ダイヤモンドは、優れた硬度、耐摩耗性、光学特性を持つ炭素結晶材料です。
これらの特性から、工業用研磨・切削工具、宝飾品、半導体デバイスなど様々な分野で使用されています。
しかし、熱伝導性については銅や他の物質とどのような違いがあるのでしょうか。
このような背景もあり、この記事では、ダイヤモンドの熱伝導率とその単位、温度依存性、銅や他の炭素材料を含む熱伝導材料との比較について詳しく解説します。
ダイヤモンドの熱伝導特性を理解し、適材適所で活用していきましょう!
ダイヤモンドの熱伝導率と単位【W/(m·K)やkcal/(m·h·℃)など】
まずは、ダイヤモンドの熱伝導率の値と一般的な単位を確認しましょう。
熱伝導率とは、物質の熱伝導性能を表す物性値で、単位面積あたり、単位時間あたり、温度勾配1 K/mで伝わる熱量を表します。
熱伝導率が高いほど、熱を速く伝えることができます(^^)/
ダイヤモンドの熱伝導率(常温常圧付近)は以下の通りです。
ダイヤモンドの熱伝導率 | 単位 |
---|---|
2000〜2200 | W/(m·K) |
1720〜1892 | kcal/(m·h·℃) |
ここで、1 W = 0.86 kcal/hであることを利用して、各単位の値を相互に変換できます。
ダイヤモンドの熱伝導率は、銅などの高熱伝導金属と比べても非常に高く、ほとんどの物質の中でも最高レベルの値を示します。
ダイヤモンドの熱伝導率の温度依存性
ダイヤモンドの熱伝導率は温度によって大きく変化します。
以下は、様々な温度でのダイヤモンドの熱伝導率を示した表です:
温度 (K) | 温度 (℃) | 熱伝導率 (W/(m·K)) |
---|---|---|
300 | 26.85 | 2000〜2200 |
500 | 226.85 | 1000〜1200 |
1000 | 726.85 | 500〜600 |
1500 | 1226.85 | 300〜400 |
簡単に整理しますと、
1. 常温付近(300 K)では、熱伝導率は2000〜2200 W/(m·K)程度と非常に高いです。
2. 温度上昇とともに、熱伝導率は顕著に低下する傾向があります。
ダイヤモンドの熱伝導率は、金属材料と異なり、高温になると減少する特性があることがわかります(^^)/
銅や他の炭素材料を含む高熱伝導材料との比較
ダイヤモンドの熱伝導率を銅や他の炭素材料を含む代表的な高熱伝導材料と比較してみましょう:
材料 | 熱伝導率 (W/(m·K)) |
---|---|
ダイヤモンド | 2000〜2200 |
グラフェン | 3000〜5000 |
銅 | 398 |
銀 | 429 |
高配向性熱分解グラファイト(HOPG) | 1500〜1800 |
カーボンナノチューブ | 2000〜6000(軸方向) |
黒鉛(グラファイト) | 100〜400(面内方向) |
アモルファスカーボン | 0.5〜10 |
単結晶シリコンカーバイド | 490 |
アルミニウム | 237 |
整理しますと以下の通りです!
1. ダイヤモンドの熱伝導率は、最も優れた金属熱伝導体である銀の約4.7〜5.1倍と非常に高いです。
2. 同じ炭素材料でも、その構造により熱伝導率は大きく異なります:
– グラフェンやカーボンナノチューブは理論上、ダイヤモンドと同等かそれ以上の熱伝導率を持ちますが、実用的な大面積材料としての利用は限定的です。
– 高配向性熱分解グラファイト(HOPG)はダイヤモンドに次ぐ高い熱伝導率を示します。
– 一般的な黒鉛(グラファイト)は面内方向で比較的高い熱伝導率を示しますが、ダイヤモンドの約1/5〜1/20程度です。
– アモルファスカーボン(無定形炭素)は結晶構造を持たないため、熱伝導率が極めて低くなります。
3. 半導体材料の中では高熱伝導性を誇るシリコンカーバイドでも、ダイヤモンドの約1/4程度の熱伝導率です。
4. ダイヤモンドは同じ炭素原子からなる材料でも、その結晶構造の違いにより熱伝導特性が大きく異なることを示す代表例です。
5. 熱伝導性と他の特性(強度、加工性、コストなど)のバランスを考慮して、適切な材料を選択する必要があります。
まとめ ダイヤモンドの熱伝導率の温度依存性は?銅や他の炭素材料との比較も!
本記事では、ダイヤモンドの熱伝導率とその単位、温度依存性、そして銅や他の炭素材料を含む高熱伝導材料との比較について詳しく解説しました。
同じ炭素原子から構成される材料でも、その原子配列や結合状態によって熱伝導特性が大きく異なることがわかりました。
ダイヤモンドの優れた熱伝導特性を理解し、適材適所で活用していきましょう!