荷重と応力の違いは?関係と計算式も!(外力と内力・垂直応力・せん断応力・応力度・単位面積あたりの力など)
構造力学や材料力学を学ぶうえで、必ずといっていいほど最初に登場するのが「荷重」と「応力」という概念です。
この2つの言葉は似ているようで、実はまったく異なる意味を持つ重要な用語です。
荷重は建物や部材に外から加わる力のことを指し、応力はその荷重を受けた部材の内部に生じる力のことを指します。
この違いをしっかり理解していないと、計算式の意味や単位の扱い方で混乱してしまうことも少なくありません。
本記事では、荷重と応力の違いをはじめ、外力と内力の関係、垂直応力・せん断応力の種類、応力度の概念、そして単位面積あたりの力としての計算式まで、わかりやすく解説していきます。
これから構造力学を学ぶ方にも、改めて基礎を整理したい方にも、ぜひ参考にしていただければ幸いです。
荷重と応力の違いは「外から加わる力」か「内部に生じる力」かにある
それではまず、荷重と応力の本質的な違いについて解説していきます。
荷重と応力の違いを一言で表すなら、「荷重は外から加わる力(外力)」であり、「応力は部材の内部に生じる力(内力)」ということになります。
たとえば、テーブルの上に重いものを置いたとき、テーブルの脚には上からの荷重がかかります。
その荷重によって、脚の内部には「つぶれまい」とする抵抗力が発生します。
この内部に生じる抵抗力こそが「応力(内力)」です。
荷重(外力)→ 部材に外から加わる力
応力(内力)→ 荷重を受けた部材の内部に生じる力
この2つは原因と結果の関係にあると理解しておきましょう。
荷重と応力は「原因と結果」の関係にあると捉えるとわかりやすいでしょう。
荷重が原因となり、応力が結果として現れるイメージです。
また、応力を「断面力」と呼ぶこともあり、部材をある断面で切断したときに断面上に現れる内力を意味します。
建築・土木の構造計算では、この荷重と応力の関係を正確に把握することが設計の基本となります。
外力(荷重)とは何か
外力とは、構造物や部材に外部から作用するすべての力のことです。
建築物における荷重の種類には、以下のようなものがあります。
| 荷重の種類 | 内容 |
|---|---|
| 固定荷重(死荷重) | 建物自体の重さ(柱・梁・床など) |
| 積載荷重(活荷重) | 人や家具など、使用によって変わる荷重 |
| 風荷重 | 風圧によって建物に作用する水平力 |
| 地震荷重 | 地震動によって生じる水平力 |
| 積雪荷重 | 屋根などに積もった雪の重さ |
これらの外力は、部材に対して圧縮・引張・曲げ・せん断などの変形を引き起こす原因となります。
荷重の単位はN(ニュートン)やkN(キロニュートン)で表されることが一般的です。
内力(応力)とは何か
内力とは、外力を受けた部材の断面内部に生じる力のことです。
部材をある断面で仮想的に切断したとき、切断面に現れる力が内力(応力・断面力)となります。
内力には、軸力・せん断力・曲げモーメント・ねじりモーメントなどの種類があります。
これらの内力は、外力とつり合いの関係にあることがポイントです。
荷重と応力の関係まとめ
荷重と応力の関係を整理すると、外力が部材に加わることで内力が発生し、その内力が部材断面の面積に分散してかかる強度的な指標が「応力度」として表されます。
この流れを頭に入れておくと、後の計算式の理解もスムーズになるでしょう。
「荷重→内力(応力)→応力度」という3段階の流れが構造力学の基本的な考え方です。
垂直応力とせん断応力の違いと計算式
続いては、応力の種類である垂直応力とせん断応力の違いと計算式を確認していきます。
応力(内力)には大きく分けて2つの種類があります。
それが「垂直応力(法線応力)」と「せん断応力(接線応力)」です。
この2つは、力が断面に対してどの方向に作用しているかによって区別されます。
垂直応力とは
垂直応力とは、部材の断面に対して垂直(法線方向)に作用する応力のことです。
部材を軸方向に引っ張ったり圧縮したりしたときに生じる応力が垂直応力に相当します。
垂直応力には「引張応力」と「圧縮応力」の2種類があります。
垂直応力度の計算式
σ(シグマ)= N ÷ A
σ:垂直応力度(N/mm² またはPa)
N:軸力(N またはkN)
A:断面積(mm² またはm²)
たとえば、断面積100mm²の鋼材に10,000Nの引張力が作用している場合、垂直応力度は10,000÷100=100N/mm²となります。
引張方向の応力をプラス(+)、圧縮方向の応力をマイナス(-)で表すのが一般的な取り決めです。
せん断応力とは
せん断応力とは、部材の断面に対して平行(接線方向)に作用する応力のことです。
ハサミで紙を切るように、断面を「ずらす」方向に力が加わるときに生じます。
建築物では、梁に鉛直荷重が作用したときや、地震時の水平力がかかるときにせん断応力が発生します。
せん断応力度の計算式
τ(タウ)= Q ÷ A
τ:せん断応力度(N/mm²)
Q:せん断力(N またはkN)
A:断面積(mm² またはm²)
せん断応力度は、ギリシャ文字のτ(タウ)で表されることが多いです。
垂直応力と同様に、断面積が大きいほどせん断応力度は小さくなり、部材としての安全性が高まります。
垂直応力とせん断応力の比較
| 項目 | 垂直応力 | せん断応力 |
|---|---|---|
| 作用方向 | 断面に対して垂直 | 断面に対して平行 |
| 記号 | σ(シグマ) | τ(タウ) |
| 原因となる内力 | 軸力(N) | せん断力(Q) |
| 単位 | N/mm²(MPa) | N/mm²(MPa) |
どちらも単位は同じ「N/mm²(メガパスカル)」で表されますが、力の向きと原因となる内力が異なる点をしっかり押さえておきましょう。
応力度とは何か?単位面積あたりの力という考え方
続いては、「応力度」という概念についてさらに詳しく確認していきます。
構造力学では「応力」と「応力度」を区別して使うことがあります。
この2つの言葉は混同されがちですが、応力度とは「単位面積あたりに作用する力の大きさ」を表す指標のことです。
応力と応力度の違い
「応力」はもともと部材の断面に生じる内力全体を指し、単位はN(ニュートン)やkN(キロニュートン)です。
一方「応力度」は、その内力を断面積で割った「単位面積あたりの力」を意味します。
単位はN/mm²(ニュートン毎平方ミリメートル)やMPa(メガパスカル)で表されます。
応力度(stress intensity)= 内力 ÷ 断面積
同じ内力でも、断面積が大きいほど応力度は小さくなります。
これが「断面を大きくすると部材が強くなる」理由の本質です。
日常的な会話や教科書の文脈によっては、「応力」と「応力度」を同じ意味で使うこともありますが、厳密には内力(応力)と単位面積あたりの強度(応力度)は区別する必要があります。
応力度の単位と換算
応力度の単位には以下のようなものがあります。
| 単位 | 意味 | 換算 |
|---|---|---|
| N/mm² | 1mm²あたりのニュートン | 1N/mm² = 1MPa |
| kN/m² | 1m²あたりのキロニュートン | 1kN/m² = 1kPa |
| MPa | メガパスカル | 1MPa = 1N/mm² |
| GPa | ギガパスカル | 1GPa = 1,000MPa |
建築構造の計算ではN/mm²やkN/m²が頻繁に使われます。
単位の換算を正確に行うことが、計算ミスを防ぐうえでとても重要です。
許容応力度設計との関係
応力度の概念は、建築構造設計における「許容応力度設計法」と密接に関係しています。
許容応力度設計では、部材に生じる応力度が材料ごとに定められた「許容応力度」を超えないように設計します。
「発生応力度 ≦ 許容応力度」が成立することが、安全な設計の基本条件です。
鋼材やコンクリートにはそれぞれ異なる許容応力度が設定されており、材料の特性に応じた設計が求められます。
荷重・応力・応力度の計算例で理解を深めよう
続いては、実際の計算例を通じて荷重・応力・応力度の関係を確認していきます。
ここまで解説してきた概念を、具体的な数値を使った例題で整理してみましょう。
軸力を受ける部材の計算例
まずは、引張力を受ける鋼棒の垂直応力度を求める例を見てみましょう。
例題①
直径20mmの円形断面を持つ鋼棒に、引張荷重30,000N(30kN)が作用しているとき、垂直応力度を求めなさい。
断面積 A = π × (20÷2)² = π × 100 ≒ 314.2 mm²
垂直応力度 σ = N ÷ A = 30,000 ÷ 314.2 ≒ 95.5 N/mm²
答え:約95.5 N/mm²(MPa)
このように、断面積を求めてから応力度の計算を行うのが基本的な手順です。
円形断面の場合は断面積の計算にπ(円周率)を使う点を忘れないようにしましょう。
せん断力を受ける部材の計算例
例題②
断面積500mm²の部材に、せん断力10,000N(10kN)が作用しているとき、せん断応力度を求めなさい。
せん断応力度 τ = Q ÷ A = 10,000 ÷ 500 = 20 N/mm²
答え:20 N/mm²(MPa)
せん断応力度の計算も、垂直応力度と同じく「内力÷断面積」という基本形は変わりません。
問題によって軸力かせん断力かを正しく読み取ることが大切です。
計算の注意点と単位の扱い方
応力度の計算でよくある間違いが、単位の不統一です。
たとえば力の単位をkN(キロニュートン)で与えられているのに、断面積の単位がmm²のままだと、応力度の単位がkN/mm²という中途半端なものになってしまいます。
計算時の単位統一ルール
力をN(ニュートン)、面積をmm²で統一 → 応力度の単位はN/mm²(MPa)
力をkN(キロニュートン)、面積をm²で統一 → 応力度の単位はkN/m²(kPa)
単位を統一してから計算することが正確な答えを出す第一歩です。
計算問題では必ず単位を確認し、必要であれば変換してから計算に臨みましょう。
単位さえ正しく扱えれば、応力度の計算式自体はシンプルなので怖くありません。
まとめ
本記事では、「荷重と応力の違いは?関係と計算式も!(外力と内力・垂直応力・せん断応力・応力度・単位面積あたりの力など)」というテーマで解説してきました。
荷重(外力)は部材の外から加わる力であり、応力(内力)はその荷重を受けた部材内部に生じる抵抗力です。
この「外力と内力」の関係こそが、荷重と応力の違いを理解するうえで最も重要なポイントといえます。
応力にはさらに、断面に垂直に作用する「垂直応力(σ)」と断面に平行に作用する「せん断応力(τ)」の2種類があります。
そして、これらの内力を断面積で割ることで得られる「応力度」が、部材の強度を評価するための指標として使われます。
応力度の計算式は「応力度=内力÷断面積」というシンプルなものですが、単位の統一と力の種類(軸力かせん断力か)を正しく把握することが正確な計算への近道です。
構造力学の基礎をしっかり固めることが、安全な建築・土木設計の第一歩となります。
ぜひ本記事を繰り返し読んで、荷重と応力の概念を自分のものにしていただければ幸いです。