電気設備や電気機器を扱う現場では、「地絡(読み方:ちらく)」という言葉をよく耳にします。
しかし、地絡とは一体何なのか、そして地絡が発生するとどのような問題が起こるのかについて、詳しく理解している方は意外と少ないかもしれません。
地絡は電気系統における重要な故障の一つであり、適切に対処しなければ火災や感電事故などの深刻な問題を引き起こす可能性があります。
電気工事に携わる技術者はもちろん、一般の方々も地絡について基本的な知識を持っておくことは、安全な電気の利用において非常に重要です。
このような背景もあり、この記事では地絡の基本的な仕組みから、地絡が発生した際の具体的な影響、そして火災リスクまで、わかりやすく解説していきます。
地絡とは?読み方もわかりやすく・簡単に解説!
それではまず、地絡とは何かについて詳しく解説していきます。
地絡(ちらく)とは、電気回路において本来電気が流れるべきではない経路に電流が流れてしまう現象のことを指します。
具体的には、電線や電気機器の絶縁が破れたり劣化したりすることで、電気が大地(アース)に向かって流れてしまう状態のことです。
通常の電気回路では、電気は決められた導線を通って流れるように設計されています。
しかし、何らかの原因で絶縁材料が損傷すると、電気は最も抵抗の少ない経路を選んで流れようとします。この際、大地は非常に大きな導体として機能するため、電気は大地に向かって流れてしまうのです。
地絡の発生原因の整理!
地絡が発生する主な原因としては、以下のようなものが挙げられます。
・絶縁材料の経年劣化:
長年の使用により、電線を覆っている絶縁体が劣化し、ひび割れや破損が生じることがあります。
・物理的な損傷:工事中の不注意や外部からの衝撃により、電線の絶縁被覆が破れてしまうケースです。
・湿気や水分の侵入:
雨水や結露などにより電気設備内部に水分が侵入し、絶縁性能が低下することがあります。
・過負荷による発熱:
定格を超える電流が流れることで発熱し、絶縁材料が溶解や炭化を起こすことがあります。
地絡は単相地絡と三相地絡に分類されます。単相地絡は一本の電線が地絡する状態で、三相地絡は複数の電線が同時に地絡する状態です。
一般的に単相地絡の方が発生頻度が高く、電力系統で最も多い故障形態とされていますね。
地絡するとどうなる?火災・事故になる?
続いては、地絡が発生した際の具体的な影響について確認していきます。
地絡が発生すると、まず最も懸念されるのが火災のリスクです。
地絡により異常な電流が流れると、その箇所で大量の熱が発生します。この熱により周囲の可燃物が発火し、火災に至る可能性が非常に高くなります。
実際に、住宅火災の原因として電気系統の故障が上位にランクインしており、その中でも地絡による火災は深刻な問題となっています。地絡火災の特徴として、発生箇所が特定しにくく、初期消火が困難になりやすいという点が挙げられます。
感電事故のリスクも見逃せません。
地絡が発生している状態では、本来電気が流れていない金属部分にも電圧がかかる可能性があります。このような状態で人が触れると、重篤な感電事故を引き起こす恐れがあります。
地絡が発生すると、電力供給の安定性にも大きな影響を与えます。
地絡箇所を含む回路では正常な電力供給ができなくなり、停電や電圧降下が発生します。これにより、工場の生産ラインが停止したり、オフィスビルの業務に支障をきたしたりする可能性があります。
さらに、地絡は電気設備自体にも深刻なダメージを与えます。異常電流により変圧器やモーター、制御機器などが損傷し、高額な修理費用や交換費用が発生することがあります。
そのため地絡の検出・対策は徹底されているのが基本
地絡の検出と対策として、現代の電気設備には様々な保護装置が設置されています
・漏電遮断器(ELB)
地絡による漏電を検出し、自動的に回路を遮断する装置です。一般住宅でも広く普及しており、感電事故や火災の防止に重要な役割を果たしています。
・接地故障継電器
工場や商業施設などの大型電気設備で使用される保護装置で、地絡を検出して該当回路を遮断します。
・絶縁監視装置
絶縁状態を常時監視し、劣化の兆候を早期に発見することで、地絡の予防に役立ちます。
これらの保護装置は定期的な点検とメンテナンスが必要です。装置が正常に動作しなければ、地絡が発生しても適切な保護が働かず、重大な事故につながる可能性があります。
まとめ 地絡するとどうなる?簡単に!火災・事故になる?読み方は?
この記事では、地絡とは?わかりやすく・簡単に地絡するとどうなるか?火災・事故になる?読み方は?について解説しました。
地絡に関する知識を身に付けさらに快適な生活を送っていきましょう!