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塑性変形と弾性変形の違いは?特徴と性質を比較解説!(可逆性:復元力:応力除去後の変化:材料の挙動など)

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材料に力を加えたとき、「弾性変形」と「塑性変形」という二種類の変形挙動が生じます。

この二つの概念の違いを正確に理解することは、材料力学・構造設計・製造加工のすべての基礎となります。

本記事では、弾性変形と塑性変形の定義・違い・特徴・応力−ひずみ曲線での表現・実際の材料での挙動について詳しく比較解説していきます。

弾性変形と塑性変形の基本的な定義と違い

それではまず、弾性変形と塑性変形それぞれの定義と根本的な違いから解説していきましょう。

弾性変形とは:外力を取り除いた後に完全に元の形状に戻る変形。降伏応力以下の応力範囲で生じる。可逆的な変形。

塑性変形とは:外力を取り除いた後に永久ひずみが残る変形。降伏応力を超えた後に生じる。不可逆的な変形。

最も重要な違いは可逆性(回復するかどうか)であり、弾性変形は完全に回復しますが、塑性変形は一部または全部が永久変形として残ります。

フックの法則と弾性変形

弾性変形の範囲では、応力σとひずみεの間にフックの法則(σ = Eε)が成立し、応力とひずみが直線的に比例します。

ヤング率E(弾性係数)は材料の弾性変形に対する剛性(変形しにくさ)を表し、この線形関係が成立する範囲を「弾性域」と呼びます。

弾性域内では変形は可逆的であり、荷重を除去すると完全に元の寸法に戻ります。

降伏点と塑性変形の開始

応力がある限界値(降伏点・降伏応力・耐力)を超えると、材料は弾性域を脱して塑性域に入ります。

塑性域では荷重を除去しても弾性分しか回復せず、残りの塑性ひずみが永久変形として残ります。

この降伏点は材料の種類・組成・熱処理状態によって大きく異なり、設計における強度の基準値として使われます。

応力−ひずみ曲線での弾性・塑性変形の表現

続いては、引張試験で得られる応力−ひずみ曲線上での弾性変形・塑性変形の表現を確認していきましょう。

典型的な金属材料のS-S曲線

応力ひずみ曲線の主要点

①弾性域(0〜降伏点):直線・フックの法則成立・完全可逆変形

②降伏点(上・下降伏点):塑性変形の開始点

③ひずみ硬化域(降伏点〜最大引張強さ):塑性変形が進むと応力が増加(加工硬化)

④ネッキング(最大点〜破断):局所的な細りが進み破断へ

⑤破断点:材料の破壊

降伏点で荷重を除去した場合:弾性分は回復、残りが永久ひずみ(塑性ひずみ)

弾性回復と永久ひずみ

塑性域に入った後に除荷すると、荷重−ひずみ曲線は初期の弾性域の傾き(ヤング率E)と同じ傾きで直線的に戻ります。

このとき回復するひずみ量が「弾性回復分」であり、ひずみ軸上に残るオフセットが「永久ひずみ(塑性ひずみ)」です。

弾性・塑性変形の材料別の特徴

続いては、代表的な材料における弾性変形と塑性変形の特徴の違いを確認していきましょう。

金属材料(延性金属)

鉄鋼・アルミ・銅などの延性金属は、弾性域を経て降伏し、大きな塑性変形能力(延性)を持ちます。

塑性変形中に加工硬化が起き、変形が進むほど強度が高くなる特性は、プレス加工・鍛造・引抜きなどの塑性加工に利用されています。

ゴム・エラストマー

ゴムは非常に大きな弾性変形(数百%の伸び)が可能であり、通常の使用条件では塑性変形が生じにくい高弾性材料です。

ただし大変形・高温・長時間の応力では永久変形(クリープ・永久ひずみ)が生じることがあります。

セラミックス・ガラス

セラミックス・ガラスは弾性変形は生じますが、金属のような塑性変形能力をほとんど持たず、降伏せずに弾性限界で破断(脆性破壊)します。

この脆性的な挙動がセラミックスの割れやすさの根本的な理由です。

まとめ

本記事では、弾性変形と塑性変形の定義・違い・S-S曲線での表現・材料別の特徴について詳しく解説しました。

弾性変形は可逆的で降伏応力以下で生じる変形、塑性変形は不可逆で降伏応力を超えた後に生じる永久変形であり、この違いの正確な理解が材料力学・設計・加工のすべての出発点となります。

材料の弾性・塑性挙動を深く理解することで、より安全で高性能な構造物・機械部品の設計が実現するでしょう。