数学の授業でつまずきやすい単元のひとつに、微分を使った最大値と最小値の求め方があります。
「極値を求めれば最大値になるはず」と思い込んでしまい、答えを間違えてしまう受験生は少なくありません。
実際には極値と最大値・最小値はまったく別の概念であり、区間の端点まで確認しなければ正しい答えにたどり着けないのです。
この記事では、微分の最大最小の求め方について、極値との違いを整理しながら丁寧に解説していきます。
増減表の書き方や区間・端点の扱い方、f'(x)=0の意味、さらには応用問題での注意点まで幅広く取り上げます。
数学が苦手な方でも理解できるよう、具体例を交えながら順を追って説明していきますので、ぜひ最後までご覧ください。
微分を使った最大値・最小値の求め方(結論)
それではまず、微分を使った最大値・最小値の求め方について結論から解説していきます。
結論としては、区間内における関数の増減表を作成し、その中に現れる極値と区間の端点の値をすべて比較することが最大値・最小値を求める唯一の方法です。
極値だけを見て最大値や最小値だと判断してしまうのは典型的なミスといえるでしょう。
最大値・最小値を求める基本の流れは次の三つです。
一つ目は、与えられた関数f(x)を微分して導関数f'(x)を求めることです。
二つ目は、f'(x)=0となるxの値を求め、増減表を作成することです。
三つ目は、増減表から得られる極値と、区間の端点におけるf(x)の値をすべて比較し、最も大きい値を最大値、最も小さい値を最小値とすることです。
増減表を作り極値と端点を比較する
増減表は関数の変化の様子を一目で把握できる便利な道具です。
f'(x)の符号がプラスからマイナスに変わる点では極大値をとり、マイナスからプラスに変わる点では極小値をとります。
ただし、これらの極値がそのまま区間全体での最大値・最小値になるとは限りません。
区間の両端、つまり端点での関数の値を必ず計算し、極値と並べて比較する必要があります。
最大値・最小値は区間内の代表点の中から決まる
最大値と最小値は、区間内に存在する候補点の中から選ばれる値です。
候補点となるのは、極値をとる点と区間の端点の二種類だけになります。
この二種類の値をすべて書き出し、数値として大小を比較すれば、迷うことなく答えを導けるでしょう。
逆に言えば、候補点を書き出さずに感覚で答えてしまうと、思わぬ見落としが生じます。
極値がそのまま最大値・最小値になるとは限らない
ここが多くの受験生を悩ませるポイントです。
グラフの形によっては、極大値よりも端点の値のほうが大きくなるケースが存在します。
逆に、極小値よりも端点の値のほうが小さくなるケースもあるのです。
したがって、極値だけを求めて満足するのではなく、端点まで含めた比較が欠かせません。
極値とは何か、最大値・最小値との違いを確認
続いては、極値とは何かについて、最大値・最小値との違いを確認していきます。
この違いを正確に理解することが、微分の問題を得点源に変えるための第一歩です。
極値の定義とf'(x)=0の関係
極値とは、関数f(x)のグラフにおいて、局所的に周囲より大きく、あるいは小さくなる点での値のことです。
局所的な山の頂上にあたるのが極大値、谷の底にあたるのが極小値になります。
極値をとる点では、多くの場合f'(x)=0が成り立ちます。
例えば関数f(x)=x³−3xを考えます。
f'(x)=3x²−3となり、f'(x)=0を解くとx=1、x=−1が得られます。
増減表を作ると、x=−1で極大値、x=1で極小値をとることが分かります。
ただし注意したいのは、f'(x)=0だからといって必ず極値になるとは限らない点です。
f(x)=x³のように、f'(0)=0でも符号が変化しない場合は極値をとりません。
この点を見落とすと、極値の個数を誤ってカウントしてしまいます。
最大値・最小値の定義
一方、最大値・最小値とは、定義された区間全体の中で最も大きい値、最も小さい値のことを指します。
局所的な話ではなく、区間全体を見渡したうえでの絶対的な値であるという点が極値との大きな違いです。
いわば、極値が「近所で一番」だとすれば、最大値・最小値は「区間全体で一番」といえるでしょう。
極値と最大値・最小値が一致しないケース
下の表で、極値と最大値・最小値の性質の違いを整理してみます。
| 比較項目 | 極値 | 最大値・最小値 |
|---|---|---|
| 着目する範囲 | ある点の近くだけ | 区間全体 |
| 求め方 | f'(x)=0と符号変化を確認 | 極値と端点の値を比較 |
| 端点の扱い | 関係しない | 必ず確認する |
| 一致するかどうか | 常に区間の代表値とは限らない | 候補の中から最終的に決まる値 |
この表からも分かる通り、極値はあくまで局所的な現象であり、区間全体を代表する値とは限りません。
特に定義域が限定されている関数では、端点の値が極値を上回ることがしばしばあります。
この違いを意識するだけで、答案の正確性は大きく向上するでしょう。
微分を使った最大値・最小値の求め方の手順
続いては、微分を使った最大値・最小値の求め方の具体的な手順を確認していきます。
手順自体はシンプルですが、各ステップを丁寧に行うことが正解への近道です。
導関数f'(x)を求める
まずは対象となる関数f(x)を微分し、導関数f'(x)を求めます。
多項式関数であれば、べき乗の微分公式を使えば比較的簡単に計算できるでしょう。
分数関数や合成関数の場合は、商の微分や合成関数の微分公式を使う必要があります。
計算ミスがあると以降のすべての手順に影響するため、この段階での確認は特に重要です。
f'(x)=0となるxを求め増減表を作る
次に、f'(x)=0を満たすxの値を求めます。
得られたxの値を境目として、f'(x)の符号がどのように変化するかを確認します。
例えば区間0≦x≦3で関数f(x)=x³−3x²を考えます。
f'(x)=3x²−6x=3x(x−2)となり、f'(x)=0を解くとx=0、x=2が得られます。
区間内にある候補点は、x=0、x=2、そして端点であるx=0とx=3になります。
符号の変化をもとに増減表を作成すれば、極大・極小の位置が視覚的に把握できます。
増減表なしで暗算だけに頼ると、途中で符号を取り違えるミスが起きやすいので注意が必要でしょう。
区間の端点の値と極値を比較する
増減表が完成したら、極値とあわせて区間の端点でのf(x)の値も計算します。
先ほどの例であれば、f(0)、f(2)、f(3)をそれぞれ求め、数値として並べます。
計算するとf(0)=0、f(2)=−4、f(3)=0となり、最大値は0、最小値は−4と分かります。
このように、極値だけでなく端点まで含めて比較することで、初めて正確な最大値・最小値が確定するのです。
増減表の書き方とポイント
続いては、増減表の書き方とそのポイントについて確認していきます。
増減表を正しく書けるかどうかが、最大最小問題の正答率を大きく左右します。
増減表の基本構成
増減表は通常、xの値、f'(x)の符号、f(x)の値の三段で構成されます。
| x | 端点 | … | 極値をとる点 | … | 端点 |
|---|---|---|---|---|---|
| f'(x) | − | − | 0 | + | + |
| f(x) | 減少 | 減少 | 極小 | 増加 | 増加 |
この表を見れば、どこで関数が増えていて、どこで減っているのかが一目で分かります。
矢印を使ってf(x)の増減を視覚的に示すのも、答案では有効な方法でしょう。
符号の変化から極大・極小を判定する
f'(x)の符号がプラスからマイナスに変わる点は極大値です。
逆にマイナスからプラスに変わる点は極小値になります。
符号が変化しない場合、つまりプラスのままだったりマイナスのままだったりする点は、極値ではありません。
この判定を怠ると、極値の個数を誤ってしまうため、符号変化の確認は省略できない工程です。
増減表からグラフの概形をイメージする
増減表が完成したら、実際にグラフの概形を頭の中でイメージしてみましょう。
山と谷の位置関係を視覚化することで、端点の値が極値を超えるかどうかも直感的に判断しやすくなります。
特に三次関数や四次関数では、グラフの形を意識することが最大最小の見落とし防止につながるでしょう。
図やグラフを描く習慣をつけておくと、応用問題への対応力も自然と身についていきます。
端点や定義域に注意が必要なケース
続いては、端点や定義域に注意が必要なケースについて確認していきます。
この部分の理解が甘いと、増減表を正しく書けていても最終的な答えを間違えてしまいます。
開区間と閉区間での違い
区間には、端点を含む閉区間と、端点を含まない開区間があります。
閉区間であれば端点でのf(x)の値をそのまま最大値・最小値の候補に含められます。
一方、開区間の場合は端点そのものの値を候補にできません。
その場合、端点に限りなく近づいたときの極限値をもとに、最大値・最小値が存在するかどうかを考える必要があるでしょう。
閉区間a≦x≦bであれば、x=aとx=bの値を必ず候補に含めます。
開区間a
問題文の不等号が≦なのか
定義域に制限がある関数の最大最小
分数関数や無理関数、対数関数などは、定義域そのものに制限がある点に注意が必要です。
例えば分母が0になるxの値や、ルートの中身が負になるxの値は、そもそも定義域から除外されます。
定義域を確認せずに増減表を作ってしまうと、存在しない点を候補に入れてしまうミスにつながります。
まずは定義域を明確にしてから、増減表の作成に取りかかることが大切でしょう。
端点が最大値・最小値になる具体例
端点が最大値や最小値になる例として、単調に増加または減少し続ける関数が挙げられます。
区間1≦x≦4でf(x)=2x+1という一次関数を考えます。
この関数は常にf'(x)=2で符号が変わらず、極値は存在しません。
したがって最大値・最小値はどちらも端点で決まり、最大値はf(4)=9、最小値はf(1)=3となります。
このように、極値が存在しない関数では、端点の値がそのまま最大値・最小値になります。
極値がないからといって最大値・最小値まで存在しないわけではない点を、しっかり押さえておきましょう。
応用問題や注意点、よくあるミス
続いては、応用問題での考え方や、注意すべきポイント、よくあるミスについて確認していきます。
ここまでの内容を踏まえたうえで、実践的な視点から整理していきます。
分数関数や無理関数での注意点
分数関数や無理関数を微分する際は、通常の多項式とは異なる公式を使う必要があります。
商の微分公式や合成関数の微分公式を正確に使えるかどうかが、正答へのカギになるでしょう。
加えて、先ほど触れたように定義域の制限にも注意しなければなりません。
計算が複雑になるほど符号のミスも起きやすいため、途中式を丁寧に書くことをおすすめします。
文章題における最大最小の利用
微分による最大最小の考え方は、体積や面積、費用などを扱う文章題でも頻繁に登場します。
文章題では、まず条件から一つの変数だけで表される関数を作ることが最初のステップです。
例えば、周囲の長さが決まった長方形の面積を最大にする問題を考えます。
縦の長さをxとすると、横の長さは条件式から自動的に決まります。
面積をxの関数として表し、微分して増減表を作れば、最大値を与えるxが求められます。
文章題では、xのとりうる範囲、つまり定義域を正しく設定することが特に重要です。
長さや個数といった量は負の値をとれないため、定義域の設定を誤ると答えそのものが不自然な値になってしまいます。
計算ミスを防ぐためのチェックポイント
最後に、計算ミスを防ぐためのチェックポイントを整理しておきます。
一つ目は、微分の公式を正確に適用できているかどうかの確認です。
二つ目は、f'(x)=0の解を求める際、因数分解や解の公式を丁寧に使えているかどうかです。
三つ目は、増減表を書いたあとに、必ず端点の値を計算しているかどうかです。
四つ目は、開区間と閉区間の違いを踏まえて、端点を候補に含めるかどうか正しく判断できているかどうかです。
これらのチェックポイントを一つずつ確認する習慣をつければ、ケアレスミスは大幅に減らせるでしょう。
まとめ
今回は、微分の最大最小の求め方について、極値との違いを中心に解説してきました。
最大値・最小値を求めるには、導関数f'(x)を求めたうえで増減表を作り、極値と区間の端点の値をすべて比較することが欠かせません。
極値はあくまで局所的な値であり、区間全体での最大値・最小値とは異なる概念だという点をぜひ覚えておいてください。
開区間と閉区間の違いや、定義域の制限にも注意しながら、一つひとつの手順を丁寧に踏むことが正答への近道です。
文章題への応用も含め、繰り返し練習することで、微分を使った最大最小の問題は着実に得点源に変わっていくでしょう。
ぜひ今回の内容を参考に、増減表を使った最大値・最小値の求め方を得意分野にしていってください。