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ステンレス鋼(SUS304)の熱伝導率や単位(W/mKやkcal/mh℃使用など)は?低い理由や温度依存性を解説!アルミ・銅・鉄との比較も!

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ステンレス鋼は、優れた耐食性と美しい外観から、家庭用品から工業用途まで幅広く使用されている材料です。

その中でもSUS304は代表的なオーステナイト系ステンレス鋼です。ステンレス鋼の熱伝導性は、様々な用途で考慮すべき重要な特性の一つです。

このような背景もあり、この記事では、ステンレス鋼(SUS304)の熱伝導率とその単位、低い熱伝導率の理由、温度依存性について詳しく解説します。

また、アルミニウム、銅、鉄との比較も行っていますので、ぜひ参考にしてみてください!

 

ステンレス鋼(SUS304)の熱伝導率と単位【W/(m·K)やkcal/(m·h·℃)など】

まずは、ステンレス鋼(SUS304)の熱伝導率の値と一般的な単位を確認しましょう。

熱伝導率とは、物質の熱伝導性能を表す物性値で、単位面積あたり、単位時間あたり、温度勾配1 K/mで伝わる熱量を表します。熱伝導率が高いほど、熱を速く伝えることができますね(^^)/

ステンレス鋼(SUS304)の熱伝導率(常温常圧付近)は以下の通りです。

ステンレス鋼(SUS304)の熱伝導率 単位
16.2 W/(m·K)
13.9 kcal/(m·h·℃)

ここで、1 W = 0.86 kcal/hであることを利用して、各単位の値を相互に変換できます。

ステンレス鋼の熱伝導率は、他の金属材料と比べるとかなり低い値となっています。

ステンレス鋼(SUS304)の熱伝導率が金属の中では低い理由

ステンレス鋼(SUS304)の熱伝導率が低い主な理由は以下の2つです(^^)/

1. 合金元素の影響
ステンレス鋼は鉄をベースに、クロムやニッケルなどの合金元素を含んでいます。これらの元素は、自由電子の移動を妨げる傾向があるため、熱伝導率が低下します。

2. 結晶構造
オーステナイト系ステンレス鋼(SUS304)は、面心立方格子(FCC)の結晶構造を持ちます。この構造は、純鉄の体心立方格子(BCC)と比べると、フォノン(格子振動)による熱伝導が劣ります。

 

ステンレス鋼(SUS304)の熱伝導率の温度依存性

ステンレス鋼(SUS304)の熱伝導率は温度によって変化します。

以下は、様々な温度でのSUS304の熱伝導率を示した表です。

温度 (K) 温度 (℃) 熱伝導率 (W/(m·K))
100 -173.15 8.1
200 -73.15 12.1
300 26.85 16.2
400 126.85 18.3
500 226.85 20.4
600 326.85 22.6

簡単に整理しますと、

1. 常温付近(300 K)では、熱伝導率は16.2 W/(m·K)に近い値をとります。
2. 低温では、熱伝導率は温度の上昇とともに増加します。
3. 高温でも、熱伝導率の増加は緩やかです。

ステンレス鋼の熱伝導率は、温度上昇とともにわずかに増加する傾向があることを覚えておきましょう(^^)/

 

アルミニウム、銅、鉄との比較

ステンレス鋼(SUS304)の熱伝導率を他の一般的な金属材料と比較してみましょう。

材料 熱伝導率 (W/(m·K))
398
アルミニウム 237
80.2
ステンレス鋼 (SUS304) 16.2

この比較から以下のことがわかります。

1. ステンレス鋼(SUS304)の熱伝導率は、アルミニウムの約1/15、銅の約1/25、鉄の約1/5です。

2. 熱伝導性が重要な用途では、ステンレス鋼よりもアルミニウム、銅、鉄が選択されることが多いでしょう。ただし、耐食性や美観など、他の特性も考慮する必要があります。

まとめ ステンレス鋼(SUS304)の熱伝導率が低い理由や温度依存性は?アルミ・銅・鉄との比較も!

本記事では、ステンレス鋼(SUS304)の熱伝導率とその単位、低い熱伝導率の理由、温度依存性、そして他の金属との比較について詳しく解説しました。

ステンレス鋼の性質を理解し、適材適所で活用していきましょう!