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LNGバンカリングとは何か?燃料船への供給方法と仕組みを解説!

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近年、海運業界では環境規制の強化に伴い、従来の重油に代わるクリーンな燃料としてLNG(液化天然ガス)が注目を集めています。

船舶の燃料転換が世界的に加速する中、LNGを船に供給するための「LNGバンカリング」という仕組みが重要なインフラとして急速に整備されつつあります。

しかし、「バンカリングとは何か?」「どのように燃料を供給するのか?」といった基本的な部分が、まだ広く理解されていないのも現状です。

この記事では、LNGバンカリングの意味や仕組み、供給方法の種類から実際の流れまでをわかりやすく解説していきます。

LNG燃料船の普及や脱炭素化の動向に興味がある方は、ぜひ最後までご一読ください。

LNGバンカリングとは何か?燃料船への供給方法と仕組みを解説!

それではまず、LNGバンカリングの基本的な概念と、その役割について解説していきます。

LNGバンカリング(LNG Bunkering)とは、LNG(液化天然ガス)を燃料とする船舶に対してLNGを補給・供給する作業のことを指します。

「バンカリング(Bunkering)」という言葉自体は、もともと船舶への燃料補給全般を意味する海運用語です。

従来の重油補給に代わり、LNGを燃料として使う船が増えたことで、LNGに特化したバンカリングの需要が急増しています。

LNGバンカリングが注目される最大の理由は、LNGが従来の重油に比べて環境負荷が大幅に低い点にあります。

硫黄酸化物(SOx)はほぼゼロ、窒素酸化物(NOx)は約80%削減、CO2も約20〜25%削減が可能とされており、国際海事機関(IMO)の排気ガス規制強化に対応できる燃料として高い評価を受けています。

LNGはマイナス162℃という極低温で液化された状態で輸送・貯蔵されるため、通常の燃料とは異なる特殊な設備や技術が必要になります。

そのため、LNGバンカリングは単なる「給油」とは異なり、安全管理や設備面での高い専門性が求められる作業といえるでしょう。

世界各地の主要港では、このLNGバンカリングに対応したインフラ整備が進んでおり、日本国内でも横浜港や神戸港、東京港などでLNGバンカリングの体制が整いつつあります。

LNGバンカリングの主な供給方法(3つの方式)

続いては、LNGバンカリングにおける具体的な供給方法について確認していきます。

LNGバンカリングには、大きく分けて3つの供給方式があります。

それぞれの方式には特徴や適した利用シーンがあるため、港湾の規模や船の種類、運航スケジュールなどに応じて使い分けられています。

STS方式(Ship to Ship)

STS方式(Ship to Ship)とは、LNGバンカリング専用船(バンカー船)が燃料船の隣に接舷し、船から船へ直接LNGを移送する方法です。

港内だけでなく、沖合での補給も可能なため、柔軟性が高い方式として世界中で広く採用されています。

大型のLNG燃料船に対応しやすく、一度に大量のLNGを補給できる点が強みといえます。

一方で、専用のバンカー船を用意する必要があることから、初期投資や運用コストが高くなる傾向があります。

TTS方式(Truck to Ship)

TTS方式(Truck to Ship)とは、LNGを積んだローリー(タンクローリー)が埠頭に乗り入れ、ホースを介して直接船にLNGを供給する方法です。

設備投資が比較的少なく、小規模な港でも対応しやすいことから、導入の初期段階やLNG燃料船の隻数が少ない港で多く採用されています。

ただし、一度に供給できるLNGの量に限界があるため、小型船や近距離フェリーなどに向いている方式といえるでしょう。

PTS方式(Port to Ship)

PTS方式(Port to Ship)とは、港湾内に設置された固定式のLNG貯蔵タンクから配管を通じて船にLNGを供給する方法です。

大型の陸上設備が必要となるため、整備コストは高くなりますが、安定的かつ大量の供給が可能です。

定期航路で同じ港に頻繁に寄港する船舶に対して特に有効で、今後のLNGバンカリングのインフラとして期待されている方式です。

方式 供給元 特徴 主な対象船舶
STS方式 バンカー船 大量供給可能・沖合対応も可 大型LNG燃料船
TTS方式 タンクローリー 小規模港向け・導入しやすい 小型船・フェリー
PTS方式 陸上貯蔵タンク 安定供給・大量供給が可能 定期航路船・大型客船

LNGバンカリングの作業手順と安全管理の仕組み

続いては、LNGバンカリングが実際にどのような手順で行われるのか、そして安全管理の仕組みについて確認していきます。

LNGはマイナス162℃という超低温であることから、取り扱いには通常の燃料補給とは異なる細心の注意が求められます。

バンカリング前の準備と確認作業

LNGバンカリングを開始する前には、バンカリング前協議(Pre-Bunkering Meeting)と呼ばれる事前確認が行われます。

この協議では、供給量・供給速度・緊急時の手順・連絡体制などを双方(供給側と受け取り側)で確認します。

また、接続部(ホースやアーム)のリーク確認、バルブの点検、ガス検知器の動作確認なども入念に行われます。

この準備段階が不十分だと、作業中に深刻な事故につながる可能性があるため、非常に重要なプロセスといえます。

移送作業中の管理体制

LNGの移送中は、ESD(緊急遮断システム)と呼ばれる自動遮断装置が常時稼働しており、異常を検知した際には瞬時に供給を停止できる仕組みが整えられています。

また、作業中は供給側・受け取り側の双方で専任の担当者が常駐し、流量・圧力・温度などの各種パラメータを継続的に監視します。

LNGは気化しやすい性質があるため、ガス漏れが発生した場合に備えた検知システムや防火設備も整備されています。

作業完了後の手順

移送が完了した後は、配管内に残ったLNGをパージ(排出・置換)し、ホースや接続部を安全に切り離す作業が行われます。

その後、受け取り量の計量と記録が行われ、バンカリング完了証明書(BDN:Bunker Delivery Note)が発行されます。

BDN(Bunker Delivery Note)は、供給されたLNGの量や品質を証明する重要な書類であり、燃料コストの精算や環境規制対応の記録としても活用されます。

LNGバンカリングにおける安全管理の基準として、国際的には「SGMF(ガスとしての燃料使用船舶協会)」が策定したガイドラインが広く参照されています。

このガイドラインでは、作業手順・人員配置・設備基準・緊急対応など多岐にわたる要件が定められており、世界各地のLNGバンカリング事業者はこの基準に沿った運用を行っています。

LNGバンカリングの現状と今後の展望

続いては、LNGバンカリングの世界的な現状と、今後の普及に向けた動向を確認していきます。

世界のLNGバンカリング市場の拡大

世界のLNGバンカリング市場は急速に拡大しています。

特に欧州では、オランダのロッテルダム港やベルギーのアントワープ港などが先進的なLNGバンカリング拠点として発展しており、多くのLNG燃料船が寄港しています。

アジアでは、シンガポールが世界有数のLNGバンカリングハブとして急成長しており、日本もそれに続く形でインフラ整備を加速させています。

国際海事機関(IMO)が掲げる「2050年までの温室効果ガス排出ネットゼロ」目標の達成に向け、LNG燃料船の新造が世界的に増加している点も市場拡大の大きな要因です。

LNG燃料船の世界保有隻数(参考)

2015年頃 約80隻 → 2020年頃 約200隻 → 2024年現在 約700隻以上(発注残含む)

この数字からも、LNG燃料船の急増とそれに伴うLNGバンカリング需要の拡大が読み取れます。

日本国内のLNGバンカリング整備状況

日本では、国土交通省や各港湾管理者が中心となり、LNGバンカリング拠点整備計画が進められています。

横浜港・川崎港・神戸港・大阪港・東京港などの主要港湾において、LNGバンカリングに対応した設備や規制整備が段階的に進んでいます。

また、国内の大手船会社や商社もLNGバンカリング事業への参入を進めており、官民一体となった普及体制が整いつつある状況です。

LNG以外の次世代燃料との関係

LNGバンカリングが拡大する一方で、さらにCO2排出量が少ないアンモニア燃料船水素燃料船、メタノール燃料船なども将来の有力候補として研究・開発が進んでいます。

ただし、これらの次世代燃料はまだ技術的・コスト的な課題が多く、実用化には時間がかかる見通しです。

そのため、現時点ではLNGはブリッジ燃料(橋渡し燃料)として、2030〜2040年代にかけての海運業界の脱炭素化をリードする存在として位置づけられています。

LNGバンカリングのインフラ整備を着実に進めることが、将来の次世代燃料へのスムーズな移行にもつながっていくでしょう。

まとめ

今回は「LNGバンカリングとは何か?燃料船への供給方法と仕組みを解説!」というテーマで、LNGバンカリングの基本的な意味から供給方式・作業手順・市場動向まで幅広くご紹介しました。

LNGバンカリングとは、LNGを燃料とする船舶にLNGを補給する作業のことであり、STS方式・TTS方式・PTS方式という3つの供給方法が主に用いられています。

作業にあたっては、超低温のLNGという特殊な燃料を扱うため、ESDシステムやガス検知装置など高度な安全管理体制が不可欠です。

世界的な脱炭素化の流れを受けて、LNG燃料船の普及とLNGバンカリング市場は今後も拡大が続くと予想されます。

日本においても、主要港湾でのインフラ整備が着実に進んでおり、海運業界の環境対応を支える重要な仕組みとして、LNGバンカリングへの注目はさらに高まっていくでしょう。

LNG燃料や海運業界の脱炭素化に興味をお持ちの方は、ぜひ引き続き最新の動向をチェックしてみてください。