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動粘度と粘度の違いは?換算方法や使い分けも!(絶対粘度・密度・単位・計算式・流体解析など)

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動粘度と粘度(絶対粘度)は混同されやすいですが、物理的な定義が異なり、使用する場面・単位・計算方法も違います。

流体力学・潤滑工学・化学工学などの技術分野では、この二つを正確に区別して使い分けることが設計計算・品質管理の基本として求められます。

この記事では、動粘度と絶対粘度(粘度)の定義の違い・換算式・単位・具体的な計算例・使い分けの判断基準について詳しく解説していきます。

動粘度と絶対粘度の定義の違いをまず理解しよう

それではまず、動粘度と絶対粘度それぞれの物理的な定義と測定原理の違いについて解説していきます。

最も根本的な違いは絶対粘度(動力学的粘度:μ)がせん断応力とせん断速度の比として定義される「流体の内部摩擦の大きさ」を表す量であるのに対し、動粘度(運動学的粘度:ν)は絶対粘度を流体密度で除した「流体の運動に関わる拡散特性」を表す量であるという点です。

絶対粘度μ(Pa·s)はニュートンの粘性法則 τ=μ×γ̇ に直接現れる比例定数です。

動粘度ν(m²/s)は ν=μ/ρ(ρ:密度 kg/m³)として定義され、ナビエ-ストークス方程式の無次元化でレイノルズ数 Re=ρVL/μ=VL/ν に自然に現れます。

定義の数式と物理的意味

絶対粘度(動力学的粘度):μ = τ / γ̇ [Pa·s = N·s/m² = kg/(m·s)]。動粘度(運動学的粘度):ν = μ / ρ [m²/s]。換算関係:μ(Pa·s)= ν(m²/s)× ρ(kg/m³)。例:水(20℃)μ=0.001002 Pa·s、ρ=998.2 kg/m³ → ν=0.001002/998.2=1.004×10⁻⁶ m²/s=1.004 mm²/s=1.004 cSt。

絶対粘度は「どれだけ流れにくいか」という流体固有の抵抗特性を表し、動粘度は「運動量の拡散しやすさ」という流体の運動特性を表します。

同じ流体でも温度変化による密度変化が加わるため、絶対粘度と動粘度の温度依存性は必ずしも同じ傾向を示しません。

単位の比較と換算

種類 記号 SI単位 実用単位 換算関係
絶対粘度 μ Pa·s mPa·s・cP 1 mPa·s = 1 cP
動粘度 ν m²/s mm²/s・cSt 1 mm²/s = 1 cSt
(参考)絶対粘度旧単位 P(ポアズ) 1 P = 0.1 Pa·s = 100 cP
(参考)動粘度旧単位 St(ストークス) 1 St = 10⁻⁴ m²/s = 100 cSt

実務ではμにmPa·s(=cP)・νにmm²/s(=cSt)を使うことが多く、どちらも「SI単位と旧単位の数値が等しい」という便利な関係が成り立っています。

動粘度と絶対粘度の使い分け

続いては、実際の工学計算・測定・規格においてどちらの粘度を使うべきかの判断基準を確認していきます。

適切な粘度の種類を使い分けることが計算の正確性と効率性を高めます。

動粘度を使う場面

動粘度νを使用する典型的な場面は流体力学的な無次元数(レイノルズ数・プラントル数)の計算です。

レイノルズ数 Re = ρVL/μ = VL/ν(V:代表速度、L:代表長さ)の計算では動粘度を使うと密度を別途用意する必要がなく簡便です。

潤滑油の規格(ISO VG・JIS動粘度グレード)はすべて動粘度(40℃・100℃)で規定されています。

毛細管粘度計による測定結果は動粘度(mm²/s・cSt)として得られるため、潤滑油・石油系流体の品質管理では動粘度が標準的な管理値です。

絶対粘度を使う場面

絶対粘度μを直接使用する場面は、せん断応力・せん断速度に関係する計算です。

配管内の圧力損失計算(ハーゲン-ポアズイユ式:ΔP = 128μQL/πd⁴)では絶対粘度を使います。

ストークスの法則(落球の終端速度:v_t = 2r²Δρg/9μ)・ナビエ-ストークス方程式の応力項にも絶対粘度が使用されます。

回転式粘度計・コーンプレートレオメーターの測定値はせん断応力/せん断速度として絶対粘度(mPa·s)で直接算出されます。

非ニュートン流体の流動曲線(せん断応力 vs. せん断速度)は絶対粘度の概念で記述されるため、レオロジー研究・非ニュートン流体の解析では絶対粘度が中心的なパラメータです。

換算の具体的な計算例

いくつかの具体的な換算計算例を示します。

換算例1:エンジンオイルSAE 10W-40(100℃での動粘度ν=14 mm²/s、密度ρ=880 kg/m³) → 絶対粘度μ = ν×ρ = 14×10⁻⁶ × 880 = 0.01232 Pa·s = 12.32 mPa·s。換算例2:グリセリン(25℃での絶対粘度μ=0.934 Pa·s、密度ρ=1261 kg/m³)→ 動粘度ν = μ/ρ = 0.934/1261 = 7.41×10⁻⁴ m²/s = 741 mm²/s = 741 cSt。

流体解析での動粘度と絶対粘度の役割

続いては、CFD(数値流体力学)を含む流体解析での動粘度と絶対粘度の役割を確認していきます。

計算流体力学では両方の粘度が適切な形で使用されます。

ナビエ-ストークス方程式における粘度の役割

流体運動の支配方程式であるナビエ-ストークス方程式(非圧縮性)では絶対粘度μが粘性応力項に現れます。

一方、方程式を速度スケール・長さスケールで無次元化したとき、レイノルズ数Re=ρVL/μ=VL/νが自然に現れ、動粘度νの重要性が浮かびあがります。

CFDソフトウェアへの入力では絶対粘度μを直接指定するものと動粘度νを指定するものがあり、ソフトウェアの仕様を確認して適切に入力することが必要です。

乱流モデルと動粘度

CFDの乱流シミュレーションでは「渦粘度(turbulent viscosity)μ_t」と「動渦粘度(turbulent kinematic viscosity)ν_t=μ_t/ρ」の概念が重要です。

k-εモデル・k-ωモデルなどの乱流モデルでは動渦粘度ν_tが乱流強度・乱流スケールから計算されます。

無次元化された乱流方程式では動粘度νが自然なスケール量として使用されます。

流体力学の教科書や研究論文では動粘度νを使った無次元表記が標準的であり、学術的な議論では動粘度が中心的な役割を果たしています。

まとめ

この記事では、動粘度と絶対粘度(粘度)の定義の違い・換算式・単位・使い分けの基準・流体解析での役割について解説しました。

絶対粘度μ(Pa·s・mPa·s)はせん断応力とせん断速度の比として定義される流体の内部抵抗を表す量であり、動粘度ν(m²/s・mm²/s)は絶対粘度を密度で除した流体の運動特性を表す量です。

両者の換算式μ=ν×ρ(またはν=μ/ρ)と密度データを正確に把握することで、様々な工学計算・測定データの解釈が正確に行えます。

流体設計・品質管理・研究開発において、場面に応じて動粘度と絶対粘度を適切に使い分ける能力は、流体工学の基礎リテラシーとして今後も変わらず重要であり続けるでしょう。