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分数の恒等式とは?解き方や見分け方や条件は?問題も!

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数学の学習において、方程式と恒等式の違いに戸惑った経験はないでしょうか。特に分数を含む恒等式は、一見すると複雑に見えますが、基本的な考え方を理解すれば確実に解けるようになります。

恒等式とは、文字にどんな値を代入しても常に成り立つ等式のこと。これに対して方程式は、特定の値を代入したときのみ成り立つ等式です。この違いを正しく理解することが、分数の恒等式をマスターする第一歩となるでしょう。

本記事では、分数の恒等式の基本的な定義から、具体的な解き方、方程式との見分け方、さらには実践的な問題まで詳しく解説していきます。数式の計算に苦手意識がある方でも、順を追って理解できるよう丁寧に説明しますので、ぜひ最後までお読みください。

分数の恒等式の基本的な定義と特徴

それではまず、分数の恒等式とは何かについて解説していきます。

恒等式と方程式の根本的な違い

恒等式と方程式は、どちらも等号を含む式ですが、その性質は大きく異なります。

方程式は特定の値でのみ成り立つ等式であり、その値を「解」と呼びます。例えば、x + 3 = 5という方程式は、x = 2のときのみ成り立つでしょう。

一方、恒等式は文字にどのような値を代入しても常に成り立つ等式です。例えば、(x + 1)(x – 1) = x² – 1は、xにどんな値を代入しても必ず成立します。これが恒等式の本質的な特徴といえるでしょう。

恒等式:文字の値に関わらず常に成立する等式

方程式:特定の文字の値でのみ成立する等式

分数の恒等式の定義と条件

分数の恒等式は、分数式を含む恒等式のことを指します。

基本的な形としては、次のようなものがあります。

例:(ax + b)/(cx + d) = (ex + f)/(gx + h)

この等式が、xの任意の値(分母が0にならない範囲)で成り立つとき、これは恒等式となる。

分数の恒等式が成り立つための条件として、両辺を通分して整理した後、各項の係数が完全に一致する必要があります。つまり、x²の係数、xの係数、定数項がそれぞれ等しくなければなりません。

また、分母が0になる値については注意が必要です。恒等式として成立する範囲は、分母が0にならない値の範囲に限定されるでしょう。

分数の恒等式で押さえるべきポイント

分数の恒等式を扱う際には、いくつかの重要なポイントがあります。

まず、両辺の分母を払う(通分する)操作が基本となります。これにより、分数式を整式に変換し、係数比較が可能になるのです。

次に、係数比較の原理を理解することが重要です。恒等式では、同じ次数の項の係数が必ず等しくなります。この性質を利用して、未知数を含む係数を求めることができるでしょう。

チェック項目 内容
分母の確認 分母が0になる値を確認し、定義域を明確にする
通分の実施 両辺の分母を払い、整式の形にする
係数の比較 各次数の項について係数を比較する
解の検証 求めた係数が条件を満たすか確認する

さらに、部分分数分解という技法も分数の恒等式では頻繁に用いられます。これは複雑な分数式を、より簡単な分数式の和に分解する方法です。

分数の恒等式の具体的な解き方

続いては、分数の恒等式の具体的な解法を確認していきます。

係数比較法による解法

係数比較法は、分数の恒等式を解く最も基本的で確実な方法です。

具体的な手順を見ていきましょう。

問題例:次の等式がxの恒等式となるように、定数a、bの値を求めよ。

(2x + 3)/(x + 1) = a + b/(x + 1)

解法の流れは以下の通りです。

まず、右辺を通分します。a + b/(x + 1) = {a(x + 1) + b}/(x + 1) = (ax + a + b)/(x + 1)

次に、両辺の分子を比較します。分母が同じなので、分子同士が恒等的に等しいはず。

2x + 3 = ax + (a + b)

この式がxの恒等式なので、xの係数と定数項をそれぞれ比較します。

xの係数:2 = a
定数項:3 = a + b

第1式からa = 2が得られ、これを第2式に代入すると、3 = 2 + bより、b = 1となります。

したがって、a = 2、b = 1が答えです。

数値代入法による解法

数値代入法は、特定の値を代入して連立方程式を作る方法です。

この方法は、係数比較がやや複雑な場合に有効でしょう。

問題例:(3x + 5)/(x² – 1) = a/(x – 1) + b/(x + 1) がxの恒等式となるとき、a、bを求めよ。

まず、右辺を通分します。

a/(x – 1) + b/(x + 1) = {a(x + 1) + b(x – 1)}/{(x – 1)(x + 1)} = {(a + b)x + (a – b)}/(x² – 1)

両辺の分子を比較すると、3x + 5 = (a + b)x + (a – b)

ここで、特定の値を代入する方法も使えます。例えば、x = 0を代入すると、5 = a – b

x = 1を代入したいところですが、分母が0になるため使えません。代わりにx = 2を代入すると、11 = 3(a + b)

この連立方程式を解いて、a = 4、b = -1が得られます。

部分分数分解を用いた解法

部分分数分解は、複雑な分数式を簡単な分数式の和に分解する技法です。

特に積分計算などで重要になる手法ですが、恒等式の問題でも頻出します。

基本形:1/{(x – α)(x – β)} = A/(x – α) + B/(x – β)

このとき、A = 1/(α – β)、B = -1/(α – β) = 1/(β – α)

実際の問題で確認してみましょう。

問題:(5x – 1)/{(x – 1)(x – 2)} を部分分数に分解せよ。

(5x – 1)/{(x – 1)(x – 2)} = A/(x – 1) + B/(x – 2) とおきます。

両辺に(x – 1)(x – 2)を掛けると、5x – 1 = A(x – 2) + B(x – 1)

x = 1を代入:5 – 1 = A(1 – 2) より、4 = -A、したがってA = -4
x = 2を代入:10 – 1 = B(2 – 1) より、9 = B

よって、(5x – 1)/{(x – 1)(x – 2)} = -4/(x – 1) + 9/(x – 2)

この技法は、分母が因数分解できる場合に特に有効でしょう。

分数の恒等式と方程式の見分け方

続いては、恒等式と方程式を見分けるポイントを確認していきます。

問題文から判断する方法

まず、問題文の表現に注目することが重要です。

恒等式の場合は、「xの恒等式となるように」「任意のxについて成り立つように」「定数a、bの値を求めよ」といった表現が使われます。これらの表現は、xの値に関わらず常に成立することを示唆しているでしょう。

一方、方程式の場合は、「xの値を求めよ」「解を求めよ」「xについて解け」といった表現が用いられます。これはxの特定の値を求めることを意味します。

種類 問題文の特徴 求めるもの
恒等式 「恒等式となるように」「任意のxについて」 未知の係数(a、bなど)
方程式 「xを求めよ」「解け」 変数x(特定の値)

ただし、問題文が曖昧な場合もあります。そのような場合は、式の構造や求めるべき対象から判断する必要があるでしょう。

式の構造から見極めるポイント

恒等式と方程式は、その式の構造からも見分けることができます。

恒等式の問題では、通常、未知の定数(a、b、cなど)が含まれており、これらを求める形式になっています。例えば、(ax + b)/(x + 1) = 2 + c/(x + 1) という形です。

一方、方程式では、変数xのみが未知数で、すべての係数は既知の数値です。例えば、(2x + 3)/(x + 1) = 5 という形でしょう。

また、恒等式では両辺の式が構造的に似ていることが多いです。一方を変形すると他方になるような関係性が見られます。

恒等式の特徴:未知の係数を含み、それを求める問題

方程式の特徴:xのみが未知数で、その値を求める問題

解の個数による判別法

恒等式と方程式は、解の個数という観点からも区別できます。

方程式の解は有限個です。1次方程式なら1個、2次方程式なら最大2個の解が存在します。分数方程式でも、分母を払って整理すれば有限個の解に帰着されるでしょう。

これに対して、恒等式は無限個の解を持つといえます。より正確には、変数xがどんな値でも(定義域内で)成立するため、解という概念自体が当てはまらないのです。

試しに、いくつかの値を代入してみる方法も有効です。x = 0、x = 1、x = -1など、複数の値を代入して、すべての場合に等式が成立するなら恒等式の可能性が高いでしょう。ただし、この方法は確認手段であり、証明にはなりません。

厳密に恒等式であることを示すには、係数比較法などを用いて、すべてのxについて成立することを示す必要があります。

分数の恒等式の実践問題と解法

続いては、実際の問題を通して理解を深めていきます。

基本レベルの問題

まずは基本的な問題から取り組んでみましょう。

問題1:次の等式がxの恒等式となるように、定数a、bを求めよ。

(4x + 7)/(x + 2) = a + b/(x + 2)

この問題は、右辺を通分して係数比較する基本パターンです。

解答:右辺を通分すると、a + b/(x + 2) = {a(x + 2) + b}/(x + 2) = (ax + 2a + b)/(x + 2)

両辺の分子を比較して、4x + 7 = ax + (2a + b)

係数を比較すると、xの係数:4 = a、定数項:7 = 2a + b

第1式からa = 4、これを第2式に代入して、7 = 8 + b より、b = -1

したがって、a = 4、b = -1です。

問題2:(7x + 2)/{(x + 1)(x + 3)} = A/(x + 1) + B/(x + 3) がxの恒等式となるとき、A、Bを求めよ。

これは部分分数分解の形式ですね。

解答:両辺に(x + 1)(x + 3)を掛けると、7x + 2 = A(x + 3) + B(x + 1)

x = -1を代入:-7 + 2 = A(-1 + 3) より、-5 = 2A、A = -5/2
x = -3を代入:-21 + 2 = B(-3 + 1) より、-19 = -2B、B = 19/2

したがって、A = -5/2、B = 19/2となります。

標準レベルの問題

次は少し複雑な問題に挑戦してみましょう。

問題3:(x² + 5x + 3)/{(x + 1)(x + 2)} = x + a + b/(x + 1) + c/(x + 2) がxの恒等式となるとき、a、b、cを求めよ。

この問題では、分子の次数が分母の次数と等しいため、まず多項式部分を分離する必要があります。

解答:右辺を通分すると、
x + a + b/(x + 1) + c/(x + 2) = {x(x + 1)(x + 2) + a(x + 1)(x + 2) + b(x + 2) + c(x + 1)}/{(x + 1)(x + 2)}

分子を展開するのは複雑なので、特定の値を代入する方法を使いましょう。

まず、x² + 5x + 3 を (x + 1)(x + 2) で割ると、商が1、余りが2x + 1となります。

よって、(x² + 5x + 3)/{(x + 1)(x + 2)} = 1 + (2x + 1)/{(x + 1)(x + 2)}

これをx + a + b/(x + 1) + c/(x + 2)と比較すると、x = 1、a = 0

(2x + 1)/{(x + 1)(x + 2)} = b/(x + 1) + c/(x + 2)

両辺に(x + 1)(x + 2)を掛けて、2x + 1 = b(x + 2) + c(x + 1)

x = -1を代入:-2 + 1 = b(1) より、b = -1
x = -2を代入:-4 + 1 = c(-1) より、c = 3

したがって、a = 0、b = -1、c = 3です。

応用レベルの問題

最後に、より高度な問題を見ていきましょう。

問題4:(2x² + 3x + 1)/(x³ – x) がxの恒等式 A/x + B/(x – 1) + C/(x + 1) と等しいとき、A、B、Cを求めよ。

この問題では、分母を因数分解してから部分分数分解を行います。

解答:まず、x³ – x = x(x² – 1) = x(x – 1)(x + 1) と因数分解します。

(2x² + 3x + 1)/{x(x – 1)(x + 1)} = A/x + B/(x – 1) + C/(x + 1)

両辺にx(x – 1)(x + 1)を掛けて、2x² + 3x + 1 = A(x – 1)(x + 1) + Bx(x + 1) + Cx(x – 1)

特定の値を代入します。

x = 0:1 = A(-1)(1) より、A = -1
x = 1:2 + 3 + 1 = B(1)(2) より、6 = 2B、B = 3
x = -1:2 – 3 + 1 = C(-1)(-2) より、0 = 2C、C = 0

したがって、A = -1、B = 3、C = 0となります。

これらの問題を通して、分数の恒等式の解法パターンが理解できたでしょう。

まとめ

分数の恒等式について、基本的な定義から具体的な解法、見分け方、そして実践問題まで詳しく解説してきました。

恒等式は文字にどんな値を代入しても常に成り立つ等式であり、方程式とは本質的に異なります。分数の恒等式を解く際には、係数比較法や数値代入法、部分分数分解といった手法を状況に応じて使い分けることが重要です。

特に重要なポイントをもう一度確認しておきましょう。まず、両辺の分母を払って整式の形にすること。次に、係数を比較して連立方程式を立てること。そして、求めた値が条件を満たすか検証することです。

問題文の表現や式の構造から、恒等式か方程式かを見極める力も必要でしょう。「恒等式となるように」という表現や、未知の係数を含む構造は恒等式の特徴です。

分数の恒等式は、一見複雑に見えても、基本的な手順を踏めば確実に解けます。本記事で紹介した解法を繰り返し練習することで、必ず習得できるはずです。数学の力を着実に伸ばしていってください。