英語の「its」は短い単語ですが、所有を表す基本語として会話、メール、資料、契約書まで幅広く登場します。
とくに「it’s」と混同すると文意が反対になる場合もあるため、意味、読み方、例文、ビジネスで使われる表現をまとめて押さえることが大切です。
この記事では「its own」「its value」「its meaning」などのよく使う組み合わせにも触れながら、自然に使い分けるポイントを解説します。
itsの意味と基本ルール

それではまずitsの意味と基本ルールについて解説していきます。
itsが表す所有関係
「its」は、三人称単数の所有格です。
日本語では「それの」「その」「それ自身の」と訳されることが多く、人以外の物、動物、組織、場所、出来事などが持つ特徴や所属を示します。
たとえば会社について話す場合、companyを受けて「its products」と書けば「その会社の製品」という意味になります。
itsの直後には、原則として名詞が続くと考えると理解しやすいでしょう。
its color は それの色 という意味です。
its history は その歴史 という意味です。
its purpose は その目的 という意味です。
主語が単数であれば、物でも動物でも団体でもitsを使えます。
ただし、相手への敬意を示したい人物に使うことは通常なく、he、she、theirなどを選ぶのが自然です。
itとitsの役割の違い
「it」は代名詞であり、「それは」「それを」といった意味で主語や目的語になります。
一方のitsは、後ろに置く名詞を説明する所有格です。
この違いを意識すると、英文を組み立てるときの迷いが減ります。
| 語 | 主な役割 | 意味の目安 | 例 |
|---|---|---|---|
| it | 主語や目的語 | それは、それを | It works well. |
| its | 名詞を修飾 | それの、その | Its design is simple. |
| itself | 再帰代名詞 | それ自身 | The device repaired itself. |
「The system is useful.」なら、そのシステムの機能について続ける文は「Its function is easy to use.」のように表せます。
名詞の前に置くという位置関係が、itsを見分ける確かな手掛かりです。
itsの読み方とカタカナ発音
itsの読み方は、カタカナでは「イッツ」が近い発音です。
発音記号は一般に /ɪts/ とされ、最初の母音は日本語の「イ」よりも短く弱めに出します。
語末のsは「ス」と強く伸ばさず、「イッツ」と一息で発音する感覚が自然です。
itsとit’sは発音が同じなので、耳だけで判別することはできません。
会話では前後の語から意味を判断し、ライティングではアポストロフィーの有無を確認する必要があります。
itsは所有格であり、イッツと読みます。
it’sもイッツと読みますが、it isまたはit hasを短縮した形です。
音ではなく、文法と後ろに続く語で見分けることが重要です。
itsとit’sの見分け方
続いてはitsとit’sの見分け方を確認していきます。
アポストロフィーによる意味の差
「it’s」は「it is」または「it has」の短縮形です。
たとえば「It’s important.」は「It is important.」に戻せるため、「それは重要です」となります。
これに対して「Its importance is clear.」は「その重要性は明確です」という意味です。
英語では所有格にアポストロフィーを付ける語もありますが、itsは例外として覚えるとよいでしょう。
たとえば「John’s book」はジョンの本を表しますが、「its book」はそれの本を表します。
itsにはアポストロフィーを入れないという一点を、文章作成時に見直してください。
置き換えテストの方法
迷ったときは、it’sを「it is」または「it has」に置き換える方法が役立ちます。
文として自然に成立すればit’s、成立しなければitsである可能性が高いといえます。
It’s easy to operate.
It is easy to operate. に置き換えられるため、it’sが正解です。
Its operation is easy.
Its is operation is easy. にはできないため、itsが正解です。
「It’s features are useful.」は誤りです。
featuresという名詞を所有格で説明しているため、「Its features are useful.」とします。
校正時には、it’sの後ろが形容詞、動詞、過去分詞などになっているかを見ると、誤りを発見しやすくなります。
よくある誤用と修正例
日本語話者だけでなく、英語母語話者でもitsとit’sを取り違えることがあります。
短い単語だからこそ、入力時の勢いでアポストロフィーを加えてしまうケースがあるためです。
| 誤った表現 | 正しい表現 | 理由 |
|---|---|---|
| It’s price is reasonable. | Its price is reasonable. | priceは名詞であり、所有格が必要です。 |
| The software improved it’s speed. | The software improved its speed. | speedはソフトウェアの速度を指します。 |
| Its been updated. | It’s been updated. | It has beenの短縮形です。 |
| Its difficult to predict. | It’s difficult to predict. | It is difficultの短縮形です。 |
メールや提案書では、スペルチェックだけに頼らず、前後の文脈を読む確認が欠かせません。
意味が通るように見えても、文法的には誤りという場合があるからです。
itsを使った例文と定番表現
続いてはitsを使った例文と定番表現を確認していきます。
its ownの意味と使い方
「its own」は「それ自身の」「それ独自の」という意味で使われます。
ownを加えることで、ほかと区別される固有性や独立性を強調できます。
「Each product has its own features.」は「各製品にはそれぞれ独自の特徴があります」という意味です。
製品、部門、地域、ブランドなどに個別の特性があることを説明する場面で便利な表現でしょう。
The company has its own research facility.
その会社は独自の研究施設を持っています。
Each market has its own challenges.
市場ごとに固有の課題があります。
its ownは独自性を穏やかに強調できる表現であり、ビジネス文書にもなじみます。
「own」の後ろには名詞を置き、its own value、its own style、its own approachのように展開できます。
its valueとits meaningの使い方
「its value」は「その価値」「その数値」「その値」を表します。
商品価値の説明だけでなく、プログラミング、統計、研究、財務など、数値を扱う文脈でも使われる表現です。
「The value depends on its condition.」なら「その価値は状態によって決まります」となります。
「its meaning」は「その意味」であり、単語、記号、文章、行動、文化的な表現などの解釈を述べるときに用います。
「The word has changed its meaning over time.」は「その単語は時代とともに意味を変えてきました」という内容です。
| 表現 | 意味 | 使われやすい場面 |
|---|---|---|
| its value | その価値、その値 | 価格、数値、評価、データ |
| its meaning | その意味 | 単語、表現、記号、解釈 |
| its purpose | その目的 | 製品紹介、企画、説明資料 |
| its role | その役割 | 組織、機能、工程の説明 |
| its impact | その影響 | 分析、報告書、ニュース |
valueは経済的な価値だけに限定されません。
データの値という意味もあるため、周囲の話題に合わせて日本語訳を選ぶことが大切です。
日常会話で使える例文
itsは日常英会話でも頻出する基本語です。
身の回りの物や動物について説明するときに、無理なく使えます。
「The dog wagged its tail.」は「その犬は尻尾を振った」という意味です。
動物の性別を特定して話す必要がないとき、itsが使われます。
「The phone lost its signal.」は「その電話は電波を失った」という表現です。
機器の状態を伝える際にも役立つでしょう。
物事を一度名詞で示し、次の文でitsに受けると、同じ名詞の繰り返しを避けられます。
The restaurant changed its menu last month.
そのレストランは先月メニューを変更しました。
The machine stopped because its battery was low.
その機械はバッテリー残量が少なかったため停止しました。
ビジネスにおけるitsの使い方
続いてはビジネスにおけるitsの使い方を確認していきます。
会社や組織を受けるits
企業名や組織名は文法上単数として扱われることが多く、その所有格にはitsを使います。
「The company announced its new strategy.」は「その会社は新しい戦略を発表しました」という意味です。
企業の製品、方針、業績、顧客、目標などを説明する際に、itsは自然につながります。
英米の用法では、組織を複数人の集まりとして捉えてtheirを使う例もあります。
ただし、統一感を優先するビジネス文書では、会社そのものを単一の組織として扱いitsを選ぶと安定します。
会社の公式な機能や資産を述べる文ではitsが特に使いやすいでしょう。
メールと資料での自然な表現
ビジネスメールでは、相手企業や製品に関する情報を簡潔に説明するためにitsを使えます。
「We are interested in your company and its services.」は、相手の会社とサービスに関心があることを丁寧に伝える文です。
「Please review the proposal and its estimated timeline.」なら、提案書とその予定期間を確認してほしいという依頼になります。
ただし、youやyourを使ったほうが相手に直接語りかける印象になる場合もあります。
相手企業の資料を客観的に説明する文ではits、宛先に直接依頼する文ではyourを使うと、読み手に伝わりやすくなります。
| 用途 | 英文例 | 日本語の意味 |
|---|---|---|
| 会社紹介 | The company expanded its global network. | その会社は世界的なネットワークを拡大しました。 |
| 製品説明 | The product is known for its durability. | その製品は耐久性で知られています。 |
| 提案書 | The plan outlines its expected benefits. | その計画は期待される利点を示しています。 |
| 報告書 | The report explains its findings clearly. | その報告書は調査結果を明確に説明しています。 |
フォーマルな文章での注意点
itsを使う文では、何を指しているのかが読み手に明確であることが重要です。
直前に複数の名詞があると、itsの指す対象があいまいになることがあります。
たとえば「The client discussed the product with the supplier before its launch.」では、発売するのが製品なのか、供給者側の企画なのか、文脈によって迷うかもしれません。
このような場合は「before the product launch」のように名詞を改めて示すと安全です。
itsは便利な代名詞ですが、指す対象が不明確なら名詞を繰り返す判断が有効です。
とくに契約、仕様書、見積書、報告書では、簡潔さより誤解の少なさを優先します。
読み手が一度で対象を把握できるかを基準に見直しましょう。
ビジネス英語では正確性と参照先の明瞭さが重要です。
短縮しすぎず、対象を明示する文章設計を心掛けてください。
itsのスラングと口語表現
続いてはitsのスラングと口語表現を確認していきます。
its自体はスラングではない点
its自体はスラングではなく、学校英語でも扱われる標準的な文法語です。
日常会話、ニュース、論文、ビジネス文書のどれでも使用できるため、くだけた表現を避けたい場面でも問題ありません。
検索時に「its スラング」と見かけることがありますが、多くはit’sを含む口語フレーズや、似たつづりの語との混同が背景にあります。
そのため、itsだけを見て俗語的な意味を考える必要はありません。
itsは場面を選ばない中立的な所有格として理解するのが適切です。
it’sを含むくだけたフレーズ
発音が同じであるit’sは、口語的な定番フレーズに多く含まれます。
「It’s up to you.」は「あなた次第です」、「It’s on me.」は「私がおごります」という意味です。
これらはit’sであってitsではありません。
「It’s not my thing.」は「それは自分の好みではありません」とやわらかく伝える言い方です。
カジュアルな会話では便利ですが、正式なメールでは文脈に応じてより丁寧な表現へ言い換えるとよいでしょう。
たとえば「It’s on me.」を取引先への文面にそのまま用いるより、「We will cover the cost.」とするほうが明確です。
インターネット上の表記の注意
SNSやチャットでは、アポストロフィーを省略した「its」が、意図的ではなく入力ミスとして使われることがあります。
くだけた場では意味が通じる場合もありますが、正しい英語としては区別が必要です。
また、固有名詞や略語の一部としてITSと大文字で書かれている場合は、itsとは別物です。
たとえば交通分野のITSは、Intelligent Transport Systemsを指すことがあります。
大文字か小文字か、文中でどの役割を担っているかを確認すると、誤読を防げます。
同じ音でも、表記と文脈によって意味が変わる点が英語学習の要所です。
itsの言い換えと使い分け
続いてはitsの言い換えと使い分けを確認していきます。
theの名詞句への言い換え
itsが何を指すのか不明確なときは、「the+名詞」に言い換えられます。
「The software improved its performance.」を、文脈に応じて「The software improved the performance of the system.」のように具体化する方法です。
同じ名詞を繰り返すため文章は少し長くなりますが、専門資料では理解しやすくなる利点があります。
とくに製品、顧客、プロジェクト、部門が同時に登場する文では、言い換えが有効でしょう。
| itsを使う表現 | 言い換え例 | 向いている場面 |
|---|---|---|
| its price | the price of the product | 対象を明確にしたい資料 |
| its result | the result of the analysis | 分析結果の説明 |
| its policy | the company policy | 社内外の正式文書 |
| its function | the function of the device | 仕様や取扱説明 |
theirとの使い分け
theirは「彼らの」「それらの」を表す所有格です。
複数の物や複数の人を受ける場合に使います。
「The devices have their own settings.」では、複数の機器がそれぞれ設定を持つことを示しています。
単数のdeviceなら「The device has its own settings.」となります。
また、性別を特定しない単数の人物を指すsingular theyでは、theirが使われることもあります。
しかし、物、企業、単数の動物などの所有を通常どおり述べるならitsが基本です。
単数の物や組織ならits、複数ならtheirという整理から始めるとよいでしょう。
ownやofを使った表現の選び方
独自性を強く示すならits own、所属関係を明示するならofを使う方法があります。
「The brand has its own identity.」は、そのブランド固有のアイデンティティを強調します。
「The identity of the brand」は意味として近いものの、やや説明的で客観的な響きになります。
文章の流れを軽く保ちたいときはits、誤解を避けたいときや対象を強調したいときはofの表現が向いています。
英語らしい簡潔さと、情報の明確さの両方を見ながら選ぶことが大切です。
代名詞と名詞の言い換えを使い分けると文章の質が上がります。
まとめ
itsは「それの」「その」を表す所有格で、物、動物、組織、製品などの特徴や所属を説明するときに使います。
it’sと発音は同じでも、it’sはit isまたはit hasの短縮形です。
後ろに名詞が続くならitsを疑い、it isに戻せるならit’sを選ぶという確認方法を覚えておくと安心です。
its ownは独自性、its valueは価値や値、its meaningは意味を表す定番表現として役立ちます。
ビジネス文書では、itsが指す対象を読み手がすぐに判断できるかを確認し、必要に応じてthe companyやthe productなどの名詞に言い換えてください。
基本ルールを押さえれば、メール、資料、日常会話のいずれでもitsを自然に使えるようになるでしょう。