DIYで幅広の板が必要なとき、1×8材は非常に便利な選択肢です。大きなテーブルの天板、幅広の棚板、看板やディスプレイボードなど、一枚で存在感のある作品を作りたい場面で活躍します。
1×8材は1×6材よりもさらに幅が広く、必要な枚数を減らせるため、接合箇所が少なくなり作業効率が上がるでしょう。大型家具を作る際や、シンプルな一枚板の雰囲気を出したい場合に最適な木材です。
ただし、幅が広い分、反りや割れのリスクも高まり、価格も高めになります。購入前にしっかりとした知識を持つことが、失敗を防ぐポイントでしょう。本記事では、1×8材の正確なサイズや寸法、価格相場、さらには実際のDIYでの活用方法まで詳しく解説していきます。大型DIYプロジェクトに挑戦したい方は、ぜひ参考にしてください。
1×8材の基本サイズと実寸法について
それではまず、1×8材の基本的なサイズと実寸法について解説していきます。
1×8材の規格サイズと実際の寸法
1×8材という名称は、厚みが1インチ、幅が8インチという規格を示しています。1インチは約25.4mmですから、理論値では厚み25.4mm、幅203.2mmとなるでしょう。
しかし、実際にホームセンターで1×8材を手に取ると、表記とは大きく異なるサイズになっています。これは製材後の表面加工と乾燥による収縮のためです。
1×8材の実寸法
厚み:約19mm(表記は1インチ=25.4mm)
幅:約184mm(表記は8インチ=203.2mm)
実際の寸法は、厚みが約19mm、幅が約184mmとなります。メーカーによっては幅が182〜186mm程度と微妙に異なる場合もあるため、購入時の実測が重要です。
DIYで設計図を描く際は、必ず実寸法を基準に計算することが不可欠でしょう。特に複数枚を並べて大きな天板を作る場合、1mm単位の誤差が積み重なって全体のサイズが大きく変わってしまいます。メジャーを持参して購入前に確認することをおすすめします。
他の規格材との比較と特徴
1×8材の特性を理解するために、他の規格材と比較してみましょう。幅の違いがどのように作品に影響するかを見ていきます。
| 木材の種類 | 厚み(実寸) | 幅(実寸) | 主な用途 |
|---|---|---|---|
| 1×6材 | 約19mm | 約140mm | 天板、棚板、座面 |
| 1×8材 | 約19mm | 約184mm | 幅広天板、看板、背板 |
| 1×10材 | 約19mm | 約235mm | 大型天板、床材、階段 |
| 1×12材 | 約19mm | 約286mm | 超大型天板、一枚板風 |
1×8材の最大の魅力は、一枚で約18cmの板幅が確保できる点です。1×6材だと複数枚必要な場面でも、1×8材なら少ない枚数で済むため、接合の手間が減り、見た目もシンプルになります。
例えば、奥行き50cmの作業デスクを作る場合、1×6材なら4枚必要ですが、1×8材なら3枚で済みます。接合箇所が2箇所減ることで、作業時間の短縮だけでなく、強度や耐久性も向上するでしょう。
価格面では1×6材より高めですが、必要枚数が減ることで総コストが抑えられるケースも多いです。また、接合に使うビスケットやダボ、接着剤の量も減るため、副資材のコスト削減にもつながります。
1×8材が真価を発揮する用途
1×8材の幅広な特性を最大限に活かせる具体的な用途を見ていきましょう。この木材だからこそ実現できるプロジェクトがあります。
まず、大型テーブルの天板として最適です。幅80〜90cmのダイニングテーブルなら、1×8材を5枚並べるだけで美しい一体感のある天板が完成するでしょう。
1×8材の代表的な活用例
大型家具:ダイニングテーブル、会議テーブル、作業台
収納家具:大型本棚の棚板、クローゼットの棚、靴箱の棚
看板・ディスプレイ:店舗看板、ウェルカムボード、メニューボード
壁面装飾:板壁、腰壁、アクセントウォール
看板やディスプレイボードとして使う場合、一枚で十分な高さが確保できるため、継ぎ目のないシームレスな仕上がりになります。カフェのメニューボードや、結婚式のウェルカムボードなど、文字やイラストを描くベースとして人気があります。
大型の本棚や収納棚の棚板にも最適です。重い書籍やファイルを置いても、適切な補強を施せば十分な耐荷重が得られます。奥行き40cm程度の本棚なら、1×8材2枚を並べて使うこともできるでしょう。
板壁やアクセントウォールとして縦に並べれば、お部屋の雰囲気を一新できます。ヴィンテージ風やカフェ風のインテリアを作りたい場合、1×8材の幅広さが存在感を生み出してくれるでしょう。
ベンチやソファの座面、背もたれとしても活躍します。幅が広いため、快適な座り心地を実現しやすく、デザインの自由度も高くなります。
1×8材の長さバリエーションと選び方
続いては、1×8材の長さバリエーションと選び方を確認していきます。
取り扱い店舗と在庫状況
1×8材は1×4材や1×6材に比べて流通量が少ないため、取り扱い状況を事前に確認することが重要です。購入計画の立て方を見ていきましょう。
大型ホームセンターでは、SPF材の1×8を常時在庫している店舗が多いですが、中型店舗では取り扱っていない場合もあります。事前に電話やウェブサイトで在庫確認をすることを強くおすすめします。
| 店舗タイプ | 取り扱い状況 | 長さの種類 | 価格帯 |
|---|---|---|---|
| 大型ホームセンター | 常時在庫あり | 6f、8f、10f | 標準価格 |
| 中型ホームセンター | 店舗により異なる | 6f、8f | やや高め |
| 材木店 | 取り寄せ対応 | カスタム対応可 | まとめ買いで割安 |
| オンラインショップ | 在庫豊富 | 各種揃う | 送料高額に注意 |
オンラインショップでは、1×8材の取り扱いが比較的充実しています。ただし、幅が広く重量もあるため、送料が1本あたり1000〜1500円程度かかることもあるでしょう。複数本をまとめて購入する方が、送料の負担を軽減できます。
長さ別の価格と最適な用途
1×8材も他の規格材と同様、フィート単位で長さが設定されています。一般的な長さと適した用途を見ていきましょう。
長さ別の特徴と用途
6フィート(約1820mm):看板、小型テーブル、棚板(車での運搬が容易)
8フィート(約2440mm):中型〜大型テーブル、ベンチ(最も汎用性が高い)
10フィート(約3050mm):大型テーブル、長尺棚板(取り扱い要注意)
12フィート(約3660mm):超大型家具、店舗用(取り扱い店舗限定的)
最も流通量が多いのは8フィートです。大型テーブルの天板に適した長さで、多くのDIYプロジェクトに対応できるでしょう。長さ200cm程度の天板なら、8フィート材から1枚取れて、余りは脚や補強材に活用できます。
6フィートは看板や小型家具に最適です。軽自動車でも運搬可能なサイズ感が便利で、持ち運びの負担が少なくなります。
10フィート以上の長尺材は、大型ダイニングテーブルや長いカウンター、店舗用の什器などに使われます。ただし、運搬や保管に広いスペースが必要になるため、作業環境を十分に確認してから購入しましょう。
木取り図を作成して、最適な購入計画を立てることが重要です。例えば、180cmの天板パーツが4枚必要な場合、8フィート材4本を購入すれば、余りも最小限に抑えられます。
運搬と保管の実践的なアドバイス
1×8材は幅が広く重量もあるため、運搬と保管には特別な注意が必要です。失敗しないためのポイントを見ていきましょう。
車での運搬では、8フィート材(約2.4m)が基準になります。普通車なら後部座席を倒せば積載できますが、軽自動車では困難です。車のサイズに合わない場合は、店舗のカットサービスを利用するか、配送を依頼しましょう。
運搬と保管の重要ポイント
運搬:車の内寸確認、2人での作業推奨、積載時は毛布で保護
保管場所:平らな床、湿度40〜60%、直射日光を避ける
保管方法:必ず水平に置く、桟木を50cm間隔で挟む
期間:購入から2週間以内の加工がベスト
保管する際は、絶対に立てかけないでください。幅が広い1×8材は自重で反りやすく、立てかけると確実に変形します。平らな場所に水平に置き、複数枚を重ねる場合は50cm間隔で桟木を挟んで空気の流れを確保しましょう。
購入してすぐに加工しない場合は、作業場所で最低3日間は養生させることをおすすめします。環境に木材を馴染ませることで、完成後の反りや割れを大幅に減らせるでしょう。
直射日光が当たる場所、エアコンの風が直接当たる場所、湿度の高い場所は避けましょう。急激な温湿度変化は、幅広の1×8材にとって大敵です。
1×8材の価格相場と購入ガイド
続いては、1×8材の価格相場と購入ガイドを確認していきます。
木材の種類別価格比較
1×8材として販売されている主な木材の価格帯を比較してみましょう。2024〜2025年の相場を基準にした情報です。
| 木材の種類 | 6f(約1820mm) | 8f(約2440mm) | 特徴 |
|---|---|---|---|
| SPF材 | 650〜1000円 | 950〜1400円 | 加工しやすい、DIY定番 |
| ホワイトウッド | 550〜900円 | 800〜1200円 | 最も安価、節多め |
| 杉材 | 900〜1400円 | 1300〜1900円 | 国産、香り良い |
| ヒノキ材 | 1400〜2200円 | 2000〜3000円 | 高級、耐久性優れる |
SPF材は、価格と品質のバランスが良く、大型プロジェクトでのコストパフォーマンスが優れています。柔らかく加工しやすいため、電動工具があれば初心者でも扱えるでしょう。
ホワイトウッドは最も安価ですが、SPF材に比べて節が多く反りやすい傾向があります。塗装して仕上げる場合や、裏面や見えない部分に使用するなら問題ありません。
価格変動の主な要因
木材グレード:A級品(節少ない)> B級品(節多め)> C級品(傷あり)
季節要因:春〜初夏のDIYシーズンは需要増で1〜2割高
為替変動:輸入材は円安時に価格上昇
流通量:1×8材は1×4材の2〜3割高が目安
杉材やヒノキ材といった国産材は価格が高めですが、香りの良さ、調湿効果、耐久性の高さが魅力です。ダイニングテーブルのように長く使う家具や、室内の目立つ場所に使う作品には、これらの上質な木材を選ぶ価値があるでしょう。
大量購入時のコスト削減テクニック
1×8材は高価な木材のため、購入方法の工夫で大きくコストを削減できます。特に大型プロジェクトでは重要なポイントです。
まず、B級品や端材コーナーは必ずチェックしましょう。小さな節や軽微な傷があるだけで、通常価格の3〜5割引で購入できる場合があります。
効果的なコスト削減方法
1. B級品を積極的に選ぶ(塗装すれば節は目立たない)
2. 材木店でまとめ買い(10本以上で2〜3割引交渉可能)
3. セール時期を狙う(年度末、GW前、年末が狙い目)
4. 共同購入(DIYコミュニティで仲間と分割)
5. 会員特典を最大活用(ポイント還元、割引クーポン)
大型プロジェクトの場合、地域の材木店に直接問い合わせることを強くおすすめします。ホームセンターより単価が2〜3割安いことが多く、10本以上のまとめ買いでは大幅な割引が期待できるでしょう。
オンラインショップで購入する場合は、送料込みの総額で必ず比較してください。1×8材は重量があるため、送料が1本あたり1200〜1800円程度かかることもあります。7本以上まとめて購入すると、相対的に送料負担が軽くなります。
DIY仲間やSNSのコミュニティで共同購入を呼びかけるのも効果的です。長尺材を10本単位で購入し、参加者で分け合えば、それぞれが個別に買うより大幅にコストを抑えられます。
品質の見極めと選別方法
1×8材は幅が広い分、品質のチェックがより重要になります。後悔しないための選別ポイントを詳しく見ていきましょう。
店舗で実物を選べる場合は、一本一本必ず木口から見て反りやねじれを確認しましょう。幅が広い1×8材は、わずかな反りでも作品全体に大きく影響します。
| チェック項目 | 確認方法 | 許容範囲 | 対処法 |
|---|---|---|---|
| 反り | 木口から長手方向を見る | 1m当たり2mm以下 | クランプで矯正可能 |
| ねじれ | 平面に置いて四隅確認 | ほぼなし | 避けるべき |
| 節 | 表面全体を確認 | 用途により判断 | 配置で目立たなくする |
| 割れ・ヒビ | 木口と表面をチェック | 5mm以下 | カット時に除去 |
節については、使用場所と仕上げ方法で許容度が変わります。テーブルの天板表面に使うなら節の少ないA級品を選び、裏側や側板、塗装する部分なら節があっても問題ないでしょう。
木口に小さなヒビが入っていることは珍しくありませんが、5mm以内なら使用に支障はありません。ただし、表面に達する割れや、木材の中央部まで達する深い割れがある場合は避けるべきです。
色ムラや木目の方向も確認しておきましょう。複数枚を並べて天板にする場合、色味が揃っていた方が統一感が出ます。購入時に並べて比較し、近い色味のものを選ぶと良いでしょう。
1×8材を使ったDIYの実践テクニック
続いては、1×8材を使ったDIYの実践テクニックを確認していきます。
大型天板の加工と組み立て
1×8材を使った大型天板の製作は、正確な加工技術が求められます。失敗しないためのテクニックを見ていきましょう。
カット作業では、幅が広いため電動丸ノコとガイドレールの使用が必須です。手作業だけでは真っ直ぐ切るのが困難で、斜めになってしまいます。
大型天板製作の基本工程
1. 各板の木目の向きを確認し、反りを相殺する配置を決める
2. 必要寸法にカット(ガイドレール使用で正確に)
3. サンディング(#80→#120→#180→#240で段階的に)
4. 接合面を平滑に整える
5. ビスケット接合またはダボ接合で連結
6. クランプで24時間以上圧着
7. 裏面に補強材を取り付け
複数枚を並べる場合、木目の向きを交互にすることで反りを軽減できます。成長輪の湾曲が上向きと下向きを交互に配置すると、全体としての反りが相殺されるでしょう。
接合にはビスケット接合が最も確実です。専用の工具で溝を切り、ビスケットを木工用ボンドで固定します。30〜40cm間隔でビスケットを配置すると、十分な強度が得られます。
クランプは多めに用意しましょう。1×8材の天板なら、最低でも5〜6本のクランプを等間隔に配置し、しっかり圧着します。圧着時間は最低24時間、できれば48時間確保すると安心です。
反りを防ぐ補強テクニック
幅広の1×8材は反りやすいため、適切な補強が不可欠です。長く使える作品にするための方法を見ていきましょう。
最も効果的なのは、天板の裏面に幕板や補強材を取り付ける方法です。天板の幅方向に2〜3本の補強材を配置することで、反りを大幅に抑制できます。
反り防止の実践方法
幕板:天板の裏面、幅方向に2〜3本取り付け
材質:2×4材または1×4材を使用
固定方法:木工用ボンド+コーススレッド(下穴必須)
配置:両端から30cm内側、中央部にも配置
補強材の取り付けには、伸縮を考慮した固定方法を採用しましょう。木材は湿度によって伸縮するため、完全に固定すると割れの原因になります。中央部は完全に固定し、両端部は長穴を使って伸縮を許容する方法が理想的です。
テーブルの脚の取り付け位置も重要です。天板の四隅ではなく、やや内側に配置することで、端部の反りを抑制できます。理想的な位置は、各辺の端から15〜20cm内側でしょう。
定期的なメンテナンスも反りを防ぐポイントです。半年に1回程度、天板の表裏を均等に拭き掃除し、湿度バランスを保つことで長期的な変形を防げます。
仕上げと長期保護の方法
完成した作品を美しく長持ちさせるための仕上げ方法を見ていきましょう。用途に応じた適切な処理が、作品の寿命を大きく左右します。
ダイニングテーブルのように水や熱、傷に晒される家具には、2液性ウレタン塗料による保護が最適です。業務用レベルの耐久性が得られ、日常使用に十分耐えられます。
用途別の最適な仕上げ
ダイニングテーブル:2液性ウレタン塗料、またはオスモカラー
作業デスク:水性ウレタン塗料、ワックス
看板・ディスプレイ:水性塗料、ステイン+クリアコート
屋外家具:防腐防虫塗料、木材保護塗料
塗装は薄く複数回に分けて塗り重ねることが基本です。1回目を塗布し完全に乾燥させたら、#320〜#400のサンドペーパーで軽く研磨してから2回目を塗ります。この工程を4〜5回繰り返すと、プロ級の滑らかな仕上がりになるでしょう。
オイルフィニッシュで自然な風合いを出す場合は、オイルを塗布後に余分なオイルを必ず拭き取ってください。拭き取らないとベタつきが残り、ホコリが付着しやすくなります。
屋外で使用する場合は、木口部分の保護が特に重要です。木口は水分を最も吸収しやすい部分なので、念入りに防腐剤や塗料を塗布しましょう。できれば3回以上の重ね塗りをおすすめします。
完成後は、完全に乾燥させてから使用を開始しましょう。水性塗料なら48時間、オイルフィニッシュなら3〜5日、2液性ウレタンなら5〜7日程度の乾燥期間が必要です。焦らずじっくり乾燥させることが、長持ちする作品を作る秘訣でしょう。
まとめ
1×8材は、厚み約19mm、幅約184mmという幅広なサイズが特徴の木材です。大型テーブルの天板、幅広の棚板、看板やディスプレイボードなど、一枚で存在感のある作品を作りたい場面で真価を発揮するでしょう。
価格相場はSPF材の8フィートで950〜1400円程度が一般的です。1×6材より高価ですが、必要枚数が減ることで総コストや作業時間を抑えられる場合も多くあります。B級品の活用やまとめ買い、材木店での直接購入でコストを大きく削減できます。
加工時は反りやねじれのチェックが特に重要で、天板製作では木目の向きを交互にする、裏面に補強材を取り付けるなどの工夫が必要です。幅が広い分、丁寧な作業と適切な補強が成功の鍵となります。
用途に応じた適切な仕上げと、定期的なメンテナンスを施すことで、長く愛用できる作品が完成します。1×8材の特性をしっかり理解し、これらのポイントを押さえて、本格的な大型DIY作品づくりに挑戦してみてください。