科学的な解析を行うには、各物質の化学式・組成式・式量などを理解しておいた方がいいです。
ここでは、上記塩化鉄の化学的特性について詳しく解説しますので、参考にしてみてください!
塩化鉄の化学式(組成式)は?
塩化鉄には二種類あり、それぞれの化学式(組成式)は以下の通りです。
・塩化鉄(III)(塩化第二鉄)の組成式:FeCl₃
塩化鉄(II)は鉄(Fe)が1個、塩素(Cl)が2個から構成される無機化合物です。
塩化鉄(III)は鉄(Fe)が1個、塩素(Cl)が3個から構成される無機化合物です。
いずれもイオン性化合物で、塩化鉄(II)は鉄(II)イオン(Fe²⁺)と塩化物イオン(Cl⁻)から、塩化鉄(III)は鉄(III)イオン(Fe³⁺)と塩化物イオン(Cl⁻)から構成されています。
塩化鉄(II)は常温・常圧では白色〜灰緑色の結晶で、空気中で酸化されて塩化鉄(III)に変化します。
塩化鉄(III)は常温・常圧では茶褐色の結晶で、吸湿性が強く、水によく溶けて酸性を示します。
これらの組成式からわかるように、塩化鉄(II)は1個の鉄(II)カチオン(Fe²⁺)と2個の塩化物アニオン(Cl⁻)から、塩化鉄(III)は1個の鉄(III)カチオン(Fe³⁺)と3個の塩化物アニオン(Cl⁻)から構成されています。
塩化鉄はイオン結合によって結びついた化合物です。電荷のバランスを保つため、鉄(II)イオン(Fe²⁺)は2個の塩化物イオン(Cl⁻)と、鉄(III)イオン(Fe³⁺)は3個の塩化物イオン(Cl⁻)と結合しています。
塩化鉄(III)は特に触媒性、酸化性、腐食性があり、また吸湿性が強いため、通常は水和物(FeCl₃・nH₂O)として存在します。
塩化鉄の式量(分子量)は?計算過程も解説
塩化鉄の質量を計算していきましょう。
イオン性化合物である塩化鉄の場合、「分子量」ではなく「式量」という用語を使用します。これは、分子として存在するわけではなく、イオンの集合体として存在するためです。
それぞれの塩化鉄の式量を計算します。
・塩化鉄(III)(FeCl₃)の式量:162.20 g/mol
計算過程は以下の通りです。
【塩化鉄(II)】
1. 鉄(Fe)の原子量:55.85 g/mol × 1個 = 55.85 g/mol
2. 塩素(Cl)の原子量:35.45 g/mol × 2個 = 70.90 g/mol
これらを合計すると:
55.85 + 70.90 = 126.75 g/mol
【塩化鉄(III)】
1. 鉄(Fe)の原子量:55.85 g/mol × 1個 = 55.85 g/mol
2. 塩素(Cl)の原子量:35.45 g/mol × 3個 = 106.35 g/mol
これらを合計すると:
55.85 + 106.35 = 162.20 g/mol
この式量の値は、塩化鉄の物理的・化学的性質を理解する上で重要な基本情報であり、化学反応の計算や溶液の調製などにおいて活用されます。
まとめ 塩化鉄の組成式・式量は?
ここでは、塩化鉄の基本的な化学特性について確認しました。
・塩化鉄(II)(塩化第一鉄)
– 組成式:FeCl₂
– 式量:126.75 g/mol
・塩化鉄(III)(塩化第二鉄)
– 組成式:FeCl₃
– 式量:162.20 g/mol
これらの情報は、塩化鉄を扱う様々な場面で重要となります。
塩化鉄(III)は特に、エッチング剤(プリント基板製造)、浄水処理の凝集剤、有機合成における触媒、プリント写真の定着剤、インク・染料の製造、また化学の学習においても基本的な知識として役立つでしょう。
塩化鉄(II)は還元剤、触媒、鉄添加物、酸素除去剤などとして利用されます。
塩化鉄は金属鉄を塩酸に溶解させることで製造され、特に塩化鉄(III)は独特の茶褐色と鉄さび臭を持ち、水溶液は酸性を示す特徴があります。