おうち遊び

過電流継電器とは?動作原理と整定値設定方法も(OCR:保護継電器:電流値検出:三相回路保護など)

当サイトでは記事内に広告を含みます
いつも記事を読んでいただきありがとうございます!!! これからもお役に立てる各情報を発信していきますので、今後ともよろしくお願いします(^^)/

過電流継電器とは?動作原理と整定値設定方法も(OCR:保護継電器:電流値検出:三相回路保護など)

「過電流継電器(OCR)とはどのような機器なのか」「整定値はどのように設定するのか」「三相回路での保護とはどういうことか」という疑問は、電気主任技術者・電気設備の設計者・電気保安の担当者から多く聞かれます。

過電流継電器(Overcurrent Relay:OCR)は電力系統・高圧受変電設備の保護において中核的な役割を担う保護継電器であり、過電流・短絡電流を検知して遮断器(Circuit Breaker)を動作させることで設備・系統を保護します。

本記事では、過電流継電器の基本構造と動作原理、動作特性(瞬時・定時限・反限時)、整定値(電流整定値・時間整定値)の設定方法と考え方、三相回路での保護方式、保護協調まで詳しく解説します。

過電流継電器とは?保護継電器の中核として機能する機器

それではまず、過電流継電器の基本的な定義と役割について解説していきます。

過電流継電器(Overcurrent Relay:OCR)とは、電力系統・受変電設備において電流値を常時監視し、設定した整定値(電流値・動作時間)を超えた場合に遮断器(CB)へのトリップ信号を出力して回路を遮断する保護継電器です。

OCRは単体では電流を遮断できず、遮断器と組み合わせることで初めて保護機能が実現するという点が特徴です。

過電流継電器の基本構成と動作原理

構成要素 役割
変流器(CT:Current Transformer) 一次側の大電流(kAオーダー)を二次側の小電流(通常5A)に変換して継電器に入力
過電流継電器本体 CT二次電流を監視して整定値と比較・判定・動作信号出力
遮断器(Circuit Breaker:CB) OCRからのトリップ信号受信で主回路を遮断する実際の開閉装置
変電所自動制御システム 動作記録・系統制御・再投入制御との連携

変流器(CT)は過電流継電器への入力信号変換に必須の機器であり、CTの変流比(例:600/5A)・精度クラス・負担(Burden)の適切な選定がOCRの動作精度に直接影響します。

過電流継電器の動作特性の種類

過電流継電器には動作時間と電流値の関係(動作特性)によって以下の3種類があります。

瞬時要素(Instantaneous Element)は設定値を超えた電流を検知すると即座(数ms以内)に動作するもので、主に短絡電流の保護に使われます。

定時限要素(Definite Time Element)は設定電流値を超えると一定の時限(遅延時間)後に動作するもので、系統の保護協調設計に使われます。

反限時要素(Inverse Time Element)は電流値が大きいほど動作時間が短くなる特性を持ち、過負荷から短絡まで幅広い保護に使われます。

過電流継電器の動作特性曲線(IEC規格)

続いては、過電流継電器の動作特性曲線(タイム・カレント特性:TCC)について確認していきます。

IEC 60255による動作特性の分類

IEC 60255規格では反限時特性の数式と種類が定義されています。

【IEC 60255による反限時特性の動作時間計算式】

t =(α ÷((I/Is)^β − 1))× TMS

t:動作時間(s)

I:入力電流値

Is:整定電流値(Pickup Current)

TMS:時間整定倍数(Time Multiplier Setting)

α・β:特性定数(特性の種類によって異なる)

標準反限時特性(Standard Inverse:SI):α=0.14・β=0.02

超反限時特性(Very Inverse:VI):α=13.5・β=1

強反限時特性(Extremely Inverse:EI):α=80・β=2

超反限時(VI)・強反限時(EI)特性は電流が大きいほど動作時間が短くなる特性が急峻であり、電力系統の保護協調設計では上位の保護装置ほど動作時間を長く(遅く)設定して、故障箇所に最も近い保護装置が最初に動作するように設計します。

タイム・カレント特性曲線(TCC)の読み方

タイム・カレント特性曲線(Time-Current Characteristic Curve:TCC)は横軸に電流(整定電流の倍数)・縦軸に動作時間(s)をとった対数グラフで表され、過電流継電器の動作特性を視覚的に確認するために使います。

TCC曲線において各保護装置の曲線が重なる(上位と下位の曲線が分離している)ことが保護協調が取れている状態の確認方法です。

整定値の設定方法と考え方

続いては、過電流継電器の整定値(電流整定値・時間整定値)の設定方法と考え方について確認していきます。

整定値の設定は過電流保護の有効性と保護協調の確保の両方に関わる最も重要な設計作業です。

電流整定値(Pickup Current)の設定

電流整定値(Is:整定電流・ピックアップ電流)は「過電流と判定して動作を開始する電流のしきい値」であり、通常は負荷の定格電流(またはCT二次換算値)の1.1〜1.5倍程度に設定します。

【電流整定値の設定例】

保護対象の定格電流:100A

変流器(CT)変流比:100/5A(CTの二次電流:5A が定格に対応)

整定電流(OCR入力側):定格の1.3倍 = 5A × 1.3 = 6.5A

(6.5A以上の電流が継電器に入力されたときに動作開始)

一次側換算:6.5A × 100/5 = 130A(130A以上の主回路電流で動作開始)

時間整定値(TMS)の設定と保護協調

時間整定値(TMS:Time Multiplier Setting)は動作時間を調整するパラメータです。

保護協調(Selectivity)とは、電力系統の故障時に故障箇所に最も近い保護装置が最初に動作して最小範囲の停電にとどめ、上位の保護装置は一定時間後に動作するよう設計することです。

保護協調設計では各OCRのTCCをグラフ上で確認し、隣接するOCRのTCC曲線の間に少なくとも0.3〜0.4秒以上の協調時間間隔(CTI:Coordination Time Interval)を確保することが基本的な設計ルールです。

三相回路でのOCR設置方式

三相交流回路の過電流保護では三相すべての電流を監視するために通常2〜3台のOCRをCTと組み合わせて設置します。

3台のCTを各相に設置する方式(三相3素子方式)は最も完全な保護を提供し・2台のCTを2相に設置する方式(三相2素子方式)は経済的で一般的に使われます。

地絡保護も兼ねる場合はさらに零相変流器(ZCT)と地絡継電器(GR)を追加する構成が高圧需要家の受電設備保護では一般的です。

まとめ

本記事では、過電流継電器(OCR)の定義と役割(CTと遮断器との組み合わせで保護機能を実現)、動作特性の種類(瞬時・定時限・反限時)、IEC 60255による反限時特性の計算式、タイム・カレント特性曲線(TCC)の読み方、電流整定値・時間整定値の設定方法、保護協調設計の考え方(CTI 0.3〜0.4秒以上)、三相回路での設置方式まで幅広く解説しました。

過電流継電器の整定値設定は「負荷の定格電流を下回らず・系統の最小故障電流を確実に検出し・保護協調が取れていること」という3つの条件を同時に満たす設計が基本です。

電気主任技術者・電気設備設計者は過電流継電器の原理と整定設計を正確に理解して、安全で信頼性の高い電力系統・受変電設備の保護システム構築に役立ててください。