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ヤング率と曲げ弾性率の違いは?関係性も解説!(引張弾性係数・曲げ試験・材料試験・弾性変形・応力ひずみ線図など)

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「ヤング率」と「曲げ弾性率」は、どちらも材料の弾性的な硬さを表す指標ですが、その定義・測定方法・使用される場面には違いがあります。

金属材料では両者がほぼ等しい値をとる場合が多い一方、高分子材料(プラスチック・樹脂)では両者が大きく異なることもあります。

材料を正しく選定・設計するためには、この違いを正確に理解しておくことが重要です。

本記事では、ヤング率(引張弾性係数)と曲げ弾性率の定義・測定方法・違い・関係性まで、わかりやすく詳しく解説していきます。

ヤング率(引張弾性係数)と曲げ弾性率の定義と違い

それではまず、ヤング率と曲げ弾性率のそれぞれの定義と違いについて解説していきます。

ヤング率(引張弾性係数)は引張試験または圧縮試験によって得られる、応力とひずみの比(E = σ/ε)として定義される弾性定数です。

一方、曲げ弾性率(曲げ弾性係数)は曲げ試験(三点曲げ・四点曲げ)によって得られる、曲げ応力と曲げひずみの比として求められる弾性定数です。

ヤング率と曲げ弾性率の比較

ヤング率(E):引張・圧縮試験から測定。軸方向の変形に関する弾性係数。

曲げ弾性率(E_b):曲げ試験から測定。曲げ変形に対する抵抗を表す弾性係数。

金属材料:E ≒ E_b(ほぼ等しい)

高分子材料(プラスチック):E ≠ E_b(大きく異なる場合あり)

理想的な等方性弾性体では、引張弾性率と曲げ弾性率は理論的に等しくなります。

ただし、実際の材料では試験方法・試験片形状・試験速度・温度などの条件の違いにより、測定値が異なってくることがあります。

曲げ試験による曲げ弾性率の求め方

曲げ弾性率は主に三点曲げ試験で測定されます。

三点曲げ試験では、支点間に試験片を置き、中央に荷重をかけて変形量を測定します。

三点曲げ試験による曲げ弾性率の計算式

E_b = FL³ / (48δI)

F:荷重(N)、L:支点間距離(m)、δ:中央部のたわみ(m)、I:断面二次モーメント(m⁴)

矩形断面の場合:I = bh³/12(b:幅、h:高さ)

曲げ試験は引張試験に比べて試験片が小さく、試験機の設備が簡便であるため、プラスチック・セラミックスなどの脆性材料の弾性率測定に広く使われています。

JIS K 7171(プラスチックの曲げ特性試験方法)などの規格に従って実施されることが一般的です。

金属材料での差異がほぼ生じない理由

鋼鉄・アルミニウム・銅などの金属材料では、引張弾性率と曲げ弾性率はほぼ同じ値をとります。

これは金属材料が均質・等方性の弾性体として振る舞い、引張・圧縮・曲げのいずれの変形モードでも同じ弾性係数が成立するためです。

また、金属では引張側と圧縮側の弾性率に差がない(引張・圧縮対称性)ことも、両者が一致する理由のひとつです。

プラスチック・高分子材料での違いが生じる理由

プラスチックなどの高分子材料では、引張弾性率と曲げ弾性率が大きく異なることがあります。

これは高分子材料が粘弾性(時間依存性の変形特性)を持つため、試験速度・試験方法・変形モードによって測定される弾性率が変わるためです。

また、繊維強化プラスチック(FRP)のように異方性を持つ材料では、引張方向と曲げ方向の繊維配向の違いにより、両者の弾性率が顕著に異なることがあります。

プラスチック材料の設計では、使用条件(引張か曲げか)に応じた適切な弾性率を選んで計算することが精度の高い設計に欠かせません。

曲げ弾性率を使った実務計算:たわみの計算

続いては、曲げ弾性率を使った代表的な実務計算であるたわみの計算を確認していきます。

梁(はり)のたわみ計算は、建築・機械・電子機器など多くの設計場面で必要です。

単純支持梁の中央集中荷重によるたわみ

単純支持梁の中央集中荷重のたわみ

δ_max = FL³ / (48EI)

F:荷重(N)、L:スパン(m)、E:ヤング率または曲げ弾性率(Pa)、I:断面二次モーメント(m⁴)

例:スパン1m、断面20×30mm(矩形)のアルミ梁に中央で1000 N負荷

I = 0.02 × 0.03³ / 12 = 4.5×10⁻⁸ m⁴

E = 70×10⁹ Pa

δ = 1000 × 1³ / (48 × 70×10⁹ × 4.5×10⁻⁸) ≒ 6.6×10⁻³ m = 6.6 mm

このように、曲げ弾性率(ヤング率)と断面二次モーメントを使ったたわみの計算は、設計実務での梁の剛性評価に直結します。

たわみが許容値を超える場合は、材料のヤング率を上げるか、断面形状を変えて断面二次モーメントを大きくするかの設計変更が必要です。

曲げ弾性率と設計の関係

構造部材の曲げ剛性はEI(ヤング率×断面二次モーメント)で表され、これが大きいほど曲げに対して変形しにくい部材となります。

高いヤング率の材料を使うか、I形鋼・箱形断面など断面形状を工夫してIを大きくするかの二つのアプローチが設計での基本的な選択肢です。

特に、限られたスペースに収める必要がある精密機器や電子機器の構造部材では、高ヤング率材料の採用が設計の合理的な解答となることも多いでしょう。

まとめ

本記事では、ヤング率と曲げ弾性率の違いと関係性について、定義・測定方法・材料別の差異・実務計算まで詳しく解説してきました。

ヤング率は引張・圧縮試験から得られる弾性係数であり、曲げ弾性率は曲げ試験から得られる弾性係数です。

金属材料では両者がほぼ等しいですが、プラスチック・高分子材料では大きく異なる場合があります。

梁のたわみ計算など曲げ変形の設計には曲げ弾性率(またはヤング率)と断面二次モーメントの積(EI)が重要な設計パラメータです。

材料と変形モードに応じた適切な弾性率を選んで設計計算を行うことが、高品質な構造設計の基礎となります。