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射出成形のフローマークとは?発生原因と対策方法を解説!(成形不良・表面欠陥・品質改善)

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射出成形品の表面に流れ方向の縞模様や波紋状の模様が現れることがあり、これを「フローマーク(flow mark)」と呼びます。

フローマークは外観品質を大きく損なう成形不良であり、特に外観を重視する家電製品・自動車内装部品・精密機器筐体などでは許容されない場合が多い重大な問題です。

フローマークには複数の種類があり、発生メカニズムも異なるため、正確な原因特定と適切な対策が品質改善の鍵となります。

本記事では、フローマークの種類・発生メカニズム・発生しやすい条件・金型設計による対策・成形条件による対策まで、詳しく解説していきます。

フローマークとは?種類と発生メカニズム

それではまず、フローマークの定義・種類・発生メカニズムについて解説していきます。

フローマーク(flow mark)とは、射出成形品の表面に流れ方向の縞模様・波紋・リングパターンなどが現れる表面欠陥の総称です。

フローマークには主に以下の三つの種類があります。

フローマークの主要な種類

① ウェーブフローマーク(Wave Flow Mark)

現象:ゲート付近に波紋状・同心円状の縞模様が現れる

原因:低射出速度による流れ先端の断続的な前進(スティック-スリップ現象)

② ジェッティング(Jetting)

現象:ゲート正面に蛇行した細い線(ジェット流跡)が見える

原因:射出速度が速すぎてゲート直後で細い流れが噴流状になる

③ チルドマーク(Chilled Mark)

現象:流れ先端付近に曲線状の細い縞が見える

原因:低温で早期に固化した流れ先端の樹脂が模様として残る

これらのフローマークはそれぞれ発生メカニズムが異なるため、現象を正確に特定してから対策を実施することが重要です。

フローマークの種類を見誤ると対策が逆効果になることもあるため、現象の観察と原因の特定が品質改善の第一歩です。

ウェーブフローマークの発生メカニズム

ウェーブフローマークは射出速度が遅すぎる場合に、流れの先端(フローフロント)が前進と停止を繰り返す「スティック-スリップ現象」によって発生します。

流れが停止した際に金型表面に接触した樹脂が急冷固化し、再び前進したときに次の固化層との間に段差・縞が形成されます。

これが繰り返されることでゲート付近を中心とした同心円状・波紋状のパターンが形成されます。

ジェッティングの発生メカニズム

ジェッティングは射出速度が過剰に速い場合、または小さなゲートから広いキャビティに樹脂が噴出する場合に発生します。

細いゲートから高速で射出された樹脂が、キャビティ内で壁面に接触せずに蛇行しながら飛び、その形跡がそのまま製品表面に模様として残ります。

ジェッティングを防ぐためには、ゲートサイズの拡大・射出速度の低下・ゲート位置の変更(流れが壁面に当たるよう)が有効です。

フローマークの発生しやすい条件と部位

続いては、フローマークが発生しやすい成形条件と部位を確認していきます。

発生しやすい成形条件

フローマークは射出速度が低すぎる場合・樹脂温度が低い場合・型温度が低い場合に特に発生しやすくなります。

これらの条件では溶融樹脂の流動性が低下し、流れ先端の早期固化によってスティック-スリップ現象が起きやすくなります。

ゲート断面積が小さすぎる場合も、ゲート通過時の剪断発熱が不均一になりフローマークの原因になります。

発生しやすい部位

フローマークはゲート周辺・流れの先端部・肉厚変化部・コーナーなど流れが乱れやすい部位で特に発生しやすいです。

ゲートから遠い部位では樹脂温度・圧力が低下して流動性が悪化するため、末端部でのフローマーク発生リスクが高まります。

フローマークの対策:成形条件と金型設計

続いては、フローマークの具体的な対策を成形条件と金型設計の両面から確認していきます。

成形条件による対策

フローマーク(ウェーブマーク)の成形条件対策

・射出速度の増加(スティック-スリップの抑制)

・樹脂温度の上昇(流動性の向上)

・型温度の上昇(流れ先端の早期固化防止)

・射出速度プロファイルの最適化(多段階速度制御の活用)

射出速度の増加はウェーブマークには有効ですが、ジェッティングには逆効果になります。

したがって、フローマークの種類を正確に特定してから対策を実施することが重要です。

金型設計による対策

金型設計の観点からは、ゲートサイズの拡大・ゲート位置の最適化・ゲート形状の変更が有効です。

ゲートを拡大すると射出時の剪断速度が低下して樹脂温度の均一化が図れ、フローマーク発生を抑制できます。

ジェッティング対策としてはゲートを製品の壁面・段差に向けて設置し、噴流が直接キャビティ空間に入らないようにすることが有効です。

型温を高めるための型温調節装置(チラー・ヒーター)の導入も、フローマーク対策として効果があります。

まとめ

本記事では、射出成形のフローマークについてウェーブフローマーク・ジェッティング・チルドマークの三種類の発生メカニズム・発生条件・成形条件と金型設計による対策まで詳しく解説してきました。

フローマークは低射出速度・低樹脂温度・低型温・小ゲートなどの条件で発生しやすく、種類によって発生メカニズムと対策が異なります。

ウェーブマークには射出速度増加・高温化が有効であり、ジェッティングには速度低下・ゲート設計の変更が有効です。

フローマークの種類を正確に特定した上で適切な対策を実施することが、効率的な品質改善の基本です。

フローマークの知識を活用し、射出成形の外観品質向上・成形条件最適化・金型設計改善に積極的に役立ててみてください。