発泡スチロールは、ポリスチレン樹脂を発泡させた軽量で断熱性に優れた素材です。
これらの特性から、断熱材、包装材、食品容器など様々な分野で使用されています。
しかし、熱伝導性については銅や他の物質とどのような違いがあるのでしょうか。
このような背景もあり、この記事では、発泡スチロールの熱伝導率とその単位、温度依存性、銅や他の材料との比較について詳しく解説します。
発泡スチロールの熱伝導特性を理解し、適材適所で活用していきましょう!
発泡スチロールの熱伝導率と単位【W/(m·K)やkcal/(m·h·℃)など】
まずは、発泡スチロールの熱伝導率の値と一般的な単位を確認しましょう。
熱伝導率とは、物質の熱伝導性能を表す物性値で、単位面積あたり、単位時間あたり、温度勾配1 K/mで伝わる熱量を表します。
熱伝導率が高いほど、熱を速く伝えることができます(^^)/
発泡スチロールの熱伝導率(常温常圧付近)は以下の通りです。
発泡スチロールの種類 | 熱伝導率 (W/(m·K)) | 熱伝導率 (kcal/(m·h·℃)) |
---|---|---|
一般的な発泡スチロール(EPS) | 0.03〜0.04 | 0.026〜0.034 |
高密度発泡スチロール | 0.033〜0.045 | 0.028〜0.039 |
押出法ポリスチレンフォーム(XPS) | 0.025〜0.035 | 0.022〜0.030 |
ビーズ法ポリスチレンフォーム | 0.032〜0.042 | 0.028〜0.036 |
ここで、1 W = 0.86 kcal/hであることを利用して、各単位の値を相互に変換できます。
発泡スチロールの熱伝導率は、その密度や製造方法によって異なりますが、全体的に見ると非常に低い値を示しており、これが優れた断熱材として広く使用される理由となっています。
発泡スチロールの熱伝導率の温度依存性
発泡スチロールの熱伝導率は温度によって変化します。
以下は、様々な温度での発泡スチロールの熱伝導率を示した表です:
温度 (K) | 温度 (℃) | 熱伝導率 (W/(m·K)) |
---|---|---|
253 | -20 | 0.028 |
273 | 0 | 0.030 |
293 | 20 | 0.033 |
313 | 40 | 0.037 |
333 | 60 | 0.041 |
353 | 80 | 0.046 |
簡単に整理しますと、発泡スチロールの熱伝導率は温度上昇とともに増加する傾向があります。これは発泡スチロール内部の気泡に含まれる空気の熱伝導率が温度上昇とともに増加することや、高温になるとポリマー自体の分子運動が活発になることに起因します。しかし、温度変化に対する熱伝導率の変化率は比較的小さく、幅広い温度範囲で安定した断熱性能を発揮します。
実用的な温度範囲(-20℃〜80℃)では、発泡スチロールは優れた断熱材としての性能を維持していることがわかります(^^)/
銅や他の断熱・熱伝導材料との比較
発泡スチロールの熱伝導率を銅や他の代表的な断熱・熱伝導材料と比較してみましょう:
材料 | 熱伝導率 (W/(m·K)) |
---|---|
銅 | 398 |
アルミニウム | 237 |
コンクリート | 0.8〜1.4 |
ガラス | 0.8〜1.0 |
木材(松) | 0.12〜0.14 |
ポリウレタンフォーム | 0.02〜0.03 |
グラスウール | 0.03〜0.05 |
発泡スチロール(EPS) | 0.03〜0.04 |
押出法ポリスチレンフォーム(XPS) | 0.025〜0.035 |
真空断熱パネル | 0.004〜0.008 |
静止空気 | 0.026 |
整理しますと以下の通りです!
発泡スチロールの熱伝導率は、銅やアルミニウムなどの金属材料と比較すると約1万分の1程度であり、熱をほとんど伝えない優れた断熱材であることがわかります。コンクリートやガラスと比較しても、発泡スチロールの熱伝導率は約20〜40分の1程度と非常に低い値を示しています。
断熱材の中では、発泡スチロールはグラスウールと同程度の熱伝導率を持ち、ポリウレタンフォームとも近い性能を示します。押出法ポリスチレンフォーム(XPS)は一般的な発泡スチロール(EPS)よりもさらに熱伝導率が低く、より優れた断熱性能を持ちます。最先端の断熱材である真空断熱パネルと比較すると、発泡スチロールの熱伝導率は約5倍程度ですが、コストや加工性、耐久性などを考慮すると、発泡スチロールは現在でも非常に実用的な断熱材です。
発泡スチロールの熱伝導率が低い理由は、その構造にあります。発泡スチロールは約98%が空気で、残りの2%がポリスチレン樹脂という構成になっています。空気は熱伝導率が非常に低い物質であり、発泡スチロール内部では小さな気泡に閉じ込められることで対流による熱移動も抑制されています。このような微細な閉じた気泡構造により、優れた断熱性能を実現しています。
まとめ 発泡スチロールの熱伝導率の温度依存性は?銅や他の断熱材料との比較も!
本記事では、発泡スチロールの熱伝導率とその単位、温度依存性、そして銅や他の断熱・熱伝導材料との比較について詳しく解説しました。
発泡スチロールは熱伝導率が非常に低く、優れた断熱性能を持つ材料であることがわかりました。その熱伝導率は金属材料の約1万分の1という極めて低い値を示し、温度上昇とともにわずかに増加するものの、実用温度範囲では安定した断熱性能を発揮します。
軽量性、加工のしやすさ、コストパフォーマンスの高さなどと合わせて考えると、発泡スチロールが断熱材、包装材、保冷容器など幅広い用途に使用される理由がよく理解できます!