数学の微分計算の中でも、多くの学生がつまずきやすいのが合成関数の微分です。
公式を覚えていても、いざ問題を解こうとすると手が止まってしまう方も多いのではないでしょうか。
特に三角関数や分数関数が絡んでくると、どこから手をつければいいのか分からなくなってしまうこともあるでしょう。
この記事では、合成関数の微分とは何かという基本から、公式の証明、具体的なやり方、2変数関数への応用まで、幅広く解説していきます。
例題も豊富に取り上げながら、つまずきやすいポイントを丁寧に解きほぐしていきます。
これを読み終えるころには、合成関数の微分に対する苦手意識が薄れているはずです。
ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
合成関数の微分とは何か、結論から解説します
それではまず、合成関数の微分とはについて解説していきます。
結論から言うと、合成関数の微分とは複数の関数が入れ子になった関数を、それぞれの関数の微分の積として計算する方法です。
これを実現する公式が、いわゆる連鎖律、英語ではチェインルールと呼ばれるものになります。
たとえばyがuの関数であり、uがxの関数であるとき、yを直接xで微分するのは大変です。
しかし連鎖律を使えば、yをuで微分したものと、uをxで微分したものをかけ合わせるだけで答えが出せます。
式で表すと次のようになります。
dy/dx = dy/du × du/dx
この形さえ頭に入れておけば、どんなに複雑な合成関数でも対応できるようになります。
なぜこの公式が成り立つのか、疑問に思う方もいるでしょう。
実はこの公式は、極限の定義から丁寧に導くことができます。
詳しい証明は後の見出しで説明しますので、ここでは結論だけしっかり押さえておいてください。
合成関数の微分は、大学入試だけでなく理系の大学数学でも頻繁に登場する重要なテーマです。
公式を丸暗記するのではなく、なぜそうなるのかを理解しておくことが、応用問題を解くカギになります。
次の見出しからは、この公式の中身をさらに掘り下げていきます。
合成関数の微分は dy/dx = dy/du × du/dx という連鎖律で計算します。
外側の関数を微分したものと、内側の関数を微分したものをかけ合わせるイメージを持つことが理解の第一歩です。
合成関数の微分公式を詳しく確認していきます
続いては、合成関数の微分公式について確認していきます。
合成関数とは、ある関数の出力を別の関数の入力として渡す構造を持つ関数のことです。
たとえばf(x)=sin(x)とg(x)=x²があったとき、f(g(x))=sin(x²)という新しい関数ができあがります。
これが合成関数であり、この形の関数を微分するときに使うのが連鎖律です。
基本の公式の形
y=f(g(x))という合成関数があるとき、その導関数は次のように表されます。
y’ = f'(g(x)) × g'(x)
この式の意味は、外側の関数fをgのまま微分し、そこに内側の関数gの微分をかけるということです。
言葉で説明すると分かりにくいですが、実際に手を動かして計算すると案外シンプルに感じられるでしょう。
ライプニッツ記法との対応
先ほど紹介したdy/dx = dy/du × du/dxという表記は、ライプニッツ記法と呼ばれるものです。
u=g(x)、y=f(u)と置くことで、y=f(g(x))と同じ内容を表しています。
この記法は分数のように約分できるイメージを持てるため、計算の見通しが立てやすいというメリットがあります。
一方でf'(g(x))×g'(x)という記法は、関数の対応関係が明確という利点があります。
どちらの記法も使えるようにしておくと、問題ごとに使い分けができて便利です。
公式を適用する際の注意点
合成関数の微分公式を使うときによくあるミスが、内側の関数の微分をかけ忘れることです。
たとえばsin(x²)を微分するとき、cos(x²)だけで止めてしまう人が少なくありません。
正しくはcos(x²)に、x²を微分した2xをかける必要があります。
外側だけでなく内側の微分も忘れずにかけること、これが合成関数の微分で最も重要なポイントです。
次の見出しでは、この公式がなぜ成り立つのか、証明の流れを見ていきます。
| 表記方法 | 形 | 特徴 |
|---|---|---|
| ライプニッツ記法 | dy/dx = dy/du × du/dx | 分数のような感覚で扱いやすい |
| 導関数記法 | y’ = f'(g(x)) × g'(x) | 関数の対応が明確になる |
合成関数の微分公式の証明について解説していきます
続いては、合成関数の微分公式の証明について確認していきます。
公式を使いこなすだけなら証明を覚える必要はないかもしれません。
しかし証明の流れを一度でも追っておくと、公式の意味がぐっと理解しやすくなります。
微分係数の定義から出発する
合成関数y=f(g(x))の導関数を、微分係数の定義に基づいて考えてみましょう。
微分係数は次のような極限で定義されます。
y’ = lim(h→0) { f(g(x+h)) − f(g(x)) } / h
ここでu=g(x)と置き、Δu=g(x+h)−g(x)とします。
すると分子はf(u+Δu)−f(u)と書き換えることができます。
分母分子にΔuを補って式変形する
ここで、分母と分子に同じΔuをかけて式を変形します。
{ f(u+Δu) − f(u) } / h = { f(u+Δu) − f(u) } / Δu × Δu / h
この式変形によって、右辺の1つ目の項はfのuに関する微分係数に近づき、2つ目の項はgのxに関する微分係数に近づいていきます。
h→0のときΔu→0となるため、極限をとると次のようになります。
y’ = dy/du × du/dx
これが合成関数の微分公式の証明の骨格です。
厳密な証明ではΔu=0の場合に注意が必要
実はこの証明には一つ落とし穴があります。
Δuが0になってしまう場合、Δu/hで割り算をすることができません。
そのため大学の解析学では、より厳密な方法として、微分可能性を誤差項を使って定義し直すという方法がとられます。
高校数学の範囲では直感的な理解で十分ですが、大学レベルではこうした細かい部分にも気を配る必要があるでしょう。
証明の全体像を理解しておけば、公式を忘れてしまったときにも自分で導き出せるようになります。
次の見出しでは、実際に合成関数を微分するやり方を順を追って見ていきます。
証明の核心は、Δu/hという項を人為的に挟み込むことで、微分係数の積の形に持ち込むという発想です。
この発想さえ覚えておけば、公式を忘れても自力で再現できるようになります。
合成関数の微分のやり方を手順ごとに確認していきます
続いては、合成関数の微分のやり方について確認していきます。
やり方をパターン化しておくと、どんな問題が出てきても迷わず対応できるようになるでしょう。
手順1 外側の関数と内側の関数を見分ける
まず最初にやるべきことは、与えられた関数のどこが外側でどこが内側かを見極めることです。
たとえばy=(3x+2)⁵という関数があったとします。
この場合、外側の関数は「何かの5乗」、内側の関数は「3x+2」と考えることができます。
u=3x+2と置くことで、y=u⁵というシンプルな形に書き換えられます。
手順2 外側と内側をそれぞれ微分する
次に、外側の関数y=u⁵をuについて微分します。
これは5u⁴となります。
続いて内側の関数u=3x+2をxについて微分します。
これは3となります。
手順3 二つの微分をかけ合わせて元の変数に戻す
最後に、この二つの結果をかけ合わせます。
dy/dx = 5u⁴ × 3 = 15u⁴ = 15(3x+2)⁴
最後にuをもとの3x+2に戻すのを忘れないようにしましょう。
この3ステップさえ意識すれば、どんな合成関数でも同じ流れで解くことができます。
置き換え、微分、かけ合わせという流れをパターン化しておくことが、ミスを減らすコツです。
慣れてくれば、いちいちuと置かなくても頭の中で計算できるようになるでしょう。
次の見出しでは、三角関数や分数関数を含む具体的な例題を見ていきます。
三角関数や分数を含む合成関数の例題を確認していきます
続いては、三角関数や分数を含む合成関数の例題について確認していきます。
入試問題でも頻出のパターンなので、それぞれのやり方をしっかり押さえておきましょう。
三角関数の合成関数の例題
例題としてy=sin(2x)を考えてみます。
外側の関数はsin(u)、内側の関数はu=2xです。
y’ = cos(u) × 2 = 2cos(2x)
もう一つ、y=cos²(x)という例題も見てみましょう。
これはy=(cos x)²と考えられるため、外側はu²、内側はu=cos xです。
y’ = 2u × (−sin x) = −2cos x sin x
三角関数同士が組み合わさった問題では、外側と内側を取り違えないことが何より大切です。
分数関数の合成関数の例題
続いて分数関数の例題です。
y=1/(x²+1)という関数を考えます。
これはy=u⁻¹、u=x²+1と置き換えられます。
y’ = −u⁻² × 2x = −2x/(x²+1)²
分数の形の合成関数は、商の微分公式と混同しがちですが、分母を−1乗の指数として捉えれば合成関数の微分だけで解決できます。
分数を指数の形に書き換える発想を持っておくと、計算がぐっと楽になるでしょう。
複数の関数が入れ子になった例題
最後に、三重に入れ子になった関数を見てみましょう。
y=sin³(2x+1)という関数を考えます。
これはy=u³、u=sin v、v=2x+1という三段階の合成関数です。
y’ = 3u² × cos v × 2 = 6sin²(2x+1)cos(2x+1)
入れ子が増えても、一段ずつ丁寧に微分してかけ合わせていけば必ず答えにたどり着きます。
焦らず一つずつ処理していくことが、複雑な合成関数を攻略する近道です。
次の見出しでは、2変数関数における合成関数の微分について見ていきます。
| 関数の形 | 置き換え | 微分結果 |
|---|---|---|
| sin(2x) | u=2x | 2cos(2x) |
| cos²(x) | u=cos x | −2cos x sin x |
| 1/(x²+1) | u=x²+1 | −2x/(x²+1)² |
| sin³(2x+1) | u=sin v、v=2x+1 | 6sin²(2x+1)cos(2x+1) |
2変数関数における合成関数の微分法を確認していきます
続いては、2変数関数における合成関数の微分法について確認していきます。
ここまでは1変数の合成関数を扱ってきましたが、大学数学では2変数関数の合成関数もよく登場します。
2変数関数の連鎖律の基本形
z=f(x,y)という2変数関数があり、さらにxとyがそれぞれ別の変数tの関数であるとします。
つまりx=x(t)、y=y(t)という状況です。
このときzをtについて微分すると、次のような形になります。
dz/dt = ∂z/∂x × dx/dt + ∂z/∂y × dy/dt
1変数のときとは違い、xの方向とyの方向、それぞれの偏微分を計算して足し合わせる必要があります。
偏微分と全微分の関係
ここで登場する∂z/∂xやΘ∂z/∂yは偏微分と呼ばれるものです。
偏微分とは、他の変数を定数とみなして、着目する変数だけで微分する操作を指します。
2変数関数の合成関数の微分では、それぞれの変数がどの経路を通って最終的な変数につながっているかを図示することが理解の助けになります。
変数の依存関係をツリー状に書き出し、それぞれの枝ごとに微分をかけて、最後に全ての枝を足し合わせるとイメージすると分かりやすいでしょう。
具体例で確認する2変数の合成関数の微分
具体例としてz=x²y、x=t²、y=t+1という状況を考えてみます。
まず偏微分を計算すると、∂z/∂x=2xy、∂z/∂y=x²となります。
次にdx/dt=2t、dy/dt=1です。
これらを連鎖律の式に代入します。
dz/dt = 2xy × 2t + x² × 1
ここにx=t²、y=t+1を代入すると、最終的にtだけの式にまとめることができます。
2変数関数の合成関数の微分は、経済学や物理学のモデルを扱う際にも頻繁に使われる考え方です。
1変数の連鎖律を土台として、変数の数だけ項が増えるとイメージしておくと理解しやすいでしょう。
次の見出しでは、ここまでの内容を振り返りながらまとめていきます。
2変数関数の合成関数の微分では、それぞれの経路の偏微分をかけて、すべての経路を足し合わせるという考え方が基本になります。
変数の依存関係をツリー状に整理してから計算すると、ミスを大きく減らせます。
まとめ
今回は、合成関数の微分とは?公式と証明も!というテーマで、公式の中身から証明、具体的なやり方、そして2変数関数への応用までを解説してきました。
合成関数の微分の基本は、外側の関数の微分と内側の関数の微分をかけ合わせるという連鎖律にあります。
証明の流れを理解しておくことで、公式を丸暗記するだけでは得られない安心感が生まれるはずです。
三角関数や分数関数が絡む問題も、外側と内側を正しく見分ければ恐れることはありません。
2変数関数の合成関数では、偏微分を使ってそれぞれの経路の影響を足し合わせるという考え方が新たに加わります。
最初は複雑に感じるかもしれませんが、置き換え、微分、かけ合わせというステップを繰り返し練習すれば、必ず自然に手が動くようになるでしょう。
ぜひこの記事で紹介した例題を参考に、ご自身でも手を動かして練習してみてください。