金は、優れた延性、耐食性、電気伝導性を持つ貴金属材料です。
これらの特性から、電子機器、宝飾品、歯科材料など様々な分野で使用されています。しかし、熱伝導性については銀や銅、他の貴金属とどのような違いがあるのでしょうか。
このような背景もあり、この記事では、金の熱伝導率とその単位、温度依存性、他の貴金属や金属材料との比較について詳しく解説します。金の熱伝導特性を理解し、適材適所で活用していきましょう!
金の熱伝導率と単位【W/(m·K)やkcal/(m·h·℃)など】
まずは、金の熱伝導率の値と一般的な単位を確認しましょう。熱伝導率とは、物質の熱伝導性能を表す物性値で、単位面積あたり、単位時間あたり、温度勾配1 K/mで伝わる熱量を表します。熱伝導率が高いほど、熱を速く伝えることができます(^^)/
金の熱伝導率(常温常圧付近)は以下の通りです。
金の熱伝導率 | 単位 |
---|---|
317 | W/(m·K) |
273 | kcal/(m·h·℃) |
ここで、1 W = 0.86 kcal/hであることを利用して、各単位の値を相互に変換できます。
金の熱伝導率は、非常に高く、ほとんどの金属材料よりも優れた熱伝導性を示します。これが、電子部品の放熱などに金が使用される理由の一つです。
金の熱伝導率の温度依存性
金の熱伝導率は温度によって変化します。以下は、様々な温度での金の熱伝導率を示した表です:
温度 (K) | 温度 (℃) | 熱伝導率 (W/(m·K)) |
---|---|---|
300 | 26.85 | 317 |
400 | 126.85 | 311 |
600 | 326.85 | 298 |
800 | 526.85 | 284 |
簡単に整理しますと、
1. 常温付近(300 K)では、熱伝導率は317 W/(m·K)程度です。
2. 温度上昇とともに、熱伝導率はわずかに低下する傾向がみられます。
3. 金は融点(1064℃)まで安定した物性を示すため、広い温度範囲で信頼性の高い熱伝導特性を持っています。
金の熱伝導率は、温度上昇に伴いわずかに減少する特性がありますが、高温でも依然として非常に優れた熱伝導性を維持していることがわかります(^^)/
他の貴金属や金属材料との比較
金の熱伝導率を他の貴金属や一般的な金属材料と比較してみましょう:
材料 | 熱伝導率 (W/(m·K)) |
---|---|
金 | 317 |
銀 | 429 |
銅 | 398 |
プラチナ | 71.6 |
アルミニウム | 237 |
ステンレス鋼(304) | 16.2 |
チタン | 21.9 |
整理しますと以下の通りです!
1. 金の熱伝導率(317 W/(m·K))は、銀や銅に次いで非常に高い値です。
2. 銀は全金属中最も高い熱伝導率を持ちますが、金は銀の約74%の熱伝導率を示します。
3. 銅と比較すると、金はわずかに劣りますが(約80%)、耐食性は金の方が優れています。
4. 同じ貴金属であるプラチナと比較すると、金は約4.4倍の熱伝導率を持っています。
5. アルミニウムよりも約1.3倍高い熱伝導率を示し、重量あたりでも優れた熱伝導性を持ちます。
6. ステンレス鋼やチタンと比較すると、金は15倍以上の熱伝導率を持ち、放熱性能が圧倒的に優れています。
7. 高い熱伝導率と優れた耐食性を兼ね備えているため、金は特殊な電子部品や精密機器の放熱材料として重宝されています。
まとめ 金の熱伝導率の温度依存性は?他の貴金属や金属材料との比較も!
本記事では、金の熱伝導率とその単位、他の貴金属との比較、温度依存性、そして一般的な金属材料との比較について詳しく解説しました。
金の熱伝導特性を理解し、適材適所で活用していきましょう!