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表面張力の測定方法や求め方・計算方法は【接触角等】

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表面張力は、液体の重要な物性値の1つです。洗剤の開発、インクの配合、医薬品の製造、化粧品の設計など、様々な産業分野で表面張力の正確な測定が求められています。しかし、目に見えない分子レベルの力である表面張力を、どのようにして定量的に測定するのでしょうか。

実は、表面張力を測定する方法は複数存在します。毛細管上昇法、滴重法、リング法、プレート法など、それぞれの方法には特徴があり、測定対象や精度の要求に応じて使い分けられているのです。また、接触角を測定することで、間接的に表面張力に関する情報を得ることもできます。

本記事では、表面張力の測定方法や求め方、計算方法について、原理から具体的な手順まで初心者の方にもわかりやすく解説していきます。実験室での測定だけでなく、簡易的な測定方法も紹介しますので、ぜひ最後までお付き合いください。

表面張力測定の基本原理

それではまず、表面張力測定の基本的な原理について解説していきます。

表面張力とは何を測定しているのか

表面張力γ(ガンマ)は、単位長さあたりにかかる力として定義されます。単位はN/m(ニュートン毎メートル)、または古い単位系ではdyn/cm(ダイン毎センチメートル)で表されます。

液体の表面は、できるだけ面積を小さくしようとする性質を持っています。この性質により、液体の表面はまるで弾力性のある薄い膜が張られているかのように振る舞うのです。

表面張力の定義γ = F / L

γ:表面張力(N/m)
F:表面に沿って働く力(N)
L:力が働いている長さ(m)

別の見方をすると、表面張力は単位面積あたりの表面エネルギーとも解釈できます。液体の表面を1m²広げるのに必要なエネルギーがγ J/m²(ジュール毎平方メートル)であり、これは数値的にN/mと等しくなります。

【代表的な液体の表面張力(20℃)】
・水:72.8 mN/m
・エタノール:22.1 mN/m
・グリセリン:63.4 mN/m
・水銀:485.5 mN/m
・アセトン:23.7 mN/m
・オリーブオイル:約32 mN/m

表面張力は温度によって変化します。一般的に、温度が上がると表面張力は低下する傾向があるため、測定時の温度管理が重要になります。

測定方法の分類と選び方

表面張力の測定方法は、大きく分けて直接法と間接法に分類できます。

直接法は、表面張力による力や現象を直接測定する方法です。毛細管上昇法、リング法(デュヌイ法)、プレート法(ウィルヘルミ法)、滴重法などがこれに該当します。

間接法は、他の物理量を測定し、そこから表面張力を計算で求める方法です。最大泡圧法、振動液滴法、懸滴法などがあります。

方法 測定原理 精度 特徴
毛細管上昇法 液体の上昇高さ 高い 古典的、シンプル
リング法 リングを引き上げる力 高い 最も一般的
プレート法 プレートを引き上げる力 非常に高い 連続測定可能
滴重法 液滴の重さ 中程度 簡便
懸滴法 液滴の形状 高い 少量で測定可能

測定方法の選択は、以下の要因を考慮して行います。

【測定方法選択の基準】
・必要な精度
・試料の量(大量か少量か)
・試料の性質(透明か不透明か、揮発性など)
・測定時間
・予算(装置のコスト)
・測定者の技術レベル

研究目的で高精度が必要な場合は、リング法やプレート法が適しています。品質管理で多くのサンプルを迅速に測定したい場合は、滴重法や最大泡圧法が便利です。試料が貴重で少量しかない場合は、懸滴法が有効ですね。

測定時の注意点と環境条件

表面張力の測定では、環境条件の管理が非常に重要です。

まず、温度管理が必須です。表面張力は温度に敏感で、水の場合、1℃の温度変化で約0.15 mN/m変化します。そのため、測定は恒温室で行うか、恒温槽を使用して試料温度を一定に保つ必要があります。

【測定環境の重要ポイント】
・温度:±0.1℃以内に制御(精密測定の場合)
・振動:測定装置を防振台に設置
・気流:ドラフトや空調の風を避ける
・湿度:揮発性液体の場合は管理が必要
・清浄度:埃や汚れを避ける

また、試料の清浄度も極めて重要です。微量の不純物や界面活性剤が混入すると、表面張力が大きく変化してしまいます。

汚染源 影響 対策
油脂 表面張力低下 容器の洗浄、手袋使用
洗剤残留 表面張力低下 十分なすすぎ、純水使用
埃・微粒子 測定値のばらつき フィルター濾過、クリーンベンチ使用
揮発性成分 組成変化 密閉容器、迅速測定

測定器具の清浄度も重要です。ガラス器具は、クロム硫酸混液で洗浄後、純水で十分にすすぎ、乾燥させて使用します。金属製の測定子(リングやプレート)は、洗浄後に火炎で焼いて有機物を除去することもあるのです。

【器具の洗浄手順例】
1. 洗剤で洗浄
2. 水道水で十分にすすぐ
3. 純水またはイオン交換水でさらにすすぐ
4. 乾燥(必要に応じて乾燥器使用)
5. 金属部品は火炎処理(油脂除去)

これらの注意点を守ることで、再現性の高い正確な測定が可能になります。

主な測定方法の原理と手順

続いては、主な表面張力測定方法の原理と具体的な手順を確認していきます。

毛細管上昇法による測定

毛細管上昇法は、最も古典的でシンプルな測定方法です。細い管に液体が上昇する高さから表面張力を求めます。

細いガラス管(毛細管)を液体に入れると、表面張力の働きで液体が管内を上昇します。この上昇高さhは、表面張力γと以下の関係があります。

毛細管上昇法の公式γ = (ρ g r h) / (2 cosθ)

γ:表面張力(N/m)
ρ:液体の密度(kg/m³)
g:重力加速度(9.8 m/s²)
r:毛細管の内半径(m)
h:液体の上昇高さ(m)
θ:接触角(rad)

水とガラスの場合、接触角θはほぼ0°なので、cosθ ≒ 1となり、式は簡略化されます。

【測定手順】
1. 内径が既知の清浄な毛細管を用意
2. 液体を清浄な容器に入れる
3. 毛細管を液体に垂直に立てる
4. 液体が上昇して安定するのを待つ
5. 上昇高さhを読み取る(メニスカスの最下部)
6. 公式に代入して表面張力を計算【計算例】
内径1.0mm(r = 0.0005m)の毛細管で水が3cmに上昇
ρ = 1000 kg/m³、h = 0.03m、θ ≒ 0°γ = (1000 × 9.8 × 0.0005 × 0.03) / (2 × 1)
γ = 0.0735 N/m = 73.5 mN/m

この方法の利点は装置が簡単なことですが、精密な内径の毛細管が必要で、接触角の影響も考慮する必要があります。

リング法(デュヌイ法)による測定

リング法は、現在最も広く使用されている測定方法の1つです。白金製のリングを液体表面から引き上げるときに必要な力を測定します。

白金製のリングを液体表面に浸し、ゆっくりと引き上げます。リングが液面から離れる瞬間の最大力を測定することで、表面張力を求めるのです。

リング法の公式γ = F / (4πR × f)

γ:表面張力(N/m)
F:リングを引き上げる最大力(N)
R:リングの半径(m)
f:補正係数(リングの太さと液体の密度による)

補正係数fは、リングの形状や液体の性質によって異なり、通常0.7〜1.0の値を取ります。正確な測定のためには、補正表や計算式を用いて求める必要があります。

【測定手順】
1. 白金リングを洗浄し、火炎で焼く
2. リングを力センサーに取り付ける
3. 容器に液体を入れる
4. リングを液面下約5mmに浸す
5. ゆっくりと一定速度でリングを引き上げる
6. 最大力Fを記録
7. 公式と補正係数を用いて表面張力を計算
項目 条件
リング材質 白金-イリジウム合金(清浄性が高い)
リング直径 通常20〜60mm
引き上げ速度 約0.5〜1.0 mm/s
測定精度 ±0.1 mN/m程度

リング法の利点は、測定が比較的簡単で再現性が高いことです。自動測定装置も多く市販されており、工業的な品質管理に広く使用されています。

プレート法(ウィルヘルミ法)による測定

プレート法は、薄い板(プレート)を液体表面から引き上げるときの力を測定する方法です。リング法と似ていますが、より高精度な測定が可能です。

白金製またはガラス製の薄い板を液体に垂直に浸し、液面との境界線にかかる力を測定します。プレートは液面から完全に引き抜く必要がなく、液面に接した状態で測定できるため、連続測定や時間変化の測定に適しています。

プレート法の公式γ = F / (L × cosθ)

γ:表面張力(N/m)
F:プレートにかかる力(N)
L:プレートの濡れ縁の長さ(m)
θ:接触角(rad)

完全に濡れる場合(θ = 0°):
γ = F / L

【測定手順】
1. 白金プレートまたはガラスプレートを洗浄
2. プレートを力センサーに取り付ける
3. プレートを液体に浸す(通常数mm)
4. 力の変化を記録(ゼロ点調整)
5. プレートの濡れ縁の長さLを測定
6. 公式から表面張力を計算【計算例】
幅20mm、厚さ0.2mmのプレート(両面濡れる)
濡れ縁の長さ L = 2 × (20 + 0.2) ≒ 40.4mm = 0.0404m
測定された力 F = 0.00294N、θ = 0°γ = 0.00294 / 0.0404 = 0.0728 N/m = 72.8 mN/m

プレート法の最大の利点は、時間変化を連続的に測定できることです。界面活性剤が吸着して表面張力が変化していく様子を追跡する研究などに適しています。

また、プレートを動かさずに測定できるため、機械的な振動の影響を受けにくく、高精度な測定が可能です。

その他の測定方法と特殊な技術

続いては、その他の測定方法や特殊な技術について見ていきます。

滴重法(液滴落下法)による測定

滴重法は、ノズルから落下する液滴の重さを測定する方法です。比較的簡便で迅速に測定できるため、工業的な品質管理によく用いられます。

細いノズルの先端から液体をゆっくりと押し出すと、表面張力によって液滴が形成されます。液滴がある大きさに達すると、重力が表面張力に打ち勝って液滴が落下します。この液滴の重さから表面張力を求めるのです。

滴重法の公式(簡略版)γ = (m g) / (2πr × f)

γ:表面張力(N/m)
m:1滴の質量(kg)
g:重力加速度(9.8 m/s²)
r:ノズルの外半径(m)
f:補正係数(ノズル形状による)

【測定手順】
1. 清浄なノズルを準備
2. 液体をノズルから非常にゆっくり滴下
3. 一定数の液滴(通常20〜50滴)を容器に集める
4. 液滴の総質量を測定
5. 1滴あたりの質量mを計算
6. 公式から表面張力を算出【注意点】
・滴下速度は非常に遅く(1分間に数滴程度)
・ノズルの外径と内径の比が重要
・補正係数の適用が必要

滴重法の利点は、装置が簡単で測定が迅速なことです。ただし、精度はリング法やプレート法より劣る傾向があり、補正が複雑という欠点もあります。

懸滴法・泡形法による測定

懸滴法は、液滴の形状を画像解析して表面張力を求める方法です。少量の試料で測定でき、高精度な結果が得られます。

ノズルの先端に吊り下げた液滴(懸滴)や、液体中に形成した気泡の形状は、表面張力と重力のバランスで決まります。この形状を撮影し、コンピュータで解析することで表面張力を算出するのです。

【懸滴法の原理】
液滴の形状は以下の要因で決まる:
・表面張力:液滴を球形にしようとする
・重力:液滴を変形させる形状パラメータ(最大直径、高さなど)を測定

ヤング・ラプラス方程式に基づく理論曲線とフィッティング

表面張力を算出
方法 対象 特徴
懸滴法 空気中の液滴 少量試料、高精度
浮上滴法 高密度液体中の液滴 界面張力測定に適する
泡形法 液体中の気泡 気液界面の測定

懸滴法の大きな利点は、必要な試料量が非常に少ない(数μL程度)ことです。また、密閉系で測定できるため、揮発性の液体や高温での測定にも適しています。

現在では、自動画像解析ソフトウェアを備えた測定装置が市販されており、迅速かつ高精度な測定が可能になっています。

最大泡圧法と動的測定

最大泡圧法は、液体中に気泡を形成するときの圧力から表面張力を求める方法です。短時間での表面張力変化を測定できる点が特徴です。

細い管(キャピラリー)の先端を液体中に浸し、気体を送り込んで気泡を形成します。気泡が最大に膨らむ瞬間(半球状)の圧力を測定することで、表面張力を求めるのです。

最大泡圧法の公式γ = (ΔP × r) / 2

γ:表面張力(N/m)
ΔP:最大圧力差(Pa)
r:キャピラリーの半径(m)

【最大泡圧法の特徴】
利点:
・界面活性剤の動的挙動を測定できる
・気泡形成時間を変えることで時間依存性を調べられる
・測定時間が短い(ミリ秒〜秒オーダー)用途:
・界面活性剤の吸着速度測定
・発泡性の評価
・短時間での表面張力変化の追跡

この方法は、界面活性剤が表面に吸着する過程を研究する際に特に有用です。気泡の形成速度を変えることで、吸着の時間依存性を詳しく調べることができるのです。

また、振動液滴法という動的測定法もあります。液滴に音波などで振動を与え、その振動特性から表面張力を求める方法で、非接触で測定できる利点があります。

接触角からの表面張力推定

続いては、接触角測定を用いた表面張力の推定方法について見ていきます。

接触角測定の基本

接触角θは、液滴が固体表面に置かれたときの角度です。液体と固体の境界線において、液体表面が固体表面となす角度を、液滴の内側で測ります。

接触角の測定は、比較的簡単に行えます。固体表面に液滴を置き、側面から撮影し、画像解析ソフトウェアで角度を測定するのです。

【接触角測定の手順】
1. 固体基板を清浄にする
2. 基板を水平に設置
3. マイクロシリンジで液滴(数μL)を置く
4. 側面から高解像度カメラで撮影
5. 画像解析ソフトで接触角を測定
6. 複数箇所で測定して平均値を求める

接触角は、液体の性質と固体表面の性質の両方を反映します。同じ液体でも、固体表面が変われば接触角は変わりますし、同じ固体でも、液体が変われば接触角は変わるのです。

接触角 濡れ性
0°〜30° 非常に良い 水とガラス
30°〜90° 良い 水と木材
90°〜120° 悪い 水とワックス
120°以上 非常に悪い 水と蓮の葉

ヤングの式を用いた表面張力の推定

接触角θ、固体の表面エネルギーγSG、固体-液体界面エネルギーγSL、液体の表面張力γLGの間には、ヤングの式という関係があります。

ヤングの式γSG = γSL + γLG × cosθ

または

cosθ = (γSG – γSL) / γLG

この式から分かるように、接触角だけから液体の表面張力を直接求めることはできません。固体の表面エネルギーγSGと固体-液体界面エネルギーγSLも必要になるのです。

しかし、逆の使い方ができます。表面張力が既知の複数の液体で接触角を測定すれば、固体の表面エネルギーを推定できるのです。

【固体表面エネルギーの推定手順】
1. 表面張力が既知の複数の液体を用意
(例:水、グリセリン、ジヨードメタンなど)
2. 各液体の接触角を測定
3. ヤングの式と関連する理論式を組み合わせる
4. 固体の表面エネルギーと各成分を算出

この方法は、Owens-Wendt法、Fowkes法、Wu法など、いくつかのアプローチがあります。これらの方法では、表面エネルギーを極性成分と分散成分に分けて解析するのです。

Zisman法による臨界表面張力

Zisman法は、接触角測定から固体の臨界表面張力を求める経験的な方法です。

表面張力が異なる複数の液体(通常は同族体の系列)で接触角を測定し、cosθと液体の表面張力γLGの関係をプロットします。このプロットをcosθ = 1(θ = 0°、完全に濡れる)まで外挿したときのγLGの値を、固体の臨界表面張力γcと呼びます。

Zisman法の手順1. 同族体液体(例:アルカン系列)で接触角測定
2. cosθ vs γLGをプロット
3. 直線外挿してcosθ = 1となる点を求める
4. そのときのγLG = γc(臨界表面張力)
【代表的な材料の臨界表面張力】
・ポリテトラフルオロエチレン(テフロン):約18 mN/m
・ポリエチレン:約31 mN/m
・ポリスチレン:約33 mN/m
・ナイロン:約46 mN/m
・ガラス:約70 mN/m以上

臨界表面張力γcは、その固体表面を完全に濡らすために必要な液体の表面張力の目安を与えます。γLG < γcなら濡れやすく、γLG > γcなら濡れにくいと判断できるのです。

この方法は、塗料やインクが特定の基材に適しているかどうかを判断する際に有用です。塗料の表面張力が基材の臨界表面張力より低ければ、塗料は基材表面によく広がり、密着性が良好になると予測できます。

まとめ 表面張力の求め方・計算方法は【接触角等】

本記事では、表面張力の測定方法や求め方、計算方法について、原理から具体的な手順まで詳しく解説してきました。

表面張力の測定方法には、毛細管上昇法、リング法、プレート法、滴重法、懸滴法、最大泡圧法など、様々な方法があります。それぞれに特徴があり、測定目的、精度要求、試料の性質に応じて適切な方法を選択することが重要です。

最も広く使用されているのはリング法で、比較的簡便で再現性が高いという利点があります。高精度が必要な場合はプレート法、少量試料の場合は懸滴法、動的な測定が必要な場合は最大泡圧法が適しています。

また、接触角測定を通じて、間接的に表面張力に関する情報を得ることもできます。ヤングの式やZisman法を用いることで、固体の表面エネルギーや臨界表面張力を推定できるのです。

測定時には、温度管理、試料の清浄度、測定環境の制御が極めて重要です。これらの条件を適切に管理することで、信頼性の高いデータが得られるでしょう。表面張力の正確な測定は、材料開発、品質管理、基礎研究など、様々な分野で重要な役割を果たしています。