小学生の算数で学ぶ図形の中でも、ひし形は少し特殊な存在かもしれません。正方形とも平行四辺形とも違う、独特の性質を持つ図形です。
ひし形の面積を求める方法は複数あり、与えられた情報によって使い分ける必要があります。対角線の長さがわかっている場合、一辺の長さと高さがわかっている場合、あるいは角度がわかっている場合など、状況に応じた計算方法を知っておくことが大切でしょう。
本記事では、ひし形の面積を求めるための基本的な公式から、対角線がわからないときの計算方法、さらには小学生でも理解できる具体的な問題例まで、幅広く解説していきます。
それぞれの公式の使い分けや、実際の計算の流れを丁寧に確認していきましょう。
ひし形の面積計算をマスターすれば、図形問題への苦手意識もきっと解消されるはずです。
ひし形の面積の基本公式と求め方
それではまず、ひし形の面積の基本公式と求め方について解説していきます。
ひし形の面積を求める最も基本的な方法は、二本の対角線の長さを使う公式です。
この公式は小学生が最初に習う方法で、視覚的にも理解しやすい特徴があります。
対角線を使った面積公式
ひし形の面積を求める基本中の基本となるのが、対角線を使った公式です。
ひし形の面積 = 対角線①×対角線②÷2
この公式は非常にシンプルで覚えやすいですね。ひし形には二本の対角線があり、それらは互いに垂直に交わるという性質を持っています。
この垂直に交わる二本の対角線が作る長方形の半分が、ひし形の面積になるというイメージです。
なぜ2で割るのかというと、対角線で囲まれた長方形の面積の半分がひし形の面積になるからなのです。これは実際に図を描いて確認すると、とてもわかりやすいでしょう。
【例題1】対角線の長さが8cmと6cmのひし形の面積を求めましょう。
面積 = 8×6÷2 = 48÷2 = 24cm²
答え:24cm²
このように、対角線の長さがわかっていれば、掛け算と割り算だけで簡単に面積が求められます。
ひし形の性質と面積の関係
ひし形には、面積を求める上で重要な性質がいくつかあります。
まず、ひし形の四つの辺はすべて等しい長さです。これは正方形と同じ性質ですね。ただし、正方形と違って、ひし形の角度は必ずしも90度ではありません。
次に、ひし形の対角線は互いに垂直に交わり、それぞれの対角線を二等分します。この性質が、先ほどの面積公式の根拠となっているのです。
さらに、ひし形は平行四辺形の一種でもあります。
つまり、平行四辺形の面積公式も使えるということ。この点については、次の見出しで詳しく見ていきましょう。
面積公式の覚え方のコツ

ひし形の面積公式を忘れないためのコツをいくつか紹介します。
「対角線×対角線÷2」という公式は、「たて×よこ÷2」と覚えると良いでしょう。対角線が作る十字の縦と横と考えれば、イメージしやすくなります。
また、三角形の面積公式「底辺×高さ÷2」と似ている点にも注目してください。実際、ひし形を対角線で分割すると、四つの直角三角形ができます。これらの三角形の面積を合計する方法でも、同じ結果が得られるのです。
図を描きながら覚えると、より記憶に定着しやすいはずです。実際に方眼紙などにひし形を描いて、対角線を引いてみると理解が深まるでしょう。
対角線がわからないときの面積の求め方
続いては対角線がわからないときの面積の求め方を確認していきます。
問題によっては、対角線の長さが直接与えられていない場合もあります。
そんなときは、一辺の長さと高さを使った平行四辺形の公式を適用できます。ひし形も平行四辺形の仲間なので、この公式が使えるのです。
底辺×高さの公式を使う方法
ひし形は平行四辺形の特殊な形なので、平行四辺形の面積公式がそのまま使えます。
ひし形の面積 = 底辺×高さ
ここでいう底辺とは、ひし形の一辺のことです。そして高さとは、その底辺に対して垂直に引いた線の長さを指します。この高さは、対角線とは異なる概念なので注意が必要でしょう。
高さは、ひし形の頂点から底辺に向かって垂直に下ろした線分の長さです。定規で測ったり、三角定規を使って作図したりして求めることができます。
【例題2】一辺が5cm、高さが4cmのひし形の面積を求めましょう。
面積 = 5×4 = 20cm²
答え:20cm²
この方法は計算が非常にシンプルで、掛け算一回で答えが出るのが魅力です。
一辺の長さと角度から求める方法
もう少し発展的な内容になりますが、一辺の長さと角度がわかっている場合の求め方も紹介しましょう。
ひし形の一辺の長さをa、隣り合う角の大きさをθとすると、次の公式が使えます。
ひし形の面積 = a×a×sinθ = a²×sinθ
この公式は中学生以降で習う三角比を使った方法です。小学生には少し難しいかもしれませんが、一辺の長さと角度だけで面積が計算できるという便利な公式として覚えておくと良いでしょう。
例えば、一辺が6cmで角度が30度のひし形なら、面積 = 6×6×sin30° = 36×0.5 = 18cm²となります。
対角線の長さを計算で求める方法
対角線が直接わからなくても、他の情報から計算で求められる場合があります。
例えば、一辺の長さと一方の対角線の長さがわかっていれば、三平方の定理(ピタゴラスの定理)を使ってもう一方の対角線が計算できます。ひし形の対角線は互いに垂直に交わり、それぞれを二等分するという性質を利用するのです。
| 与えられる情報 | 使用する公式 | 計算の難易度 |
|---|---|---|
| 対角線2本 | 対角線①×対角線②÷2 | 易しい |
| 底辺と高さ | 底辺×高さ | 易しい |
| 一辺と角度 | 一辺²×sinθ | やや難しい |
| 一辺と対角線1本 | 三平方の定理→対角線公式 | 難しい |
このように、状況に応じて適切な公式を選ぶことが、ひし形の面積計算のポイントとなります。
小学生向けのひし形面積の練習問題
それでは、小学生向けのひし形面積の練習問題について見ていきましょう。
実際に問題を解いてみることで、公式の使い方が身につきます。
段階的に難易度を上げながら、様々なパターンの問題に挑戦していきましょう。
基本レベルの問題
まずは、対角線の長さが明確に与えられている基本的な問題から始めます。
【問題1】対角線の長さが10cmと12cmのひし形の面積を求めなさい。
解き方:面積 = 10×12÷2 = 120÷2 = 60cm²
答え:60cm²
この問題は公式に数値を当てはめるだけなので、とても簡単ですね。計算ミスに注意しながら、確実に答えを出しましょう。
【問題2】一辺が8cm、高さが6cmのひし形の面積を求めなさい。
解き方:面積 = 8×6 = 48cm²
答え:48cm²
この問題は平行四辺形の公式を使うパターンです。対角線ではなく高さが与えられている点に注目してください。
応用レベルの問題
次に、少し考える必要がある応用問題に挑戦してみましょう。
【問題3】面積が54cm²で、一方の対角線が9cmのひし形があります。もう一方の対角線の長さを求めなさい。
解き方:54 = 9×対角線②÷2
54×2 = 9×対角線②
108 = 9×対角線②
対角線② = 108÷9 = 12cm
答え:12cm
この問題は、面積の公式を逆に使う問題です。与えられた情報から逆算する力が試されますね。
【問題4】下の図のように、ひし形の中に三角形が描かれています。三角形の面積が15cm²のとき、ひし形全体の面積を求めなさい。
(対角線で4つに分けた三角形の1つという設定)
解き方:ひし形は対角線で4つの等しい三角形に分けられるので、
ひし形の面積 = 15×4 = 60cm²
答え:60cm²
この問題は、ひし形の性質を理解していないと解けません。対角線が互いに垂直に交わり、四つの等しい三角形を作るという性質を活用しています。
文章題・実生活に関連した問題
最後に、実生活に関連した文章題を見ていきましょう。
【問題5】凧の形がひし形になっています。竹ひごを対角線の位置に縦60cm、横40cmの長さで組み合わせました。この凧の布の面積は何cm²でしょうか。
解き方:凧の形はひし形なので、
面積 = 60×40÷2 = 2400÷2 = 1200cm²
答え:1200cm²
凧はひし形の代表的な実例です。身近なものとひし形を結びつけることで、算数がより実感を持って理解できるでしょう。
【問題6】ひし形の花壇があります。一辺が3m、高さが2.5mです。この花壇の面積は何m²でしょうか。
解き方:面積 = 3×2.5 = 7.5m²
答え:7.5m²
単位がcmからmに変わっていることに注意しましょう。実生活では様々な単位が使われるため、単位の変換にも慣れておく必要があります。
ひし形と他の図形の面積比較と関連性
続いてはひし形と他の図形の面積比較と関連性を確認していきます。
ひし形を他の図形と比較することで、図形の特徴や面積公式の違いがより明確に理解できるようになります。特に正方形や平行四辺形との関係は重要でしょう。
正方形とひし形の違いと共通点
正方形もひし形の一種だということを知っていますか。
正方形は、四つの辺がすべて等しく、かつ四つの角がすべて90度の図形です。一方、ひし形は四つの辺がすべて等しいけれど、角度は90度とは限りません。
つまり、正方形は特殊なひし形だと言えるのです。
正方形の面積は「一辺×一辺」で求めますね。これは実は、ひし形の公式「底辺×高さ」において、底辺と高さが等しくなった特殊なケースなのです。
また、正方形の対角線は等しい長さで、互いに垂直に交わります。対角線を使った面積公式でも計算できますが、一辺の長さを使う方が簡単ですね。
平行四辺形とひし形の関係
平行四辺形とひし形は密接な関係にあります。
平行四辺形は、向かい合う辺が平行で等しい四角形です。ひし形は、この条件に加えて「すべての辺が等しい」という条件を満たした特殊な平行四辺形なのです。
| 図形 | 辺の特徴 | 角の特徴 | 面積公式 |
|---|---|---|---|
| 平行四辺形 | 向かい合う辺が等しい | 向かい合う角が等しい | 底辺×高さ |
| ひし形 | すべての辺が等しい | 向かい合う角が等しい | 底辺×高さ または 対角線①×対角線②÷2 |
| 正方形 | すべての辺が等しい | すべての角が90度 | 一辺×一辺 |
| 長方形 | 向かい合う辺が等しい | すべての角が90度 | 縦×横 |
この表を見ると、四角形の仲間たちがどのような関係にあるかがよくわかりますね。ひし形は平行四辺形の一種であり、正方形はひし形の一種でもあるのです。
三角形との面積の関係
ひし形と三角形には、面積に関する興味深い関係があります。
ひし形を対角線で二つに分けると、二つの合同な三角形ができます。つまり、ひし形の面積は、この三角形の面積の2倍というわけです。
また、ひし形を両方の対角線で分けると、四つの合同な直角三角形ができます。これらの三角形一つの面積は、ひし形全体の面積の4分の1になります。
【関係性の例】対角線が8cmと6cmのひし形の場合
ひし形の面積 = 8×6÷2 = 24cm²
対角線で二分した三角形一つの面積 = 24÷2 = 12cm²
対角線で四分した直角三角形一つの面積 = 24÷4 = 6cm²
このように、図形を分割することで面積の関係性が見えてきます。図形問題では、こうした関係性を理解しておくと、複雑な問題も解きやすくなるでしょう。
まとめ
ひし形の面積の求め方について、基本的な公式から応用的な計算方法まで詳しく解説してきました。
最も基本となるのは「対角線①×対角線②÷2」という公式で、これは小学生が最初に学ぶ方法です。ひし形の二本の対角線が垂直に交わるという性質を利用した、視覚的にも理解しやすい公式でしょう。
対角線がわからない場合は、「底辺×高さ」という平行四辺形の公式が使えます。ひし形も平行四辺形の一種なので、この公式を適用できるのです。さらに発展的には、一辺の長さと角度から三角比を使って求める方法もあります。
小学生向けの練習問題では、基本的な計算から応用問題、実生活に関連した文章題まで取り上げました。様々なパターンの問題に触れることで、状況に応じた公式の使い分けができるようになるはずです。
また、正方形や平行四辺形といった他の四角形との関係を理解することで、ひし形の特徴がより明確になります。すべての辺が等しいという性質が、ひし形を特別な図形にしているのですね。ひし形の面積計算は、与えられた情報を正しく読み取り、適切な公式を選んで計算するという、算数の基本的な力を養う良い教材です。
この記事で学んだ内容を活かして、ぜひ様々な問題に挑戦してみてください。