世界にはさまざまな国旗がありますが、イランの国旗は非常に情報量が多く、細部にまで深い意味が込められたデザインとして知られています。
3色の横縞に謎めいた文字、そして中央に描かれた独特の紋章。
この記事では、イランの国旗のデザインや色の意味・由来を詳しく解説するとともに、覚え方のコツまでわかりやすくお伝えしていきます。
イランの国旗の基本デザイン

それではまず、イランの国旗の基本的なデザインについて解説していきます。
イランの国旗は、上から緑・白・赤の3色の横縞で構成されています。
中央の白い帯には国章が描かれており、さらに緑と白、白と赤の境界部分には細かい文字が並んでいます。
一見シンプルな三色旗に見えますが、細部を見ていくと非常に多くの要素が詰め込まれた国旗です。
・中央:赤い国章(チューリップをモチーフにしたデザイン)
・境界線:アラビア語の文字が上下各11回、計22回
・制定:1980年7月29日
3色の意味(緑・白・赤)
国旗に使われている3色にはそれぞれ明確な意味があります。
| 色 | 位置 | 意味 |
|---|---|---|
| 緑 | 上段 | イスラム教の象徴。成長・幸福・活力も表す |
| 白 | 中段 | 平和・純潔・誠実さを意味する |
| 赤 | 下段 | 勇気・愛国心・殉教者の血を象徴する |
緑はイスラム教国の国旗に広く用いられる色で、預言者ムハンマドが好んだ色とされています。
赤は単なる勇気だけでなく、祖国のために命を捧げた人々への敬意という深い意味も持っています。
この3色はイラン系民族色とも呼ばれ、少なくとも18世紀頃からイランの旗に使われてきた伝統ある配色です。
境界線に隠された文字の秘密
イランの国旗で最も見落とされやすいのが、緑と白、白と赤の境界線部分に書かれた文字です。
遠くから見るとただのギザギザした幾何学模様のように見えますが、実はアラビア文字で書かれた言葉が並んでいます。
書かれているのは「アッラーフ・アクバル(神は偉大なり)」というイスラム教の言葉です。
上の境界線に11回、下の境界線に11回、合計22回書かれています。
中央の国章(チューリップのマーク)
国旗の中央に赤く描かれているのはイランの国章です。
一見すると複雑な幾何学図形のように見えますが、チューリップのシルエットを意識してデザインされています。
イランの古い伝説には「祖国のために戦って倒れた若者の血が染み込んだ大地から赤いチューリップが咲く」という言い伝えがあります。
国章はこの伝説に基づき、革命で命を落とした人々への哀悼と敬意を込めたデザインです。
また、4本の剣と三日月を組み合わせた構成で、アラビア語で「神(アッラー)」という文字も組み込まれています。
イランの国旗の歴史と変遷
続いては、イランの国旗がどのように変化してきたかを確認していきます。
現在の国旗のデザインは比較的新しく、1979年のイラン・イスラム革命を境に大きく変わっています。
三色の歴史は18世紀から
緑・白・赤の3色の組み合わせは非常に歴史が古く、少なくとも18世紀頃にはこの地域の旗に使われていたとされています。
1906年にイラン憲法が発布されたときに三色旗が正式な国旗として定められ、その後1907年に公式国旗となりました。
つまり3色の配色自体は100年以上の歴史を持つ伝統的なものといえます。
帝政時代の国旗(ライオンと太陽)

1979年のイスラム革命以前、帝政時代のイランの国旗には中央に「獅子と太陽」の紋章が描かれていました。
王冠をかぶり、右手に剣を持ち、背後に太陽を背負った黄金のライオンという豪華なデザインです。
この「獅子と太陽」のシンボルの起源は12世紀のペルシャにまでさかのぼる、非常に伝統ある紋章でした。
古代の占星術では太陽がしし座をつかさどっており、権力や王族を象徴するものとして長く使われてきたものです。
イスラム革命後に国章が一新された
1979年にイラン・イスラム革命が起こり、パフラヴィー朝が崩壊するとともに国旗のデザインも大きく変わりました。
革命後の新政府は「獅子と太陽」のシンボルを「抑圧的な西洋化の君主制の象徴」として廃止しました。
そして現在のチューリップ型の国章と「アッラーフ・アクバル」の文字が加えられ、1980年7月29日に現在の国旗が正式に採択されました。
| 時代 | 国旗の特徴 |
|---|---|
| 〜1979年(帝政時代) | 緑・白・赤の三色旗+中央に獅子と太陽の紋章 |
| 1980年〜(現在) | 緑・白・赤の三色旗+チューリップ型国章+アッラーフ・アクバルの文字 |
イランの国旗と似ている国旗
続いては、イランの国旗と似ている国旗を確認していきます。
緑・白・赤の三色を使った国旗は世界にいくつか存在しており、混同しないよう違いを把握しておくことが大切です。
イタリア国旗との違い
イランの国旗と最もよく比較されるのがイタリアの国旗です。
イタリアの国旗も緑・白・赤の3色を使っていますが、並び方が縦縞(左から緑・白・赤)である点が大きく異なります。
イランは横縞、イタリアは縦縞、という点を覚えておくと混同を防げます。
またイランの国旗には中央に国章と文字があるため、実際に見れば一目で区別できます。
タジキスタン・クルド人の旗との関係
イランの「緑・白・赤」の配色はペルシャ(イラン系)文化圏に広く影響を与えています。
隣国タジキスタンの国旗(赤・白・緑)や、国家を持たないクルド人の旗(赤・白・緑に太陽)も、このペルシャの伝統色をベースにしています。
これらはイランと同じペルシャ・イラン系文化の影響を受けていることを示しています。
イラクの国旗との違い
国名が似ているイラクの国旗は赤・白・黒の横縞でアラビア語の文字が入っており、イランとは色の構成がまったく異なります。
緑が入っていればイラン、黒が入っていればイラクと覚えておくとすぐに区別できるでしょう。
イランの国旗の覚え方のコツ
続いては、イランの国旗を確実に覚えるためのコツを確認していきます。
国旗を覚えるにはポイントを絞って記憶に結びつけることが重要です。
色の順番の覚え方
イランの国旗の色の順番(上から緑・白・赤)は、語呂合わせで覚えるのが効果的です。
上から:緑(イスラム)・白(平和)・赤(勇気)別の覚え方:「イランに行ったら木(緑)の下で白旗を赤べこに渡した」
→ 緑・白・赤の順番をイメージする
意味と一緒に覚えるのが最も定着しやすい方法です。
緑はイスラム、白は平和、赤は勇気という3点セットで頭に入れておくとよいでしょう。
国章と文字の覚え方
中央の国章は「チューリップ」のシルエットとイメージすると覚えやすくなります。
「イランの国花はチューリップ(バラとも)」というイメージと結びつけると記憶に残りやすいでしょう。
境界線の文字については「22回の神は偉大なり」=「革命記念日の11月22日」という数字のストーリーとして覚えると忘れにくくなります。
他国の国旗と区別するための覚え方
イタリアとの区別は「横縞か縦縞か」という一点で判断できます。
横に走っているならイラン、縦に並んでいるならイタリアです。
さらに中央に文字や国章があるかどうかでも即座に判断できます。
イランの国旗には必ず中央に赤い国章と境界線の文字があるため、文字のない単純な三色旗とは一目で区別がつくでしょう。
まとめ
イランの国旗は上から緑・白・赤の横三色旗で、1980年7月29日に現在のデザインが制定されました。
緑はイスラム教、白は平和、赤は勇気と愛国心を表しています。
境界線には「アッラーフ・アクバル(神は偉大なり)」という言葉が計22回書かれており、これはイスラム革命がイラン暦11月22日に帝政を打倒したことに由来しています。
中央の国章はチューリップをモチーフにしており、祖国のために命を捧げた殉教者への敬意が込められています。