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熱伝導率が低いとどうなる(冷めにくいし温まりにくい?)?簡単にわかりやすく解説!

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私たちの身の回りには様々な材料がありますが、熱の伝わりにくさを示す熱伝導率が低い材料は、日常生活の中で特別な役割を果たしています。

でも、「熱伝導率が低いと実際にどうなるの?」「冷めにくいし温まりにくいって本当?」といった疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

この記事では、熱伝導率が低い場合の熱の挙動について、わかりやすく解説します。身近な例を交えながら、熱伝導率の低さがもたらす両面の効果を理解していきましょう!

熱伝導率が低いとどうなる?冷めにくいけど温まりにくい?

結論から言うと、熱伝導率が低い物質は「熱が伝わりにくい」ため、以下のような二面性を持っています。

熱伝導率が低い材料の特徴:1. 冷めにくい:一度温まると、その熱を外部に逃がしにくい

2. 温まりにくい:外部からの熱が内部に伝わりにくい

3. 温度変化が全体的に緩やか:温度差が生じたとき、その均一化が遅い

4. 温度状態を維持する性質が高い:現在の状態を保持しようとする

 

つまり、熱伝導率が低い材料は「熱の移動を妨げる」性質を持つため

熱伝導率が低い材料は:- 暖かい物体:冷めにくい(熱が外に逃げにくい)

– 冷たい物体:暖まりにくい(外部の熱が内部に入りにくい)

– 重要なポイント:温度変化全般に対する「抵抗力」が高い

 

日常生活での具体例

熱伝導率の低さがもたらす「冷めにくさ」と「温まりにくさ」を日常生活の例で見てみましょう:

1. 土鍋と金属鍋の違い- 土鍋(熱伝導率が低い):温まるのに時間がかかるが、火を止めても冷めにくく、料理が温かい状態を保つ
– 金属鍋(熱伝導率が高い):素早く温まるが、火を止めるとすぐに冷める

2. 断熱材入りの水筒や魔法瓶

– 温かい飲み物:長時間温かさを保つ(冷めにくい)
– 冷たい飲み物:長時間冷たさを保つ(温まりにくい)

3. 木造住宅と鉄筋コンクリート住宅

– 木造(熱伝導率が低い):暖房をつけると温まるのに時間がかかるが、切っても冷めにくい
– 鉄筋コンクリート:温まるのに時間がかかり、冷えるのも遅い(熱容量の影響も大きい)

といった感じですね^_^

熱伝導率が低い代表的な物質と高い物質

熱伝導率が低い物質 熱伝導率 [W/(m·K)] 熱伝導率が高い物質 熱伝導率 [W/(m·K)]
真空(理想的) 0 約429
静止空気 約0.026 約386
発泡スチロール 約0.03〜0.04 アルミニウム 約237
ウール 約0.04 約80
木材 約0.1〜0.2 コンクリート 約1.5

 

公式を元に上の意味を詳細解説

※大学以降の学術のお話なので、難しい話を理解する必要がない場合は、読み飛ばしください※

熱伝導の基本法則であるフーリエの法則から、熱伝導率の低さがもたらす「冷めにくさ」と「温まりにくさ」を詳しく見ていきましょう。

フーリエの法則の基本式

q = -λ·(dT/dx)ここで

q: 熱流束 [W/m²](単位面積あたりの熱流量)

λ: 熱伝導率 [W/(m·K)]

dT/dx: 温度勾配 [K/m](距離に対する温度変化)

マイナス記号は、熱が高温側から低温側へ流れることを示します

 

この式から、熱伝導率λが小さい場合の熱の挙動について考えてみましょう

熱伝導率λが小さい場合:- 同じ温度勾配(dT/dx)でも、熱流束qが小さくなる
– つまり、熱の移動速度が遅くなる
– 結果として:
* 内部が高温なら外に熱が逃げにくい(冷めにくい)
* 外部が高温なら内部に熱が入りにくい(温まりにくい)

 

熱拡散率からみた温度変化の遅さ

時間経過による温度変化の速さは、熱拡散率という物理量で表されます:

熱拡散率 α = λ/(ρ·c)ここで

α: 熱拡散率 [m²/s]

λ: 熱伝導率 [W/(m·K)]

ρ: 密度 [kg/m³]

c: 比熱容量 [J/(kg·K)]

 

この式から、熱伝導率λが小さい場合:

熱伝導率λが小さいと:- 熱拡散率αも小さくなる
– 温度変化全般が遅くなる
– 「冷める」のも「温まる」のも遅くなる

 

「冷めにくい」と「温まりにくい」は結局同じお話

熱伝導率の低さがもたらす両面の効果は、同一の物理原理から生じています:

熱伝導率が低い材料では:1. 熱エネルギーの移動に対する「障壁」として機能

2. 温度変化のプロセス全般が遅延される

3. 暖房の例:
– 部屋を暖めるのに時間がかかる(温まりにくい)
– しかし一度暖まると、暖房を切っても冷めにくい

4. 断熱容器の例:
– 熱い飲み物は冷めにくい
– 冷たい飲み物は温まりにくい
– どちらも「現在の温度を維持する」という同じ原理

 

熱伝導率の低さを活かす使い方

熱伝導率の低さがもたらす「冷めにくい」「温まりにくい」性質は、用途に応じて上手く活用できます

1. 「冷めにくさ」を活かす例:- 保温調理器:一度沸騰させた後、熱源を切っても調理が続く
– 暖房効率:室内の暖かさを長時間維持する住宅断熱材

2. 「温まりにくさ」を活かす例:

– 保冷容器:外気の熱が内部に入りにくい
– 耐火材:外部の高温から内部を保護

3. 両方を同時に活かす例:

– 魔法瓶:内容物が熱くても冷たくても、その状態を長時間維持
– パッシブハウス:外気温の影響を受けにくく、室内温度を安定させる

 

まとめ 熱伝導率の低いとは?温まりにくいし冷めにくい?

熱伝導率が低い物質は「熱の伝わりにくさ」が高く、これにより「冷めにくい」と「温まりにくい」という一見相反する性質を同時に持ちます。

この特性は、熱の移動に対する「抵抗力」と考えると理解しやすく、現在の温度状態を維持しようとする性質をもたらします。

日常生活では、この性質を活かして、保温・保冷容器、住宅の断熱材、調理器具など様々な製品が開発されています。用途に応じて、「冷めにくさ」「温まりにくさ」のどちらの性質を活用するかを考慮することが重要です。

熱伝導率の低い材料の特性を理解することで、エネルギー効率の良い生活や快適な環境づくりに役立てることができるのです(^^)/