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長方形の断面二次モーメントの公式や単位や計算・求め方をわかりやすく解説!

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材料力学や構造力学の学習で「断面二次モーメントの計算がよくわからない…」と感じた経験はないでしょうか。その中でも長方形断面の断面二次モーメントは、建築・土木・機械設計において最も頻繁に登場する基本中の基本です。

本記事では、長方形の断面二次モーメントの公式・単位・計算方法・求め方をわかりやすく丁寧に解説していきます。重心軸まわり・底辺軸まわりの公式の違い、積分による導出プロセス、具体的な計算例まで網羅していますので、初めて学ぶ方から復習したい方まで、ぜひ最後までご覧ください。

長方形の断面二次モーメントの公式と単位 結論からわかりやすく解説

それではまず、長方形の断面二次モーメントの公式と単位について、結論からわかりやすく解説していきます。

「長方形の断面二次モーメントの公式や単位や計算・求め方をわかりやすく解説!」というテーマのとおり、まず最初に押さえておきたいのが公式です。長方形断面の断面二次モーメントには、「重心軸まわり」と「底辺軸まわり」という2種類の公式があります。どちらを使うかは、基準軸の位置によって異なります。

長方形断面の断面二次モーメント 公式まとめ
重心軸(x軸)まわり:Ix = bh³ ÷ 12
底辺軸まわり:I = bh³ ÷ 3
重心軸(y軸)まわり:Iy = hb³ ÷ 12
b = 幅(水平方向の寸法)、h = 高さ(鉛直方向の寸法)
単位はcm⁴・mm⁴・m⁴(長さの4乗)

この3つの公式の中で最もよく使われるのが重心軸まわりの「Ix = bh³ ÷ 12」です。部材の曲げ変形・たわみの計算では、重心(断面の中心)を通る軸まわりの断面二次モーメントを使うことがほとんどです。まずこの公式を確実に覚えておきましょう。

断面二次モーメントの単位

長方形の断面二次モーメントの単位は「長さの4乗」です。公式「bh³÷12」において、bは長さ1乗、h³は長さ3乗ですから、掛け合わせると長さの4乗となります。

単位 読み方 主に使われる場面
m⁴ メートルの4乗 建築・土木・大型構造物の設計
cm⁴ センチメートルの4乗 一般的な構造計算・学校の演習問題
mm⁴ ミリメートルの4乗 機械部品・精密設計・小型部材

単位の換算では長さの換算比の4乗を使います。間違えやすいポイントですので確認しておきましょう。

単位の換算
1 m = 100 cm なので 1 m⁴ = 100⁴ cm⁴ = 10⁸ cm⁴
1 cm = 10 mm なので 1 cm⁴ = 10⁴ mm⁴ = 10,000 mm⁴
(長さの換算比の4乗になる点に必ず注意!)

例えばbとhをmmで計算した結果をcm⁴で表すには、10,000で割る必要があります。逆の換算も頻繁に登場しますので、この関係を頭に入れておきましょう。

重心軸まわりと底辺軸まわりの公式の違い

なぜ重心軸まわりと底辺軸まわりで公式が違うのでしょうか。この違いを正確に理解しておくことが、計算ミスを防ぐ大きなポイントです。

重心軸まわり(÷12)は、長方形の断面重心を通る水平軸を基準としたときの断面二次モーメントです。設計上最も多く使う公式で、曲げ剛性EIの計算やたわみの計算に使われます。

底辺軸まわり(÷3)は、長方形の底辺そのものを基準軸としたときの断面二次モーメントです。底辺軸は重心軸から「h÷2」だけ離れた位置にあり、平行軸の定理によって重心軸まわりの値の4倍になることが確認できます。

底辺軸まわりの公式が「÷3」になる理由(平行軸の定理で確認)
平行軸の定理:I(底辺) = I₀(重心) + A × d²
A = bh(断面積)、d = h/2(重心から底辺までの距離)I(底辺) = bh³/12 + bh × (h/2)²
= bh³/12 + bh × h²/4
= bh³/12 + bh³/4
= bh³/12 + 3bh³/12
= 4bh³/12
= bh³/3 ✓(底辺軸まわりの公式と一致)

このように、底辺軸まわりの値は重心軸まわりの値のちょうど4倍になります。問題を解くときに「÷12か÷3か」迷った際は、基準軸の位置が重心か底辺かをまず確認するようにしましょう。

bとhの向きと断面二次モーメントの関係

長方形断面では、幅bと高さhのどちらを大きくするかによって断面二次モーメントの値が大きく変わります。「bh³÷12」という公式において、hが3乗で効いてくることに注目しましょう。

断面の向きによる断面二次モーメントの違い(例)
幅b = 5 cm、高さh = 20 cm(縦長配置)
Ix = bh³ ÷ 12 = 5 × 20³ ÷ 12 = 5 × 8000 ÷ 12 ≒ 3,333 cm⁴幅b = 20 cm、高さh = 5 cm(横長配置)
Ix = bh³ ÷ 12 = 20 × 5³ ÷ 12 = 20 × 125 ÷ 12 ≒ 208 cm⁴→ 縦長配置の断面二次モーメントは横長配置の約16倍!

この例からもわかるとおり、同じ断面積(5×20 = 100 cm²)でも配置の向きによって断面二次モーメントが16倍もの差が生じます。これが梁を横置きにせず縦置きにする理由であり、構造設計における断面配置の基本的な考え方です。

長方形の断面二次モーメントの導出・証明

続いては、長方形の断面二次モーメントの公式をどのように導くのかを、積分による導出プロセスで確認していきます。

「なぜbh³÷12という式になるのか」を理解しておくと、試験での応用問題や複合断面の計算にも自信を持って対応できるようになります。ここでは底辺軸まわりと重心軸まわりの2通りの導出を解説します。

底辺軸まわりの断面二次モーメントの導出

断面二次モーメントの定義式「I = ∫y² dA」から出発して、長方形断面の底辺軸まわりの公式を導いてみましょう。

幅b・高さhの長方形断面を考えます。底辺をx軸(基準軸)に置き、高さ方向をy方向とします。高さyの位置での微小面積は「dA = b dy」と表せます(長方形なので幅は一定のb)。

底辺軸まわりの導出
I(底辺) = ∫₀ʰ y² × b dy
= b × ∫₀ʰ y² dy
= b × [y³/3]₀ʰ
= b × h³/3
= bh³/3 (底辺軸まわりの公式 完成)

長方形断面は幅が一定(b)なので、積分が非常にシンプルになります。積分範囲は底辺(y=0)から上辺(y=h)までの「0〜h」です。長方形断面の積分がシンプルな理由は、幅が高さに依存せず一定値bを取るという性質にあります。

重心軸まわりの断面二次モーメントの導出

次に重心軸まわりの公式「Ix = bh³÷12」を導きます。重心軸は長方形の中心(高さh/2の位置)を通りますので、積分範囲は「−h/2から+h/2」になります。

重心軸まわりの導出(積分範囲を重心基準に設定)
Ix = ∫₋ₕ/₂^(h/2) y² × b dy
= b × ∫₋ₕ/₂^(h/2) y² dy
= b × [y³/3]₋ₕ/₂^(h/2)
= b × ((h/2)³/3 − (−h/2)³/3)
= b × (h³/24 − (−h³/24))
= b × (h³/24 + h³/24)
= b × 2h³/24
= b × h³/12
= bh³/12 (重心軸まわりの公式 完成)

(−h/2)³ = −h³/8 となり、マイナス×マイナスでプラスになる点が計算のポイントです。積分範囲を重心(断面中心)を原点に設定することで、対称性を活かしたシンプルな計算が実現します。

y軸まわり(幅方向)の断面二次モーメントの導出

水平軸(x軸)まわりだけでなく、鉛直軸(y軸)まわりの断面二次モーメントも重要です。y軸まわりは幅方向の曲げ(横方向の変形)に対する抵抗を表します。

y軸(重心軸)まわりの断面二次モーメントの導出
Iy = ∫₋ᵦ/₂^(b/2) x² × h dx
= h × [x³/3]₋ᵦ/₂^(b/2)
= h × 2(b/2)³/3
= h × b³/12
= hb³/12 (y軸まわりの公式 完成)

x軸まわりの公式「bh³÷12」とy軸まわりの公式「hb³÷12」を比べると、bとhが入れ替わった形になっていることがわかります。幅bが大きいほどy軸まわりの断面二次モーメントが大きくなり、横方向の変形に強くなるという関係です。

長方形の断面二次モーメントの計算例と数値比較

続いては、具体的な数値を使った長方形の断面二次モーメントの計算例と、さまざまな条件での数値比較を確認していきます。

公式の理解が深まったところで、実際の数値を使った計算練習をしていきましょう。さまざまな寸法パターンで計算することで、公式の使い方と数値感覚の両方が身についていきます。

基本計算例 重心軸・底辺軸・y軸まわりの比較

同じ長方形断面について、3つの異なる軸まわりの断面二次モーメントを計算して比較してみましょう。

例題1 幅b = 8 cm、高さh = 16 cm の長方形断面

重心軸(x軸)まわり
Ix = bh³ ÷ 12 = 8 × 16³ ÷ 12 = 8 × 4096 ÷ 12 ≒ 2,731 cm⁴

底辺軸まわり
I = bh³ ÷ 3 = 8 × 16³ ÷ 3 = 8 × 4096 ÷ 3 ≒ 10,923 cm⁴

y軸(重心)まわり
Iy = hb³ ÷ 12 = 16 × 8³ ÷ 12 = 16 × 512 ÷ 12 ≒ 683 cm⁴

確認:底辺軸まわりは重心軸まわりの4倍
10,923 ÷ 2,731 ≒ 4.0 ✓

この計算からも、底辺軸まわりは重心軸まわりのちょうど4倍になることが確認できます。また、同じ断面でも水平方向(x軸)と鉛直方向(y軸)では断面二次モーメントの値が大きく異なることもわかります。

高さ・幅の変化による断面二次モーメントへの影響

断面の高さhや幅bを変化させた場合に、断面二次モーメントがどのように変化するかを表で確認しましょう。幅b = 5 cm を固定し、高さhを変化させた場合です。

幅b(cm) 高さh(cm) 断面積A(cm²) Ix(重心軸)cm⁴ h倍率 Ix倍率
5 5 25 約 52.1 1倍 1倍
5 10 50 約 416.7 2倍 8倍
5 15 75 約 1,406.3 3倍 27倍
5 20 100 約 3,333.3 4倍 64倍
5 25 125 約 6,510.4 5倍 125倍

高さhが2倍になると断面二次モーメントは8倍(2³)、3倍になると27倍(3³)になっています。これは公式「bh³÷12」においてhが3乗で効いてくるためです。断面二次モーメントを効率的に増やすには、断面積を増やすより高さを大きくするほうがはるかに効果的なことがよくわかります。

断面係数と断面二次モーメントの関係

断面二次モーメントと合わせてよく使われる断面係数(Z)についても整理しておきましょう。断面係数は断面二次モーメントを中立軸から最外縁までの距離で割った値で、曲げ応力の計算に使われます。

指標 記号 長方形断面の公式 主な用途
断面二次モーメント I bh³ ÷ 12 たわみ・変形の計算(曲げ剛性EI)
断面係数 Z bh² ÷ 6 曲げ応力の計算(σ = M ÷ Z)
断面積 A b × h 軸力・せん断応力の計算
断面係数の求め方(長方形断面)
Z = I ÷ (h/2) = (bh³/12) ÷ (h/2) = bh³/12 × 2/h = bh²/6例 幅b = 10 cm、高さh = 20 cm の長方形断面
I = 10 × 20³ ÷ 12 ≒ 6,667 cm⁴
Z = bh² ÷ 6 = 10 × 20² ÷ 6 ≒ 667 cm³

断面二次モーメントはたわみ計算に、断面係数は応力計算に

使うという使い分けを覚えておくことが、構造計算をスムーズに進めるうえで非常に重要です。

長方形断面の断面二次モーメントを使った実践的な応用

続いては、長方形断面の断面二次モーメントを実際の設計計算に活用する方法と、平行軸の定理を使った複合断面への応用を確認していきます。

実務や試験では単純な長方形断面だけでなく、複数の長方形を組み合わせた複合断面の計算も頻繁に登場します。平行軸の定理を正しく使いこなすことが、複合断面計算の鍵となります。

梁のたわみ計算への応用

断面二次モーメントを使った実践的な応用として、長方形断面梁のたわみ計算の例をご紹介します。

例題2 長方形断面の単純支持梁のたわみ計算
条件
梁のスパン L = 3,000 mm
中央集中荷重 P = 10,000 N
幅b = 45 mm、高さh = 90 mm
ヤング率 E = 10,000 N/mm²(木材の目安)断面二次モーメントを求める
I = bh³ ÷ 12 = 45 × 90³ ÷ 12 = 45 × 729,000 ÷ 12 = 2,733,750 mm⁴最大たわみ(単純支持梁・中央集中荷重)
δ = PL³ ÷ (48EI)
= 10,000 × 3,000³ ÷ (48 × 10,000 × 2,733,750)
= 10,000 × 27,000,000,000 ÷ 1,312,200,000,000
≒ 20.6 mm

→ 高さを2倍の180mmにすると
I = 45 × 180³ ÷ 12 = 21,870,000 mm⁴(8倍)
δ ≒ 2.57 mm(約1/8に低減)

高さを2倍にすると断面二次モーメントが8倍になり、たわみは8分の1に大幅に低減します。梁の高さを増やすことが、たわみを抑えるための最も効果的な手段であることが確認できるでしょう。

平行軸の定理を使った複合断面の計算

実務でよく登場するT形断面・コの字形断面・箱形断面などは、複数の長方形に分割して計算します。そのときに欠かせないのが平行軸の定理です。

平行軸の定理
I = I₀ + A × d²
I₀ = 各部分の重心軸まわりの断面二次モーメント(bh³÷12)
A = 各部分の断面積
d = 各部分の重心から全体の重心軸までの距離
全体の断面二次モーメントは各部分のIを合計して求める
例題3 箱形(中空長方形)断面の断面二次モーメント
外形:幅B = 100 mm、高さH = 200 mm
内空:幅b = 80 mm、高さh = 160 mm(肉厚10mm)大きい長方形(外形)の断面二次モーメント
I₁ = BH³ ÷ 12 = 100 × 200³ ÷ 12 = 66,666,667 mm⁴小さい長方形(内空)の断面二次モーメント
I₂ = bh³ ÷ 12 = 80 × 160³ ÷ 12 = 27,306,667 mm⁴

箱形断面の断面二次モーメント(対称断面なので単純に引き算)
I = I₁ − I₂ = 66,666,667 − 27,306,667 = 39,360,000 mm⁴
≒ 3,936 cm⁴

(両者の重心が一致しているため平行軸の定理の補正は不要)

箱形断面のように内外の重心が一致している場合は、単純に大きい長方形から小さい長方形の断面二次モーメントを引くだけで求められます。重心が一致しない場合は平行軸の定理が必要になるため、まず重心位置を確認することが計算の第一ステップです。

長方形断面の最適設計の考え方

実務設計において、与えられた断面積(材料量)のもとで断面二次モーメントを最大化するにはどうすればよいでしょうか。

長方形断面の場合、公式「I = bh³ ÷ 12」においてhを大きくすることが最も効果的です。同じ断面積(b × h = 一定)のもとでhを大きく・bを小さくするほど断面二次モーメントが増加します。これが梁を縦長断面で使う理由です。

ただし、縦長になりすぎると横座屈(よこざくつ)と呼ばれる横方向への急激な変形が生じるリスクがあります。断面二次モーメントの最大化だけでなく、横座屈に対する安全性も考慮した断面設計が実務では求められます。

断面形状の方針 効果 注意点
高さhを大きくする Ixが増加(h³に比例)・たわみ低減 横座屈のリスクが高まる
幅bを大きくする Ixが増加(bに比例)・横座屈に強い h増加より効率が低い
中空(箱形)にする 軽量化しつつIxをある程度維持 製作コストが増加する

断面設計は断面二次モーメントの大小だけで判断できるものではなく、強度・安定性・経済性のバランスを考慮した総合的な判断が必要です。断面二次モーメントの正確な計算力を基礎として、さらに幅広い設計知識と組み合わせていくことが実務での力量向上につながるでしょう。

まとめ

今回は「長方形の断面二次モーメントの公式や単位や計算・求め方をわかりやすく解説!」というテーマで、公式・単位・積分による導出・具体的な計算例・実践的な応用まで幅広く解説しました。

最も重要な公式は重心軸まわりの「Ix = bh³ ÷ 12」です。底辺軸まわりは「bh³ ÷ 3」で、重心軸まわりの4倍の値になります。単位は長さの4乗(cm⁴・mm⁴・m⁴)で、計算前の単位統一が正確な計算への第一歩です。

公式における最大のポイントは、高さhが3乗で効いてくるという点です。高さを2倍にすると断面二次モーメントは8倍になり、たわみは8分の1に低減します。これが梁を縦長断面で配置する理由であり、断面設計における根本的な考え方となっています。

複合断面の計算では平行軸の定理「I = I₀ + Ad²」が活躍します。各部分の重心位置を正確に求めたうえで、全体の重心軸まわりの断面二次モーメントを合計するというステップを丁寧に踏んでいきましょう。本記事が長方形断面の断面二次モーメントへの理解を深める一助になれば幸いです。