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【Excel】エクセルで修復ファイルの保存場所はどこ(一時ファイルが見つからない)?原因と対策

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エクセルで作業中に予期せぬトラブルが発生し、ファイルが正常に保存されなかった経験は誰にでもあるものです。

突然のフリーズ、停電、アプリケーションのクラッシュなど、作業途中のファイルが失われてしまうと、何時間もの作業が水の泡になってしまいます

せっかく入力したデータや作成した数式、整えた書式が消えてしまうのは、業務効率の面でも精神的にも大きなダメージです。特に重要な資料や納期が迫っている作業の場合、その影響は計り知れません。

幸いなことに、エクセルには自動保存機能と自動回復機能が備わっています。

これらの機能により、予期せぬトラブルが発生しても、作業内容の大部分を復元できる可能性があります。修復ファイル(自動回復用ファイル)は一定間隔で自動的に作成され、特定の場所に保存されています。

本記事では、修復ファイルがどこに保存されているのか、どのようにして復元するのか、そしてトラブルを未然に防ぐための設定方法まで、詳しく解説していきます。

大切なデータを守るために、ぜひ最後までお読みください。

ポイントは

・修復ファイルはユーザーフォルダ内のAppData配下に自動保存される

・自動回復機能で一定間隔ごとにバックアップが作成される

・保存場所の確認と変更は「オプション」から簡単に設定できる

です。

それでは詳しく見ていきましょう。

修復ファイルが作成される原因と保存場所の確認方法

まずは、修復ファイルがなぜ作成されるのか、そしてどこに保存されているのかを確認していきます。

修復ファイルとは何か

修復ファイルは、エクセルが一定時間ごとに自動的に作成するバックアップファイルです。

正式には「自動回復用ファイル」と呼ばれ、拡張子は「.asd」となります。このファイルは、通常の保存操作とは別に、バックグラウンドで自動的に作成されます。

エクセルが予期せず終了した場合、次回起動時にこの修復ファイルを検出し、「ドキュメントの回復」作業ウィンドウを表示してくれます。ここから作業中だったファイルの状態を復元できる仕組みになっています。

修復ファイルが作成される主な原因としては、アプリケーションのクラッシュ、システムの強制終了、停電、フリーズなどが挙げられます。また、保存せずにファイルを閉じてしまった場合でも、自動保存の間隔内であれば修復ファイルから復元できる可能性があります。

修復ファイルが作成されるタイミング

通常作業時

10分ごとに
自動バックアップ

→ .asdファイル作成

異常終了時

最後の自動保存
データを保持

→ 次回起動で復元

正常保存時

修復ファイルは
自動削除される

→ 不要になるため

デフォルトの保存場所を確認する

修復ファイルは、通常はユーザーフォルダ内のAppDataフォルダに保存されます

具体的なパスは「C:\Users\[ユーザー名]\AppData\Roaming\Microsoft\Excel」となります。このフォルダは隠しフォルダに設定されているため、エクスプローラーの設定で「隠しファイル」を表示する設定にしないと見えません。

隠しファイルを表示するには、エクスプローラーを開き、「表示」タブをクリックして「隠しファイル」にチェックを入れます。Windows 11の場合は、「表示」メニューから「表示」→「隠しファイル」を選択します。

エクセルの設定画面から保存場所を直接確認することもできます。エクセルを起動し、「ファイル」タブをクリックして「オプション」を選択します。「保存」カテゴリを開くと、「自動回復用ファイルの場所」という項目があり、ここに現在の保存先パスが表示されています。

Windowsバージョン デフォルトの保存場所 アクセス方法
Windows 10/11 C:\Users\[ユーザー名]\AppData\Roaming\Microsoft\Excel エクスプローラーのアドレスバーに直接入力
すべてのバージョン %AppData%\Microsoft\Excel Windowsキー+Rで「ファイル名を指定して実行」に入力
エクセルから確認 ファイル→オプション→保存 「自動回復用ファイルの場所」欄に表示

エクスプローラーから直接アクセスする手順

最も簡単に修復ファイルの保存場所にアクセスする方法は、「ファイル名を指定して実行」を使用する方法です。

キーボードのWindowsキーとRキーを同時に押すと、「ファイル名を指定して実行」ダイアログが表示されます。ここに「%AppData%\Microsoft\Excel」と入力してEnterキーを押せば、直接修復ファイルの保存フォルダが開きます。

このフォルダ内には、拡張子が「.asd」のファイルが保存されています。ファイル名は通常「自動回復用ファイル 保存先 ファイル名.asd」という形式になっており、元のファイル名の一部が含まれていることが多いです。

修復ファイルへのアクセス手順

1️⃣

Windowsキー+R
同時押し

2️⃣

%AppData%\Microsoft\Excel
と入力してEnter

3️⃣

修復ファイル
(.asd)が表示される

また、エクスプローラーのアドレスバーに直接パスを入力する方法もあります。エクスプローラーを開き、上部のアドレスバーをクリックして「C:\Users\[実際のユーザー名]\AppData\Roaming\Microsoft\Excel」と入力してEnterキーを押せば、同様にフォルダが開きます。

アクセス方法 手順 メリット
ファイル名を指定して実行 Win+R → %AppData%\Microsoft\Excel 最も簡単で確実
エクスプローラーから直接 アドレスバーにパスを入力 視覚的に分かりやすい
エクセルのオプションから ファイル→オプション→保存→フォルダを開く 設定も同時に確認できる
検索機能を使用 エクスプローラーで*.asdを検索 保存場所が不明な場合に有効

修復ファイルの保存場所は、ユーザーごとに異なるため、複数のユーザーアカウントを使用している場合は注意が必要です。

他のユーザーアカウントで作業していたファイルの修復ファイルは、そのユーザーのAppDataフォルダ内に保存されています。管理者権限があれば、「C:\Users\[他のユーザー名]\AppData\Roaming\Microsoft\Excel」にアクセスすることで確認できます。

また、ネットワークドライブやクラウドストレージ上で作業していた場合でも、修復ファイルは通常ローカルのAppDataフォルダに保存されます。ただし、OneDriveやSharePointと連携している場合は、クラウド側の自動保存機能が優先されることもあるため、両方を確認することをおすすめします。

自動保存と自動回復機能の仕組み

続いては、エクセルの自動保存機能と自動回復機能がどのように動作しているのかを確認していきます。

自動回復機能の設定内容

エクセルの自動回復機能は、デフォルトで10分間隔で自動的にバックアップを作成する設定になっています。

この設定は「ファイル」タブから「オプション」を選択し、「保存」カテゴリを開くと確認できます。「次の間隔で自動回復用データを保存する」という項目にチェックが入っており、その横に分単位で間隔を指定する数値ボックスがあります。

この間隔は自由に変更できます。より頻繁にバックアップを取りたい場合は5分や3分に設定することも可能ですし、ファイルサイズが大きくて保存に時間がかかる場合は15分や20分に延長することもできます。ただし、間隔を短くしすぎると、自動保存のたびに作業が一瞬止まる可能性があるため、作業内容に応じて適切な間隔を設定しましょう。

「保存しないで終了する場合、最後に自動保存されたバージョンを残す」というオプションもあります。このオプションにチェックを入れておくと、ファイルを保存せずに閉じた場合でも、最後に自動保存されたバージョンが一定期間保持されます。

設定項目 デフォルト値 推奨設定 備考
自動回復用データの保存間隔 10分 5~10分 短すぎると動作が重くなる可能性
保存しないで終了時のバージョン保持 有効 有効推奨 誤って閉じた場合の保険
自動回復用ファイルの場所 AppData\Roaming\Microsoft\Excel 任意(変更可能) 外部ドライブも指定可能
OneDriveの自動保存 環境による 有効推奨 クラウドとの同期が前提

自動保存とOneDrive連携の違い

エクセルには「自動回復機能」とは別に、「自動保存」という機能も存在します

自動保存機能は、Microsoft 365版のエクセルでOneDriveやSharePointにファイルを保存している場合にのみ利用できる機能です。画面左上に「自動保存」というトグルスイッチが表示され、これをオンにすると、数秒ごとにファイルが自動的にクラウドに保存されます。

自動保存と自動回復機能は別物です。自動回復機能はローカルに一時的なバックアップファイルを作成するのに対し、自動保存は実際のファイル本体をクラウド上で更新し続けます。自動保存が有効な場合は、Ctrl+Sで手動保存する必要がなくなり、常に最新の状態がクラウドに保存されます。

自動回復機能と自動保存の比較

自動回復機能

10分間隔
ローカル保存
.asdファイル

→ すべての環境で利用可

自動保存

数秒間隔
クラウド保存
本体ファイル

→ Microsoft 365 + OneDrive必須

ただし、自動保存にも注意点があります。自動保存は常にファイルを上書きし続けるため、誤って削除や変更をしてしまった場合、すぐにその状態が保存されてしまいます。OneDriveにはバージョン履歴機能があるため、過去のバージョンに戻すことは可能ですが、操作には慣れが必要です。

機能 自動回復機能 自動保存
対象環境 すべてのエクセル Microsoft 365 + OneDrive/SharePoint
保存間隔 10分(変更可能) 数秒ごと
保存場所 ローカル(AppData) クラウド(OneDrive等)
ファイル形式 .asdファイル(一時) 元のファイル本体
復元方法 次回起動時に自動検出 常に最新状態が保存済み
バージョン管理 最後の自動保存のみ OneDriveでバージョン履歴管理

自動回復の間隔を変更する方法

自動回復の保存間隔は、エクセルのオプション画面から簡単に変更できます

「ファイル」タブをクリックして「オプション」を選択し、左側のメニューから「保存」を選びます。「次の間隔で自動回復用データを保存する」という項目の数値ボックスに、希望する間隔を分単位で入力します。

重要な作業やデータ入力が多い作業の場合は、5分や3分といった短い間隔に設定することで、トラブル時のデータ損失を最小限に抑えられます。一方、大容量のファイルで自動保存に時間がかかる場合や、マクロなどで自動処理を行っている場合は、15分や20分に延長することで作業の中断を減らせます。

また、「自動回復用ファイルの場所」を変更することも可能です。デフォルトのAppDataフォルダではなく、外付けハードディスクやネットワークドライブに保存することで、PC本体のトラブルからもデータを守れます。ただし、ネットワークドライブに設定する場合は、保存速度が遅くなる可能性があるため注意が必要です。

自動回復間隔の変更手順

📝

ファイル→
オプションを選択

⚙️

左メニューから
「保存」を選択

✏️

間隔の数値を変更
→ OKをクリック

自動回復機能の設定を変更する際は、作業環境やファイルの特性に合わせて調整することが重要です。

データ入力が中心の作業では短い間隔が有効ですが、複雑な計算や大量のデータを扱うファイルでは、自動保存のたびに処理が止まってしまう可能性があります。特にマクロを使用している場合や、外部データとの連携を行っている場合は、自動保存のタイミングで予期せぬエラーが発生することもあります。

また、自動回復機能はあくまで緊急時の保険であり、定期的な手動保存の代わりにはなりません。重要な作業の節目では必ずCtrl+Sで手動保存を行い、さらに別名で保存してバックアップを取ることをおすすめします。自動回復機能に過度に依存せず、複数の方法でデータを保護する習慣を身につけましょう。

修復ファイルから元のファイルを復元する手順

それでは、実際にトラブルが発生した後、修復ファイルからデータを復元する方法を確認していきます。

エクセル起動時の自動復元

エクセルが異常終了した後に再度エクセルを起動すると、通常は自動的に「ドキュメントの回復」作業ウィンドウが表示されます

この作業ウィンドウには、異常終了前に開いていたファイルの一覧と、それぞれの最後に自動保存されたバージョンが表示されます。ファイル名の横には保存日時が表示されているため、どの時点のバージョンなのかを確認できます。

復元したいファイルをクリックすると、プレビューが表示されます。内容を確認して問題なければ、「開く」をクリックすることでファイルが開きます。複数のバージョンが表示されている場合は、それぞれの日時を確認し、最も新しいものか、必要なデータが含まれているものを選択します。

ファイルを開いた後は、必ず「名前を付けて保存」を実行して、正式なファイルとして保存し直します。修復ファイルはあくまで一時的なものであり、そのまま作業を続けると再度トラブルが発生した際にデータを失う可能性があります。

手順 操作内容 確認ポイント
1. エクセルを起動 通常通りエクセルを起動する 「ドキュメントの回復」が自動表示されるか
2. ファイルを選択 作業ウィンドウから復元したいファイルをクリック 保存日時が最新のものを選ぶ
3. 内容を確認 プレビューで内容を確認する 必要なデータが含まれているか
4. ファイルを開く 「開く」をクリックしてファイルを開く データの完全性をチェック
5. 名前を付けて保存 Ctrl+Shift+Sまたはファイル→名前を付けて保存 元のファイル名または新しい名前で保存

手動で修復ファイルを開く方法

「ドキュメントの回復」が自動的に表示されない場合や、過去の修復ファイルを確認したい場合は、手動で修復ファイルを開くことができます

まず、先ほど確認した修復ファイルの保存場所(通常は「C:\Users\[ユーザー名]\AppData\Roaming\Microsoft\Excel」)をエクスプローラーで開きます。ここに拡張子が「.asd」のファイルが保存されています。

エクセルを起動し、「ファイル」タブから「開く」を選択します。「参照」をクリックしてファイルを開くダイアログを表示し、アドレスバーに修復ファイルの保存場所のパスを入力するか、コピー&ペーストします。ファイルの種類を「すべてのファイル」または「Excel ファイル(*.asd)」に変更すると、.asdファイルが表示されます。

目的の修復ファイルを選択して「開く」をクリックすれば、ファイルの内容が表示されます。内容を確認して問題なければ、必ず「名前を付けて保存」で正式なファイルとして保存します。

手動で修復ファイルを開く手順

1️⃣

ファイル→開く
→参照をクリック

2️⃣

修復ファイル保存場所
に移動

3️⃣

ファイルの種類を
変更して.asd選択

保存されていないブックの回復

ファイルを一度も保存せずに閉じてしまった場合でも、自動回復機能が有効であれば復元できる可能性があります

エクセルを起動し、「ファイル」タブをクリックして「開く」を選択します。右下に「保存されていないブックの回復」というボタンがあるので、これをクリックします。すると、保存されなかった最近のブックの一覧が表示されます。

この一覧には、自動保存の間隔内で作業していたものの、保存せずに閉じたファイルが含まれています。ファイル名には「UnsavedFiles」という文字列が含まれており、作成日時が表示されています。目的のファイルを選択して開き、内容を確認してから「名前を付けて保存」で正式に保存します。

状況 復元方法 成功率
異常終了直後 次回起動時に自動表示される「ドキュメントの回復」 高い(最後の自動保存まで)
保存せず終了 ファイル→開く→保存されていないブックの回復 中程度(自動保存が有効な場合)
手動で探す AppData\Roaming\Microsoft\Excelから.asdファイルを開く 中程度(ファイルが残っている場合)
数日前の異常終了 過去の.asdファイルを探して開く 低い(自動削除される可能性)

修復ファイルから復元する際の注意点として、復元されるのは最後の自動保存時点までのデータであることを理解しておく必要があります。

デフォルトの設定では10分間隔で自動保存されるため、最悪の場合、最大10分間の作業内容が失われる可能性があります。これを最小限に抑えるには、自動保存の間隔を短く設定するか、重要な作業の節目で手動保存を習慣化することが有効です。

また、修復ファイルは一時的なものであり、正常にエクセルを終了すると自動的に削除されます。そのため、復元したファイルは必ず正式なファイルとして保存し直す必要があります。復元したファイルをそのまま閉じてしまうと、次回開けなくなる可能性があるため注意しましょう。

さらに、ファイルによっては完全に復元できないケースもあります。特に大規模なファイルや、マクロを含むファイル、外部データとリンクしているファイルなどは、一部のデータが欠損したり、参照が壊れたりすることがあります。復元後は必ず内容を十分に確認し、必要に応じて手動で修正を行いましょう。

修復ファイルが見つからない場合の対処法

修復ファイルが期待通りに見つからない場合の対処方法を確認していきます。

代替の保存場所を確認する

修復ファイルがデフォルトの場所に見つからない場合、設定が変更されていて別の場所に保存されている可能性があります

エクセルのオプション画面で「保存」カテゴリを開き、「自動回復用ファイルの場所」に表示されているパスを確認します。このパスがデフォルトの場所と異なっている場合は、表示されている場所を開いて修復ファイルを探します。

また、過去に別のPCで作業していた場合や、ネットワークドライブにファイルを保存していた場合は、そのPC上やネットワーク上に修復ファイルが残っている可能性があります。可能であればそれらの場所も確認してみましょう。

Windowsの検索機能を使って、拡張子が「.asd」のファイルをPC全体から検索することもできます。エクスプローラーを開き、Cドライブを選択してから検索ボックスに「*.asd」と入力すると、PC内のすべての.asdファイルが検索されます。

確認場所 パス 確認方法
デフォルトの場所 C:\Users\[ユーザー名]\AppData\Roaming\Microsoft\Excel Win+R → %AppData%\Microsoft\Excel
設定で指定された場所 ファイル→オプション→保存で確認 表示されたパスをエクスプローラーで開く
一時フォルダ C:\Users\[ユーザー名]\AppData\Local\Temp Win+R → %TEMP%
PC全体 すべてのドライブ エクスプローラーで「*.asd」を検索

自動回復機能が無効になっている

修復ファイルが作成されていない場合、自動回復機能自体が無効になっている可能性があります

「ファイル」タブから「オプション」を開き、「保存」カテゴリを選択します。「次の間隔で自動回復用データを保存する」という項目のチェックボックスが外れていると、自動回復機能は動作しません。この項目にチェックを入れて、適切な間隔(5~10分程度)を設定します。

また、「保存しないで終了する場合、最後に自動保存されたバージョンを残す」のチェックも外れていないか確認します。このオプションが無効になっていると、ファイルを保存せずに閉じた場合の復元ができなくなります。

組織で使用しているPCの場合、管理者によってグループポリシーで自動回復機能が制限されていることもあります。その場合は、IT部門に問い合わせて設定を確認してもらう必要があります。

自動回復機能の設定確認ポイント

必須チェック1

自動回復用データの
保存にチェック

→ 基本機能の有効化

必須チェック2

保存間隔が
適切に設定されている

→ 5~10分推奨

必須チェック3

保存場所が
アクセス可能

→ 書き込み権限確認

バックアップや以前のバージョンから復元

修復ファイルが見つからない、または古すぎて役に立たない場合は、他のバックアップ手段を探す必要があります

Windowsのファイル履歴機能が有効になっている場合、定期的にファイルのバックアップが作成されています。ファイルを右クリックして「以前のバージョンの復元」を選択すると、過去のバージョンの一覧が表示されます。適切なバージョンを選択して復元できます。

OneDriveやSharePointにファイルを保存していた場合は、Webブラウザでクラウドにアクセスし、ファイルのバージョン履歴を確認します。OneDriveでは、ファイルを右クリックして「バージョン履歴」を選択することで、過去30日間の変更履歴を確認できます。

外部バックアップソフトやクラウドバックアップサービスを使用している場合は、それらのバックアップからファイルを復元できる可能性があります。定期的にバックアップを取る習慣があれば、修復ファイルに頼らずにデータを保護できます。

復元方法 対象ファイル 利用条件 手順
以前のバージョン(Windows) ローカルファイル ファイル履歴またはシステムの保護が有効 ファイル右クリック→以前のバージョンの復元
OneDriveバージョン履歴 OneDrive上のファイル OneDriveに保存していた Web版OneDriveでファイル右クリック→バージョン履歴
SharePointバージョン履歴 SharePoint上のファイル SharePointに保存していた SharePointでファイル選択→バージョン履歴
バックアップソフト バックアップ対象のファイル 定期バックアップが設定済み 各ソフトの復元機能を使用

修復ファイルが見つからない場合でも、あきらめずに複数の方法を試すことが重要です。

特にクラウドサービスを利用している場合は、サービス側に自動的にバックアップが作成されていることが多いため、必ず確認しましょう。Google DriveやDropboxなどのサービスも、一定期間の変更履歴を保持しています。

また、メールに添付して送信していた、同僚と共有していた、印刷プレビューを確認していたなど、意外なところにファイルの痕跡が残っていることもあります。最近使用したファイルの一覧、一時フォルダ、ごみ箱なども確認してみる価値があります。

今後同じようなトラブルを避けるためには、複数のバックアップ手段を組み合わせることが最も確実です。自動回復機能に加えて、定期的な手動保存、クラウドストレージへの保存、外部バックアップなど、多層的なデータ保護を実践しましょう。

今後のトラブルを防ぐための予防策

最後に、修復ファイルに頼らずに済むよう、日頃から実践できる予防策を確認していきます。

こまめな手動保存の習慣化

最も基本的で確実な予防策は、作業の節目ごとにCtrl+Sで手動保存する習慣を身につけることです。

自動回復機能は便利ですが、あくまで緊急時の保険であり、完全な保存の代わりにはなりません。重要なデータ入力をした後、複雑な数式を作成した後、書式設定を完了した後など、作業の区切りで必ず保存する癖をつけましょう。

Ctrl+Sのショートカットキーは無意識に押せるようになるまで練習すると、作業効率が大きく向上します。数分に一度、自然に保存できるようになれば、トラブル時のデータ損失を最小限に抑えられます。

また、大きな変更を加える前には、「名前を付けて保存」で別名保存してバックアップを作成する習慣も有効です。「ファイル名_バックアップ_日付」などの命名規則を決めておけば、後から必要なバージョンを見つけやすくなります。

効果的なファイル保存のタイミング

📊

大量データ入力後
すぐに保存

🔢

複雑な数式完成後
すぐに保存

🎨

書式設定完了後
すぐに保存

5~10分ごとに
定期的に保存

クラウドストレージの活用

OneDrive、Google Drive、Dropboxなどのクラウドストレージを活用すれば、ファイルが自動的にクラウドに同期され、PC本体のトラブルからもデータを守れます

Microsoft 365のサブスクリプションを利用している場合、OneDriveと統合された自動保存機能が使用できます。この機能を有効にすると、数秒ごとにファイルがクラウドに保存されるため、ほぼリアルタイムでバックアップが作成されます。

クラウドストレージのもう一つの利点は、バージョン履歴が自動的に保存されることです。誤って削除や上書きをしてしまった場合でも、過去のバージョンに簡単に戻せます。OneDriveでは30日間、有料プランでは最大180日間のバージョン履歴が保持されます。

ただし、クラウドストレージを使用する際は、インターネット接続が必要になります。オフライン環境で作業する場合や、機密性の高いファイルを扱う場合は、別の方法と組み合わせて使用しましょう。

クラウドサービス 自動保存 バージョン履歴 Microsoft 365連携
OneDrive ○(自動保存機能) 30日間(有料は180日) 完全統合
SharePoint ○(自動保存機能) バージョン管理機能あり 完全統合
Google Drive △(同期のみ) 30日間または100バージョン なし
Dropbox △(同期のみ) 30日間(有料は無制限) なし

外部バックアップの定期実行

重要なファイルは、外付けハードディスクやNASなどの外部ストレージに定期的にバックアップを取ることが推奨されます。

Windowsのファイル履歴機能を有効にすれば、指定したフォルダのファイルが自動的に外部ドライブにバックアップされます。「設定」→「更新とセキュリティ」→「バックアップ」から設定できます。

また、専用のバックアップソフトウェアを使用すれば、より柔軟なバックアップスケジュールや世代管理が可能になります。週次や日次でのフルバックアップ、時間単位での差分バックアップなど、ニーズに応じた設定ができます。

クラウドバックアップサービスを利用すれば、自動的にオフサイトバックアップが作成されるため、火災や盗難などの物理的な災害からもデータを守れます。Backblaze、Carbonite、CrashPlanなどのサービスが利用できます。

バックアップ方法 頻度 保存場所 メリット
手動コピー 任意 外付けHDD、USBメモリ シンプルで確実
Windowsファイル履歴 自動(1時間ごと) 外付けHDD、NAS 設定が簡単
バックアップソフト スケジュール設定可能 外付けHDD、NAS、クラウド 世代管理や圧縮機能
クラウドバックアップ リアルタイムまたは定期 クラウドサーバー オフサイトバックアップ

エクセルとPCの安定性向上

トラブルの発生頻度を減らすためには、エクセルとPC本体の環境を最適化することも重要です。

エクセルとWindowsは常に最新版にアップデートしましょう。更新プログラムには不具合の修正やパフォーマンスの改善が含まれており、クラッシュのリスクを減らせます。「ファイル」→「アカウント」→「更新オプション」からエクセルの更新を確認できます。

PCのメモリ不足もエクセルのクラッシュの原因になります。大きなファイルを扱う場合は、他のアプリケーションを閉じてメモリを確保しましょう。タスクマネージャーでメモリ使用率を確認し、常に80%を超えているようであれば、メモリの増設を検討する価値があります。

アドインが多数インストールされていると、エクセルの動作が不安定になることがあります。「ファイル」→「オプション」→「アドイン」から不要なアドインを無効化することで、安定性が向上する場合があります。

予防策は複数組み合わせて実践することで、より高い効果が得られます。

自動回復機能の設定を最適化し、こまめな手動保存を習慣化し、クラウドストレージを活用し、さらに外部バックアップも定期的に取る。この多層的なアプローチにより、あらゆるトラブルに対応できる体制が整います。

特に業務で重要なファイルを扱う場合は、「3-2-1ルール」と呼ばれるバックアップの原則を意識しましょう。これは、データのコピーを3つ持ち、2つの異なるメディアに保存し、1つはオフサイト(別の場所)に置くという考え方です。例えば、PC本体、外付けHDD、クラウドストレージの3箇所に保存しておけば、どれか1つにトラブルが発生しても、他の2つからデータを復元できます。

最終的には、「修復ファイルに頼らない」ことを目標に、日々の作業習慣を見直すことが最も重要です。定期的な保存、適切なバックアップ、安定した作業環境の3つを意識して、大切なデータを確実に守りましょう。

まとめ エクセルで一時ファイルの保存場所はどこ?原因と対策

エクセルの修復ファイルに関する重要なポイントをまとめると

・修復ファイルの保存場所:デフォルトでは「C:\Users\[ユーザー名]\AppData\Roaming\Microsoft\Excel」、Win+Rで「%AppData%\Microsoft\Excel」と入力すれば直接アクセス可能

・自動回復機能の仕組み:10分間隔で自動的にバックアップを作成、「ファイル」→「オプション」→「保存」から間隔や保存場所を変更できる

・復元方法:エクセル起動時に「ドキュメントの回復」が自動表示、手動で.asdファイルを開くことも可能、「保存されていないブックの回復」機能も活用できる

・見つからない場合の対処:設定で指定された別の場所を確認、PC全体で「*.asd」を検索、OneDriveやWindowsのバージョン履歴も確認

・予防策:Ctrl+Sでこまめに手動保存、クラウドストレージの自動保存機能を活用、外部バックアップを定期実行、エクセルとPCを最新状態に保つ

これらの知識を活用することで、予期せぬトラブルからデータを守れます。

修復ファイルは緊急時の保険として非常に有効ですが、過度に依存するのではなく、日頃からこまめな保存とバックアップを習慣化することが重要です。

ただし、最も確実なデータ保護は複数の方法を組み合わせることです。

自動回復機能、手動保存、クラウドストレージ、外部バックアップの4つを組み合わせて、多層的なデータ保護体制を構築することで、あらゆるトラブルに対応できます。

エクセルの修復機能を正しく理解し、適切な設定と作業習慣を身につけて、大切なデータを確実に守っていきましょう!