科学

半減期の計算方法や公式は?単位等も問題例を用いて解説【logやln】

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放射性物質や医薬品など、様々な物質が時間の経過とともに減少していく速度を表す「半減期」。

この概念は科学や医学の分野で非常に重要です。

半減期とは、物質の量が初期値の半分になるまでに要する時間のことを指します。

この記事では、半減期の計算方法や公式について、具体的な例を交えながら分かりやすく解説していきます。

 

半減期の公式は?例を用いて解説

それではまず、半減期の公式について解説していきます。

半減期を求めるための基本的な公式は以下のようになります:

半減期(T1/2)= ln(2) ÷ 崩壊定数(λ)

この公式の中で、ln(2)は自然対数の2であり、約0.693という値になります。

崩壊定数(λ)は、物質が単位時間あたりにどれだけ減少するかを表す定数です。

例えば、ある放射性物質の崩壊定数λが0.231/日である場合、この物質の半減期は次のように計算できます:

T1/2 = 0.693 ÷ 0.231 = 3日

元の崩壊定数の単位によっても変化しますが、半減期の単位は日や時間などで記載することが多いですね。

つまり、この物質は約3日で初期量の半分になるということです。

また、半減期は次の指数関数的減衰の式からも導き出すことができます

N(t) = N₀ × e^(-λt)

ここで、
– N(t):時間tにおける物質の量
– N₀:初期量
– e:自然対数の底(約2.718)
– λ:崩壊定数
– t:経過時間

半減期では N(t) = N₀/2 となる時間tを求めるので、この式を変形すると:

N₀/2 = N₀ × e^(-λt)

1/2 = e^(-λt)

ln(1/2) = -λt

ln(2) = λt

t = ln(2)/λ

これにより、半減期 T1/2 = ln(2)/λ という公式が導かれます。

 

半減期の計算方法の例【求め方】

続いては、具体的な半減期の計算方法の例を確認していきます。

例1:放射性物質の半減期

放射性同位体ヨウ素-131の崩壊定数λが0.086/日であるとき、その半減期を計算してみましょう。

T1/2 = ln(2) ÷ λ

T1/2 = 0.693 ÷ 0.086

T1/2 ≈ 8.06日

したがって、ヨウ素-131の半減期は約8日ということになります。

このことは、ヨウ素-131が初期量の半分になるまでに約8日かかることを意味します。

放射性物質の場合、半減期は物質によって固有であり、環境条件などによって変わることはありません。これは自然界の物理的な法則に基づいているためです。

 

例2:医薬品の半減期

医薬品においても半減期の概念は重要です。ある薬剤の血中濃度が12時間後に初期濃度の75%になったとします。

この薬剤の半減期を計算してみましょう。

この問題ではまず、崩壊定数λを求める必要があります。指数関数的減衰の式を用いると

N(t) = N₀ × e^(-λt)

0.75N₀ = N₀ × e^(-λ×12)

0.75 = e^(-12λ)

ln(0.75) = -12λ

λ = -ln(0.75) ÷ 12

λ ≈ 0.024/時間

 

次に、半減期を計算します

T1/2 = ln(2) ÷ λ

T1/2 = 0.693 ÷ 0.024

T1/2 ≈ 28.9時間

つまり、この薬剤の半減期は約29時間ということになります。

 

例3:逆問題 – 半減期から時間経過後の残存量を計算する

半減期が5.3時間の放射性物質があるとき、16時間後にどれだけの割合が残っているかを計算してみましょう。

まず、崩壊定数λを求めます

λ = ln(2) ÷ T1/2

λ = 0.693 ÷ 5.3

λ ≈ 0.131/時間

 

次に、16時間後の残存率を計算します

N(t) = N₀ × e^(-λt)

N(16) = N₀ × e^(-0.131×16)

N(16) = N₀ × e^(-2.096)

N(16) ≈ N₀ × 0.123

したがって、16時間後には初期量の約12.3%が残っていることになります。

半減期を知ることで、任意の時間経過後の物質の残存量を予測することができます。

これは科学実験の計画や医薬品の投与スケジュールを立てる際に非常に重要な情報となります。

 

まとめ 半減期の式や求め方

最後に、半減期の式や求め方について総括していきます。

 

・半減期を求める基本公式は

半減期(T1/2)= ln(2) ÷ 崩壊定数(λ)≈ 0.693 ÷ λ

 

・また、崩壊定数λを求める方法としては、 時間tにおける残存率から逆算する
λ = -ln(N(t)/N₀) ÷ t

半減期の概念は、放射性物質だけでなく、医薬品の体内での減少速度、化学反応の速度論など、様々な分野で応用されています。

重要なポイントとして

・半減期は物質固有の特性であり、量に依存しません。例えば、100gの物質も1gの物質も、同じ物質であれば半減期は同じです。

・半減期を経過するごとに、残存量は初期量の1/2、1/4、1/8…と指数関数的に減少していきます。

・半減期が短いほど、物質は急速に減少します。

半減期の計算と理解は、科学、医学、原子力工学など様々な分野で重要な概念です。

この記事で紹介した公式や計算例を参考に、実際の問題に応用してみてください。

また、実際の計算においては対数関数電卓やコンピュータソフトウェアを利用すると、より正確かつ迅速に結果を得ることができます。

半減期の概念を理解することで、物質の変化を時間の関数として捉える能力が身につき、科学的思考の幅が広がるでしょう。