科学

ゴムの耐油性とは?材質別の特性を解説!(NBR・FKM・耐油ゴム・膨潤・用途など)

当サイトでは記事内に広告を含みます
いつも記事を読んでいただきありがとうございます!!! これからもお役に立てる各情報を発信していきますので、今後ともよろしくお願いします(^^)/

自動車のオイルシールや工業用パッキンなど、油と接する部品には必ずゴム材料が使われています。

しかし一口にゴムと言っても、種類によって油への強さはまったく異なります。

そもそもゴムの耐油性とは何を意味しているのでしょうか。

この記事では、耐油性の基本的な考え方から、NBRやFKMをはじめとする材質別の特徴、そして膨潤という現象や用途選びのポイントまで、幅広く解説していきます。

ゴムの耐油性とは?材質別の特性を解説!というテーマのもと、実務で失敗しない選定の視点も紹介します。

部品選定や設計に携わる方はもちろん、ゴム素材に初めて触れる方にも役立つ内容を目指しました。

ぜひ最後までご覧ください。

ゴムの耐油性とは何か 結論から解説

それでは、まずゴムの耐油性とは何かという結論部分について解説していきます。

結論から言うと、ゴムの耐油性とは油に接触しても体積の変化や強度低下が起こりにくい性質のことです。

一般的なゴムは油に触れると内部に油分を吸い込み、膨らんでしまう性質を持っています。

この現象が膨潤と呼ばれるものです。

耐油性が高いゴムほど、この膨潤や硬度変化、強度低下が抑えられます。

ゴムの耐油性の基本的な意味

耐油性とは、鉱物油や燃料油、潤滑油などにさらされた状態でも物性の変化が少ない性質を指します。

具体的には体積変化率、硬度変化、引張強さの変化などで数値化されるのが一般的です。

数値が小さいほど、油による影響を受けにくい優秀な材質と言えるでしょう。

逆に耐油性の低いゴムを油環境で使うと、短期間で劣化してしまいます。

耐油性が求められる理由

自動車部品や産業機械には、エンジンオイルや作動油、燃料などが常に流れています。

これらに接するシール材やホース、ガスケットが劣化してしまうと、油漏れや機能不全に直結します。

安全性やメンテナンス頻度に直結するため、耐油性は非常に重要な選定基準なのです。

特に高温環境や長期使用が前提となる部品では、耐油性の差が寿命を大きく左右します。

結論 用途に応じた材質選定が重要

ゴムの耐油性は一種類の指標だけでは語れません。

接触する油の種類、使用温度、求められる耐用年数によって最適な材質は変わります。

そのため、代表的な耐油ゴムであるNBRやFKMなどの特性を正しく理解した上で、用途に合わせて選定することが結論として最も重要です。

次の見出しからは、そもそもなぜゴムが油で劣化するのか、そのメカニズムを見ていきましょう。

ゴムが油で劣化するメカニズムについて

続いては、ゴムが油によって劣化するメカニズムについて確認していきます。

耐油性を理解するには、まず劣化の仕組みを知ることが近道です。

ゴムは網目状の高分子構造でできており、この隙間に油分子が入り込むことで様々な変化が起こります。

膨潤とは何か

膨潤とは、ゴムが油や溶剤を吸収して体積が増加する現象のことです。

ゴムの分子構造と油の分子構造が似ている性質同士だと、油はゴムの内部に浸透しやすくなります。

いわゆる相溶性が高い組み合わせほど、膨潤が起こりやすいと考えられています。

例えば非極性のゴムであるNRやSBRに鉱物油を接触させると、大きく膨潤することが知られています。

一方でNBRのように極性を持つゴムは、鉱物油に対して膨潤しにくい構造になっています。

膨潤が進むと、ゴムは柔らかくなり、寸法も変化してしまいます。

油による劣化のプロセス

油による劣化は、膨潤だけでは終わりません。

油分がゴム内部の可塑剤や添加剤を溶かし出してしまうケースもあります。

これにより、ゴムはさらに硬化したり、逆にもろくなったりするのです。

高温環境ではこの反応が加速し、ひび割れや亀裂につながることも少なくありません。

密封性が求められるOリングやパッキンでは、わずかな劣化でも漏れの原因になるでしょう。

膨潤度の測定方法

膨潤度は、油に浸漬する前後の体積や質量を比較することで測定されます。

体積変化率の計算式は 体積変化率(%)=(浸漬後の体積-浸漬前の体積)÷浸漬前の体積×100 という形で表されます。

JIS規格やASTM規格に基づき、一定の温度と時間で試験片を油に浸漬して数値を算出します。

この数値が小さいほど、耐油性が高い材質と評価されます。

次は、こうした試験でも高評価を得ているNBRの特性について見ていきましょう。

NBR(ニトリルゴム)の特性について

続いては、代表的な耐油ゴムであるNBRの特性について確認していきます。

NBRはニトリルブタジエンゴムの略称で、耐油ゴムの代名詞とも言える存在です。

NBRの基本特性

NBRはアクリロニトリルとブタジエンを共重合させて作られる合成ゴムです。

アクリロニトリルの含有量が多いほど耐油性が向上する一方で、耐寒性は低下する傾向があります。

このバランスをどう取るかが、NBRを選定する上でのポイントと言えるでしょう。

耐摩耗性や機械的強度にも優れており、汎用性の高いゴムとして広く使われています。

NBRの耐油性能

NBRは鉱物油や燃料油に対して優れた耐性を発揮します。

ガソリンや軽油、潤滑油などに接する部品において、標準的に採用される材質です。

ただし耐熱性はそれほど高くなく、一般的な使用上限温度は120度前後とされています。

高温環境で長期間使用すると、硬化やひび割れが進行することがあるため注意が必要でしょう。

また、オゾンや紫外線には弱く、屋外での長期使用にはあまり向いていません。

NBRの主な用途

NBRは自動車のオイルシール、燃料ホース、パッキンなど多岐にわたって使用されています。

コストパフォーマンスに優れているため、産業機械のガスケットにも頻繁に採用されます。

身近なところでは、ゴム手袋や靴底にもNBRが使われることがあります。

耐油性とコストのバランスを重視する場面では、まず検討すべき材質と言えるでしょう。

続いては、より過酷な環境に対応できるFKMの特性を見ていきます。

FKM(フッ素ゴム)の特性について

続いては、高性能な耐油ゴムとして知られるFKMの特性について確認していきます。

FKMはフッ素ゴムの略称で、フッ素樹脂の一種を原料とした合成ゴムです。

FKMの基本特性

FKMは分子構造中にフッ素原子を多く含んでおり、化学的に非常に安定しています。

この安定した構造により、油だけでなく様々な薬品に対しても高い耐性を持っています。

耐候性や耐オゾン性にも優れているため、屋外での使用にも適しているのが特徴です。

一方で、低温環境では硬化しやすく、耐寒性はNBRなどに比べて劣る傾向があります。

FKMの耐油性能と耐熱性

FKMは数ある耐油ゴムの中でもトップクラスの耐油性を誇ります。

高温の潤滑油やエンジンオイルに長時間さらされても、膨潤や劣化が起こりにくい性質を持っています。

使用可能温度は200度を超えることもあり、耐熱性の高さも大きな強みです。

NBRでは対応が難しい高温高圧環境や、腐食性の強い薬品を扱う環境では、FKMが第一候補となるケースが多く見られます。

ただし、その分コストが高くなる点は事前に理解しておく必要があるでしょう。

FKMの主な用途とコスト

FKMは自動車のエンジン周りのシール材や、航空機部品などに採用されています。

半導体製造装置や化学プラントの配管シールにも使われることが多いでしょう。

高性能である分、NBRと比較すると材料コストは数倍になることも珍しくありません。

コストと性能のどちらを優先するか、用途に応じた見極めが欠かせません。

続いては、NBRやFKM以外の耐油ゴムについて比較しながら見ていきましょう。

その他の耐油ゴム材質との比較について

続いては、CRやACMなど、その他の耐油ゴム材質について確認していきます。

耐油ゴムはNBRとFKMだけではありません。

用途によっては、これから紹介する材質のほうが適している場合もあります。

CR(クロロプレンゴム)の特性

CRはクロロプレンゴムの略称で、耐油性と耐候性のバランスに優れた材質です。

NBRほどの耐油性はありませんが、耐オゾン性や機械的強度は高い水準にあります。

屋外で使用され、なおかつある程度の油との接触が想定される部品に向いているでしょう。

電線の被覆材やベルト、防振ゴムなどに使用されることが多い材質です。

ACM(アクリルゴム)の特性

ACMはアクリルゴムの略称で、耐熱性と耐油性を両立させた材質です。

特に高温の潤滑油や自動変速機のオイルに対する耐性に優れています。

ただし耐水性や耐寒性はやや低く、水分の多い環境には不向きと言えるでしょう。

自動車のトランスミッション関連部品でよく採用される材質です。

材質別耐油性比較表

ここまで紹介してきた材質の特性を、表にまとめて比較してみましょう。

材質名 耐油性 耐熱性 耐寒性 主な用途
NBR(ニトリルゴム) 良好 普通 普通 オイルシール、燃料ホース
FKM(フッ素ゴム) 非常に良好 非常に良好 やや弱い 高温シール、化学プラント
CR(クロロプレンゴム) 普通 普通 普通 ベルト、防振ゴム
ACM(アクリルゴム) 良好 良好 弱い トランスミッション部品
EPDM 弱い 良好 良好 水回りパッキン、屋外用品

こうして並べてみると、それぞれの材質に一長一短があることがわかります。

耐油性だけを重視するのではなく、耐熱性や耐寒性とのバランスで選ぶ視点が大切でしょう。

なお、EPDMは耐油性が低いため油環境には不向きですが、耐候性や耐水性に優れているという特徴があります。

油に触れない部位との使い分けも、設計上のポイントになるはずです。

続いては、実際に耐油ゴムを選定する際の注意点を確認していきましょう。

耐油ゴムの選定ポイントと注意点について

続いては、耐油ゴムを選定する際の具体的なポイントと注意点について確認していきます。

ここまでの材質特性を踏まえた上で、実務でどう選べばよいのでしょうか。

使用する油の種類を確認する

まず確認すべきは、どのような油に接触するのかという点です。

一口に油と言っても、鉱物油、合成油、植物油、燃料油など種類は様々です。

油の種類によって、相性の良いゴム材質は異なります。

例えば同じ耐油ゴムでも、ある油には強くても別の油には弱いというケースは珍しくありません。

メーカーが公開している耐薬品性一覧表などを参考に、事前確認しておくことをおすすめします。

使用温度環境を考慮する

次に重要なのが、部品が使われる温度環境です。

常温での耐油性が高くても、高温になると急激に性能が低下する材質もあります。

逆に、寒冷地では低温での柔軟性が求められるでしょう。

耐油性と耐熱性、耐寒性はそれぞれ独立した特性であり、すべてを兼ね備えた万能なゴムは存在しません。

使用環境の最高温度と最低温度を明確にした上で、材質を絞り込んでいくことが失敗しない選定の近道です。

コストと入手性のバランス

最後に忘れてはならないのが、コストと入手性の観点です。

FKMのような高性能材質は魅力的ですが、コストが数倍に膨れ上がることもあります。

過剰なスペックを求めすぎると、コスト面で本末転倒になってしまうかもしれません。

圧縮永久ひずみや硬度といった付随する物性値、そして部材の入手のしやすさも含めて総合的に判断しましょう。

設計段階からゴムメーカーに相談し、実際の使用条件に基づいたサンプル試験を行うのも有効な方法です。

まとめ

今回は、ゴムの耐油性とは?材質別の特性を解説!というテーマで、NBRやFKMをはじめとする耐油ゴムの特性を紹介してきました。

ゴムの耐油性とは、油に接触しても膨潤や劣化が起こりにくい性質のことでした。

NBRはコストと耐油性のバランスに優れ、幅広い用途で使われる定番材質です。

FKMは高温や薬品への耐性が非常に高く、過酷な環境での使用に適しています。

CRやACM、EPDMなど、それぞれ異なる特徴を持つ材質も存在します。

大切なのは、接触する油の種類や使用温度、コストを総合的に考慮した上で材質を選ぶことです。

ぜひ本記事を参考に、用途に合った耐油ゴムを選んでみてください。