微分を使ってグラフを描くことは、関数の性質を視覚的に理解する上で非常に重要です。導関数の符号を調べることで、関数の増減や極値、グラフの凹凸などを系統的に把握できます。増減表を作成することで、複雑な関数のグラフも正確に描けるようになるでしょう。
この記事では、微分を使ったグラフの書き方と増減表の作り方について、極値の求め方から変曲点の判定まで詳しく解説していきます。単調増加・単調減少の判定方法や、グラフの概形を描く手順を理解していきましょう。
微分を使ったグラフの書き方の基本
それではまず、微分を使ってグラフを描く基本的な考え方について解説していきます。
導関数の符号とグラフの増減
導関数f’(x)の符号が、グラフの増減を決定します
。
f'(x)>0となる区間では、関数f(x)は増加しています。グラフは右上がりになるのです。
f'(x)<0となる区間では、関数f(x)は減少しています。グラフは右下がりになります。
f'(x)=0となる点は、増加から減少、または減少から増加への転換点となる可能性があり、極値を持つ候補点でしょう。
【導関数の符号と増減】
f'(x)>0 → f(x)は増加(単調増加)
f'(x)<0 → f(x)は減少(単調減少)
f'(x)=0 → 極値の候補点
グラフを描く基本手順
微分を使ってグラフを描く基本的な手順は、次のようになります。
ステップ1:関数f(x)を微分してf'(x)を求める
ステップ2:f'(x)=0となるxの値を求める(極値の候補)
ステップ3:増減表を作成する
ステップ4:極値やy切片などの重要な点の座標を計算する
ステップ5:増減表をもとにグラフの概形を描く
この手順に従えば、系統的にグラフの概形を把握できるでしょう。
重要なポイントの確認
グラフを描く際に確認すべき重要なポイントがあります。
y切片:x=0を代入してf(0)を計算
x切片:f(x)=0を解く(可能な場合)
極値:f'(x)=0となる点での関数の値
漸近線:極限lim[x→∞]f(x)や分母がゼロになる点を調べる
これらの情報を総合することで、正確なグラフが描けるようになるのです。
| f'(x)の符号 | f(x)の増減 | グラフの向き |
|---|---|---|
| f'(x)>0 | 増加 | 右上がり / |
| f'(x)=0 | 極値の可能性 | 水平 ― |
| f'(x)<0 | 減少 | 右下がり \ |
増減表の作り方
続いては、増減表の具体的な作り方について確認していきます。
増減表とは何か
増減表は、関数の増減を表にまとめたもの
です。横軸にxの値、縦軸にf’(x)とf(x)を配置し、関数の振る舞いを一目で把握できるようにします。
増減表を作ることで、どの区間で関数が増加または減少しているか、どこに極値があるかが明確になるのです。
増減表の作成手順
具体例として、f(x)=x³-3x²の増減表を作ってみましょう。
ステップ1:f'(x)=3x²-6x=3x(x-2)を求める
ステップ2:f'(x)=0となるxを求める → x=0, 2
ステップ3:表の骨組みを作る
| x | … | 0 | … | 2 | … |
|---|---|---|---|---|---|
| f'(x) | 0 | 0 | |||
| f(x) |
ステップ4:各区間でf'(x)の符号を調べる
x<0のとき:f'(x)=3x(x-2)で、x<0、x-2<0なので、f'(x)>0
0<x<2のとき:x>0、x-2<0なので、f'(x)<0
x>2のとき:x>0、x-2>0なので、f'(x)>0
完成した増減表
符号を記入し、f(x)の増減を矢印で表すと、次のようになります。
| x | … | 0 | … | 2 | … |
|---|---|---|---|---|---|
| f'(x) | + | 0 | – | 0 | + |
| f(x) | ↗ | 0(極大) | ↘ | -4(極小) | ↗ |
x=0でf(0)=0(極大値)、x=2でf(2)=8-12=-4(極小値)となります。
この増減表から、関数はx=0で極大、x=2で極小を取り、x<0と2<xで増加、0<x<2で減少していることがわかるでしょう。
【増減表の記号】
+:f'(x)>0(正)
-:f'(x)<0(負)
0:f'(x)=0
↗:f(x)増加
↘:f(x)減少
極値の求め方と判定方法
続いては、極値の求め方と極大・極小の判定方法について確認していきます。
極値とは何か
極値とは、関数がある点の近くで最大または最小となる値
です。
極大値:ある点の近くで、その点での関数の値が最も大きい
極小値:ある点の近くで、その点での関数の値が最も小さい
極大値と極小値を合わせて極値と呼びます。極値は必ずしも関数全体での最大値・最小値とは限らないことに注意が必要でしょう。
極値の判定条件
x=aで極値を取るための条件を見ていきましょう。
必要条件:f'(a)=0(微分係数がゼロ)
十分条件:f'(a)=0かつ、x=aの前後でf'(x)の符号が変わる
【極値の判定】
極大:f'(x)が正→ゼロ→負と変化(+ → 0 → -)
極小:f'(x)が負→ゼロ→正と変化(- → 0 → +)
極値なし:f'(x)の符号が変わらない
例えば、f(x)=x³の場合、f'(x)=3x²よりf'(0)=0ですが、f'(x)の符号はx=0の前後で変わらず常に正(x≠0)なので、x=0では極値を取りません。
2階微分による判定
2階微分f’’(x)を使うと、より簡単に極値を判定できます。
f'(a)=0かつf”(a)>0ならば、x=aで極小
f'(a)=0かつf”(a)<0ならば、x=aで極大
f'(a)=0かつf”(a)=0の場合は、この方法では判定できず、符号変化を調べる必要があるのです。
例:f(x)=x³-3x²の場合
f'(x)=3x²-6x、f”(x)=6x-6
x=0:f”(0)=-6<0より極大
x=2:f”(2)=6>0より極小
| 条件 | 判定結果 |
|---|---|
| f'(a)=0、f”(a)>0 | x=aで極小 |
| f'(a)=0、f”(a)<0 | x=aで極大 |
| f'(a)=0、f”(a)=0 | 判定不能(符号変化を調べる) |
| f'(x)の符号変化あり | 極値あり |
| f'(x)の符号変化なし | 極値なし |
変曲点とグラフの凹凸
続いては、変曲点とグラフの凹凸について確認していきます。
凹凸の判定
2階微分f’’(x)の符号が、グラフの凹凸を決定します
。
f”(x)>0の区間では、グラフは下に凸(上向きに凹)です。
f”(x)<0の区間では、グラフは上に凸(下向きに凹)です。
【凹凸の判定】
f”(x)>0 → 下に凸(∪型)
f”(x)<0 → 上に凸(∩型)
変曲点とは
変曲点は、グラフの凹凸が変わる点です。
f”(x)=0となり、かつf”(x)の符号がその前後で変わる点が変曲点になります。変曲点では、グラフの曲がり方が変化するのです。
例:f(x)=x³の場合
f'(x)=3x²、f”(x)=6x
f”(x)=0となるのはx=0
x<0でf”(x)<0(上に凸)、x>0でf”(x)>0(下に凸)
したがって、x=0が変曲点となります。
具体例:y=x³-3x²のグラフ
先ほどの増減表をもとに、実際のグラフの概形を考えてみましょう。
極大値:(0, 0)
極小値:(2, -4)
y切片:f(0)=0
変曲点を求めると、f”(x)=6x-6=0よりx=1、f(1)=-2
これらの情報から、グラフは次のような形になります。
x<0で増加(下に凸)→ x=0で極大 → 0<x<1で減少(上に凸)→ x=1で変曲点 → 1<x<2で減少(下に凸)→ x=2で極小 → x>2で増加(下に凸)
増減表と凹凸の情報を組み合わせることで、関数のグラフをより正確に描くことができます。極値だけでなく、変曲点も把握することが重要です。
| x | … | 0 | … | 1 | … | 2 | … |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| f”(x) | – | – | – | 0 | + | + | + |
| 凹凸 | 上に凸 | 上に凸 | 上に凸 | 変曲点 | 下に凸 | 下に凸 | 下に凸 |
まとめ
微分を使ったグラフの書き方と増減表の作り方について詳しく解説してきました。
導関数f'(x)の符号から関数の増減を判定し、f'(x)=0となる点で極値の候補を見つけます。増減表を作成することで、関数の全体的な振る舞いを系統的に把握できるでしょう。
極値はf'(x)の符号変化または2階微分f”(x)の符号で判定できます。f”(x)>0なら極小、f”(x)<0なら極大です。また、f”(x)の符号はグラフの凹凸を表し、符号が変わる点が変曲点となるのです。
増減表、極値、変曲点、凹凸といった情報を総合することで、複雑な関数のグラフも正確に描けるようになります。これらの技法をマスターすることが、微分の応用力を高める鍵となるはずです。