視野角検査とは?測定方法や手順も解説(視野測定・眼科検査・ペリメトリー・視野欠損・測定器など)
「視野角検査」「視野検査」という言葉を眼科で聞いたことがある方は多いでしょう。
しかし「どのような方法で行われるのか」「何のために必要なのか」「視野欠損とはどういう状態なのか」といった点をよく理解していない方も多いのではないでしょうか。
視野角検査(視野測定)は緑内障・網膜疾患・脳血管疾患など、日常生活や視力に大きな影響を与える疾患の早期発見・診断・経過観察に欠かせない重要な眼科検査です。
本記事では、視野角検査の基本概念・目的・種類、代表的な測定器(ペリメーター)の仕組み、検査の手順・注意点、視野欠損の種類と読み方まで詳しく解説します。
視野検査を受ける前の予備知識として、また眼の健康管理に役立てていただければ幸いです。
視野角検査とは?目的と重要性を解説
それではまず、視野角検査の目的と重要性について解説していきます。
視野角検査(視野検査・ペリメトリー)とは、一点を注視した状態で周囲のどこまで見えているか(視野の広さ・感度)を定量的に測定する眼科検査です。
視力検査が「どれだけ細かいものが見えるか」を測るのに対し、視野検査は「どれだけ広い範囲が見えているか」「見えている範囲の中に欠損がないか」を調べるものです。
視野角検査が必要な主な疾患
| 疾患・状態 | 視野検査の必要性 | 典型的な視野変化 |
|---|---|---|
| 緑内障 | 診断・重症度評価・経過観察に必須 | 弓状暗点・鼻側階段状欠損など |
| 網膜色素変性症 | 進行評価・遺伝カウンセリングの参考 | 輪状暗点・求心性視野狭窄 |
| 黄斑変性症 | 中心暗点の評価・経過観察 | 中心暗点・歪視 |
| 脳血管障害(脳梗塞・脳腫瘍) | 病変部位の推定・手術前後評価 | 半盲(視野の半分が欠ける) |
| 視神経疾患 | 中枢神経疾患との鑑別 | 中心暗点・盲点拡大など |
正常な視野の範囲
正常な視野の範囲は耳側(外側)約90度・鼻側(内側)約60度・上方約50〜60度・下方約70度が目安とされています。
この中に「生理的盲点(マリオット盲点)」と呼ばれる光受容体のない部位が存在し、視神経の出口に相当する鼻側約15度の位置に自然と存在します。
生理的盲点は正常な視野に必ず存在するものであり、病的な視野欠損とは区別して評価されます。
視野欠損が自覚しにくい理由
視野の欠損は自覚されにくいのが特徴です。
これは片目の視野欠損をもう一方の目の視野が補ったり、脳が視野の欠けた部分を無意識に「補完」したりするためです。
特に緑内障の初期は中心視野が保たれているため気づきにくく、定期的な視野検査による早期発見が緑内障の失明予防にとって非常に重要です。
視野角検査の種類と代表的な測定器
続いては、視野角検査の種類と代表的な測定器(ペリメーター)の仕組みについて確認していきます。
視野検査にはいくつかの方法があり、目的や対象疾患によって使い分けられます。
自動静的視野計(ハンフリー視野計・オクトパス視野計)
現代の眼科で最も広く使われているのが「自動静的視野計」です。
代表的な機器にはハンフリー視野計(Carl Zeiss社)・オクトパス視野計(Haag-Streit社)などがあります。
ドーム型の視野計内に被検者の頭を固定し、ランダムな位置・輝度の光点を提示して「見えたらボタンを押す」という方法で視野感度マップを自動作成します。
中心30度(または24度)以内の精密な視野測定が可能であり、緑内障の早期発見・重症度評価に特に有用です。
ゴールドマン視野計(動的視野計)
ゴールドマン視野計は「動的視野計」の代表で、検者(検査を行う人)が手動でターゲット(光点)を動かしながら被検者がそれを認識できた位置を記録する方法です。
全視野(周辺部を含む広範囲)を測定できるため、周辺視野の大きな欠損(網膜色素変性症・脳疾患による半盲など)の評価に適しています。
自動静的視野計が普及した現在でも、特定の症例(重度視野障害・小児・身体障害など)ではゴールドマン視野計が使われます。
スクリーニング視野計(簡易視野計)
眼科健診やスクリーニング目的で使われる簡易型の視野計もあります。
フリーカー視野計・Frequency Doubling Technology(FDT)視野計などは短時間でスクリーニングが行えるため、健診や定期検査での視野異常の早期発見に活用されています。
スクリーニングで異常が疑われた場合は、精密な視野検査(ハンフリー視野計など)へ移行することが基本の流れです。
視野角検査の測定手順と検査時の注意点
続いては、視野角検査の具体的な測定手順と検査時の注意点について確認していきます。
検査前・検査中の注意点を把握しておくことで、より正確な測定結果が得られます。
視野検査の一般的な手順
【自動静的視野検査(ハンフリー視野計)の一般的な手順】
① 眼科受付で視野検査の予約・説明を受ける
② 検査の前に矯正レンズ(メガネ・コンタクト)の状態を確認・調整する
③ 視野計のドームに顔を固定し、中心点(固視点)を見続けるよう指示される
④ ドーム内の様々な位置に光が点滅し、光が見えたらボタン(ブザー)を押す
⑤ 片眼ずつ測定(通常10〜15分程度 / 片眼)
⑥ 測定結果がレポートとして印刷・表示される
⑦ 医師が結果を解説・診断に活用する
正確な検査結果を得るための注意点
視野検査は被検者の反応(ボタンを押すタイミング)に依存するため、以下の点に注意することが正確な結果につながります。
検査中は固視点(中心の光点)から目を離さないこと、疲れても眼球をキョロキョロ動かさないこと、光が確実に見えたときだけボタンを押すことが重要です。
「なんとなく見えた気がした」というときもボタンを押すよりは、はっきり見えたときだけ押す方が正確な結果につながります。
検査中の眠気・疲労も結果に影響するため、十分な睡眠を取って臨むことをお勧めします。
検査前の準備と薬剤の影響
散瞳剤(瞳孔を広げる目薬)を使用した眼底検査の直後は視野検査の精度が低下するため、散瞳後の視野検査は避けることが推奨されます。
また、一部の薬剤(抗不安薬・睡眠薬など)は検査中の反応に影響する可能性があるため、服用中の薬がある場合は検査前に医師に報告しましょう。
視野検査結果の読み方と視野欠損のパターン
続いては、視野検査結果の読み方と主な視野欠損のパターンについて確認していきます。
視野検査のレポートを正しく読めるようになると、自身の眼の状態をより深く理解できます。
視野検査レポートの基本的な読み方
自動静的視野計(ハンフリー視野計)のレポートには主に以下の情報が含まれます。
グレースケールマップは測定した視野感度を濃淡で表示したもので、感度が低い(見えにくい)場所が暗く表示されます。
数値マップは各測定点の感度値(dB:デシベル)を数値で示し、正常値との比較(全偏差・パターン偏差)も記載されます。
MD(Mean Deviation:平均偏差)値は視野全体の感度低下を示し、マイナスの数値が大きいほど視野障害が重篤であることを意味します。
主な視野欠損のパターン
| 視野欠損のパターン | 主な原因疾患 | 特徴 |
|---|---|---|
| 弓状暗点(アーケートスコトーマ) | 緑内障 | 盲点を中心に弓状に視野が欠ける |
| 鼻側階段(ナーサルステップ) | 緑内障 | 視野の鼻側に段差状の欠損が生じる |
| 中心暗点 | 黄斑変性症・視神経炎 | 視野の中心部が欠ける |
| 同名半盲 | 脳梗塞・脳腫瘍 | 左右どちらかの視野が両眼とも欠ける |
| 求心性視野狭窄 | 網膜色素変性症 | 周辺から徐々に視野が狭まる |
視野欠損のパターンは疾患ごとに特徴があるため、視野検査のパターンと他の検査所見を合わせて診断することで疾患の同定や病変部位の推定が可能です。
まとめ
本記事では、視野角検査の目的・重要性、正常視野の範囲、主な対象疾患、代表的な測定器(ハンフリー視野計・ゴールドマン視野計)、検査手順と注意点、視野検査レポートの読み方と視野欠損のパターンまで幅広く解説しました。
視野角検査(ペリメトリー)は緑内障をはじめとする多くの眼疾患の早期発見・経過観察に欠かせない重要な眼科検査です。
視野欠損は自覚しにくいため、定期的な視野検査による積極的なスクリーニングが失明予防の基本となります。
40歳以上の方・緑内障や眼疾患の家族歴がある方・高眼圧を指摘された方は、定期的な眼科受診と視野検査を受けることを強くお勧めします。
眼の健康を守るための第一歩として、視野角検査への理解を深めていただければ幸いです。