グラファイトは、優れた熱伝導性、電気伝導性、耐熱性を持つ炭素材料です。
これらの特性から、電子機器の放熱材、電極材料、高温炉部品など様々な分野で使用されています。しかし、熱伝導性についてはアルミニウムや他の金属とどのような違いがあるのでしょうか。
このような背景もあり、この記事では、グラファイトの熱伝導率とその単位、温度依存性、アルミニウムや他の材料との比較について詳しく解説します。グラファイトの熱伝導特性を理解し、適材適所で活用していきましょう!
グラファイトの熱伝導率と単位【W/(m·K)やkcal/(m·h·℃)など】
まずは、グラファイトの熱伝導率の値と一般的な単位を確認しましょう。熱伝導率とは、物質の熱伝導性能を表す物性値で、単位面積あたり、単位時間あたり、温度勾配1 K/mで伝わる熱量を表します。熱伝導率が高いほど、熱を速く伝えることができます(^^)/
グラファイトの熱伝導率(常温常圧付近)は以下の通りです。
グラファイトの熱伝導率 | 単位 |
---|---|
面内方向: 100 – 400 | W/(m·K) |
面内方向: 86 – 344 | kcal/(m·h·℃) |
面外方向: 3 – 10 | W/(m·K) |
面外方向: 2.6 – 8.6 | kcal/(m·h·℃) |
ここで、1 W = 0.86 kcal/hであることを利用して、各単位の値を相互に変換できます。
グラファイトの熱伝導率は異方性があり、面内方向(六角格子面に平行)と面外方向(六角格子面に垂直)で大きく異なります。面内方向の熱伝導率は非常に高く、一部の金属よりも優れています。
グラファイトの熱伝導率の温度依存性
グラファイトの熱伝導率は温度によって変化します。以下は、様々な温度でのグラファイトの熱伝導率を示した表です。
温度 (K) | 温度 (℃) | 面内熱伝導率 (W/(m·K)) |
---|---|---|
300 | 26.85 | 300 |
500 | 226.85 | 220 |
1000 | 726.85 | 140 |
2000 | 1726.85 | 85 |
簡単に整理しますと、
1. 常温付近(300 K)では、面内方向の熱伝導率は約300 W/(m·K)程度です。
2. 温度上昇とともに、熱伝導率は減少する傾向があります。
グラファイトの熱伝導率は、多くの材料とは異なり、高温になると減少する特性があることがわかります(^^)/
アルミニウムや他の材料との比較
グラファイトの熱伝導率をアルミニウムや他の代表的な材料と比較してみましょう:
材料 | 熱伝導率 (W/(m·K)) |
---|---|
グラファイト (面内方向) | 100 – 400 |
グラファイト (面外方向) | 3 – 10 |
アルミニウム | 237 |
銅 | 398 |
ステンレス鋼(304) | 16.2 |
ダイヤモンド | 900 – 2300 |
整理しますと以下の通りです!
1. グラファイトの面内方向の熱伝導率は、アルミニウムと同等かそれ以上です。
2. グラファイトの面外方向の熱伝導率は非常に低く、アルミニウムの約1/20〜1/80程度です。
3. アルミニウムは軽量金属の中でも特に熱伝導性が高い材料ですが、グラファイトの面内方向はそれを上回ることがあります。
4. 銅の熱伝導率はグラファイトの面内方向と同等かやや高い程度です。
5. ダイヤモンドは最も熱伝導率が高い物質の一つで、グラファイトの面内方向の2〜10倍程度です。
6. 材料の種類によって、熱伝導率は大きく異なります。
7. グラファイトは軽量でありながら高い熱伝導性を持つため、放熱材料として重要な位置を占めています。
8. 熱伝導性と他の特性(密度、加工性など)のバランスを考慮して、適切な材料を選択する必要があります。
まとめ グラファイトの熱伝導率の温度依存性は?アルミニウムや他の材料との比較も!
本記事では、グラファイトの熱伝導率とその単位、アルミニウムとの比較、温度依存性、そして他の材料との比較について詳しく解説しました。
グラファイトの熱伝導特性を理解し、適材適所で活用していきましょう!