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循環小数は有理数か?分数は?証明は?

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数学を学ぶ中で、循環小数という特殊な小数に出会います。0.333…のように同じ数字が無限に繰り返される小数ですが、これは有理数なのでしょうか、それとも無理数なのでしょうか。

「循環小数って有理数?無理数?」「循環小数を分数に直せるの?」「なぜ循環小数が有理数だと言えるの?」といった疑問を持つ方は多いはずです。

本記事では、循環小数の定義から、有理数であることの証明、分数への変換方法まで、循環小数に関する知識を詳しく解説していきます。循環小数の本質を理解したい方は、ぜひ参考にしてください。

循環小数とは何か

それではまず、循環小数の基本的な定義から見ていきます。

循環小数の定義

循環小数とは、小数点以下で特定の数字の並びが無限に繰り返される小数のことです。

0.333…(3が繰り返される)、0.142857142857…(142857が繰り返される)のように、一定のパターンが延々と続く小数を循環小数と呼びます。

循環小数の定義

小数点以下で特定の数字列が無限に繰り返される小数

記号:循環部分の上に点や線を付ける

循環小数を表記する際は、繰り返される部分の上に点や線を付けます。

0.333…は0.3̇のように、3の上に点を打って表します。0.142857142857…は0.1̇4̇2̇8̇5̇7̇のように、循環部分の最初と最後に点を付けるのです。

循環小数の表記例

  • 0.333… → 0.3̇(3が循環)
  • 0.666… → 0.6̇(6が循環)
  • 0.142857… → 0.1̇4̇2̇8̇5̇7̇(6桁が循環)
  • 0.090909… → 0.0̇9̇(09が循環)

循環小数には、すぐに循環が始まる場合と、いくつか数字が続いてから循環が始まる場合があります。

種類 説明
純循環小数 小数第1位から循環 0.333…、0.666…
混循環小数 途中から循環 0.1666…、0.58333…

0.1666…は、最初の1は循環せず、6が循環します。これを混循環小数と呼ぶのです。

循環小数は無限小数ですが、規則性があるため、有限小数とは異なる性質を持ちます。この規則性が、循環小数を有理数たらしめる重要な特徴なのです。

循環小数の具体例

身近な分数を小数に直すと、多くが循環小数になります。

1/3を小数で表すと、0.333…となり、3が無限に続きます。割り算を続けても、余りが1のまま繰り返され、3が出続けるのです。

よく見る循環小数

  • 1/3 = 0.333…
  • 2/3 = 0.666…
  • 1/6 = 0.1666…
  • 1/7 = 0.142857142857…
  • 1/9 = 0.111…
  • 1/11 = 0.090909…

1/7の循環は特に興味深いです。142857という6桁の数字が繰り返されます。

分数 小数表示 循環周期
1/3 0.333… 1桁
1/6 0.1666… 1桁(混循環)
1/7 0.142857… 6桁
1/11 0.090909… 2桁

循環の周期(繰り返されるパターンの長さ)は、分母によって決まります。

1/3は周期1(3が繰り返し)、1/11は周期2(09が繰り返し)、1/7は周期6(142857が繰り返し)となるのです。

興味深いことに、1/7の循環節142857には特別な性質があります。この数字を2倍、3倍…6倍すると、すべて同じ数字の並び替えになるのです。

142857の不思議な性質

142857 × 1 = 142857

142857 × 2 = 285714(数字の並び替え)

142857 × 3 = 428571(数字の並び替え)

142857 × 4 = 571428(数字の並び替え)

142857 × 5 = 714285(数字の並び替え)

142857 × 6 = 857142(数字の並び替え)

このような数学的な美しさが、循環小数には隠されているのです。

循環しない無限小数との違い

循環小数と循環しない無限小数は、全く異なる性質を持ちます。

循環しない無限小数は無理数です。√2=1.41421356…やπ=3.14159265…のように、どこまで計算しても同じパターンが現れない小数は、有理数ではありません。

小数の分類

  • 有限小数:0.5、0.25、2.75 → 有理数
  • 循環小数:0.333…、0.142857… → 有理数
  • 非循環無限小数:1.414…、3.141… → 無理数
小数のタイプ 有理数か
有限小数 0.5、0.25
循環小数 0.333…、0.142857…
非循環無限小数 √2、π、e ×(無理数)

循環小数は無限に続きますが、規則性があるため分数で表すことができます。これが循環小数を有理数たらしめる決定的な違いなのです。

一方で√2やπは、どう頑張っても分数では表せません。この違いを理解することが、有理数と無理数を正確に区別する鍵になります。

見た目は似ていても、循環するかしないかで、数の性質が根本的に変わるのです。

循環小数は有理数である証明

続いては、循環小数が有理数であることを証明していきましょう。

循環小数が分数で表せることの証明

循環小数は、必ず分数で表すことができます。これを具体的に証明してみましょう。

最も単純な例として、0.333…を分数で表してみます。

0.333…を分数で表す証明

x = 0.333… とおく

両辺を10倍すると

10x = 3.333…

下の式から上の式を引くと

10x – x = 3.333… – 0.333…

9x = 3

x = 3/9 = 1/3

このように、10倍して引き算することで、循環部分を消去できます。結果として、xが分数1/3で表せることが分かるのです。

もう少し複雑な例も見てみましょう。

0.142857142857…を分数で表す証明

x = 0.142857142857… とおく

循環周期が6桁なので、100万倍する

1000000x = 142857.142857…

引き算すると

1000000x – x = 142857

999999x = 142857

x = 142857/999999 = 1/7

循環周期がn桁の場合、10のn乗倍して引き算すれば、循環部分が消えて分数が求まります。

循環小数 方法 結果
0.3̇(周期1) 10倍して引く 1/3
0.0̇9̇(周期2) 100倍して引く 1/11
0.1̇4̇2̇8̇5̇7̇(周期6) 1000000倍して引く 1/7

このアルゴリズムは、どんな循環小数にも適用できます。つまりすべての循環小数は分数で表せるのです。

分数で表せるということは、2つの整数の比p/qの形で表せるということです。したがって循環小数は有理数の定義を満たします。

これで循環小数が有理数であることが証明されました。

混循環小数の場合の証明

混循環小数(途中から循環が始まる小数)も、同様に分数で表せます。

0.1666…(1は循環せず、6が循環)を分数で表してみましょう。

0.1666…を分数で表す証明

x = 0.1666… とおく

10倍すると

10x = 1.666…

さらに10倍すると

100x = 16.666…

100x – 10x = 16.666… – 1.666…

90x = 15

x = 15/90 = 1/6

混循環小数の場合、循環が始まる位置まで移動させてから、同じ方法を適用します。

一般的な手順は以下の通りです。

混循環小数の分数化の手順

1. 循環開始位置まで10のべき乗倍する

2. さらに循環周期分だけ10のべき乗倍する

3. 2つの式の差を取る

4. xについて解く

混循環小数 分数 計算のポイント
0.1666… 1/6 10倍と100倍の差
0.58333… 7/12 100倍と1000倍の差
0.12333… 37/300 100倍と1000倍の差

どんなに複雑な混循環小数でも、この方法で必ず分数に変換できます。

したがって混循環小数も有理数であることが証明されました。

一般的な証明

任意の循環小数が有理数であることを、一般的に証明してみましょう。

循環小数を次のように表します。

a.b₁b₂…bₘc₁c₂…cₙc₁c₂…cₙ…

ここでaは整数部分、b₁b₂…bₘは循環しない部分、c₁c₂…cₙが循環する部分です。

一般的な循環小数の構造

整数部分:a

非循環部分:b₁b₂…bₘ(m桁)

循環部分:c₁c₂…cₙ(n桁で繰り返し)

この循環小数をxとおくと、

10のm乗倍すると、循環部分が小数第1位から始まる

さらに10のn乗倍すると、循環部分が1周期ずれる

この2つの式の差を取ると、循環部分が消えて有限の数になる

結果として、xは整数の比で表せる

結論

任意の循環小数は、整数の比p/q(q≠0)で表せる

したがって、すべての循環小数は有理数である

この証明により、例外なくすべての循環小数が有理数であることが数学的に保証されました。

逆に言えば、有理数を小数で表すと必ず有限小数か循環小数になるのです。これは有理数の重要な特徴と言えるでしょう。

循環小数を分数に変換する方法

それでは、循環小数を実際に分数に変換する具体的な方法を見ていきましょう。

純循環小数の変換方法

小数第1位から循環が始まる純循環小数の変換方法を確認します。

基本的な手順は次の通りです。

純循環小数の分数化

1. 循環小数をxとおく

2. 循環周期がn桁なら、10のn乗倍する

3. 元の式との差を取る

4. xについて解く

5. 約分する

具体例で確認しましょう。

例1:0.777…を分数にする

x = 0.777…

10x = 7.777…

10x – x = 7

9x = 7

x = 7/9

例2:0.454545…を分数にする

x = 0.454545…(45が繰り返し)

100x = 45.454545…

100x – x = 45

99x = 45

x = 45/99 = 5/11

循環小数 循環周期 掛ける数 分数
0.3̇ 1桁 10 1/3
0.7̇ 1桁 10 7/9
0.4̇5̇ 2桁 100 5/11
0.1̇2̇3̇ 3桁 1000 41/333

パターンに気づくと、簡単に変換できます。

0.aaa…(aが繰り返し)の場合、分数はa/9

0.ababab…(abが繰り返し)の場合、分数はab/99

0.abcabc…(abcが繰り返し)の場合、分数はabc/999

このように、分子は循環部分の数字、分母は循環周期分だけ9を並べた数になります。

混循環小数の変換方法

途中から循環が始まる混循環小数の変換は、少し手順が増えます。

混循環小数の分数化

1. 循環小数をxとおく

2. 循環開始位置まで移動(10のm乗倍)

3. さらに循環周期分移動(10のn乗倍)

4. 2つの式の差を取る

5. xについて解く

例:0.1666…を分数にする

x = 0.1666…

10x = 1.666…(循環部分を小数第1位へ)

100x = 16.666…(さらに1桁移動)

100x – 10x = 15

90x = 15

x = 15/90 = 1/6

例:0.58333…を分数にする

x = 0.58333…

100x = 58.333…

1000x = 583.333…

1000x – 100x = 525

900x = 525

x = 525/900 = 7/12

混循環小数 非循環部分 循環部分 分数
0.1666… 1桁 1桁 1/6
0.58333… 2桁 1桁 7/12
0.12333… 2桁 1桁 37/300

混循環小数の公式もあります。

非循環部分がm桁、循環部分がn桁の場合、

分子=全体の数字-非循環部分の数字

分母=9をn個並べた後に0をm個並べる

例えば0.1666…なら、

分子=16-1=15

分母=90(9を1個、0を1個)

したがって15/90=1/6となります。

練習問題

いくつかの循環小数を分数に変換する練習をしてみましょう。

問題1:0.272727…を分数にせよ

解答:

x = 0.272727…

100x = 27.272727…

99x = 27

x = 27/99 = 3/11

問題2:0.8333…を分数にせよ

解答:

x = 0.8333…

10x = 8.333…

100x = 83.333…

90x = 75

x = 75/90 = 5/6

問題3:0.123123123…を分数にせよ

解答:

x = 0.123123…

1000x = 123.123…

999x = 123

x = 123/999 = 41/333

循環小数 分数 約分後
0.2̇7̇ 27/99 3/11
0.83̇ 75/90 5/6
0.1̇2̇3̇ 123/999 41/333

これらの練習を通じて、循環小数を分数に変換する技術を身につけましょう。

パターンを覚えれば、計算も速くなります。循環小数と分数の相互変換ができるようになると、数の理解が深まるはずです。

分数と循環小数の関係

続いては、分数を小数に直したときに循環小数になる条件を見ていきましょう。

どんな分数が循環小数になるか

分数を小数に直したとき、有限小数になる場合と循環小数になる場合があります。

その違いは、既約分数にしたときの分母の素因数で決まるのです。

分数の小数表示の規則

分母の素因数が2と5のみ → 有限小数

分母に2や5以外の素因数がある → 循環小数

有限小数になる分数

1/2 = 0.5(分母2)

1/4 = 0.25(分母2²)

1/5 = 0.2(分母5)

1/8 = 0.125(分母2³)

3/20 = 0.15(分母2²×5)

循環小数になる分数

1/3 = 0.333…(分母3)

1/6 = 0.1666…(分母2×3、3がある)

1/7 = 0.142857…(分母7)

1/11 = 0.090909…(分母11)

分数 分母の素因数 小数表示 タイプ
1/2 2 0.5 有限小数
1/3 3 0.333… 循環小数
1/6 2×3 0.1666… 混循環小数
1/10 2×5 0.1 有限小数

なぜこのような規則があるのでしょうか。

10進法で小数を表す場合、10=2×5という構造が関係しています。分母が2や5の累乗なら、分子を調整することで10の累乗の分母に揃えられるため、有限小数になるのです。

一方で分母に3や7などが含まれると、10の累乗では割り切れないため、循環小数になります。

循環周期の決まり方

循環小数の周期(繰り返しのパターンの長さ)も、分母によって決まります。

1/7=0.142857…は周期6、1/11=0.090909…は周期2です。この周期はどのように決まるのでしょうか。

周期は分母nに対して、10ᵏ≡1 (mod n)となる最小のkで決まります

循環周期の例

  • 1/3:周期1(10¹≡1 mod 3)
  • 1/7:周期6(10⁶≡1 mod 7)
  • 1/11:周期2(10²≡1 mod 11)
  • 1/13:周期6(10⁶≡1 mod 13)
分母 循環周期 循環小数
3 1 0.3̇
7 6 0.1̇4̇2̇8̇5̇7̇
9 1 0.1̇
11 2 0.0̇9̇
13 6 0.0̇7̇6̇9̇2̇3̇

周期が分母-1になる場合、その分母を完全循環周期という特別な数と呼びます。7、17、19などがこれに該当するのです。

1/7の循環節142857には、先ほど見たような不思議な性質があります。このような数学的な美しさが、循環小数の研究を面白くしているのです。

すべての分数は有理数

当然ですが、すべての分数は有理数です。

分数p/q(p、qは整数、q≠0)という形自体が、有理数の定義そのものだからです。

分数と有理数の関係

分数 = 有理数の定義

すべての分数は有理数

有理数を小数で表すと有限小数または循環小数

逆に言えば、有理数は必ず分数で表せます。そして分数を小数に直すと、必ず有限小数か循環小数になるのです。

したがって次の等価関係が成り立ちます。

ある数が有理数

↔ 分数で表せる

↔ 有限小数または循環小数で表せる

この3つの表現は、すべて同じことを意味しています。

有理数の3つの表現

1. 分数:1/3

2. 有限小数:該当なし

3. 循環小数:0.333…

これらは同じ有理数の異なる表現

循環小数が有理数であるという事実は、この等価関係から自然に導かれます。

分数で表せる以上、循環小数は定義により有理数なのです。そして循環小数から分数への変換方法も確立されているため、相互に変換できることが保証されています。

数の世界において、分数、有限小数、循環小数は、すべて有理数という同じ集合の異なる顔なのです。

まとめ 循環小数は有理数?証明は?

本記事では、循環小数の定義から、有理数であることの証明、分数への変換方法まで、循環小数に関する知識を総合的に解説しました。

循環小数は特定の数字列が無限に繰り返される小数で、必ず分数で表せるため有理数です。循環周期に応じて10のべき乗倍して引き算することで分数に変換でき、分母の素因数によって循環小数になるか有限小数になるかが決まります。

循環小数の性質を理解することで、有理数と無理数の違いがより明確になり、数学的な理解が深まるでしょう。基礎をしっかり固めて、さらなる学習を進めていってください。