熱力学の重要な概念である「ギブズエネルギー」は、化学反応や物理変化の自発性を判断する上で欠かせない指標です。
ただ、その概念や計算方法は一見難しく感じられることがあります。
この記事では、ギブズエネルギーの基本的な定義から、その公式、単位、そして具体的な求め方まで、わかりやすく解説していきます。
化学や物理を学ぶ学生の方々や、熱力学の基礎を理解したい方に役立つ内容となっています。
ギブズエネルギーとは?わかりやすく解説!
それではまず、ギブズエネルギーの基本的な概念について解説していきます。
ギブズエネルギー(Gibbs energy)は、アメリカの物理学者ジョサイア・ウィラード・ギブズにちなんで名付けられた熱力学的状態関数です。
これは、一定の温度と圧力のもとで、化学反応や物理的変化が自発的に進行するかどうかを判断するための指標となります。
ギブズエネルギーの変化が負の値(ΔG < 0)の場合、その反応や変化は自発的に進行します。
例えば、水が氷に凍る過程を考えてみましょう。
0℃以下では、水から氷への変化においてギブズエネルギーは減少するため(ΔG < 0)、この変化は自発的に起こります。一方、0℃より高い温度では、氷から水への変化においてギブズエネルギーが減少するため、氷は自然に溶けていきます。
このように、ギブズエネルギーは化学平衡や相転移などの現象を理解する上で非常に重要な概念です。
化学反応や物理変化の方向性を予測し、実際の実験結果を理論的に説明するための強力なツールとなっています!
ギブズエネルギーの公式や各々の単位を徹底解説!
続いては、ギブズエネルギーの公式とその各要素の単位について確認していきます。
ギブズエネルギー(G)は、以下の基本公式で表されます
G = H – TS
ここで、
G :ギブズエネルギー(単位:J または kJ)
– H:エンタルピー(単位:J または kJ)
– T:絶対温度(単位:K、ケルビン)
– S:エントロピー(単位:J/K または kJ/K)
となりますね(^^)/
そして、反応や変化におけるギブズエネルギーの変化(ΔG)は次のように表されます
ΔG = ΔH – TΔS
ΔGの値が負(マイナス)の場合は自発的な反応、正(プラス)の場合は非自発的な反応を示します。ΔG = 0の場合は、系が平衡状態にあることを意味します。
標準状態でのギブズエネルギー変化
また、標準状態(1気圧、特定の温度、通常は25℃または298.15K)でのギブズエネルギー変化は「標準ギブズエネルギー変化(ΔG°)」と呼ばれ、化学反応式の平衡定数(K)との間に以下の関係があります:
ΔG° = -RT ln K
ここで、
– R:気体定数(8.314 J/(mol·K))
– T:絶対温度(K)
– K:平衡定数(無次元)
非標準状態でのギブズエネルギー変化
さらに、非標準状態でのギブズエネルギー変化は次の式で計算できます
ΔG = ΔG° + RT ln Q
ここで、Qは反応商(反応指数)を表し、反応の進行度を示す値です。
Q(反応商)は反応に関与する物質の活量の比で表すこともできます。
具体的には、反応 aA + bB → cC + dD の場合、
Q = (生成物の活量の積) / (反応物の活量の積)
⇔ Q = (a_C)^c × (a_D)^d / (a_A)^a × (a_B)^b
ここで、a_A、a_B、a_Cなどは各物質の活量を表します。
活量は理想的な挙動からのずれを補正する係数であり、濃度や分圧などと活量係数を掛け合わせて求められます。例えば、溶液中のイオンでは活量 = 活量係数 × モル濃度 として計算されます。
この活量を用いた式は、特に非理想的な系(高濃度溶液、実在気体、混合溶液など)での反応の自発性をより正確に予測するために重要です。
これらの公式を理解することで、様々な条件下での化学反応や物理変化の自発性を予測することができます!
ギブズエネルギーの求め方
続いては、実際にギブズエネルギーの計算方法について詳しく説明していきます。
ギブズエネルギーを求めるには、主に以下の3つの方法があります。基本的には上の式にあてはめていけばOKですね。
1. エンタルピーとエントロピーからの計算:
ΔG = ΔH – TΔS の公式を用いて計算します。この方法では、反応のエンタルピー変化(ΔH)とエントロピー変化(ΔS)、そして温度(T)が必要です。
2. 標準生成ギブズエネルギーからの計算:
化学反応に関わる各物質の標準生成ギブズエネルギー(ΔGf°)を用いて、以下の式で計算します:
ΔG° = Σ(生成物のΔGf°) – Σ(反応物のΔGf°)
3. 平衡定数からの計算:
ΔG° = -RT ln K の式を使用して、平衡定数(K)から標準ギブズエネルギー変化を計算できます。
2H₂(g) + O₂(g) → 2H₂O(l)
標準状態(25℃、1気圧)での各物質の標準生成ギブズエネルギー
ΔGf°(H₂) = 0 kJ/mol(元素の標準状態では0)
ΔGf°(O₂) = 0 kJ/mol(元素の標準状態では0)
ΔGf°(H₂O, l) = -237.1 kJ/mol
したがって
ΔG° = 2×(-237.1) – (2×0 + 0) = -474.2 kJ/mol
この負の値は、この反応が標準状態で自発的に進行することを示しています。
このような流れで計算すればOKです!
温度による影響も重要で、例えばΔHが負(発熱反応)でΔSも負の場合、低温では反応は自発的ですが、高温では非自発的になることがあります。逆に、ΔHが正(吸熱反応)でΔSも正の場合は、高温で自発的になります。
このように、ギブズエネルギーの計算を通じて、反応の自発性や平衡状態、さらには反応が進行する条件を理論的に予測することができます。
まとめ ギブズエネルギーの公式・定義・変化・求め方についてわかりやすく解説!
この記事では、ギブズエネルギーとは?単位や公式・定義・変化・求め方についてわかりやすく解説しました。
ギブズエネルギーを理解さらに科学を楽しんでいきましょう!