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実数と複素数の違いは?分数も実数?

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数学を学ぶ中で、実数と複素数という2つの重要な概念に出会います。これらは似ているようで、実は明確な違いがある数の体系なのです。

「実数と複素数って何が違うの?」「分数は実数に含まれるの?」「複素数の方が範囲が広いって本当?」といった疑問を持つ方は多いでしょう。

本記事では、実数と複素数の根本的な違いから、分数が実数である理由、両者の関係性まで、具体例を交えながら詳しく解説していきます。数の体系を正しく理解したい方は、ぜひ最後までお読みください。

実数と複素数の基本的な違い

それではまず、実数と複素数がどのように異なるのか見ていきます。

実数とは何か

実数とは、数直線上に表せるすべての数のことです。

整数、分数、小数、無理数など、私たちが日常的に扱う数のほとんどは実数に含まれます。記号ℝで表され、連続的な数の集合を形成しているのです。

実数に含まれる数

  • 整数:-2, 0, 5, 100
  • 分数:1/2, 3/4, -2/3
  • 有限小数:0.5, 3.14, -2.75
  • 無理数:√2, π, e

実数の重要な特徴は、1次元の数直線で表現できる点です。左右の方向だけで、すべての実数を表せます。正の数は右、負の数は左、0が中心という単純な構造なのです。

また実数は、物理的に測定できる量を表すのに適しています。長さ、質量、時間、温度といった連続的な量は、すべて実数で記述されるわけです。

実数同士の四則演算(0で割る場合を除く)の結果は、常に実数になります。実数の世界は、演算に対して閉じているのです。

複素数とは何か

複素数とは、実部と虚部を持つ数のことで、a+bi(a、bは実数)という形で表されます。

ここでiは虚数単位と呼ばれ、i²=-1という性質を持つ特別な数です。実数には存在しない、新しい概念なのです。

複素数の定義

複素数 = a + bi

a:実部(real part)

b:虚部(imaginary part)

i:虚数単位(i²=-1)

例えば3+2iという複素数は、実部が3、虚部が2です。-1+4iなら実部が-1、虚部が4となります。

複素数は記号ℂで表され、実数ℝよりも広い数の体系です。実数は複素数の特殊な場合と見なせます。

複素数の特徴は、2次元の平面で表現される点です。複素平面という平面上で、横軸が実部、縦軸が虚部に対応します。実数が1次元の直線だったのに対し、複素数は2次元の平面なのです。

複素数は、実数だけでは解けない方程式(例:x²+1=0)を解くために導入されました。複素数の範囲では、あらゆる多項式方程式が解を持つようになります。

実数と複素数の決定的な違い

実数と複素数の最も大きな違いは、虚数単位iを含むかどうかです。

項目 実数 複素数
a(実数) a+bi(a、bは実数)
表現方法 数直線(1次元) 複素平面(2次元)
記号
虚数単位i 含まない 含む場合がある

実数は虚部が0の複素数と考えることができます。例えば実数5は、複素数として5+0iと表現できるのです。

実数と複素数の例

実数:3は3+0i

実数:-2は-2+0i

複素数(虚部あり):3+2i

複素数(虚部あり):-1+4i

純虚数:0+2i=2i

つまり実数⊂複素数という包含関係が成り立ちます。すべての実数は複素数ですが、すべての複素数が実数というわけではないのです。

虚部がある複素数(b≠0)は、実数ではありません。数直線上に表せず、複素平面上でのみ表現できます。

もう一つの大きな違いは、順序関係です。実数には大小関係がありますが、複素数には一般的な大小関係を定義できません。3+2iと1+5iのどちらが「大きい」かは、定義できないのです。

分数は実数なのか

続いては、分数が実数に含まれるかどうかを確認していきましょう。

分数の定義と性質

分数とは、2つの整数の比で表される数のことです。

一般にp/q(pとqは整数、q≠0)という形で表されます。分子pと分母qがともに整数であることが条件です。

分数の例

  • 1/2(2分の1)
  • 3/4(4分の3)
  • -5/3(3分のマイナス5)
  • 7/1=7(整数も分数で表せる)

分数は小数で表すこともできます。1/2=0.5、1/4=0.25のように有限小数になる場合と、1/3=0.333…のように循環小数になる場合があります。

分数で表せる数を有理数と呼びます。「有理」とは「理にかなっている」という意味ではなく、「比率で表せる」という意味です。英語でrational numberと言い、ratioが語源なのです。

有理数は記号ℚで表されます。これは英語のQuotient(商)に由来しています。

分数は実数に含まれる

結論から言えば、すべての分数は実数です

分数(有理数)は、実数という大きな集合の一部を構成しています。実数は有理数と無理数を合わせたものなので、当然有理数である分数も含まれるのです。

数の包含関係

分数(有理数)⊂ 実数 ⊂ 複素数

ℚ ⊂ ℝ ⊂ ℂ

数直線上で考えれば明らかでしょう。1/2は0と1の中間にあり、3/4は0.75の位置にあります。すべての分数は数直線上のどこかに対応する点を持つため、実数なのです。

分数 小数表記 数直線上の位置 実数か
1/2 0.5 0と1の中間
3/4 0.75 0.5と1の間
-2/3 -0.666… -1と0の間
5/1 5.0 4と6の間

負の分数も、もちろん実数です。-1/2、-3/4といった値は、数直線の左側(負の領域)に位置する実数なのです。

分数は実数であり、同時に複素数でもあります。1/2=1/2+0iと表現すれば、虚部が0の複素数と見なせるわけです。

分数と他の実数との関係

実数の中での分数の位置づけを整理しましょう。

実数は、有理数と無理数に分けられます。分数は有理数に含まれ、√2やπのような無理数とは区別されるのです。

実数の分類

実数ℝ

├─有理数ℚ(分数で表せる)

│ ├─整数ℤ

│ │ └─自然数ℕ

│ └─整数でない分数

└─無理数(分数で表せない)

整数も実は分数で表せます。5=5/1、-3=-3/1のように分母を1にすれば、すべての整数は分数の形で書けるのです。したがって整数⊂有理数(分数)という関係が成り立ちます。

一方で√2やπは、どう頑張っても整数の比では表せません。これらは無理数と呼ばれ、分数ではない実数です。

実数 = 有理数(分数) ∪ 無理数

という関係が成り立ち、分数は実数の重要な部分を占めているわけです。

日常生活で使う数の多くは分数で表せます。1.5kg、2.75秒、0.8℃といった値は、すべて有理数(分数)であり、当然実数なのです。

実数と複素数の包含関係

それでは、実数と複素数がどのような関係にあるか詳しく見ていきましょう。

実数は複素数の部分集合

実数と複素数の関係は、実数⊂複素数という包含関係です。

すべての実数は、虚部が0の複素数と見なすことができます。実数aは、複素数a+0iとして表現できるのです。

実数を複素数として表現

  • 5 = 5+0i
  • -3 = -3+0i
  • 1/2 = 1/2+0i
  • √2 = √2+0i

複素平面上で考えると、実数は実軸上(横軸上)の点に対応します。虚部が0なので、縦軸方向には移動せず、横軸上にとどまるわけです。

一方で、虚部が0でない複素数(例:3+2i、-1+4i)は実数ではありません。これらは複素平面上で実軸から外れた点に位置します。

実数か 複素数か 説明
5 虚部が0
-2.5 虚部が0
3+2i × 虚部が2≠0
2i × 純虚数

つまり実数は複素数の特殊なケースであり、複素数という大きな世界の一部なのです。

ベン図で考えると、複素数という大きな円の中に、実数という小さな円が完全に含まれているイメージになります。

複素数が実数を拡張する理由

なぜ複素数という概念が必要だったのでしょうか。それは実数だけでは解けない方程式があるからです。

最も単純な例が、x²+1=0という方程式です。

x²+1=0を解く

x²=-1

実数の範囲では解なし

複素数の範囲では x=±i

実数を何回掛けても負の数にはならないため、x²=-1を満たす実数xは存在しません。しかし虚数単位iを導入すれば、i²=-1により解が得られるのです。

複素数を導入することで、すべての多項式方程式が解を持つようになります。これを代数学の基本定理と呼びます。

代数学の基本定理

n次方程式は、複素数の範囲で必ずn個の解を持つ(重解を含む)

例えばx³-1=0という3次方程式は、実数解x=1のほかに、複素数解x=(-1±√3i)/2を持ちます。合計3個の解が複素数の範囲で得られるわけです。

実数だけでは、この方程式の解は1個しか見つかりません。しかし複素数に拡張すれば、3次方程式にふさわしく3個の解が揃うのです。

このように複素数は、数学的に完全な体系を作るために必要な拡張なのです。

実数と複素数の演算の違い

実数と複素数では、演算の結果が異なる場合があります。

実数同士の四則演算の結果は常に実数です(0で割る場合を除く)。5+3=8、2×4=8、9÷3=3など、すべて実数になります。

しかし複素数が関わると、結果が複素数になる場合があるのです。

複素数の演算例

(2+3i)+(1+4i)=3+7i(複素数)

(2+i)×(3-i)=6-2i+3i-i²=7+i(複素数)

√(-1)=i(複素数)

特に重要なのは平方根です。実数の範囲では、負の数の平方根は定義されません。しかし複素数の範囲では、√(-1)=iと定義できるのです。

これにより√(-4)=2i、√(-9)=3iのように、すべての負の数の平方根が計算可能になります。

また絶対値の定義も異なります。実数の絶対値は符号を取り除いた値ですが、複素数の絶対値は原点からの距離です。

絶対値 計算方法
-5(実数) 5 符号を取る
3+4i(複素数) 5 √(3²+4²)=5
2i(純虚数) 2 √(0²+2²)=2

複素数z=a+biの絶対値は|z|=√(a²+b²)で計算します。これは複素平面上での原点からの距離を表しているのです。

実数と複素数は基本的な性質を共有していますが、このような違いもあることを理解しておきましょう。

実数・複素数・分数の関係まとめ

続いては、これまで見てきた数の関係を総合的に整理していきましょう。

完全な包含関係図

実数、複素数、分数の関係を図式化すると、以下のようになります。

数の体系の包含関係

自然数ℕ ⊂ 整数ℤ ⊂ 有理数ℚ ⊂ 実数ℝ ⊂ 複素数ℂ

最も狭い範囲が自然数で、徐々に拡張されていき、最も広い範囲が複素数です。各段階で新しい種類の数が追加されるわけです。

集合 記号 含まれる数
自然数 1, 2, 3, …
整数 …, -1, 0, 1, 2, …
有理数(分数) 1/2, -3/4, 2, …
実数 有理数∪無理数
複素数 a+bi(すべて)

分数は有理数ℚに含まれ、有理数は実数ℝに含まれ、実数は複素数ℂに含まれます。したがってすべての分数は実数であり、複素数でもあるのです。

逆に言えば、複素数の中に実数があり、実数の中に分数があり、分数の中に整数があり、整数の中に自然数があるという入れ子構造です。

各数の集合の特徴比較

それぞれの数の集合が持つ特徴を比較してみましょう。

実数の特徴

  • 1次元の数直線で表現
  • 大小関係が定義できる
  • 連続的(隙間がない)
  • 物理量を表すのに適する

複素数の特徴

  • 2次元の複素平面で表現
  • 一般的な大小関係は定義できない
  • すべての多項式方程式が解を持つ
  • 電気工学や量子力学で重要

分数(有理数)の特徴

  • 2つの整数の比で表せる
  • 有限小数または循環小数になる
  • 稠密(任意の2つの間に別の有理数)
  • 日常的な計算でよく使われる

実数は測定値を表すのに適し、複素数は理論計算に適し、分数は正確な比率を表すのに適しています。それぞれに得意分野があるわけです。

実際の使い分け

数学の問題を解く際、どの数の範囲で考えるかは重要です。

問題文に「実数xについて」とあれば、xは実数の範囲で考えます。√2やπも含まれますが、3+2iのような複素数は除外されるのです。

「整数nについて」とあれば、nは整数に限定されます。分数や無理数は考慮しません。

「複素数zについて」とあれば、zは複素数全般を指します。実数も含まれますし、虚部を持つ複素数も含まれます。

問題の指定 考える範囲
自然数n 1, 2, 3, … n=1, 2, 3のみ
整数k …, -1, 0, 1, … k=-2, 0, 5など
実数x 数直線上のすべて x=√2, πなど
複素数z a+biすべて z=3+2i, 5など

方程式の解を求める問題でも、「実数解を求めよ」と「すべての解を求めよ」では答えが変わります。前者は実数のみ、後者は複素数解も含むのです。

このように数の範囲を正確に理解し、問題に応じて適切に使い分けることが重要です。範囲を間違えると、正しい答えにたどり着けません。

分数が実数であり複素数でもあることを理解していれば、こうした使い分けも自然にできるようになるでしょう。

まとめ 分数は実数?

本記事では、実数と複素数の違い、分数が実数に含まれること、そしてこれらの数の関係性について詳しく解説しました。

実数は数直線上の数で虚部を持たず、複素数は実部と虚部を持つより広い概念です。分数はすべて実数に