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上降伏点と下降伏点の違いは?読み方や特徴も解説!(軟鋼:降伏現象:応力降下:材料試験:測定方法など)

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上降伏点と下降伏点の違いは?読み方や特徴も解説!(軟鋼:降伏現象:応力降下:材料試験:測定方法など)

金属材料の引張試験では、応力が増加したあとに急に下がり、その後ほぼ一定の応力で変形が進む現象が見られることがあります。

この現象は降伏現象と呼ばれ、特に軟鋼でわかりやすく現れます。

その中で、最初に現れる高い応力を上降伏点、その後に現れる低めの応力を下降伏点と呼びます。

読み方は、上降伏点がじょうこうふくてん、下降伏点がかこうふくてんです。

材料力学や材料試験の基礎として重要ですが、初めて学ぶと降伏点との違いや応力降下の意味がわかりにくいかもしれません。

この記事では、上降伏点と下降伏点の違い、読み方、軟鋼で起こる理由、測定方法、設計上の扱いをわかりやすく解説します。

上降伏点と下降伏点の違いは、降伏現象の最初の山とその後の低い応力です

それではまず上降伏点と下降伏点の違いについて解説していきます。

上降伏点とは、降伏が始まる直前または始まった瞬間に現れる高い応力の点です。

下降伏点とは、上降伏点のあとに応力が下がり、塑性変形が進むときの比較的低い応力の点です。

応力ひずみ線図で見ると、上降伏点は小さな山の頂点のように現れ、その後に応力が落ちて下降伏点付近へ移ります。

上降伏点は降伏開始時の高い応力、下降伏点は降伏が進行しているときの低い応力と覚えるとよいでしょう。

上降伏点の読み方と意味

上降伏点は、じょうこうふくてんと読みます。

英語では upper yield point と表記されます。

引張試験で材料に荷重を加えていくと、弾性変形の範囲では応力とひずみがほぼ比例します。

その後、ある応力に達すると、材料内部ですべりが始まり、塑性変形へ移行します。

この降伏開始時に現れる最初の高い応力が上降伏点です。

下降伏点の読み方と意味

下降伏点は、かこうふくてんと読みます。

英語では lower yield point と表記されます。

上降伏点を超えると、応力が一度下がることがあります。

その後、比較的低い応力で変形が進む部分が現れます。

このときの応力が下降伏点です。

材料規格では、降伏点として下降伏点側の値を重視することもあります。

応力降下が特徴になる

上降伏点から下降伏点へ移るとき、応力が下がる現象を応力降下と呼ぶことがあります。

通常、力を増やせば応力も増えると考えがちですが、降伏現象では一時的に応力が下がっても変形が進みます。

これは材料内部で塑性変形が急に進み始めるためです。

この特徴が、上降伏点と下降伏点を区別するポイントになります。

項目 読み方 特徴
上降伏点 じょうこうふくてん 降伏開始時に現れる高い応力
下降伏点 かこうふくてん 応力降下後に現れる低い応力
降伏現象 こうふくげんしょう 降伏点付近で応力変化を伴い塑性変形が進む現象
応力降下 おうりょくこうか 上降伏点後に応力が下がる挙動

軟鋼で上降伏点と下降伏点が現れやすい理由を確認していきます

続いては軟鋼で上降伏点と下降伏点が現れやすい理由を確認していきます。

上降伏点と下降伏点は、すべての金属材料で明確に現れるわけではありません。

代表的に観察されやすいのは、低炭素鋼や軟鋼です。

これは、材料内部の転位と炭素や窒素などの原子の相互作用が関係します。

転位の動きが降伏に関係する

金属が塑性変形するとき、結晶内部では転位と呼ばれる線状の欠陥が動きます。

転位が動くことで、金属は原子全体を一度にずらすよりも小さな力で変形できます。

しかし、転位が何らかの原因で動きにくくなっていると、最初に動き出すために高い応力が必要になります。

この最初に必要な高い応力が、上降伏点として現れると考えられます。

炭素や窒素が転位を固定する

軟鋼では、炭素や窒素などの侵入型原子が転位の周辺に集まり、転位を動きにくくすることがあります。

この状態では、転位を動かすために一時的に高い応力が必要です。

転位が固定から外れて動き始めると、それ以降は比較的低い応力で塑性変形が進みます。

その結果、上降伏点と下降伏点の差が現れます。

この説明は少し専門的ですが、最初に動き出すまでが大変で、動き出すと少し楽になると考えるとイメージしやすいでしょう。

リューダース帯が観察されることもある

降伏現象が起こると、試験片の表面に局部的な変形帯が現れることがあります。

これはリューダース帯と呼ばれます。

リューダース帯は、降伏が材料全体に一気に広がるのではなく、局所的に始まって広がっていくことを示します。

薄板の成形では、このような変形帯が外観不良につながる場合があります。

そのため、材料試験だけでなく、実際の加工品質にも関係する現象です。

応力ひずみ線図での見分け方を確認していきます

続いては応力ひずみ線図での見分け方を確認していきます。

上降伏点と下降伏点は、応力ひずみ線図を見ると比較的理解しやすい用語です。

ただし、試験条件や材料状態によっては、はっきりした山や谷が見えにくい場合もあります。

基本的な形を知っておくことで、試験データを読み取りやすくなります。

直線部分の後に上降伏点が現れる

引張試験の初期段階では、応力とひずみがほぼ比例します。

この部分は弾性域であり、力を抜けば試験片は元の長さに戻ります。

応力が増えていくと、直線関係が終わる付近で上降伏点が現れます。

グラフ上では、応力が一度ピークに達するような形になることがあります。

このピークが明確なら、上降伏点として読み取れます。

応力が下がった後に下降伏点を見る

上降伏点のあと、グラフの応力が下がる部分が見られることがあります。

その後、低い応力でひずみが増えていく部分が続きます。

この低い応力側が下降伏点です。

材料によっては、下降伏点付近で応力が小さく上下しながら変形が進む場合もあります。

試験規格では、読み取り方が定められている場合があるため、評価時には規格に従う必要があります。

明確でない材料では耐力を使う

すべての材料で上降伏点と下降伏点が見えるわけではありません。

ステンレス鋼、アルミ合金、銅合金などでは、応力ひずみ線図がなめらかに曲がることがあります。

この場合、上降伏点や下降伏点を定義しにくいため、0.2パーセント耐力などを使います。

降伏点という言葉が資料にない場合でも、耐力が同じような目的で使われていることがあります。

0.2パーセント耐力は、明確な降伏点がない材料で用いられる実用的な基準です。

永久ひずみが0.2パーセント残る応力を、降伏に相当する値として扱います。

測定方法と試験時の注意点を確認していきます

続いては測定方法と試験時の注意点を確認していきます。

上降伏点と下降伏点は、引張試験によって求められます。

試験片の形状、引張速度、測定装置、伸び計の条件によって結果が変わることがあるため、正確な評価には規格に沿った試験が必要です。

引張試験で荷重と伸びを測定する

引張試験では、規定形状の試験片を試験機で一定方向に引っ張ります。

そのときの荷重と伸びを測定し、応力とひずみに換算します。

応力は荷重を元の断面積で割って求めます。

ひずみは伸びを元の標点距離で割って求めます。

これらをグラフ化することで、応力ひずみ線図が得られます。

試験速度が結果に影響する

金属材料の降伏挙動は、引張速度の影響を受けることがあります。

速度が速いと、上降伏点や下降伏点の見え方が変わる場合があります。

そのため、規格試験では試験速度や制御方法が定められています。

異なる条件で得た値を単純に比較すると、誤解につながる可能性があります。

材料の履歴にも注意する

同じ材質名でも、熱処理、冷間加工、時効、表面状態によって降伏現象は変わります。

軟鋼では、加工後の経時変化によって降伏点伸びが現れやすくなることがあります。

また、焼なましや調質などの処理によっても応力ひずみ線図の形は変わります。

材料試験結果を見るときは、材質名だけでなく製造履歴や状態も確認しましょう。

設計や加工での扱いを確認していきます

続いては設計や加工での扱いを確認していきます。

上降伏点と下降伏点は、単に試験データ上の特徴ではありません。

設計でどの値を基準にするか、加工でどのような不具合が起こるかにも関係します。

特に軟鋼の板材を扱う場合は、降伏現象が外観や成形性に影響することがあります。

設計では安全側の値を使う

降伏点を設計基準にする場合、上降伏点より下降伏点を重視することがあります。

上降伏点は一時的に高く現れる値であり、安定して変形が進む応力は下降伏点側に近いからです。

ただし、具体的な扱いは規格や設計基準によって異なります。

重要な設計では、対象分野の基準に従う必要があります。

プレス成形では降伏点伸びに注意する

軟鋼板では、降伏点伸びによって表面にストレッチャーストレインと呼ばれる模様が出ることがあります。

これは外観品質が重要な自動車外板や家電製品のパネルで問題になる場合があります。

そのため、材料メーカーは調質圧延などによって降伏点伸びを抑えることがあります。

材料力学の知識は、加工現場の品質にもつながっています。

強度と加工性のバランスを見る

降伏点が高い材料は、使用中に変形しにくい利点があります。

しかし、成形加工では大きな力が必要になり、割れやスプリングバックが増える場合があります。

一方、降伏点が低い材料は加工しやすい反面、使用中の変形には注意が必要です。

材料選定では、完成品の強度と加工工程の両方を考えることが大切です。

上降伏点と下降伏点は、軟鋼の降伏現象を理解するうえで重要な用語です。

設計や規格評価では、どちらの値を使うのかを確認することが大切です。

まとめ

上降伏点は、降伏開始時に現れる高い応力で、じょうこうふくてんと読みます。

下降伏点は、応力降下後に塑性変形が進むときの低い応力で、かこうふくてんと読みます。

この二つは、軟鋼などで見られる降伏現象を説明するための重要な用語です。

上降伏点から下降伏点へ移るときには、応力が一度下がりながら変形が進む特徴があります。

一方、SUS304やアルミ合金のように明確な降伏点を示しにくい材料では、0.2パーセント耐力が使われます。

上降伏点と下降伏点の違いを理解すれば、応力ひずみ線図の読み方や材料試験結果の見方がより正確になります。