三角関数の微分積分は、数学の基礎として非常に重要です。特にsinxの微分と積分は、物理学や工学の分野でも頻繁に使用される基本的な計算技術でしょう。
これらの公式を正しく理解し、使いこなせるようになることは、高等数学を学ぶ上で欠かせません。
この記事では、sinxの微分公式と積分公式について、その導出過程から証明、実際の計算方法まで詳しく解説していきます。定積分と不定積分の違いや、極限を用いた証明方法も理解を深めていきましょう。
sinxの微分公式はd/dx(sinx)=cosx
それではまず、sinxの微分公式について解説していきます。
基本的な微分公式
sinxの微分公式はd/dx(sinx)=cosx
です。これは三角関数の微分における最も基本的な公式の一つでしょう。
この公式は、sinxという関数をxで微分すると、cosxという別の三角関数になることを示しています。微分することで関数の形が変わりますが、同じ三角関数の仲間の中で変換されるのです。
【sinxの微分公式】
d/dx(sinx) = cosx
または
(sinx)’ = cosx
この公式を使えば、sinxを含む様々な関数の微分を計算できます。合成関数の微分や積の微分と組み合わせることで、より複雑な三角関数の微分にも対応できるでしょう。
微分の定義による導出
微分の定義から、sinxの微分公式を導出してみましょう。
微分の定義は、limₕ→₀ [f(x+h) – f(x)]/h です。これをsinxに適用すると、次のようになります。
【微分の定義による導出】
d/dx(sinx) = limₕ→₀ [sin(x+h) – sinx]/h
加法定理sin(x+h) = sinx·cosh + cosx·sinhを用いると、分子を展開できます。
sin(x+h) – sinx = sinx·cosh + cosx·sinh – sinx = sinx(cosh – 1) + cosx·sinh
これを代入すると、limₕ→₀ [sinx(cosh – 1) + cosx·sinh]/h となります。この式を2つの項に分けて考えるのです。
極限を用いた証明
極限の計算を進めていきましょう。
limₕ→₀ [sinx(cosh – 1) + cosx·sinh]/h = sinx·limₕ→₀ (cosh – 1)/h + cosx·limₕ→₀ sinh/h
ここで重要な極限の公式を使います。limₕ→₀ sinh/h = 1と、limₕ→₀ (cosh – 1)/h = 0です。
【重要な極限公式】
limₕ→₀ sinh/h = 1
limₕ→₀ (cosh – 1)/h = 0
これらを代入すると、sinx × 0 + cosx × 1 = cosxとなります。したがって、d/dx(sinx) = cosxが証明されました。
| ステップ | 式 |
|---|---|
| 1. 微分の定義 | limₕ→₀ [sin(x+h) – sinx]/h |
| 2. 加法定理の適用 | limₕ→₀ [sinx(cosh-1) + cosx·sinh]/h |
| 3. 極限の分離 | sinx·limₕ→₀(cosh-1)/h + cosx·limₕ→₀sinh/h |
| 4. 極限値の代入 | sinx × 0 + cosx × 1 |
| 5. 結果 | cosx |
sinxの積分公式は∫sinx dx = -cosx + C
続いては、sinxの積分公式について確認していきます。
不定積分の基本公式
sinxの不定積分は∫sinx dx = -cosx + C
です。Cは積分定数と呼ばれる任意定数でしょう。
この公式は、微分公式の逆演算として理解できます。-cosxを微分するとsinxになることから、この積分公式が導かれるのです。
【sinxの不定積分公式】
∫sinx dx = -cosx + C
(Cは積分定数)
なぜマイナス符号がつくのかを理解するために、検算してみましょう。d/dx(-cosx) = -(-sinx) = sinxとなり、確かに元の関数に戻ります。
積分公式の導出と確認
積分公式を導出する最も直接的な方法は、微分の逆演算として考えることです。
d/dx(cosx) = -sinxという微分公式から、両辺を積分すると∫d/dx(cosx)dx = ∫-sinx dxとなります。
左辺は積分と微分が打ち消し合ってcosx + C₁になり、右辺は-∫sinx dx + C₂です。整理すると、∫sinx dx = -cosx + Cが得られるでしょう。
積分定数Cの意味
積分定数Cは、不定積分において必ず付加する必要があります。
なぜなら、微分すると定数項は消えてしまうため、元の関数を一意に定めることができないからです。例えば、-cosx、-cosx + 1、-cosx + 5など、どれを微分してもsinxになります。
不定積分では、必ず積分定数Cを付けることを忘れないようにしましょう。この定数は、初期条件や境界条件が与えられたときに具体的な値が決定されます。
一方、定積分では積分定数は不要です。定積分は積分区間の両端での値の差を求めるため、定数項が打ち消されるのです。
| 積分の種類 | 公式 | 積分定数 |
|---|---|---|
| 不定積分 | ∫sinx dx = -cosx + C | 必要(+C) |
| 定積分 | ∫ₐᵇsinx dx = [-cosx]ₐᵇ | 不要 |
sinxの定積分の計算方法
続いては、sinxの定積分の計算方法について確認していきます。
定積分の基本的な計算
sinxの定積分は、∫ₐᵇsinx dx = [-cosx]ₐᵇ = -cosb + cosaという形で計算されます。
定積分では、まず不定積分を求め、その後に積分区間の上端と下端での値の差を計算します。この操作を「定積分の計算」と呼ぶのです。
【定積分の計算手順】
1. 不定積分を求める:∫sinx dx = -cosx
2. 上端での値を計算:-cosb
3. 下端での値を計算:-cosa
4. 差を求める:-cosb – (-cosa) = cosa – cosb
具体的な計算例を見てみましょう。∫₀^(π/2) sinx dxを計算します。
具体的な計算例
いくつかの重要な定積分を計算してみましょう。
例1:∫₀^(π/2) sinx dx = [-cosx]₀^(π/2) = -cos(π/2) – (-cos0) = 0 – (-1) = 1
例2:∫₀^π sinx dx = [-cosx]₀^π = -cosπ – (-cos0) = -(-1) – (-1) = 1 + 1 = 2
例3:∫₀^(2π) sinx dx = [-cosx]₀^(2π) = -cos(2π) – (-cos0) = -1 – (-1) = 0
最後の例では、1周期分の積分がゼロになることがわかります。これはsinxが正の部分と負の部分を持ち、それらが打ち消し合うためです。
定積分の幾何学的意味
定積分は、グラフとx軸で囲まれた部分の面積を表します。
∫₀^(π/2) sinx dx = 1は、0からπ/2までのsinxのグラフとx軸で囲まれた面積が1であることを意味するのです。
ただし、x軸より下の部分は負の面積としてカウントされます。∫₀^(2π) sinx dx = 0となるのは、0からπまでの正の面積とπから2πまでの負の面積が等しく、打ち消し合うからでしょう。
| 積分区間 | 定積分の値 | 意味 |
|---|---|---|
| ∫₀^(π/2) sinx dx | 1 | 第1象限の面積 |
| ∫₀^π sinx dx | 2 | 半周期の正の面積 |
| ∫₀^(2π) sinx dx | 0 | 1周期で正負が打ち消し |
| ∫_(π/2)^π sinx dx | 1 | 第2象限の面積 |
sinxの微分積分の応用と計算テクニック
続いては、sinxの微分積分を用いた応用計算について確認していきます。
合成関数の微分
sinxを含む合成関数の微分では、連鎖律(チェーンルール)を使用します。
一般に、d/dx[sin(f(x))] = cos(f(x))·f'(x)という公式が成り立ちます。外側の関数sinを微分してcosにし、内側の関数f(x)の微分を掛けるのです。
【合成関数の微分例】
d/dx(sin2x) = cos2x · 2 = 2cos2x
d/dx(sin(x²)) = cos(x²) · 2x = 2x·cos(x²)
d/dx(sin³x) = 3sin²x · cosx
最後の例は、(sinx)³と考えて、外側の3乗を微分してから内側のsinxを微分しています。
置換積分の技法
sinxの積分では、置換積分が有効な場合があります。
例えば、∫sin(2x)dxを計算する場合、u = 2xと置換すると、du = 2dxなので、dx = du/2となります。
∫sin(2x)dx = ∫sinu · (du/2) = (1/2)∫sinu du = (1/2)(-cosu) + C = -(1/2)cos(2x) + C
このように、置換積分を使うことで計算が簡単になります。一般に∫sin(ax)dx = -(1/a)cos(ax) + Cという公式が得られるでしょう。
部分積分との組み合わせ
sinxと他の関数の積を積分する際には、部分積分を使用します。
部分積分の公式は∫f(x)g'(x)dx = f(x)g(x) – ∫f'(x)g(x)dxです。
【部分積分の例】
∫x·sinx dx
f(x) = x, g'(x) = sinxとすると
f'(x) = 1, g(x) = -cosx
= x(-cosx) – ∫1·(-cosx)dx
= -x·cosx + ∫cosx dx
= -x·cosx + sinx + C
このテクニックは、多項式と三角関数の積を積分する際に非常に有効です。
| 計算技法 | 使用場面 | 例 |
|---|---|---|
| 連鎖律 | 合成関数の微分 | d/dx(sin2x) = 2cos2x |
| 置換積分 | 合成関数の積分 | ∫sin(2x)dx = -(1/2)cos(2x)+C |
| 部分積分 | 積の積分 | ∫x·sinx dx = -x·cosx + sinx + C |
まとめ
sinxの微分と積分について、公式の導出から計算方法まで詳しく解説してきました。
sinxの微分公式はd/dx(sinx) = cosxであり、これは極限と加法定理を用いて証明できます。一方、積分公式は∫sinx dx = -cosx + Cであり、これは微分の逆演算として理解できるでしょう。
定積分では、∫ₐᵇsinx dx = [-cosx]ₐᵇ = cosa – cosbという形で計算し、積分定数は不要です。特に重要な区間での定積分の値は覚えておくと便利でしょう。
合成関数の微分では連鎖律を、積分では置換積分や部分積分を活用することで、より複雑な問題にも対応できます。これらの基本公式と計算技法をしっかりと身につけることが、三角関数の微分積分をマスターする鍵となるはずです。