鉄は古くから使用されている金属材料であり、現代でも幅広い分野で活躍しています。鉄の熱伝導性は、様々な用途で重要な役割を果たしています。
このような背景もあり、この記事では、鉄の熱伝導率とその単位、高い熱伝導率の理由、温度依存性について詳しく解説します。
また、アルミニウム、銅、ステンレスとの比較も行っていますので、ぜひ参考にしてみてください!
鉄の熱伝導率と単位【W/(m·K)やkcal/(m·h·℃)など】
まずは、鉄の熱伝導率の値と一般的な単位を確認しましょう。
熱伝導率とは、物質の熱伝導性能を表す物性値で、単位面積あたり、単位時間あたり、温度勾配1 K/mで伝わる熱量を表します。熱伝導率が高いほど、熱を速く伝えることができますね(^^)/
鉄の熱伝導率(常温常圧付近)は以下の通りです。
鉄の熱伝導率 | 単位 |
---|---|
80.2 | W/(m·K) |
68.9 | kcal/(m·h·℃) |
ここで、1 W = 0.86 kcal/hであることを利用して、各単位の値を相互に変換できます。
金属全般として熱伝導率は高いですが、鉄はアルミニウムや銅と比べるとやや低い値となっています。
鉄の熱伝導率がアルミなどと比べて比較的低い理由
鉄の熱伝導率がアルミニウムや銅と比べて低い主な理由は以下の2つです(^^)/
1. 自由電子の数
鉄は金属結合を形成しますが、アルミニウムや銅と比べて自由電子の数が少なめです。自由電子が熱エネルギーの伝導に重要な役割を果たすため、鉄の熱伝導率は比較的低くなります。
2. 結晶構造
鉄は体心立方格子(BCC)の結晶構造を持ちます。この構造は、アルミニウムや銅の面心立方格子(FCC)と比べると、フォノン(格子振動)による熱伝導が少し劣ります。
鉄の熱伝導率の温度依存性
鉄の熱伝導率は温度によって変化します。
以下は、様々な温度での鉄の熱伝導率を示した表です。
温度 (K) | 温度 (℃) | 熱伝導率 (W/(m·K)) |
---|---|---|
100 | -173.15 | 102 |
200 | -73.15 | 87.6 |
300 | 26.85 | 80.2 |
400 | 126.85 | 71.8 |
500 | 226.85 | 60.7 |
600 | 326.85 | 50.7 |
簡単に整理しますと、
1. 常温付近(300 K)では、熱伝導率は80.2 W/(m·K)に近い値をとります。
2. 低温では、熱伝導率は温度の上昇とともに減少します。
3. 高温では、熱伝導率の減少が顕著になります。
鉄の熱伝導率は温度上昇とともに減少する傾向があることを覚えておきましょう(^^)/
アルミニウム、銅、ステンレスとの比較
鉄の熱伝導率を他の一般的な金属材料と比較してみましょう。
材料 | 熱伝導率 (W/(m·K)) |
---|---|
銅 | 398 |
アルミニウム | 237 |
鉄 | 80.2 |
ステンレス鋼 (SUS304) | 16.2 |
この比較から以下のことがわかります:
1. 鉄の熱伝導率は、アルミニウムの約1/3、銅の約1/5です。
2. ステンレス鋼と比べると、鉄の熱伝導率は約5倍高くなっています。
3. 熱伝導性が最優先の用途では、アルミニウムや銅が選択されることが多いでしょう。ただし、コストや強度なども考慮する必要があります。
まとめ 鉄の熱伝導率の温度依存性は?アルミ・銅・ステンレスとの比較も!
本記事では、鉄の熱伝導率とその単位、熱伝導率が金属の中では比較的低い理由、温度依存性、そして他の金属との比較について詳しく解説しました。
鉄の性質を理解し、適材適所で活用していきましょう!