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はんだの熱伝導率や単位(W/mKやkcal/mh℃使用など)は?温度依存性や銅等他の金属との比較を解説!

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はんだは、電子部品の実装や金属の接合に広く使用される合金材料です。

これらの特性から、エレクトロニクス、配管、金属加工など様々な分野で使用されています。

しかし、熱伝導性については銅や他の金属とどのような違いがあるのでしょうか。

このような背景もあり、この記事では、はんだの熱伝導率とその単位、温度依存性、銅や他の金属材料との比較について詳しく解説します。

はんだの熱伝導特性を理解し、適材適所で活用していきましょう!

はんだの熱伝導率と単位【W/(m·K)やkcal/(m·h·℃)など】

まずは、はんだの熱伝導率の値と一般的な単位を確認しましょう。

熱伝導率とは、物質の熱伝導性能を表す物性値で、単位面積あたり、単位時間あたり、温度勾配1 K/mで伝わる熱量を表します。

熱伝導率が高いほど、熱を速く伝えることができます(^^)/

代表的なはんだ合金の熱伝導率(常温常圧付近)は以下の通りです。

はんだの種類 熱伝導率 (W/(m·K)) 熱伝導率 (kcal/(m·h·℃))
鉛-錫合金(従来型・Sn63Pb37) 50〜55 43〜47.3
無鉛はんだ(SAC305・Sn96.5Ag3.0Cu0.5) 60〜70 51.6〜60.2
無鉛はんだ(SnAg・Sn96.5Ag3.5) 55〜65 47.3〜55.9
インジウム入りはんだ(In50Sn50) 34 29.2
高温はんだ(Sn5Pb95) 25〜30 21.5〜25.8

ここで、1 W = 0.86 kcal/hであることを利用して、各単位の値を相互に変換できます。

はんだの熱伝導率は、その組成によって異なりますが、一般的に使用される鉛-錫はんだや無鉛はんだでは50〜70 W/(m·K)程度の値を示します。

これは純粋な鉛(約35 W/(m·K))や錫(約67 W/(m·K))の中間的な値となっています。

はんだの熱伝導率の温度依存性

はんだの熱伝導率は温度によって変化します。

以下は、様々な温度での代表的なはんだ合金の熱伝導率を示した表です

はんだの種類 温度 (K) 温度 (℃) 熱伝導率 (W/(m·K))
鉛-錫はんだ(Sn63Pb37) 273 0 52
298 25 50
323 50 48
373 100 44
423 150 40
無鉛はんだ(SAC305) 273 0 68
298 25 65
323 50 62
373 100 57
423 150 52

簡単に整理しますと、はんだの熱伝導率は温度上昇とともに低下する傾向があります。

これは多くの金属材料に共通する特性で、温度上昇に伴い原子の熱振動が増加し、電子やフォノンの散乱が増えることで熱伝導が妨げられるためです。

鉛-錫はんだ(Sn63Pb37)では0℃から150℃の範囲で熱伝導率が約23%低下し、無鉛はんだ(SAC305)でも同じ温度範囲で約24%低下していることがわかります。

しかし、はんだの融点近傍では急激な変化が生じます。

融点を超えて液体状態になると熱伝導率は大幅に低下します。

例えば鉛-錫はんだ(融点183℃)が液体状態になると熱伝導率は固体状態の約1/3程度に減少します。このため、はんだ付け時の熱管理においては融点前後での熱伝導特性の変化を考慮する必要があります。

銅や他の金属材料との比較

はんだの熱伝導率を銅や他の代表的な金属材料と比較してみましょう

材料 熱伝導率 (W/(m·K))
429
398
318
アルミニウム 237
真鍮(黄銅・Cu70Zn30) 109
錫(純金属) 67
無鉛はんだ(SAC305) 60〜70
鉛-錫はんだ(Sn63Pb37) 50〜55
ステンレス鋼(304) 16.2
熱伝導性エポキシ 1〜3

整理しますと以下の通りです!

はんだの熱伝導率は、銅や銀などの高熱伝導性金属と比較すると低く、銅の約1/6〜1/8程度の値を示します。

しかし、ステンレス鋼などの合金と比較すると3〜4倍程度高い熱伝導率を持っています。

はんだの主成分である錫と比較すると、はんだ合金の熱伝導率はやや低い値となっています。これは鉛などの添加元素が熱伝導率を低下させる傾向があるためです。

近年主流となっている無鉛はんだ(SAC305など)は、従来の鉛-錫はんだよりも熱伝導率が高い傾向があります。これは熱伝導率の高い銀や銅を含有しているためであり、電子機器の放熱設計において有利な特性です。

特に高出力電子デバイスでは、はんだの熱伝導特性が熱管理において重要な役割を果たします。

はんだ合金は、熱伝導性だけでなく融点、濡れ性、機械的強度、信頼性など様々な要素を考慮して選択されます。

熱伝導率が高いだけではなく、接合する材料との熱膨張係数のマッチングや長期信頼性なども重要な検討事項です。

例えば、インジウム入りはんだは熱伝導率は比較的低いものの、低融点で熱膨張係数が小さいため、熱に弱い電子部品や熱膨張差の大きい異種材料の接合に用いられています。

まとめ はんだの熱伝導率の温度依存性は?銅や他の金属との比較も!

本記事では、はんだの熱伝導率とその単位、温度依存性、そして銅や他の金属材料との比較について詳しく解説しました。

はんだは50〜70 W/(m·K)程度の熱伝導率を持ち、一般的な金属と比較すると中程度の熱伝導性を示します。温度上昇とともに熱伝導率は低下し、融点を超えると大幅に低下することがわかりました。また、合金組成によって熱伝導率は変化し、無鉛はんだは従来の鉛-錫はんだより高い熱伝導率を持つ傾向があります。

電子機器の高密度化・高出力化が進む中、はんだの熱伝導特性を理解し適切に活用することは、製品の信頼性と性能を確保する上で非常に重要です。

用途に応じた適切なはんだ選択と実装設計により、熱的な問題を効果的に解決していきましょう!