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ヤング率とポアソン比の関係は?違いと計算式も!(横ひずみ・縦ひずみ・材料定数・弾性係数・物性値など)

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材料力学において、固体材料の弾性的な性質を記述するために必要な独立した材料定数は「ヤング率」と「ポアソン比」の二つです。

この二つの量は独立しているようでいて、実は互いに深い関係を持っており、組み合わせることで材料の弾性挙動を完全に記述できます。

たとえば、引張力を加えると縦方向に伸びるだけでなく横方向にも縮むという現象を定量的に扱うためには、ヤング率だけでなくポアソン比も必要です。

本記事では、ヤング率とポアソン比の定義・違い・両者の関係式・実用的な計算方法まで、わかりやすく解説していきます。

ヤング率とポアソン比の違いと関係:弾性定数の基本を整理しよう

それではまず、ヤング率とポアソン比の定義と違いについて解説していきます。

ヤング率(E)は縦方向(荷重方向)の応力とひずみの比であり、材料の「縦方向の変形しにくさ」を表します。

一方、ポアソン比(ν)は縦方向のひずみと横方向のひずみの比であり、「縦に変形するとき横がどれだけ変形するか」の比率を表す材料定数です。

ヤング率とポアソン比の定義

ヤング率:E = σ / ε_縦(応力 / 縦ひずみ)

ポアソン比:ν = −ε_横 / ε_縦(横ひずみ / 縦ひずみ、負号は符号の反転を示す)

ε_縦:荷重方向のひずみ(伸び方向:正)

ε_横:荷重と垂直方向のひずみ(縮み方向:負)

ポアソン比はほとんどの材料で0〜0.5の範囲の値をとります。

金属材料では0.25〜0.35程度が典型的であり、ゴムのように体積変化がほぼゼロの材料では0.5に近い値をとります。

ヤング率とポアソン比を合わせることで、等方性弾性体の応力・ひずみ関係を完全に記述できるのです。

横ひずみの発生メカニズム

丸棒を軸方向に引っ張ると、軸方向には伸びると同時に直径(横方向)が細くなります。

これは材料内部の原子間結合が変形に抵抗する際に、縦方向の引き伸ばしと横方向の収縮が連動して起きるためです。

この縦ひずみと横ひずみの比率がポアソン比であり、材料固有の物性値となっています。

ポアソン比が大きい材料ほど、縦に引っ張ったときに横方向の変形が大きく、体積変化が少ない特性を持ちます。

等方性弾性体における応力-ひずみ関係

等方性弾性材料(どの方向でも同じ弾性特性を持つ材料)では、ヤング率Eとポアソンνをもとにした「一般化されたフックの法則(一般化胡克の法則)」が成立します。

一般化されたフックの法則(3軸応力状態)

ε_x = (1/E)[σ_x − ν(σ_y + σ_z)]

ε_y = (1/E)[σ_y − ν(σ_x + σ_z)]

ε_z = (1/E)[σ_z − ν(σ_x + σ_y)]

σ:各方向の応力、ε:各方向のひずみ

この式を使うことで、3次元応力状態での各方向のひずみを計算できます。

機械部品・構造物のFEM(有限要素法)解析でも、この関係式が材料モデルの基礎として使われています。

ヤング率・ポアソン比と他の弾性定数の関係式

続いては、ヤング率・ポアソン比と他の弾性定数(せん断弾性係数・体積弾性係数)との関係式を確認していきます。

等方性弾性体では独立した弾性定数は2つだけであり、EとνがわかればすべてのI弾性定数を計算できます。

弾性定数間の関係式

せん断弾性係数(横弾性係数):G = E /

体積弾性係数:K = E / [3(1 − 2ν)]

ラメ定数λ:λ = Eν / [(1 + ν)(1 − 2ν)]

例:炭素鋼(E = 206 GPa、ν = 0.28)

G = 206 / = 206 / 2.56 ≒ 80.5 GPa

せん断弾性係数G(横弾性係数)はねじり変形や剪断変形の計算に使われる重要な弾性定数です。

鋼鉄では G ≒ 79〜80 GPa が標準設計値として使われており、E = 206 GPa・ν = 0.28 から計算した値と一致することが確認できます。

体積弾性係数KはI流体力学にも登場し、固体の圧縮しにくさを表す定数であり、ν = 0.5(非圧縮性材料)ではKが無限大になります。

主要金属材料のヤング率・ポアソン比の組み合わせ

材料 ヤング率 E(GPa) ポアソン比 ν せん断弾性係数 G(GPa)
炭素鋼 206 0.28〜0.30 79〜80
ステンレス鋼(SUS304) 193 0.28〜0.30 74〜77
アルミニウム合金 70 0.33 26
120 0.34 45
チタン合金 114 0.34 43

この表を参照することで、FEM解析や材料力学計算に必要な弾性定数をまとめて確認できます。

ポアソン比が設計に与える影響

ポアソン比は一見マイナーな定数に思えますが、実は多くの設計計算に影響します。

圧力容器・薄肉シェル構造・FEM解析では、ポアソン比の影響が応力計算の精度に直接関わります。

2軸・3軸応力状態での変形計算ではポアソン比を考慮しないと大きな誤差が生じるため、多軸応力状態の設計では必ずポアソン比を使った計算を行うことが必要です。

まとめ

本記事では、ヤング率とポアソン比の関係について、定義・違い・弾性定数間の計算式・材料別の数値まで詳しく解説してきました。

ヤング率は縦方向の変形しにくさ、ポアソン比は縦変形に対する横変形の比率を表す独立した材料定数です。

EとνからせんI断弾性係数G・体積弾性係数Kなどすべての弾性定数を導くことができます。

多軸応力状態の設計・FEM解析ではポアソン比が計算結果に大きく影響するため、正確な値を使うことが重要です。

ヤング率とポアソン比の組み合わせを正確に理解し、材料設計・構造解析・材料力学の計算に積極的に活用してみてください。