限小数 有理数
0.111… 循環小数 有理数

0.6は6/10=3/5という分数で表せるため有理数です。

0.111…は1/9という分数に等しく、有理数になります。

よく登場する定数の判定

数学でよく登場する定数について判定しましょう。

有名な定数の判定

  • π ≈ 3.14159…(無理数、証明済み)
  • e ≈ 2.71828…(無理数、証明済み)
  • √2 ≈ 1.41421…(無理数、古典的証明)
  • √3 ≈ 1.73205…(無理数)
  • 黄金比 φ ≈ 1.61803…(無理数)

πは円周率で、円の円周と直径の比です。3.14と近似されますが、実際には循環しない無限小数であり、無理数であることが証明されています。

eは自然対数の底で、微積分学で重要な定数です。これも無理数であることが証明されているのです。

√2は最初に発見された無理数です。古代ギリシャで、背理法による証明が与えられました。

定数 近似値 判定 種類
π 3.14159… 無理数 超越数
e 2.71828… 無理数 超越数
√2 1.41421… 無理数 代数的数
√3 1.73205… 無理数 代数的数

πとeは超越数という特別な無理数です。超越数とは、どんな整数係数の多項式の解にもならない数のことです。

√2は代数的無理数です。x²-2=0という多項式の解になるからです。

黄金比φ=(1+√5)/2も無理数です。√5が無理数なので、それを含む式も無理数になります。

複雑な式の判定

複数の数を組み合わせた式の判定も見てみましょう。

有理数同士の四則演算の結果は有理数です。

有理数の演算

1/2 + 1/3 = 5/6(有理数)

2/3 × 3/4 = 1/2(有理数)

5/6 – 1/4 = 7/12(有理数)

3/4 ÷ 2/5 = 15/8(有理数)

一方で無理数を含む式は、通常無理数になります。

無理数を含む式

√2 + 1(無理数)

2√3(無理数)

π + 5(無理数)

√2 × √3 = √6(無理数)

ただし特殊なケースもあります。

√2 × √2 = 2は有理数です。同じ無理数同士の掛け算で、結果が整数になるのです。

√2 + (-√2) = 0も有理数です。無理数同士の足し算ですが、打ち消し合って0になります。

計算結果 判定
√4 2 有理数
√2 × √8 √16 = 4 有理数
√2 + √3 (そのまま) 無理数
(√5)² 5 有理数

(√5)²=5のように、無理数を2乗すると元の数(有理数)に戻ります。

√2/√2=1も有理数です。同じ無理数で割れば1になるのです。

一般的な規則として、有理数と無理数を足すと無理数0でない有理数と無理数を掛けると無理数になります。

しかし例外も存在するため、個別に確認する必要がある場合もあるのです。

まとめ 有理数と無理数の見分け方は?

本記事では、有理数と無理数の違いと、それらを見分ける方法について詳しく解説しました。

有理数は整数の比で表せる数で、小数では有限小数または循環小数になります。無理数は整数の比で表せず、循環しない無限小数です。判定には分数表示の可否、小数のパターン、平方根の中身などを確認します。

これらの違いを正確に理解し、実践的な判定方法を身につけることで、数学の問題を解く際の判断力が大きく向上するでしょう。基礎をしっかり固めて、数学の理解を深めていってください。