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ひし形の面積の求め方や公式は?対角線がわからない場合も!証明は【菱形】

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ひし形(菱形)は、4つの辺の長さがすべて等しい四角形で、数学の図形問題でよく出てくる形です。

小学校や中学校の算数・数学で習う図形ですが、面積の求め方について「どの公式を使えばいいの?」と迷ってしまう方も多いでしょう。

ひし形の面積は対角線を使って求めるのが基本ですが、対角線の長さがわからない場合の求め方も存在します。

また、なぜその公式で面積が求められるのか、証明を理解しておくことで、より深く図形の性質を理解できるようになります。

本記事では、ひし形の面積を求める基本公式から、対角線がわからない場合の計算方法、さらには公式の証明まで、わかりやすく解説していきます。

具体的な例題も豊富に用意しているので、この記事を読めばひし形の面積計算が得意になること間違いなし。

それでは、まずひし形の基本的な性質から解説していきます。

ひし形とは?基本的な性質を理解しよう

ひし形の面積を求める前に、まずひし形という図形の定義と性質を確認しておきましょう。

ひし形の特徴を理解することで、面積の公式もより納得できるようになります。

ここではひし形の基本的な性質について詳しく見ていきます。

ひし形の定義と特徴

ひし形とは、4つの辺の長さがすべて等しい四角形のことです。

正方形も4つの辺が等しいですが、ひし形は角度が直角でなくてもよいという点が異なります。

ひし形の定義:4辺の長さがすべて等しい四角形

正方形との違い:角度が直角である必要はない

ひし形には、いくつかの重要な性質があります。

まず、向かい合う辺は平行になっているため、ひし形は平行四辺形の一種です。

また、向かい合う角の大きさは等しく、隣り合う角を足すと180度になるでしょう。

対角線についても特別な性質があり、2本の対角線は互いに垂直に交わり、それぞれの対角線を2等分します。

【ひし形の主な性質】

・4つの辺の長さが等しい

・向かい合う辺は平行

・向かい合う角の大きさは等しい

・対角線は互いに垂直に交わる

・対角線はそれぞれを2等分する

これらの性質は、ひし形の面積を求める際に重要な役割を果たします。

特に対角線が垂直に交わる性質は、面積の公式を導く上で欠かせない要素でしょう。

ひし形と他の四角形との関係

ひし形は、四角形の分類の中で特別な位置づけにあります。

四角形の種類を整理すると、ひし形がどのような図形なのかがより明確になるでしょう。

図形 定義 ひし形との関係
平行四辺形 向かい合う辺が平行 ひし形は平行四辺形の一種
長方形 4つの角が直角 ひし形と長方形の共通部分が正方形
ひし形 4つの辺が等しい
正方形 4つの辺が等しく4つの角が直角 正方形は特殊なひし形

正方形は、ひし形の条件(4辺が等しい)と長方形の条件(4角が直角)の両方を満たす特殊な図形です。

つまり、すべての正方形はひし形ですが、すべてのひし形が正方形というわけではありません。

ひし形の面積公式は正方形にも適用できるので、覚えておくと便利でしょう。

また、平行四辺形の面積公式(底辺×高さ)もひし形に使えますが、対角線を使った公式の方が計算しやすい場合が多いです。

ひし形の対角線の性質

ひし形の面積を求める上で、最も重要なのが対角線の性質です。

ひし形には2本の対角線がありますが、これらは特別な関係を持っています。

ひし形の対角線の性質

① 2本の対角線は互いに垂直(90度)に交わる

② それぞれの対角線は、もう一方の対角線を2等分する

具体的に考えてみましょう。

ひし形ABCDがあり、対角線ACとBDの交点をOとします。

このとき、∠AOB = 90度(垂直)となり、AO = OC、BO = ODとなります。

つまり、対角線の交点Oは、それぞれの対角線のちょうど真ん中の位置にあるということです。

この性質を利用すると、ひし形を4つの直角三角形に分割できます。

それぞれの直角三角形の面積を求めて足し合わせることで、ひし形全体の面積を求める公式が導かれるのです。

対角線が垂直に交わるという性質は、他の一般的な平行四辺形にはない、ひし形特有の性質でしょう。

この性質があるからこそ、対角線を使った簡単な面積公式が成り立ちます。

ひし形の面積の基本公式と計算方法

続いては、ひし形の面積を求める基本的な公式について確認していきます。

最も一般的な公式は対角線を使ったもので、計算も比較的簡単です。

ここでは公式の使い方と具体的な計算方法を詳しく見ていきましょう。

対角線を使った面積公式

ひし形の面積を求める最も基本的な公式は、2本の対角線の長さを使った公式です。

ひし形の面積 = (対角線1 × 対角線2) ÷ 2

または

S = (d₁ × d₂) / 2

ここで、d₁とd₂は2本の対角線の長さを表しています。

この公式は非常にシンプルで、2本の対角線の長さがわかっていれば、すぐに面積が計算できるでしょう。

なぜ「2で割る」のかというと、対角線で囲まれる領域を考えると、実際の面積はその半分だからです。

詳しい証明は後ほど説明しますが、まずは公式の使い方に慣れていきましょう。

【例題1】対角線の長さが6cmと8cmのひし形の面積を求めよ。

【解答】

面積 = (6 × 8) ÷ 2 = 48 ÷ 2 = 24cm²

計算手順は以下の通りです。

① 2本の対角線の長さを確認する

② それらを掛け合わせる

③ 結果を2で割る

この3ステップで面積が求められます。

もう一つ例を見てみましょう。

【例題2】対角線の長さが10cmと12cmのひし形の面積は?

【解答】

面積 = (10 × 12) ÷ 2 = 120 ÷ 2 = 60cm²

この公式は、対角線の長さがわかっていれば、辺の長さや角度がわからなくても面積が求められる点が便利です。

具体的な計算例と練習問題

様々なパターンの問題で、公式の使い方に慣れていきましょう。

【例題3】対角線の長さが5cmと14cmのひし形の面積を求めよ。

【解答】

面積 = (5 × 14) ÷ 2 = 70 ÷ 2 = 35cm²

小数が含まれる場合も、同じ公式を使います。

【例題4】対角線の長さが4.5cmと8cmのひし形の面積は?

【解答】

面積 = (4.5 × 8) ÷ 2 = 36 ÷ 2 = 18cm²

対角線の長さに分数が含まれる場合もあります。

【例題5】対角線の長さが6cmと10/3 cmのひし形の面積を求めよ。

【解答】

面積 = (6 × 10/3) ÷ 2 = 60/3 ÷ 2 = 20 ÷ 2 = 10cm²

ここで重要なポイントを整理しておきましょう。

対角線1 対角線2 計算式 面積
4cm 6cm (4 × 6) ÷ 2 12cm²
8cm 10cm (8 × 10) ÷ 2 40cm²
12cm 16cm (12 × 16) ÷ 2 96cm²
3.5cm 8cm (3.5 × 8) ÷ 2 14cm²

計算の際は、単位を忘れずに付けることが大切です。

長さの単位がcmなら、面積の単位はcm²(平方センチメートル)になります。

また、計算の順序は「掛け算→割り算」でも「割り算→掛け算」でも構いませんが、掛け算を先にする方が計算しやすいでしょう。

対角線の長さを求めてから面積を計算する問題

時には、対角線の長さが直接与えられず、他の情報から対角線を求める必要がある場合もあります。

【例題6】ひし形の対角線が互いに交わる点で、それぞれ3cmと4cmに分けられている。このひし形の面積を求めよ。

【解答】

対角線はそれぞれの交点で2等分されるので

対角線1 = 3 × 2 = 6cm

対角線2 = 4 × 2 = 8cm

面積 = (6 × 8) ÷ 2 = 24cm²

このように、与えられた情報を正しく解釈して、必要な値を求めてから面積を計算することが重要です。

ひし形の対角線は交点で2等分されるという性質を活用した問題でした。

別のパターンも見てみましょう。

【例題7】ひし形ABCDで、対角線ACは10cm、対角線BDの半分は3cmである。面積を求めよ。

【解答】

対角線BD = 3 × 2 = 6cm

面積 = (10 × 6) ÷ 2 = 30cm²

問題文をよく読んで、何が与えられていて、何を求める必要があるのかを正確に把握することが大切でしょう。

対角線の性質を理解していれば、このような問題もスムーズに解けるようになります。

対角線がわからない場合のひし形の面積の求め方

続いては、対角線の長さが直接わからない場合に、どのように面積を求めるかを確認していきます。

辺の長さや角度などの情報から面積を計算する方法もあるのです。

ここでは複数のアプローチ方法を詳しく見ていきましょう。

辺の長さと高さを使った方法

ひし形は平行四辺形の一種なので、平行四辺形の面積公式も使えます

ひし形の面積 = 底辺 × 高さ

S = a × h

ここで、aは底辺(ひし形の一辺)、hは高さ(底辺に対する垂直な距離)を表します。

ひし形の4辺は等しいので、どの辺を底辺としても計算できるでしょう。

【例題8】一辺が5cm、高さが4cmのひし形の面積を求めよ。

【解答】

面積 = 5 × 4 = 20cm²

この方法は非常にシンプルですが、高さの情報が必要です。

問題によっては、高さが直接与えられていない場合もあるでしょう。

その場合は、三角形の性質や三角関数を使って高さを求める必要があります。

【例題9】一辺が10cm、内角の1つが60度のひし形の面積を求めよ。

【解答】

高さ = 10 × sin60° = 10 × (√3/2) = 5√3 cm

面積 = 10 × 5√3 = 50√3 cm²

≒ 50 × 1.732 = 86.6cm²

この計算には三角関数の知識が必要なので、中学校後半から高校数学のレベルになります。

高さがわかっている場合は、対角線を使う方法より簡単に計算できることもあるでしょう。

辺の長さと角度を使った方法

ひし形の一辺の長さと内角がわかっている場合、別の公式も使えます。

ひし形の面積 = a² × sinθ

(aは一辺の長さ、θは内角の1つ)

この公式は、三角関数を学習した後に使える方法です。

【例題10】一辺が8cm、内角の1つが30度のひし形の面積を求めよ。

【解答】

面積 = 8² × sin30° = 64 × 0.5 = 32cm²

sinθの値がわかっていれば、計算は比較的簡単です。

角度θ sinθの値
30° 0.5(または1/2)
45° 0.707…(または√2/2)
60° 0.866…(または√3/2)
90° 1

特に角度が30度、45度、60度、90度の場合は、sinの値が覚えやすい数値になります。

90度の場合は正方形になるので、面積は一辺の2乗になるでしょう。

この方法も高校数学のレベルになりますが、対角線がわからない場合の有力な方法です。

座標を使った方法

ひし形の頂点の座標がわかっている場合、座標平面上で面積を計算することもできます。

【例題11】座標平面上に、頂点が(0,0)、(4,0)、(6,3)、(2,3)にあるひし形がある。面積を求めよ。

【解答】

この場合、まず対角線の長さを求める

対角線1:(0,0)と(6,3)を結ぶ → √(6²+3²) = √45 = 3√5

対角線2:(4,0)と(2,3)を結ぶ → √(2²+3²) = √13

または、底辺と高さで計算

底辺 = 4、高さ = 3

面積 = 4 × 3 = 12

座標が与えられた場合は、底辺と高さを読み取る方法が最も簡単なことが多いでしょう。

対角線を使う場合は、距離の公式を使って対角線の長さを求める必要があります。

どの方法を使うかは、与えられた情報と求めやすさによって判断すると良いです。

ひし形の面積公式の証明

続いては、なぜ対角線を使った公式で面積が求められるのか、その証明について確認していきます。

公式の理屈を理解することで、より深く図形の性質を理解できるようになるでしょう。

ここでは、わかりやすく段階的に証明を見ていきます。

対角線を使った公式の証明(基本的な方法)

ひし形の面積公式「(対角線1 × 対角線2) ÷ 2」を証明していきましょう。

【証明】

ひし形ABCDがあり、対角線ACとBDの交点をOとする。

対角線AC = d₁、対角線BD = d₂とする。

ひし形の性質より、2本の対角線は垂直に交わる。

また、それぞれの対角線は交点Oで2等分される。

つまり、AO = d₁/2、BO = d₂/2

ここで、ひし形を4つの三角形に分割して考えます。

それぞれの三角形は、対角線の半分を底辺と高さとする直角三角形になるでしょう。

△AOBの面積 = (d₁/2 × d₂/2) ÷ 2 = d₁d₂/8

同様に、△BOC、△COD、△DOAもそれぞれ面積はd₁d₂/8

ひし形全体の面積 = d₁d₂/8 × 4 = d₁d₂/2

したがって、面積 = (d₁ × d₂) ÷ 2

この証明は、対角線が垂直に交わり、互いを2等分する性質を使っています。

別の考え方として、もっとシンプルな証明もあります。

長方形との比較による証明

対角線を辺とする長方形と比較する方法も直感的でわかりやすいでしょう。

【別証明】

ひし形の2本の対角線d₁とd₂を辺とする長方形を考える。

この長方形の面積は d₁ × d₂

ひし形は、この長方形のちょうど半分の面積になる。

なぜなら、ひし形の対角線は互いに垂直に交わり、

長方形を対角線で4つに分けた時、ひし形はその半分を占めるから。

したがって、ひし形の面積 = (d₁ × d₂) ÷ 2

この証明は視覚的にイメージしやすく、なぜ2で割るのかが直感的に理解できます。

実際に図を描いて確認すると、より納得できるでしょう。

平行四辺形の公式からの導出

平行四辺形の面積公式「底辺×高さ」から、ひし形の公式を導くこともできます。

【導出】

ひし形は特殊な平行四辺形なので

面積 = 底辺 × 高さ = a × h

ここで、高さhは、対角線と辺の関係から求められる。

対角線を使って表すと、h = (d₂/a) × (d₁/2)

これを代入すると

面積 = a × (d₂/a) × (d₁/2) = (d₁ × d₂) ÷ 2

この導出は少し複雑ですが、平行四辺形の公式と対角線の公式が本質的に同じものであることを示しています。

どの証明方法も、ひし形の基本的な性質(対角線が垂直に交わり、互いを2等分する)を使っている点は共通です。

公式を丸暗記するのではなく、なぜその公式が成り立つのかを理解しておくと、応用問題にも対応しやすくなるでしょう。

証明を通じて、図形の性質と面積の関係を深く理解することができます。

まとめ

ひし形の面積を求める基本公式は「(対角線1 × 対角線2) ÷ 2」で、2本の対角線の長さがわかれば簡単に計算できます。

この公式は、ひし形の対角線が互いに垂直に交わり、それぞれを2等分するという性質から導かれるものです。

対角線がわからない場合でも、底辺と高さを使った「底辺 × 高さ」の公式や、辺の長さと角度を使った「a² × sinθ」の公式で面積を求めることができるでしょう。

それぞれの公式は、与えられた情報に応じて使い分けることが重要です。

公式の証明を理解することで、なぜその計算方法で面積が求められるのかが明確になり、応用問題にも対応しやすくなります。

ひし形は4辺が等しい特殊な平行四辺形であり、正方形は角度も直角である特殊なひし形です。

これらの図形の関係性を理解しておくと、様々な図形問題をスムーズに解けるようになるでしょう。

本記事で解説した複数の計算方法を身につけることで、どのような問題にも柔軟に対応できるようになります。

対角線を使った基本公式を中心に、状況に応じて他の方法も活用できるようにしておくと良いでしょう。

ひし形の面積計算は、中学校数学の重要な単元の一つですが、公式の意味を理解すれば決して難しくありません。

本記事の内容を参考に、練習問題を繰り返し解いて、ひし形の面積計算をマスターしていただければ幸いです。